JPH0412120B2 - - Google Patents

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JPH0412120B2
JPH0412120B2 JP8881983A JP8881983A JPH0412120B2 JP H0412120 B2 JPH0412120 B2 JP H0412120B2 JP 8881983 A JP8881983 A JP 8881983A JP 8881983 A JP8881983 A JP 8881983A JP H0412120 B2 JPH0412120 B2 JP H0412120B2
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nad
nadp
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kinase
atp
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Hideo Misaki
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Toyo Jozo KK
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Publication of JPH0412120B2 publication Critical patent/JPH0412120B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ATP(アデノシントリホスフエー
ト)およびNAD(ニコチンアミドアデニンジヌク
レオチド)のいずれか1成分を含有するか、また
は遊離、生成する被検液中の1成分の定量におい
て、その被検液に、被検液中の1成分でない
NADおよびATPのいずれか1種、マグネシウム
イオンまたはマンガンイオンを放出できる水溶性
塩、およびNADキナーゼを作用せしめてADP
(アデノシンジホスフエート)およびNADP(ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフエー
ト)を生成せしめ、次いで2種類のNADP依存
性デヒドロゲナーゼおよび各々の酵素に対応した
酸化型、還元型基質を共役させてサイクリング反
応を行ない、その後反応における検出できる変化
の量を定量してなる新規な高感度定量法に関す
る。 従来よりATPの定量法としては、例えば被検
液中のATPにグルコースの存在下ヘキソキナー
ゼを作用せしめてグルコース−6−ホスフエート
となし、この生成したグルコース−6−ホスフエ
ートにNADPの存在下グルコース−6−ホスフ
エートデヒドロゲナーゼを作用せしめて還元型
NADPを生成せしめ、この還元型NADPの生成
量を波長340nmにて吸光度測定してなる方法が
知られている。しかしこの方法は、1モル比の
ATPから1モル比の還元型NADPしか生成せず、
被検液中のATP含有量が微量のときには充分な
測定感度を示さないものであつた。またNADの
定量において、NADをNAD依存性デヒドロゲナ
ーゼおよびNAD依存性デヒドロゲナーゼ用基質
にて還元型NADとなし、さらにこの還元型NAD
に、還元型NAD依存性デヒドロゲナーゼおよび
還元型NAD依存性デヒドロゲナーゼ用基質を作
用せしめてNADとなすNAD−還元型NADのサ
イクリング反応を用いた方法が知られており、ま
たNADP−還元型NADPのサイクリング反応も
知られていた〔「生化学実験講座・酵素研究法
(上)」第5巻第121頁〜第131頁、1976年、特開昭
56−144096号公報、特願昭57−10223号明細書〕。
しかし、例えばこのNAD−還元型NADのサイク
リング反応においては、未反応のNADまたは還
元型NADのいずれか一方をアルカリ性または酸
性、熱処理にて分解せしめた後、残存する他方を
サイクリングさせ測定しねばならないもので、一
段反応にてなし得るものでなく、またそのため自
動化し得ないものであつた。 さらにNADキナーゼは、EC・2・7・1・23
として知られており、またその活性測定法におい
