JPH04111430U - 防鼠性ガス管 - Google Patents
防鼠性ガス管Info
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 長期に亘って防鼠性を維持し、鼠による食害
を防止し得ること。 【構成】 ゴム状組成物を主成分とする材料からなる2
層以上の保護層を形成し、かついずれかの層を、防鼠剤
を混合し、かつ無加硫または低温加硫または自然加硫ま
たは熱加硫してなる防鼠層とした。
を防止し得ること。 【構成】 ゴム状組成物を主成分とする材料からなる2
層以上の保護層を形成し、かついずれかの層を、防鼠剤
を混合し、かつ無加硫または低温加硫または自然加硫ま
たは熱加硫してなる防鼠層とした。
Description
【0001】
本考案は、液化石油ガス(LPG)や都市ガス等を各種燃焼器具等へ供給する
ための防鼠性ガス管に関するものである。
【0002】
液化石油ガス(LPG)や都市ガス等を各種燃焼器具等へ供給するためのガス
管としては、表1に示すように、JIS規格およびその他の規格に準じて製造さ
れたものが従来から知られている。
【0003】
【表1】
【0004】
これらのガス管に使用される材料は、ガス透過性などの試験に合格するように
、いずれも1層以上のゴム層を含む2〜3層構造となっている。例えば、都市ガ
ス用ゴム管10は図4の断面図に示すように、内面ゴム層11,中間ゴム層12
、外面ゴム層13の3層構造から構成され、またLPG用ゴムホ−ス14は、図
5の断面図に示すように、内面ゴム層15と中間ゴム層16および外面ゴム層1
7の3層構造からなっている。
【0005】
このように多層構造としている理由について、LPG用ゴムホ−ス14を代表
して説明すると、まず、内面ゴム層15には、耐ガス透過性、耐溶剤性を満足す
る必要があることからNBR系のゴム組成物が使用される。しかし、NBR系の
ゴム組成物は耐オゾン性が悪いという問題を有している。このため、内面ゴム層
15をオゾンから保護するために、その保護層としての中間ゴム層16が設けら
れる。しかし、この中間ゴム層16は内面ゴム層15を保護する機能はあるが、
反面、耐候性、耐油性が悪いという問題を有している。そこで、外面ゴム層17
を設け、この外面ゴム層17を例えば耐候性、耐油性、着色性に優れたハイパロ
ン系(ジュポン社製クロルスルホン化ポリエチレンの商品名)のゴム組成物で構
成する。
このような理由から一般的には多層構造になっている。なお、中間ゴム層16
は内面ゴム層15を保護する機能の他に、内面ゴム層15と外面ゴム層17との
密着性を高め、ホ−ス全体の機械的強度を大きくするという機能も併せ持ってい
る。
【0006】
ところで、このようなガス管は食品を加工調理する場所に敷設される場合が非
常に多い。このため、鼠による食害が発生し易い。鼠による食害が発生し、ガス
管に穴が開くと、ガス漏れやガス漏れによる火災などを誘発し、人命に関わる重
大な問題となる。
【0007】
そこで、特公昭50−10621号公報に記載されているように、シクロヘキ
シミドまたはナラマイシンなどの防鼠剤と、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル、ポ
リアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸あるいはこれら単量体の共重合体など
の合成樹脂とを有機溶剤(ケトン、エステル、アルコ−ル系)に溶解してガス用
ゴムホ−スの外面ゴム層の外表面に塗布し、有機溶剤を除去する事によって、防
鼠性を付与した防鼠加工ゴム管が提案されている。
【0008】
この防鼠加工ゴム管においては、防鼠剤、合成樹脂、有機溶剤を表2のような
配合比で溶解し、防鼠剤の残存量が30〜50μg/cm2 になるように製造し
ている。
【0009】
【表2】
【0010】
また、特開昭62−135544号公報に開示されているように、マイクロカ
プセルに包含した防鼠剤をガス管の外面ゴム層に混合することによって防鼠性を
