JPH0331914B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、ロータリーコンプレツサ、スクロー
ルコンプレツサなどの圧縮機のポンプ組立体をケ
ーシングに固定するポンプ組立体固定方法の改良
に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

第２図は従来のポンプ組立体固定方法の一例を
示すものであり、ケーシング１内においてモータ
２と接続されるポンプ組立体３は、そのシリンダ
４の外径をケーシング１内径と等しくされてお
り、このポンプ組立体３をケーシング１内に嵌合
してケーシング１およびシリンダ４をケーシング
１の外側からアークスポツト溶接により固定して
いた。

しかしながら、このような固定方法において
は、アーク溶接の際に発生する熱と応力によりポ
ンプ組立体３がケーシング１方向に引張られ、ポ
ンプ組立体３のブレードスロツト（図示せず）な
どが大きく変形し、さらに軸受の精度も悪化する
ためロツクなどの故障の原因になる。

第３図は従来のポンプ組立体固定方法を示すも
のであり、あらかじめケーシング１内に環状のフ
レーム５をケーシング１の外側からアークスポツ
ト溶接により固定し、このフレーム５にポンプ組
立体３をボルト６，６…により固定していた。

しかしながら、このような固定方法において
は、ポンプ組立体３をフレーム５に固定する際に
ポンプ組立体３のシヤフト７をモータ２のステー
タ８と調心しなければならず、この調節のため、
ケーシング１を胴部１Ａおよび両蓋部１Ｂ，１Ｃ
の三部分から構成しなければならない。また、ケ
ーシング１に対するフレーム５の溶接の際に熱お
よび応力によりフレーム５が変形し、フレーム５
の内周の真円度が狂うおそれがある。

〔発明の目的〕

本発明は、このような事情に鑑みなされたもの
で、ポンプ組立体を変形させることなくポンプ組
立体を簡単にケーシング内に固定することのでき
る圧縮機のポンプ組立体固定方法を提供すること
を目的とする。

〔発明の概要〕

本発明は、シリンダ、シヤフトなどからなるポ
ンプ組立体をケーシング内に固定する圧縮機のポ
ンプ組立体固定方法において、ーシングの内径と
ほぼ等しい外径からなりポンプ組立体より剛性の
弱い環状フレームをポンプ組立体と調心するよう
にしてポンプ組立体に取付け、ポンプ組立体とモ
ータのスタータとを調心した後にモータのスター
タおよびポンプ組立体と一体化された環状フレー
ムをケーシング内に固定するようにしたことを特
徴としている。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を図面に示す実施例により説明す
る。

第１図は本発明によりケーシング１内に固定さ
れたポンプ組立体３を示すものであり、本発明に
よれば、ケーシング１は本体１０と上蓋部１Ｂと
から構成すれば足りる。

第１図において、ポンプ組立体３は、シリンダ
４、上下軸受８，９、これらの軸受８，９により
支持されるシヤフト７、図示しないブレード、ロ
ーラなどから構成されており、シリンダ４および
上下軸受８，９はボルト６，６…により結合され
ている。前記両軸受８，９より大径の前記シリン
ダ４の外径は、ケーシング１の内径より小径とさ
れ、シリンダ４はケーシング１と間隔を有してい
る。

一方、ポンプ組立体３に取付けられるフレーム
１０は、断面Ｌ字状の円環状とされており、具体
的には鉛直方向の環状周壁１１と、この環状周壁
１１の下端内側に連設された水平方向の環状支持
板部１２とから構成されている。また、この環状
支持板部１２には、ボルト挿通用の複数の開口
（図示せず）が円周方向に間隔を隔てて形成され
ている。さらに、前記環状周壁１１の外径はケー
シング１の内径とほぼ等しくされており、さらに
また、フレーム１０の剛性はポンプ組立体３の剛
性よりはるかに弱くされている。

このようなフレーム１０を利用してポンプ組立
体３を固定するには、まず、ケーシング１外にお
いてボルト６，６…によりポンプ組立体３にフレ
ーム１０を取付ける。このときフレーム１０の環
状周壁１１の外周とシヤフト７との調心を同時に
行なう。なお、シヤフト７にはあらかじめモータ
２の回転軸１３およびロータ１４を取付けてお
く。