てはグルコース−6−ホスフエートデヒドロゲナ
ーゼおよびフエナジンメトサルフエートを用いる
化学的サイクリング反応が知られている〔「The
Enzymes」Vol 、3th edition76〜82頁(1973
年)〕。しかしながら、フエナジンメトサルフエー
トなどの化学的試薬を用いる方法は必ずしも良好
でなく、従つてまた上記の活性測定法を設計変更
して各成分の定量法としても良好に定量し難い不
満足なものであつた。 本発明者は、ATPまたはNADの高感度測定に
関して種々研究した結果、ATPを含有するか、
または遊離、生成する被検液に、NAD、マグネ
シウムイオンまたはマンガンイオンを放出できる
水溶性塩、およびNADキナーゼを作用せしめて
ADPおよびNADPを生成せしめるか、または上
記のATPの代りにNADを含有するか、または遊
離、生成する被検液を対象として、ATP、マグ
ネシウムイオンまたはマンガンイオンを放出でき
る水溶性塩、およびNADキナーゼを作用せしめ
てADPおよびNADPを生成せしめて、被検液中
のATPまたはNADを、被検液中の成分でない
NADまたはATPの存在下酵素的にNADPとな
し、次いでこのNADPに、NADP依存性デヒド
ロゲナーゼおよびその還元型基質を有する還元型
NADP生成試薬を作用せしめて還元型NADPと
なし、さらにこの生成した還元型NADPに、別
のNADP依存性デヒドロゲナーゼおよびその
NADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基を有
するNADP生成試薬の作用せしめてNADPとな
してNADP−還元型NADPの酵素的サイクリン
グ反応を行なわせしめ、次いでこのサイクリング
反応における検出できる変化の量を定量すること
により、例えばNADの被検液中に混存する還元
型NADを酸性熱分解せしめることなく、定量し
得たもので、簡便かつ自動化のための測定法とし
て極めて良好である。さらにATPやNADを、
NADPの酵素的サイクリング反応による高感度
測定として定量し得たもので、全く新規な知見で
ある。 本発明は、上記の知見に基いて完成したもの
で、ATPおよびNADのいずれか1成分を含有す
るか、または遊離、生成する被検液中の1成分の
定量において、その被検液に、被検液中の1成分
でないNADおよびATPのいずれか1種、マグネ
シウムイオンまたはマンガンイオンを放出できる
水溶性塩、およびNADキナーゼを作用せしめて
ADPおよびNADPを生成せしめ、次いでNADP
依存性デヒドロゲナーゼおよびNADP依存性デ
ヒドロゲナーゼ用還元型基質を有する還元型
NADP生成試薬、および別のNADP依存性デヒ
ドロゲナーゼおよびそのNADP依存性デヒドロ
ゲナーゼ用酸化型基質を有するNADP生成試薬
を作用せしめてサイクリング反応を行ない、その
後反応における検出できる変化の量を定量するこ
とを特徴とする高感度測定法である。 まず本発明の高感度測定のための反応を略示す
る。 ただし、各記号は以下の意味を示す。 E1:NADPおよびS1を基質として、還元型
NADPおよびP1を生成する反応を触媒する
NADP依存性デヒドロゲナーゼ、 E2:還元型NADPおよびS2を基質として、
NADPおよびP2を生成する反応を触媒する
NADP依存性デヒドロゲナーゼ、 S1:NADP依存性デヒドロゲナーゼ(E1)の還
元型基質、 S2:NADP依存性デヒドロゲナーゼ(E2)の酸
化型基質、 P1:E1によるS1からの酸化型生成物、 P2:E2によるS2からの還元型生成物、 本発明で対象とする被検液としては、ATPお
よびNADのいずれか1成分を含有するか、また
は遊離、生成するものであればよく、あらかじめ
ATPを含有する被検液、あらかじめNADを含有
する被検液、種々の酵素反応系にて遊離、生成す
るATPの被検液やNADの被検液などが挙られ
る。さらに詳しくは、あらかじめATPを含有す
る被検液としては、例えばATPの試薬溶液や
ATPを試薬として消費してなる下記例示の種々
の酵素反応の未反応ATP含有溶液、NADの試薬
やNADを試薬として消費してなる下記例示の
種々の酵素反応の未反応のNAD含有溶液が挙げ
られるが、これらは例示反応系であり、何んら本