付与するようにしたガス管が提案されている。
【0011】
しかし、特公昭50−10621号公報の防鼠加工ゴム管においては、表2の
ような配合比で配合し、すべての配合材料の比重を1.0と仮定して、外面ゴム
層の外表面に塗布した防鼠剤の厚みを試算すると、10μm以下で、極めて薄い
ものとなる。このため、配管工事等の作業時に外表面が擦れた際に防鼠層が容易
に剥がれてしまったり、長期使用にしたがって徐々に剥がれ、長期に亘って防鼠
性を維持できないという問題がある。
【0012】
また、特開昭62−135544号公報の防鼠性樹脂組成物を混合したガス管
においては、150℃で1時間の高温加硫工程を終えた時点で防鼠剤の効力が失
われてしまうという問題がある。
【0013】
本考案は上記のような問題点を解決するためになされたもので、その技術的課
題は、長期に亘って防鼠性を維持し、鼠による食害を防止し得る防鼠性ガス管を
提供することである。
【0014】
本考案による防鼠性ガス管は、ゴム状組成物を主成分とする材料からなる2層
以上の保護層を形成し、かついずれかの層を、防鼠剤を混合し、かつ無加硫また
は低温加硫または自然加硫または熱加硫してなる防鼠層とした。
【0015】
上記構成によれば、いずれかの保護層を防鼠層とするが、この際に防鼠剤を塗
布するのでなく混合しているため、配管工事等の作業時あるいは長期使用にした
がって防鼠層が容易に剥がれてしまうことがなくなるい。また、高温で加硫して
いないため、防鼠剤の効力が失われない。この結果、長期に亘って防鼠性を維持
することができる。
【0016】
図1は、本考案の一実施例を示す断面図であり、この実施例の防鼠性ガス管1
は内面ゴム層2とその外層の外面ゴム層3の2層構造にし、内面ゴム層2または
外面ゴム層3のいずれかを防鼠層としたものである。
【0017】
図2に示す第2の実施例の防鼠性ガス管4は、内面ゴム層5、中間ゴム層6、
外面ゴム層7の3層構造とし、いずれかの層を防鼠層としたものである。
【0018】
図3に示す第3の実施例の防鼠性ガス管8は、図2の中間ゴム層6を2つの層
6A,6Bに分割し、この層6A,6Bのいずれかを防鼠層としたものである。
ここで、上記各実施例の内面ゴム層2,5,9はガスの非透過性を確保する点
からゴム組成物を主成分とする材料によって形成されるのが望ましい。
また、防鼠層となるゴム層は、次のような方法によって形成される。
防鼠層形成方法(1)
塩素化ポリエチレン(エラストマ−)、ポリ塩化ビニル系エラストマ−、ポリ
スチレン系エラストマ−などのゴム状組成物を主成分とする材料に、防鼠剤を混
合し、かつ加硫させないで(無加硫)防鼠層とする。
防鼠層形成方法(2)
ハイパロン、天然ゴム、ブタジエン系合成ゴムなどのゴム状組成物を主成分と
する材料に、防鼠剤を混合し、かつ120℃以下で低温加硫して防鼠層とする。
防鼠層形成方法(3)
シリコンゴムなどのゴム状組成物を主成分とする材料に、防鼠剤を混合し、減
圧によってシリコンゴム内の安定剤(酢酸など)を除去し、自然加硫して防鼠層
とする。
防鼠層形成方法(4)
空気中の水分等で自然加硫する加硫剤を含むシリコンゴムを主成分とする材料
に、防鼠剤を混合し、かつ自然加硫して防鼠層とする。
防鼠層形成方法(5)
白金触媒付加反応型シリコンゴムを主成分とする材料に、防鼠剤を混合し、か
つ160℃で40〜60秒間熱加硫して防鼠層とする。
【0019】
このようにして形成する防鼠層において、防鼠剤を0.1%〜50%混合した
場合の防鼠剤の残存量を表3に示す。但し、表3は、防鼠剤としてマイクロカプ
セルで包含されたシクロヘキシミドを用いた場合のものであり、防鼠剤以外の材
料については特に限定されない。
【0020】
【表3】
【0021】
次に、防鼠層の厚さについて説明する。
表4は、防鼠層の防鼠剤含有量と厚さを変えて鼠による食害テストを行った結
果を示すものである。
具体的には、PVC系エラストマ−にマイクロカプセル化したシクロヘキシミ
ドを表4の含有量で配合し、テストロ−ル(160℃、5〜10分)で混合し、
