JPH04121383U - 磁石発電機用固定子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワイヤハーネスを、回転子と干渉するおそれ
がない状態で、容易に外部に引き出すことができるよう
にする。 【構成】 鉄心取付用プレート１の外周寄りの部分を貫
通させて、切欠部５を設け、ワイヤハーネス４を、切欠
部５内を通して外部に導出する。切欠部５の対向面に１
対のクリップ取付溝を設けておき、これらのクリップ取
付溝にクリップ８を嵌合させて取付ける。クリップ８に
より、ワイヤハーネス４が切欠部５から抜け出るのを防
止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関等に取付けられる磁石発電機の固定子に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

周知のように、磁石発電機は、内燃機関等の原動機の回転軸に取付けられる磁 石回転子と、電機子コイルを備えた固定子とにより構成される。磁石回転子は例 えばカップ状のヨークの内周に永久磁石を取付けたものからなり、ヨークに設け られたボス部が原動機の回転軸に取付けられる。

【０００３】 また固定子は、例えば図５に示すように、電機子鉄心２と該電機子鉄心に巻回 された電機子コイル３とを備え、電機子鉄心は、円板状の鉄心取付用プレート１ の表面側に取付けられる。図示の電機子鉄心は環状のヨークの外周部から多数の 突極部を放射状に突出させた公知の星形多極鉄心からなり、該鉄心の各突極部に 電機子コイルが巻回されている。

【０００４】 一般に多極の磁石発電機では、負荷が異なる毎に異なる電機子コイルを割り当 てて、各負荷用の電機子コイルから個別にリード線を引き出している。例えば内 燃機関に取付けられる磁石発電機では、１ないし複数個の電機子コイルを点火装 置を駆動するエキサイタコイルとし、他の電機子コイルをランプやバッテリ充電 回路等の負荷を駆動する発電コイルとして、それぞれのコイルから個別にリード 線を引き出している。このように、電機子コイルから多くのリード線を引き出す 場合には、多数のリード線を束ねて一括して絶縁チューブ内に挿入することによ りワイヤハーネス４を構成し、このワイヤハーネスを外部に導出してコネクタ７ を介して所定の負荷に接続するようにしている。

【０００５】 図５に示した従来の固定子では、鉄心取付用プレートの外周部にクランプ金具 Ｃを取付け、このクランプ金具Ｃによりワイヤハーネス４をクランプして外部に 導出している。しかしながら、このようにワイヤハーネスを鉄心取付用プレート の表面側から引き出すと、該ワイヤハーネスが回転子と干渉するおそれがあり好 ましくなかった。

【０００６】 そこで、図６に示したように、鉄心取付用プレート１の外周部に貫通孔１ｂを 設けて、この貫通孔１ｂを通してワイヤハーネス４を鉄心取付用プレートの裏面 側に導出することが行われている。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

図６に示した従来の固定子では、カプラやコネクタを取付けたワイヤハーネス を鉄心取付用プレートの外周部に設けた貫通孔１ｂに挿入した後、ワイヤハーネ スを構成する各リード線の芯線を所定のコイルの端末部に半田付けする必要があ った。この半田付け作業は、電機子鉄心と鉄心取付用プレートとの間の狭い箇所 で行う必要があるため、作業性が悪く、ワイヤハーネスの取付に多くの手間がか かるという問題があった。

【０００８】 本考案の目的は、電機子コイルに接続され、カプラやコネクタが取付けられワ イヤハーネスを、回転子と干渉するおそれがない状態で容易に外部に引き出すこ とができるようにした磁石発電機用固定子を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、鉄心取付用プレート１と、該鉄心取付用プレートの表面側に固定さ れた電機子鉄心２と、この電機子鉄心に巻かれた電機子コイル３と、該電機子コ イルから引き出されたワイヤハーネス４とを備え、前記鉄心取付用プレートを所 定の取付箇所に固定するようにした磁石発電機用固定子であって、カプラやコネ クタを取付けたワイヤハーネスを、回転子と干渉するおそれがない状態で容易に 外部に導出できるようにしたものである。

【００１０】 本考案においては、鉄心取付用プレート１の外周寄りの部分に、該プレートを 貫通し、かつ鉄心取付用プレート１の外周側に開口したワイヤハーネス取付用切 欠部５を設け、この切欠部内を通してワイヤハーネスを外部に導出する。そして 切欠部の対向面に１対のクリップ取付溝５１ａ，５１ｂを設け、該１対のクリッ プ取付溝に、ワイヤハーネスの抜け止めを図るためのクリップ８を嵌合させて固 定する。

【００１１】 このクリップは例えば弾性材料からなっていて、１対のクリップ取付溝内にそ れぞれ嵌合した状態で配置される１対の脚部８１ａ，８１ｂと、該１対の脚部の 一端間を連結する連結部８２と、該連結部の両端側に設けられて鉄心取付用プレ ートの表面に当接するストッパ部８３ａ，８３ｂと、１対の脚部のそれぞれの先 端部に設けられて鉄心取付用プレート１の裏面に当接して両脚部を係止する係止 突起８４ａ，８４ｂとを一体に備えている。