発明の対象を限定するものではない。 【表】 【表】 【表】 これらの被検液においては、酵素反応後に残在
するATPまたはNADの量を定量することを目的
として供するもので、さらにこのATPまたは
NADの定量値から、その酵素反応系の酵素活性
や用いたATPまたはNADの消費量に対応して消
費された他方の成分の定量をなしてもよい。 さらにATPおよびNADのいずれか1成分を遊
離し、生成する被検液としては、以下に例示され
る種々の酵素反応液が挙げられる。例えばATP
を遊離、生成する被検液としては、ADPおよび
キナーゼ基質用ホスフエート化合物に作用して
ATPを遊離、生成する反応を触媒するキナーゼ、
ADPおよびキナーゼ基質用ホスフエート化合物
の酵素反応系による反応において遊離、生成する
ATPの被検液が挙げられる。さらに詳しくは、
このキナーゼ、ADPおよびキナーゼ基質用ホス
フエート化合物の酵素反応系としては、例えばク
レアチンキナーゼ、ADPおよびクレアチンホス
フエートの酵素反応系やピルベートキナーゼ、
ADPおよびホスホエノールピルビン酸の酵素反
応系が挙げられる。またNADを遊離、生成する
被検液としては、NAD依存性デヒドロゲナーゼ、
還元型NADおよびこのNAD依存性デヒドロゲナ
ーゼ用酸化型基質化合物の酵素反応系による反応
において遊離、生成するNADの被検液が挙げら
れ、例えばラクテートデヒドロゲナーゼ、還元型
NADおよびピルベートの酵素反応系による生成
NADの被検液が挙げられる。これらの種々の被
検液中のATPやNADを定量することにより、そ
の酵素反応系の酵素活性の測定や反応に関与した
成分の定量のいずれか1成分の測定をなし得るも
のである。以下に種々の酵素反応系の概略を示す
が、これらの対象反応系は例示であつて何んら限
定されるものではない。 【表】 【表】 なお前記の種々の酵素反応系において、反応を
行なわしめるためのPH条件、金属イオンや安定化
のための添加剤の必要性の条件などは、適宜公知
の技術に基いて判断すればよく(例えば「酵素ハ
ンドブツク」1982年12月発行、同刊行物1966年4
月発行参照)、例えば前記のキナーゼを用いる酵
素反応系においては、金属イオンとしてマグネシ
ウムイオンやその他マンガンイオンなどの存在下
反応せしめるものである。さらにPH条件として
は、対象とする酵素反応系毎に異なるもので、適
宜PH6〜9.5程度の範囲の緩衝液を選択して用い
ればよい。またこの緩衝液としては、例えばリン
酸緩衝液、トリス−HCl緩衝液、グリセリルグリ
シン緩衝液、イミダゾール−HCl緩衝液、ジメチ
ルグルタール酸−NaOH緩衝液、グリシン−
NaOH緩衝液、ピペス(PIPES)−NaOH緩衝
液、トリエタノールアミン緩衝液などが用いられ
る。またその反応温度としては通常37℃程度でよ
く、また反応時間も1分以上反応せしめればよ
く、何んら反応時間は限定されるものではない。 さらに本発明に用いられるNADキナーゼは、
1モルのATPと1モルのNADを基質として作用
して、1モルのADPと1モルのNADPを生成す
る反応を触媒する酵素でEC・2・7・1・23と
して分類されている公知の酵素であり、酵母やハ
ト、ラツトやウサギの肝臓から精製、採取できる
〔J.Biol.Chem.、182、805(1950)、J.Biol.Chem.、
206、311(1954)、Eur.J.Biochem.、55、475
(1975)、J.Biol、Chem.、243、4885(1968)、
Meth.Enzymol.、43B、149(1971)〕。またNAD
キナーゼの使用量としては、例えば1テスト当り
0.1単位(U.)以上あればよく、通常1〜50U.程
度用いればよい。 また用いるATPまたはNADの量としては、被
検液中のNADまたはATPの量に比べて多く用い
ればよく、特に限定されるものではない。また一
般に用いるATPやNADは、用いる緩衝液に溶解
して用いればよく、さらに1テスト当り好ましく
は5mM〜100mMの濃度にて使用すればよい。 さらに用いられるマグネシウムイオンまたはマ
ンガンイオンを放出できる水溶性塩としては、通
常塩化マグネシウム(MgCl2)または塩化マンガ
ン(MnCl2)を用いることが好ましく、通常1テ
