JPH0411299B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ロボツトによりタービン翼の翼環に
多数の翼を等間隔かつ放射状に配設した翼車の溶
接位置決め装置に関する。

翼車、たとえばタービンの静翼等は、同心状の
大、小の翼環の間に多数の翼を等間隔で放射状に
配設した構造となつている。このような翼構造に
するために、従来は以下に述べるような方法で各
静翼環に植設された静翼の先端部を溶接してい
た。

先ず、第１図ａ，ｂに示すように、位置決め装
置１０の架台１の上部に回転軸２を横方向に延設
し、この回転軸２の先端に円盤状の固定板３を取
り付ける。次いで、外周面に多数の翼６を一定の
間隔でかつ放射状に植設した小翼環５と、これら
の翼６の先端を内周壁面に嵌合させた大翼環８と
を、回転軸２の軸心Ｏが中心となるように、固定
板３に固定ピン９で固定する。次いで、回転軸２
により固定板３を適宜割り出し回転させながら、
溶接ロボツト１１により各翼６の先端を大翼環８
に溶接する。

上記溶接に際しては、各翼６の大翼環８の周壁
面への溶接位置１２および軸方向に対する翼面の
傾きを回転駆動兼角度割り出し装置１３により計
算し、各翼６の先端が溶接ロボツト１１と対峙す
るように固定板３の回転を制御していた。

上述した溶接方法では、翼環５，８の固定およ
び溶接の際の位置決めにおいて次の不具合があつ
た。

先ず、位置決め装置１０の翼環５，８に対する
溶接位置の割り出しが正確に行われた場合でも、
被溶接部材すなわち翼環５，８や翼６には往々に
して製作誤差があり、割り出された溶接位置と実
際に溶接するべき位置との間に食い違いが生じ
る。

また、固定板３の中心（すなわち、回転軸２の
軸心）に対して翼環５，８を正確な同心状に位置
決め固定することが難しいため、翼環５，８への
翼６の溶接も不正確なものとなりがちであつた。

本発明は上記状況に鑑みなされたもので、被溶
接部材の製作誤差に関係なく、翼環に対して翼を
等間隔かつ放射状に正確に位置決め溶接すること
のできる翼車の溶接位置決め装置を提供すること
を目的とする。

上記目的を達成するための本発明の構成は、多
数の翼を一定の間隔で放射状に植設した翼車の前
面または後面の側に配設された翼車固定手段（固
定部材）と；翼車の前面と後面にそれぞれ配設さ
れ、翼車を回転自在に支持する支持部材と；翼車
の前面と後面にそれぞれ配設され、各翼の前側縁
および後側縁端から翼車の側面に進出・退出自在
に伸延する棒状体と翼車の径方向へ移動可能の可
動体を有する翼車溶接位置調整手段と；前記翼車
固定手段配設面と反対側の翼車面に配設され、当
該翼車を固定および開放自在に押圧固定する翼車
係止手段とからなることを特徴とする。

以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳細に
説明する。

第２図ａ，ｂおよび第３図に本発明に係る翼車
の溶接位置決め装置の一実施例を示す。

第２図ａおよびｂには、それぞれ実施例の平面
視および背面視を示し、第３図には第２図ａ中の
Ｘ−Ｘ断面を示してある。

これらの図に示すように、本実施例の翼車の溶
接位置決め装置は、大翼環８と小翼環５とに多数
の翼６を一定の間隔で放射状に植設した翼車１４
の前面に配設された翼車固定部材１５，１６と；
翼車１４の前後両面にそれぞれ配設され、この翼
車１４を回転自在に支持する支持軸１７ａ，１７
ｂと；翼車１４の前後両面にそれぞれ配設され、
各翼６の前側縁および後側縁端から翼車１４の側
面に進出・退出自在に伸延する棒状体１９および
２１と翼車１４と径方向へ移動可能の可動体１８
を有する翼車溶接位置調整装置（以下、ラムと称
す）２２および２３と；翼車１４の前記翼車固定
部材１５，１６が配設された面と反対側の面に配
設され、当該翼車１４を固定および開放自在に押
圧固定する翼車係止装置２４，２５とからなつて
おり、翼車固定部材１５，１６は固定板２６上に
固設された架台２７の上下位置に支持固定されて
いる。

支持軸１７ａ，１７ｂは、第２図ａおよび第３
図に示すごとく、架台２７上および固定板２６上
の翼車１４に対して翼車固定部材１５，１６が配
設された側と反対の側に立設された架台２８上に
設置されている。第２図ａにしめすごとく、支持
軸１７ａ，１７ｂは翼車１４の前後面（図中、左
および右側面）に位置する回転輪２９，３０を有
しており、架台２７，２８上に立設された支持板
３１，３２に固設されている。