つぎに、同じくケーシング１外においてポンプ
組立体３をモータ２のステータ１５とともに治具
（図示せず）上にセツトし、マンドレルまたはギ
ヤツプゲージによりロータ１４およびステータ１
５の調心を行なう。

その後、上蓋１Ｂを外したケーシング１の本体
１Ｄを加熱し、モータ２およびポンプ組立体３と
一体化されたフレーム１０を本体１Ｄ内に挿入し
て焼ばめする。さらに、ケーシング１の外側から
アークスポツト、レーザー照射、電子ビーム溶接
などによりケーシング１の内周にフレーム１０を
溶接する。この溶接の際に発生する熱と応力によ
りフレーム１０がケーシング１側に引張られる
が、フレーム１０の剛性はポンプ組立体３の剛性
よりはるかに弱いため、溶接のストレスはフレー
ム１０の変形により吸収される。このフレーム１
０の変形量には数μｍ〜100μｍ程度のばらつき
が生じるが、この場合でもポンプ組立体３の変形
にはまでは至らない。

前述した溶接方法のうちレーザ照射によりスポ
ツト溶接が最適である。この理由は、レーザ照射
の場合スポツトが局部的でストレスがアークスポ
ツト溶接に比し圧倒的に少ないからである。

なお、溶接終了後、治具は取外す。

このように本実施例の方法によれば、ポンプ組
立体３の変形量が少ないし、また、ポンプ組立体
３とフレーム１０との調心も容易である。さら
に、ケーシング１は２分割するだけで組立が可能
であり、ケーシング本体１Ｄに対する上蓋１Ｂの
溶接位置はフレーム１０から遠く離れているの
で、この溶接の熱のフレーム１０に対する影響は
小さくてすむ。

なお、フレーム１０の材質をケーシング１と同
種の鋼板にすることにより母材同士の溶解結合力
が強くなり、最小の入力で両者を溶接でき、フレ
ーム１０に対するストレスが小さくなる。また、
ポンプ組立体３とフレーム１０との接続はポンプ
組立体３の上下軸受８，９で行なつてもよい。さ
らに、フレーム１０は、その外周の全域が必らず
しもケーシング１の内周に接しなくともよいの
で、円環状に限定されるものではない。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明に係る圧縮機のポ
ンプ組立体固定方法は、シリンダ、シヤフトなど
からなるポンプ組立体をケーシング内に固定する
圧縮機のポンプ組立体固定方法において、ケーシ
ングの内径とほぼ等しい外径からなりポンプ組立
体より剛性の弱い環状フレームをポンプ組立体と
調心するようにしてポンプ組立体に取付け、ポン
プ組立体とモータのスタータとを調心した後にモ
ータのスタータおよびポンプ組立体と一体化され
た環状フレームをケーシング内に固定するように
したので、ポンプ組立体を変形することなく簡単
にケーシング内に固定することができ、しかもケ
ーシングを２分割するだけで組立ができる。とい
う優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る圧縮機のポンプ組立体固
定方法の実施例を示す縦断面図、第２図および第
３図はそれぞれ従来のポンプ組立体固定方法を示
す縦断面図である。 １……ケーシング、２……モータ、３……ポン
プ組立体、４……シリンダ、５，１０……フレー
ム、７……シヤフト、８，９……軸受、１１……
環状周壁、１２……環状支持板部、１３……ロー
タ、１４……ステータ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダ、シヤフトなどからなるポンプ組立
   体をケーシング内に固定する圧縮機のポンプ組立
   体固定方法において、ケーシングの内径とほぼ等
   しい外径からなりポンプ組立体より剛性の弱い環
   状フレームをポンプ組立体と調心するようにして
   ポンプ組立体に取付け、ポンプ組立体とモータの
   スタータとを調心した後にモータのスタータおよ
   びポンプ組立体と一体化された環状フレームをケ
   ーシング内に固定するようにしたことを特徴とす
   る圧縮機のポンプ組立体固定方法。 ２ 前記ケーシングを加熱して環状フレームをケ
   ーシングに焼ばめし、環状フレームをケーシング
   に溶接して固定するようにした特許請求の範囲第
   １項記載の圧縮機のポンプ組立体固定方法。 ３ 前記環状フレームをポンプ組立体のシヤフト
   と調心するようにした特許請求の範囲第１項また
   は第２項記載の圧縮機のポンプ組立体固定方法。