スト当り好ましくは5mM〜50mMの濃度にて使
用すればよい。さらに適宜被検液中に混入してい
るマグネシウムイオンやマンガンイオンの量を考
慮して、使用する上記水溶性塩の量を減じてもよ
い。 さらに本発明のサイクリング反応形成のための
NADP依存性デヒドロゲナーゼおよびNADP依
存性デヒドロゲナーゼ用還元型基質を有する還元
型NADP生成試薬におけるNADP依存性デヒド
ロゲナーゼ(E1)は、ATPとNADの存在下
NADキナーゼの酵素作用によつて生じたNADP
に作用して還元型NADPを形成せしめる反応を
触媒する酵素であればよく、通常このNADPと
NADP依存性デヒドロゲナーゼ用還元型基質
(S1)との存在下NADP依存性デヒドロゲナーゼ
は、その基質の酸化型生成物(P1)および還元
型NADPを生成せしめてなるものである。以下
にこのNADP依存性デヒドロゲナーゼおよび
NADP依存性デヒドロゲナーゼ用還元型基質、
さらにこれらによる酵素反応の概略を挙げるが、
これらは例示であつて何んら限定するものではな
い。 【表】 またサイクリング反応形成のための前記とは異
なる別のNADP依存性デヒドロゲナーゼおよび
そのNADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基
質を有するNADP生成試薬におけるこのNADP
依存性デヒドロゲナーゼ(E2)は、前記の還元
型NADP生成試薬によつて生じた還元型NADP
に作用してNADPを形成せしめる反応を触媒す
る酵素であればよく、通常この還元型NADPと
NADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基質
(S2)との存在下NADPデヒドロゲナーゼ(E2
は、その基質の還元型生成物(P2)および
NADPを生成せしめてなるものである。以下に
この還元型NADP依存性デヒドロゲナーゼおよ
び還元型NADP依存性デヒドロゲナーゼ用基、
さらにこれらによる酵素反応の概略を挙げるが、
その反応系としては、前記の逆反応の系や、以下
の正反応が挙げられるものであるが、これらは例
示であつて何んら限定するものではない。 【表】 【表】 (ただしAはテトラゾリウム塩を示し、AH2
ホルマザンを示す) 前記の種々の反応系において、反応方向→は正
反応としての使用目的の反応系を意味し、また反
応方向←は逆反応としての別の使用目的にて利用
される反応系を示すものである。例えば前記の
(12)(13)等の正反応は残存NAD定量のための
目的として供し得、またその逆反応は生成NAD
を定量するための目的として供し得るものであ
る。また前記の(32)、(33)等の正反応はE1
よる反応としての目的で使用され、また逆反応は
E2による反応として使用できるものである。 上記のNADP生成試薬においては、特にジア
ホラーゼ(NADPH)およびテトラゾリウム塩
を有する試薬を用いることが好ましく、またテト
ラゾリウム塩としては、例えば3−(p−ヨード
フエニル)−2−(p−ニトロフエニル)−5−フ
エニル−2H・テトラゾリウム・クロライド
(INT)、3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリ
ル)−2,5−ジフエニル−2H・テトラゾリウ
ム・ブロマイド、3,3′−(4,4′−ビフエニリ
レン)−ビス(2,5−ジフエニル−2H・テトラ
ゾリウム・クロライド)、3,3′−(3,3′−ジメ
トキシ−4,4′−ビフエリレン)−ビス〔2−(p
−ニトロフエニル)−5−フエニル−2H・テトラ
ゾリウム・クロライド(ニトロテトラゾリウム:
NTB)などが挙げられる。 上記の還元型NADP生成試薬およびNADP生
成試薬によるサイクリング反応においては、1サ
イクル反応毎に、NADP1モル比当り、1モル比
のNADP依存性デヒドロゲナーゼ用基質を消費
してその基質酸化物を生成し、かつ生成した還元
型NADP1モル比当り1モル比の還元型依存性デ
ヒドロゲナーゼ用基質を消費してその基質還元物
を生成してなるもので、被検液中の成分の一定量
に対して1分当り10サイクル以上の反応を生ずる
ことから、少なくとも定量目的とする成分の量に
比べてそのサイクル数以上のモル比に相応した試