テストロ−ルから取り出す前に、表4の厚さに調製し、この後にテストロ−ルか
ら取り出しながらてシ−ト状の防鼠シ−トを形成した。そして、この防鼠シ−ト
をガス用のゴム管の外層に両面接着テ−プで貼り付け、飼育していたラットを入
れたケ−ジに24時間放置し、この後に目視で食害レベルを3段階評価した。な
お、防鼠剤の残存量は40〜60%であった。
【0022】
【表4】
【0023】
この表4から明らかなように、防鼠剤の含有量によって防鼠効果のある厚さが
ほぼ決定される。すなわち、防鼠剤の残存量が90〜100%となれば、含有量
が1.0%以上で厚さが約0.3mm以上、含有量が2.5%以上で厚さが約
0.1mm以上、含有量が5.0%以上で厚さが約0.05mm以上あれば、充
分な防鼠効果をえることが分かる。実際は、防鼠層の厚さは、防鼠剤の含有量、
防鼠剤の残存量、防鼠剤の防鼠能力の3者を勘案して決定することになるが、製
造条件、防鼠効果等を考えると、0.1mm以上とするのが好ましい。
【0024】
なお、図3の実施例においては、中間ゴム層6を2分割した例を示したが、本
考案はこれに限定されず、内面ゴム層あるいは外面ゴム層を2分割し、そのいず
れか一方の層を防鼠層にするようにしてもよい。
【0025】
また、各層はゴム状組成物で構成したが、このゴム状組成物からなる保護層の
間、あるいは外表面に鋼線、繊維などの材料で形成された補強層を付加した構成
にしてもよい。
【0026】
以上のように本考案の防鼠性ガス管は、ゴム状組成物を主成分とする材料から
なる2層以上の保護層を形成し、かついずれかの層を、防鼠剤を混合し、かつ無
加硫または低温加硫または自然加硫または熱加硫してなる防鼠層としたので、配
管工事等の作業時あるいは長期使用にしたがって防鼠層が容易に剥がれてしまう
ことがなくなる。また、高温で加硫していないため、防鼠剤の効力が失われない
。この結果、長期に亘って防鼠性を維持し、鼠による食害を防止することができ
る。
【提出日】平成3年6月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【0005】
このように多層構造としている理由について、LPG用ゴムホ−ス14を代表
して説明すると、まず、内面ゴム層15には、耐ガス透過性、耐溶剤性を満足す
る必要があることからNBR系のゴム組成物が使用される。しかし、NBR系の
ゴム組成物は耐オゾン性が悪いという問題を有している。このため、内面ゴム層
15をオゾンから保護するために、その保護層としての中間ゴム層16が設けら
れる。しかし、この中間ゴム層16は内面ゴム層15を保護する機能はあるが、
反面、耐候性、耐油性が悪いという問題を有している。そこで、外面ゴム層17
を設け、この外面ゴム層17を例えば耐候性、耐油性、着色性に優れたハイパロ
ン系(デュポン社製クロルスルホン化ポリエチレンの商品名)のゴム組成物で構
成する。
このような理由から一般的には多層構造になっている。なお、中間ゴム層16
は内面ゴム層15を保護する機能の他に、内面ゴム層15と外面ゴム層17との
密着性を高め、ホ−ス全体の機械的強度を大きくするという機能も併せ持ってい
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【0015】
上記構成によれば、いずれかの保護層を防鼠層とするが、この際に防鼠剤を塗
布するのでなく混合しているため、配管工事等の作業時あるいは長期使用にした
がって防鼠層が容易に剥がれてしまうことがなくなる。また、高温で加硫してい
ないため、防鼠剤の効力が失われない。この結果、長期に亘って防鼠性を維持す
ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【0021】
次に、防鼠層の厚さについて説明する。
表4は、防鼠層の防鼠剤含有量と厚さを変えて鼠による食害テストを行った結
果を示すものである。
具体的には、PVC系エラストマ−にマイクロカプセル化したシクロヘキシミ
ドを表4の含有量で配合し、テストロ−ル(160℃、5〜10分)で混合し、