翼車１４のラム２２，２３は、第２図ａにしめ
すごとく、架台２７，２８上にそれぞれ配置され
たラム２２，２３からなつている。ラム２２，２
３は図示しない駆動手段によつて翼車１４の径方
向（図面矢印Ａ，Ｂ方向）に移動すると共に、ラ
ム２２，２３からはそれぞれ棒状体１９，２１が
翼６の方向（図面矢印Ｃ，Ｄ方向）に前進および
後退して翼車１４の径方向の位置決めを行うよう
になつている。

一方、翼車係止装置２４，２５は、第３図に示
すごとく、架台２８の上下にそれぞれ固設された
シリンダ３７，３８内に油圧によつて翼車１４の
方向に前進および後退自在に出入りするピストン
３３，３４を具えたもので、これらピストン３
３，３４の作動により翼車１４を押圧および開放
するようになつている。

本実施例の溶接位置決め装置を使用して翼車１
４の溶接位置決めを行う場合、先ず翼車１４の一
方の端面を翼車固定部材１５，１６に固定すると
共に、回転軸２９，３０により翼車１４の大翼環
８を吊り下げた状態にする。

翼車１４の溶接位置決めは、ラム２２，２３の
棒状体１９，２１をそれぞれＤ方向に後退させて
翼６を開放すると共に、ラム２２，２３をＢ方向
に移動させて次の翼６を迎えにゆく。ラム２２，
２３を所定の距離移動させることにより次の翼６
を受け入れる位置となつたら、移動を停止させて
棒状体１９，２１をそれぞれ伸長させ、翼６の図
中左側および右側から挿入させて、翼６の支持を
行う。

次に、棒状体１９，２１により翼６を支持した
状態のまま、ラム２２，２３を矢印Ａ方向に移動
させると、翼車１４は回転する。架台２７，２８
上の矢印Ａ側の端部にはそれぞれストツパ３５，
３６が設けられており、ラム２２がストツパ３５
に当接した時点でＡ方向への移動が停止し、翼車
１４は翼６一枚分回転して回転方向の位置決めが
終了する。尚、ストツパ３６はバツクアツプ用に
設けられている。

翼車１４の位置決めが終了したら、翼車係止装
置２４，２５のシリンダ３７，３８に油圧を供給
し、ピストン３３，３４を伸長させる。すると、
ピストン３３，３４と翼車固定部材１５，１６と
により翼車１４が挟圧・固定され、しかる後に溶
接ロボツト（図示せず）により翼６の大翼環８へ
の溶接が行われるのである。

以上実施例に基づいて詳細に説明したように、
本発明に係る翼車の溶接位置決め装置によれば、
翼車自体を支持した状態で翼の位置決めを行うよ
うにしたため、各部材の製作誤差と無関係に溶接
位置決めが可能となる他、翼車を構成する翼環が
ラムにより位置決めされるため、複雑な割り出し
装置等が不要となり、装置の製作コストも低減さ
れる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂはそれぞれ従来の翼車の溶接位置
決め装置を示す側面図および正面図であり、第２
図ａ，ｂはそれぞれ本発明の一実施例を示す平面
図および背面図であり、第３図は第２図中のＸ−
Ｘ断面図である。 図面中、５は小翼環、６は翼、８は大翼環、１
４は翼車、１５，１６は固定部材、１７ａ，１７
ｂは支持軸、１８，２０は可動体、１９，２１は
棒状体、２２，２３は翼車溶接位置調整装置、２
４，２５は翼車係止装置、２６は固定板、２７，
２８は架台、２９，３０は回転輪である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 多数の翼を一定の間隔で放射状に植設した翼
   車の前面または後面の側に配設された翼車固定手
   段（固定部材）と；翼車の前面と後面にそれぞれ
   配設され、当該翼車を回転自在に支持する支持部
   材と；翼車の前面および後面にそれぞれ配設さ
   れ、各翼の前側縁および後側縁端から当該翼車の
   側面に進出・退出自在に伸延する棒状体と当該翼
   車の径方向へ移動可能の可動体を有する翼車溶接
   位置調整手段と；前記翼車固定手段配設面と反対
   側の翼車面に配設され、当該翼車を固定および開
   放自在に押圧固定する翼車係止手段とからなるこ
   とを特徴とする翼車の溶接位置決め装置。