薬の量を用いればよい。通常大過剰量の各基質が
用いられ、例えば被検液中のATPまたはNADの
量に比べて50倍量以上、好ましくは100〜10000倍
量のNADP依存性デヒドロゲナーゼ用還元型基
質や別のNADP依存性デヒドロゲナーゼに対応
する酸化型基質を用いればよい。また用いられる
NADP依存性デヒドロゲナーゼや別のNADP依
存性デヒドロゲナーゼは、サイクリング反応を行
なわせしめるに充分な任意の量(酵素活性単位)
の使用でよく、また適宜選択したデヒドロゲナー
ゼの比活性やKm値に応じて使用量を増減すればよ
い。通常1テスト当り0.05単位以上あればよく、
1分間当り10サイクル以上、好ましくは1分間当
り50サイクル以上、より好ましくは1分間当り
100サイクル以上の反応を行なわせしめるような
酵素量を用いればよく、好ましくは1単位〜100
単位用いればよい。さらにこのサイクリング反応
における反応媒体としては、用いる各酵素の活性
の安定なPH域のものであればよく、通常弱酸性な
いし弱アルカリ性、例えばPH6〜9.5程度の緩衝
液を選択して用いればよい。また緩衝液として
は、例えばリン酸緩衝液、トリス−HCl緩衝液、
グリセリルグリシン緩衝液、イミダゾール−HCl
緩衝液、ジメチルグルタール酸−NaOH緩衝液、
グリシン−NaOH緩衝液、ピペス−NaOH緩衝
液、トリエタノールアミン緩衝液などが用いられ
る。さらに反応に当つては、通常30〜37℃付近に
て1分以上行なえばよく、また60分以上にわたつ
て反応せしめてもよい。 このようにしてサイクリング反応せしめた後、
次いで反応によつて生ずる検出できる変化の量を
定量するのであるが、この検出できる変化として
はサイクリング反応における消費されるNADP
依存性デヒドロゲナーゼ用還元型基質(S1)また
はNADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基質
(S2)や、S1の酸化型生成物であるP1またはS2
還元型生成物であるP2の成分の変化をもつて行
なえばよい。これらの成分を測定するに当つて
は、その成分を基質として、少なくとも酸素を消
費するオキシダーゼを作用せしめ、この反応によ
つて消費される成分または生成される成分を定量
すればよい。例えばP1またはP2がピルビン酸の
場合にはピルビン酸を基質とし、酸素および無機
リンを消費して、アセチルリン酸−CO2および過
酸化水素を生成するピルベートオキシダーゼ
(EC・1・2・3・3)および無機リンを用いて
さらにフラビンアデニンジヌクレオチド、チアミ
ンピロホスフエートの存在下反応せしめて溶存酸
素を消費せしめ、アセチルリン酸、CO2および過
酸化水素を生成せしめ、次いでこの酸素の消費量
またはCO2、過酸化水素の生成量を定量すること
により、存在するピルビン酸の量を測定してなる
ものである。またP1またはP2がエタノールの場
合には、エタノールを基質とし、酸素を消費し
て、アセトアルデヒドおよび過酸化水素を生成し
てなるアルコールオキシダーゼ〔Analy−tical
Letters、2(1)、41−48(1969)〕を用いて、前記
と同様に消費された成分または生成された成分を
定量して、エタノールを測定すればよい。さらに
P1またはP2がグリセロールの場合には、グリセ
ロールを基質として酸素を消費し、グリセロアル
デヒドおよび過酸化水素を生成するグリセロール
オキシダーゼを用いて行なえばよい。さらにこれ
らのオキシダーゼによる消費成分である酸素の量
は酸素電極にて電気化学的変化量として定量すれ
ばよく、またその生成成分が過酸化水素の場合に
は過酸化水素電極にて電気化学的変化量として定
量すればよく、通常これらの各成分は簡便な電気
化学的変化量として定量すればよい。また特に簡
便には、S2としてテトラゾリウム塩、例えば
NTBを用いることにより形成されるホルマザン
色素(P2)の量を比色定量するもので、比色定
量に当つてはそのホルマザン色素の吸収波長、例
えば波長450〜550nmによる吸光度測定を行なえ
ばよい。このようにしてサイクリング反応におけ
る消費される成分の量または生成される成分の量
を定量することにより、その検量曲線から被検液
中のATPまたはNADの決定がなし得るものであ