【００１２】

【作用】

上記のように構成すると、電機子鉄心を鉄心取付用プレートの所定の位置に固 定した後、電機子コイルに接続されたワイヤハーネスを切欠部内に挿入して、切 欠部の１対のクリップ取付溝にクリップを取付けるだけで、ワイヤハーネスの引 き出し作業を完了することができる。

【００１３】 クリップはワイヤハーネスを切欠部内に挿入した後に取付ければよいので、ワ イヤハーネスの先端部にカプラやコネクタが取付けられた状態であっても、該ワ イヤハーネスを容易に鉄心取付用プレートに固定することができる。

【００１４】 ワイヤハーネスは少なくとも鉄心取付用プレートの厚み分だけ、該プレートの 表面から逃げた状態で導出されるため、該ワイヤハーネスが回転子と干渉するお それはない。

【００１５】

【実施例】 図１は本考案の実施例を示したもので、同図において、１は鉄心取付用プレー ト、２は鉄心取付用プレート１の表面側に固定された電機子鉄心、３は電機子鉄 心に巻かれた電機子コイル、４は電機子コイル３から引き出されたワイヤハーネ ス、８は該ワイヤハーネスを鉄心取付用プレート１にクランプするため取付けら れたクリップでこれらにより磁石発電機用固定子が構成されている。

【００１６】 鉄心取付用プレート１は円板状のアルミニウム合金等からなり、裏面側に円筒 状のインロー部１１を有している。この鉄心取付用プレートは、インロー部１１ を図示しない取付箇所に設けられたインロー部に嵌合させることにより位置決め され、取付孔１２ａ，１２ｂ，…に挿入されたボルトにより取付箇所に固定され る。

【００１７】 電機子鉄心２は、環状のヨーク部２１の外周部から多数（本実施例では１２個 ）の突極部２２，２２，…を放射状に突出させた公知の星形多極鉄心で、鋼板の 積層体からなっている。電機子コイル３は、電機子鉄心の各突極部２２，２２， …にそれぞれ巻かれたコイル３１，３１，…からなり、該各コイルのうち１個な いし複数個（例えば２個）は点火装置を駆動するエキサイタコイルとして巻かれ 、他のコイルは例えばバッテリを充電するための充電コイルとして巻かれている 。これらエキサイタコイル及び充電コイルからそれぞれリード線４１ａ，４１ｂ ，…が引き出され、これらのリード線が束ねられて一括して絶縁チューブ４２内 に挿入されて、ワイヤハーネス４が構成されている。

【００１８】 ワイヤハーネス４の各リード線の他端側には所定の負荷に接続するためのコネ クタやカプラが取付けられている。ワイヤハーネス４はまた、電機子コイル３か らの引出部に近い部分で電機子鉄心の環状ヨーク部２１にスポット溶接等により 取付けられたハーネス固定用金具６によって一括して抱き締められて電機子鉄心 に対して固定されている。

【００１９】 電機子コイル３が巻かれた電機子鉄心２は、該鉄心の環状ヨーク部２１に設け た取付孔に挿入したねじ７ａ，７ｂ，…により、鉄心取付用プレート１の表面側 の所定位置に固定されている。

【００２０】 本考案においては、ワイヤハーネス４を鉄心取付用プレートの所定の位置に固 定して外部に導出するため、鉄心取付用プレート１の外周寄りの部分を貫通させ て、鉄心取付用プレートの外周側に開口するワイヤハーネス取付用切欠部５が設 けられ、該切欠部内を通してワイヤハーネス４が外部に導出される。

【００２１】 図２に示したように、ワイヤハーネス取付用切欠部５の対向面間の距離Ｂはワ イヤハーネス４の外径よりは大きく設定されている。切欠部５の対向面の開口部 寄りの部分に１対のクリップ取付溝５１ａ，５１ｂが設けられ、これらの取付溝 に図３に示すようなクリップ８が取付けられて、該クリップ８によりワイヤハー ネス４の抜け止めが図られるようになっている。

【００２２】 クリップ８はプラスチックまたはゴム等の弾性材料からなっていて、図３に示 すように、１対の脚部８１ａ及び８１ｂと、該１対の脚部の一端間を連結する連 結部８２と、連結部の両端側に設けられたストッパ部８３ａ及び８３ｂと、１対 の脚部のそれぞれの先端に設けられた係止突起８４ａ及び８４ｂとを一体に有す る門形の部材からなっている。

【００２３】 １対の脚部８１ａ，８１ｂの厚さｔ及び両脚部の外側面の間の非拘束状態での 距離ｗは、それぞれ１対のクリップ取付溝５１ａ，５１ｂの各溝幅及び両溝の底 部の間の距離とほぼ等しい寸法に選定されており、また脚部８１ａ及び８１ｂの それぞれの一端側に設けられたストッパ部８３ａ及び８３ｂと各脚部の先端に設 けられた係止突起８４ａ及び８４ｂとの間の間隔ｄは、鉄心取付用プレート１の 厚さとほぼ等しく設定されていて、クリップ８を切欠部５に取付けたときに、該 クリップの１対の脚部８１ａ及び８１ｂが１対のクリップ取付溝５１ａ及び５１ ｂにそれぞれ嵌合し、かつクリップのストッパ部８３ａ及び８３ｂが鉄心取付用 プレート１の表面に当接して、係止突起８４ａ及び８４ｂが鉄心取付用プレート １の裏面に当接するように構成されている。またクリップ取付溝内へのクリップ の挿入を容易にするため、脚部８１ａ及び８１ｂの先端部は図示のようにくさび 状に形成されている。