テストロ−ルから取り出す前に、表4の厚さに調製し、この後にテストロ−ルか
ら取り出しながらシ−ト状の防鼠シ−トを形成した。そして、この防鼠シ−トを
ガス用のゴム管の外層に両面接着テ−プで貼り付け、飼育していたラットを入れ
たケ−ジに24時間放置し、この後に目視で食害レベルを3段階評価した。なお
、防鼠剤の残存量は40〜60%であった。
【図1】本考案の防鼠性ガス管の第1の実施例を示す断
面図である。
面図である。
【図2】本考案の防鼠性ガス管の第2の実施例を示す断
面図である。
面図である。
【図3】本考案の防鼠性ガス管の第3の実施例を示す断
面図である。
面図である。
【図4】従来における都市ガス用ゴムホ−スの構造を示
す断面図である。
す断面図である。
【図5】従来における液化石油ガス用ゴムホ−スの構造
を示す断面図である。
を示す断面図である。
1,4,8 防鼠性ガス管
2,5,9 内面ゴム層
6 中間ゴム層
3,7 外面ゴム層
Claims (5)
- 【請求項1】 ゴム状組成物を主成分とする材料からな
る2層以上の保護層を形成し、かついずれかの保護層
を、防鼠剤を混合し、かつ無加硫の防鼠層で構成したこ
とを特徴とする防鼠性ガス管。 - 【請求項2】 ゴム状組成物を主成分とする材料からな
る2層以上の保護層を形成し、かついずれかの保護層
を、防鼠剤を混合し、かつ低温加硫してなる防鼠層で構
成したことを特徴とする防鼠性ガス管。 - 【請求項3】 ゴム状組成物を主成分とする材料からな
る2層以上の保護層を形成し、かついずれかの保護層
を、防鼠剤を混合し、かつ自然加硫してなる防鼠層で構
成したことを特徴とする防鼠性ガス管。 - 【請求項4】 ゴム状組成物を主成分とする材料からな
る2層以上の保護層を形成し、かついずれかの保護層
を、防鼠剤を混合し、かつ熱加硫してなる防鼠層で構成
したことを特徴とする防鼠性ガス管。 - 【請求項5】 前記2層以上の保護層のうち最内側の保
護層はゴム組成物を主成分とした高分子材料により形成
されていることを特徴とする請求項1ないし4記載のい
ずれかの防鼠性ガス管。
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---|---|---|---|
JP1991014029U JP2532963Y2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | 防鼠性ガス管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1991014029U JP2532963Y2 (ja) | 1991-03-12 | 1991-03-12 | 防鼠性ガス管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04111430U true JPH04111430U (ja) | 1992-09-28 |
JP2532963Y2 JP2532963Y2 (ja) | 1997-04-16 |
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ID=31901736
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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-
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- 1991-03-12 JP JP1991014029U patent/JP2532963Y2/ja not_active Expired - Fee Related
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2532963Y2 (ja) | 1997-04-16 |
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