る。さらにそのATPまたはNADの値から、用い
た被検液中の酵素反応系の酵素活性または用いた
成分の定量のいずれか一成分の測定をなし得るも
のである。 さらに本発明の定量法を実施するための酵素お
よび必要な試薬は、同一系または2以上からなる
系として、水溶液状にて保存してもよく、また乾
燥した粉末状にて保存してもよく、特に凍結乾燥
にて乾燥保存することが簡便である。さらにテト
ラゾリウム塩を用いる場合には形成されるホルマ
ザン色素の沈澱を生ずることもあり、かつ凍結乾
燥後の可溶化の際に良好に溶解できない傾向があ
るために、界面活性剤、特に非イオン系界面活性
剤を用いて、その点を改善することが好ましい。
また非イオン系界面活性剤としては、例えばセチ
ルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリル
アルコール、オレイルアルコールなどの高級脂肪
族アルコールのポリオキシエチレンエーテル誘導
体、イソオクチルフエノールやノニルフエノール
のポリオキシエチレンエーテル誘導体、ステアリ
ン酸やオレイン酸などの脂肪酸のソルビタンエス
テルのポリオキシエチレンエステル誘導体、シヨ
糖脂肪酸エステル誘導体、ポリオキシエチレンの
第2級アルコールのエトキシレート誘導体、など
が挙げられ、HLB11〜20の範囲のものを用いる
ことが良好であり、好ましくは、例えばトリトン
X−100(商品名)やアデカトールSO−145(商品
名)などが挙げられる。また界面活性剤の使用濃
度としては0.001〜5%の範囲が好ましい。さら
に必要に応じてグリセリン、ポリエチレングリコ
ール、ソルビトール、シヨ糖、グルコース、マル
トースなどを添加してもよい。 このような各酵素および必要な試薬の量を決定
し、これを水溶液状として定量に供するものであ
るが、用いる液量は特に限定されるものでなく、
通常1テスト当り0.05ml〜5mlを用いればよく、
また対象としての被検液量も、特に限定されるも
のではなく、通常1テスト当り0.005ml〜5ml用
いればよく、特に0.01〜0.1ml程度が適当である。
また反応に当つては、NADキナーゼによる反応
と、NADP依存性デヒドロゲナーゼと別の
NADP依存性デヒドロゲナーゼとを用いる共役
反応によるサイクリング反応とを、遂次別々に行
なつてもよく、また同一系で行なつてもよいもの
である。次いでそのサイクリング反応後、反応に
おいて消費される成分または生成される成分を検
出できる変化の量として定量すればよい。 このようにしてなる本発明の定量法は、ATP
またはNADの定量法として新規な方法によるも
ので、かつ微量のATPやNADを高感度にて良好
に定量し得るもので、さらに自動化のためのもの
として有用であり、さらにATPやNADを用いる
種々の酵素反応系やATPやNADを生成する酵素
反応系に関与する酵素活性またはその他の成分の
いずれか一成分の測定を良好になし得るものであ
る。 次いで本発明の実施例を挙げて具体的に述べる
が、本発明はこれらによつて何んら限られるもの
ではない。 実施例 1 NADの定量 反応液組成 ●40mM・トリス−HCl緩衝液(PH7.0)、 ●10mM・ATP、 ●7mM・塩化マグネシウム、 ●NADキナーゼ(13U/ml、イースト由来)、 反応液組成 ●100mM・トリス−HCl緩衝液(PH8.0) ●10mM・塩化マグネシウム、 ●2mM・グルコース−6−ホスフエート、 ●グルコース−6−ホスフエートデヒドロゲナ
ーゼ(50U/mlイースト由来)、 ●ジアホラーゼ(NADPH)(200U/ml、東洋
醸造社製)、 ●0.01%NTB、 ●0.1%トリトンX−100(商品名:ローム・マ
ンド・ハス社製) 上記反応液組成を有する反応液0.1mlに、各
濃度1〜5μM)のNADを含有する試料液40μ
を添加し、37℃で20分間反応せしめた。反応後こ
れに、上記反応液組成を有する反応液0.1mlを
添加し、添加後37℃で正確に10分間反応せしめ、
その後0.1NHCl2.8mlを添加して反応を停止した。
次いで反応終了液を、吸光波長550nmにおける
吸光度を比色定量した。その結果、第1図に示す
通りで、NAD量と吸光度の間に良好な直線性が
感度よく得られた。この結果サイクリング率は約