【００２４】 ワイヤハーネス４を引き出す際には、先ずワイヤハーネス４を切欠部５に挿入 し、該ワイヤハーネスを、クリップ取付溝５１ａ，５１ｂよりも内側に位置させ る。この状態でクリップ８を鉄心取付用プレート１の表面側からクリップ取付溝 ５１ａ，５１ｂに取付ける。図４（Ａ）ないし（Ｃ）はクリップ８をクリップ取 付溝５１ａ，５１ｂに挿入する過程を示したものである。先ず図４（Ａ）に示す ようにクリップの両脚部８１ａ，８１ｂの先端部を取付溝５１ａ，５１ｂの端部 に当て、図４（Ｂ）に示すようにクリップ８を押し下げて脚部８１ａ，８１ｂを 取付溝５１ａ，５１ｂ内に挿入する。この時係止突起８４ａ，８４ｂが取付溝５ １ａ，５１ｂの底部により内側に押圧されるため、脚部８１ａ，８１ｂが互いに 内側に弾性変形して湾曲する。クリップ８をさらに押し下げると、ストッパ部８ ３ａ，８３ｂが鉄心取付用プレート１の表面に当接するとともに係止突起８４ａ ，８４ｂが鉄心取付用プレート１の裏面に当接する。この状態では、脚部８１ａ 及び８１ｂが元の形に復帰してそれぞれ取付溝５１ａ及び５１ｂに嵌合され、ク リップ８は切欠部５に係止される。

【００２５】 上記のように構成すると、ワイヤハーネス４は、鉄心取付用プレート１の裏面 側に引き出されるか、または門形のクリップ８の内側を通して、鉄心取付用プレ ートの厚み分だけ該プレートの表面からにげた状態で外部に引き出される。いず れにしても、ワイヤハーネスは回転子と干渉するおそれがない状態で外部に引き 出される。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように、本考案によれば、電機子鉄心を鉄心取付用プレートの所定の位 置に固定した後、電機子コイルに接続されたワイヤハーネスを切欠部内に挿入し て、該切欠部のクリップ取付溝にクリップを取付けるだけで、ワイヤハーネスの 引き出し作業を完了することができるため、狭い箇所での面倒な半田付け作業を 行うことなく、ワイヤハーネスを回転子と干渉するおそれがない状態で容易に外 部に引き出すことができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を一部切欠いて示した裏面図で
ある。

【図２】本考案の実施例におけるワイヤハーネス取付用
切欠部の拡大図である。

【図３】本考案の実施例で用いるクリップの斜視図であ
る。

【図４】（Ａ）ないし（Ｃ）は本考案においてクリップ
をクリップ取付溝に挿入する過程を示した説明図であ
る。

【図５】従来例を示した裏面図である。

【図６】他の従来例の要部を示した裏面図である。

【符号の説明】

１…鉄心取付用プレート、２…電機子鉄心、３…電機子
コイル、４…ワイヤハーネス、５…ワイヤハーネス取付
用切欠部、５１ａ，５１ｂ…１対のクリップ取付溝、８
…クリップ、８１ａ，８１ｂ…１対の脚部、８２…連結
部、８３ａ，８３ｂ…ストッパ部、８４ａ，８４ｂ…係
止突起。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心取付用プレートと、前記鉄心取付用
   プレートの表面側に固定された電機子鉄心と、前記電機
   子鉄心に巻かれた電機子コイルと、前記電機子コイルか
   ら引き出されたワイヤハーネスとを備え、前記鉄心取付
   用プレートを所定の取付箇所に固定するようにした磁石
   発電機用固定子において、前記鉄心取付用プレートの外
   周寄りの部分に、該プレートを貫通し、かつ鉄心取付用
   プレートの外周側に開口したワイヤハーネス取付用切欠
   部が設けられて、該切欠部内を通して前記ワイヤハーネ
   スが外部に導出され、前記切欠部の対向面に１対のクリ
   ップ取付溝が設けられて、該１対のクリップ取付溝に前
   記ワイヤハーネスの抜け止めを図るためのクリップが嵌
   合されて固定されていることを特徴とする磁石発電機用
   固定子。
2. 【請求項２】前記クリップは弾性材料からなっていて、
   前記１対のクリップ取付溝内にそれぞれ嵌合した状態で
   配置された１対の脚部と、前記１対の脚部の一端間を連
   結する連結部と、前記連結部の両端側に設けられて前記
   鉄心取付用プレートの表面に当接するストッパ部と、前
   記１対の脚部のそれぞれの先端部に設けられて前記鉄心
   取付用プレートの裏面に当接して両脚部を係止する係止
   突起とを一体に有していることを特徴とする請求項１に
   記載の磁石発電機用固定子。