45回/分であつた。 実施例 2 NADの定量 実施例1の反応液組成のNTBの代りに0.01
%INTを用い、トリトンX−100の代りに0.1%ア
デカトールSO−145(商品名:旭電化工業社製)
を用いて反応液組成を調製し、各濃度(1〜
5μM)のNADを含有する試料液40μを対象と
して、反応液組成および反応液組成の各反応
液を用いて、以下実施例1を同様に操作し、その
反応終了液を吸光波長500nmにおける吸光度を
比色定量した。その結果、第2図に示す通りで、
良好な直線性が高感度にて得られたものであつ
た。 実施例 3 ATPの定量 実施例1の反応液組成のATPの代りに10m
MNADを用いてなる反応液0.1mlを小試験管にと
り、各種濃度(1〜5μM)のATPを含有する試
料液40μを添加し、37℃で20分間反応せしめ、
次いでこれに、実施例1の反応液組成の反応液
0.1mlを添加し、37℃で正確に10分間反応せしめ
た。反応後、1.8mlの0.1NHClを添加した後、吸
光波長550nmにおける吸光度を比色定量した。
その結果、第3図に示す通りで、ATP量と吸光
度の間に良好な直線性が高感度で得られた。 実施例 4 クレアチンホスフエートの定量 反応液組成 ●20mM・グリシルグリシン緩衝液(PH7.0)、 ●クレアチンキナーゼ(200U/ml)、 ●10mM・ADP、 ●10mM・塩化マグネシウム、 ●10mM・NAD ●NADキナーゼ(13U/ml) 反応液組成 ●100mM・トリス−塩酸緩衝液(PH8.0)、 ●10mM・塩化マグネシウム、 ●2mM・グルコース−6−ホスフエート、 ●グルコース−6−ホスフエートデヒドロゲナ
ーゼ(50U/ml)、 ●ジアホラーゼ(NADPH)(200U/ml)、 ●0.01%NTB、 ●0.1%トリトンX−100、 上記反応液組成を有する反応液0.1mlに、各
種濃度(1〜5μM)のクレアチンホスフエート
を含有する試料液40μを添加し、37℃で20分間
反応した。反応後これに、上記の反応液組成を
有する反応液0.1mlを添加し、37mで正確に10分
間反応せしめ、0.1NHCl2.8mlを添加して反応を
停止した。反応終了後、吸光波長550nmにおけ
る吸光度を比色定量した。その結果、第4図に示
す通りで、微量のクレアチンホスフエートの定量
が簡便になし得た。なお盲検は、クレアチンホス
フエートの代りに蒸台水40μを用いて行なつ
た。 また上記の反応液組成のクレアチンキナーゼ
の代りに10mMのクレアチンホスフエートを用い
ることにより、クレアチンキナーゼ活性測定用の
系となし得るものである。 さらに、上記の反応液組成のクレアチンキナー
ゼの代りに10mMホスホエノールピルビン酸を用
いることにより、ピルベートキナーゼ活性測定用
の系となし得るものである。 実施例 5 NADの酸素電極による定量 反応液組成; 前記実施例1と同一の組成を有する。 反応液組成 ●50mM・トリス−HCl緩衝液(PH7.5) ●5mM・L−リンゴ酸 ●5mM・アセトアルデヒド ●0.2mM・チアミンピロホスフエート ●10mM・塩化マグネシウム ●3μM・フラビンアデニンジヌクレオチド ●ピルベートオキシターゼ(13U/ml、東洋醸
造社製) ●マレイトデヒドロゲナーゼ(EC・1・1・
1・40、20U/ml、シグマ社製) ●アルコールデヒドロゲナーゼ〔EC・1・
1・1・2、80U/ml;Leuconostoc
mesenteroidesより調製:Methods in
Enzywol.、Vol 、ア504、(1955)〕 反応液組成を有する反応液0.2mlを酸素電極
用セルにとり、これに、各濃度(0、10、20、
30、40、50μM)のNADを含有する試料液10μ
を添加し、37℃で10分間反応せしめた。これに、
あらかじめ37℃に加温しておいた反応液組成を
有する反応液1.0mlを加えて37℃で反応せしめた。
次いでこの反応開始後、2分から4分の2分間に
おける酸素の減少量を溶存酸素計にて測定した。
その結果は、第5図に示す通りであつて、酸素消
費量とNAD量との間に良好な直線関係が得られ
た。またこのときのサイクリング率は約30回/分
であつた。 なおこの反応原理の概略を示せば、以下の通り
である。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図はNADの定量曲線を示し、
第3図はATPの定量曲線を示し、第4図はクレ
アチンホスフエートの定量曲線を示し、第5図は
酸素電極によるNADの定量曲線を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ATP(アデノシントリホスフエート)および
    NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
    のいずれか1成分を含有するか、または遊離、生
    成する被検液中の1成分の定量において、その被
    検液に、被検液中の1成分でないNADおよび
    ATPのいずれか1種、マグネシウムイオンまた
    はマンガンイオンを放出できる水溶性塩、および
    NADキナーゼを作用せしめてADP(アデノシン
    ジホスフエート)およびNADP(ニコチンアミド
    アデニンジヌクレオチドホスフエート)を生成せ
    しめ、次いでNADP依存性デヒドロゲナーゼお
    よびNADP依存性デヒドロゲナーゼ用還元型基
    質を有する還元型NADP生成試薬、および別の
    NADP依存性デヒドロゲナーゼおよびその
    NADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基質を
    有するNADP生成試薬を作用せしめてサイクリ
    ング反応を行ない、その後反応における検出でき
    る変化の量を定量することを特徴とする高感度定
    量法。 2 ATPを遊離、生成する被検液中のATPが
    ADPおよびキナーゼ基質用ホスフエート化合物
    に作用してATPを遊離、生成する反応を触媒す
    るキナーゼ、ADPおよびキナーゼ基質用ホスフ
    エート化合物の酵素反応計によるATPである特
    許請求の範囲第1項記載の高感度定量法。 3 キナーゼ、ADPおよびキナーゼ基質用ホス
    フエート化合物の酵素反応系が、クレアチンキナ
    ーゼ、ADPおよびクレアチンホスフエートの酵
    素反応系である特許請求の範囲第2項記載の高感
    度定量法。 4 キナーゼ、ADPおよびキナーゼ基質用ホス
    フエート化合物の酵素反応系が、ピルベートキナ
    ーゼ、ADPおよびホスホエノールピルビン酸の
    酵素反応系である特許請求の範囲第2項記載の高
    感度定量法。 5 NADを遊離、生成する被検液中のNADが、
    NAD依存性デヒドロゲナーゼ、還元型NADおよ
    びNAD依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基質化
    合物の酵素反応系によるNADである特許請求の
    範囲第1項記載の高感度定量法。 6 NAD依存性デヒドロゲナーゼ、還元型NAD
    およびNAD依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基
    質化合物の酵素反応系が、ラクテートデヒドロゲ
    ナーゼおよびピルベートの酵素反応系である特許
    請求の範囲第5項記載の高感度定量法。 7 NADP依存性デヒドロゲナーゼが、グルコ
    ース−6−ホスフエートデヒドロゲナーゼ、マレ
    イトデヒドロゲナーゼ(NADP、デカルボキシ
    レイテイング)、ベンズアルデヒドデヒドロゲナ
    ーゼである特許請求の範囲第1項記載の高感度定
    量法。 8 NADP依存性デヒドロゲナーゼおよび
    NADP依存性デヒドロゲナーゼ用酸化型基質を
    有するNADP生成試薬が、ジアホラーゼ
    (NADPH)およびテトラゾリウム塩を有する
    NADP生成試薬である特許請求の範囲第1項記
    載の高感度定量法。 9 反応における検出できる変化の量が、サイク
    リング反応における消費される成分の量または生
    成される成分の量である特許請求の範囲第1項記
    載の高感度定量法。
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