JPH0410990Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は工作物の機械加工、測定作業等に用い
る傾斜テーブルに載置したパレツトの落下防止装
置に関し、特に通常時に油圧力等によつてパレツ
トを保持していた係留装置が停電等の非常時に解
除された場合にも、係止ピンがパレツトに係止し
ており、該パレツトの落下を防止することのでき
る安全装置に関する。

〔従来の技術〕

従来より、傾斜テーブルは工作機械の機械加工
用途や測定用途に用いられている。即ち、機械加
工用途においては、工作機械のワークテーブル上
に傾斜テーブルを載置し、この傾斜テーブルのテ
ーブル上面に工作物を取付けてからハンドルを手
動操作して又は電動機駆動によつてウオーム、ウ
オームホイール機構を経て工作物共々テーブルを
所望角度だけ傾斜させ、機械の主軸により傾斜さ
せた工作物に機械加工を施すものである。

他方、測定用途においても、傾斜テーブルのテ
ーブル上面に工作物を取付け、手動ハンドル操作
によりウオーム、ウオームホイールを介して工作
物共々テーブルを角度目盛に従つて定角度ずつ傾
斜させながら工作物の測定を行なつていた。これ
らの両用途の場合に、工作物をパレツトに取付
け、パレツト交換装置によつて該パレツトを傾斜
テーブル上に搬入して位置決め保持して作業を行
ない、作業後パレツトを解放して搬出する場合も
多々有る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記パレツトの保持手段としては、油圧ピスト
ンを用いたものが多いが、油圧配管系の故障や停
電時等の非常時には、上記保持が解除される。傾
斜テーブルに工作物を固定したパレツトを載置
し、傾斜状態に保持している場合に停電等の非常
事態が発生すると、圧油が解放されてパレツトの
保持が解除となり該パレツトが落下する虞れがあ
る。

依つて本考案はパレツト保持装置系の故障や停
電等の非常時でも、パレツトを保持して落下を防
止することの可能な安全装置を提供することを目
的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上述した考案目的に鑑みて、パレツト
の搬入出が可能で、かつ該パレツトを水平位置か
ら傾斜させることが可能な傾斜テーブルにおい
て、前記パレツトを傾斜テーブルのパレツト載置
台に対して上昇させて解放し、下降させてテーパ
コーンで位置決め保持するパレツト押え板と、前
記パレツト載置台に前記パレツト下面に向かつて
往復動するように取付けられ、前記パレツト押え
板が上昇端にあり前記パレツトと前記テーパコー
ンとの係合がはずれているとき前記パレツトと係
合しない位置から係合する位置までストローク可
能であつて、上部が一様断面の係止ピンと、前記
パレツト下面に穿設され、前記係止ピンを間隙を
有してはめ込み可能な係合孔と、前記係止ピンを
常に前記係合孔に係合させるように付勢するばね
手段と、前記パレツトの搬入出時には前記係合孔
から前記ばね手段の付勢力に抗して前記係止ピン
を前記パレツト載置台側に押し込む駆動手段とか
ら構成したことを特徴とする傾斜テーブルにおけ
るパレツト落下防止装置を提供する。

〔作用〕

本考案による上記駆動手段によれば、パレツト
の交換時等の要時には該パレツトに係合した係止
ピンをはずすことが可能であり、また、パレツト
交換後には再び係止ピンをパレツトと係合させる
ことができる。この係合状態時に駆動手段の故
障、或いは停電等によつて係止ピンの保持が不可
能となつても上記ばね手段の作用によつて該係止
ピンはパレツトと係合した状態を保持することが
可能である。

〔実施例〕

以下、本考案を添付図面に示した実施例に基づ
いて更に詳細に説明する。第１図は本考案による
パレツト落下防止装置を第２図の矢視線−に
より示した断面図、第２図は傾斜テーブルの側面
図、第３図はパレツト昇降ピストン部分の拡大断
面図、第４図は第１図の略示平面図である。

まず第２図を参照すると、本実施例による傾斜
テーブルはベース１０を備え、このベース１０は
工作機械のワークテーブルや測定用定盤に載置、
固定される台座部１２と、この台座部１２の側部
上方に起立した支持部１４を有している。同傾斜
テーブルはベース１０の左右の支持部１４に対し
て軸心Ａのまわりに旋回傾斜が可能なように構成
された傾斜ベース１６と、該傾斜ベース１６上に
載置されて回転可能な回転テーブル１８とを有し
ている。前記傾斜ベース１６を軸心Ａのまわりに
旋回させるには、駆動源２０からの駆動力を減速
歯車機構２２，２４等を介して行なう。回転テー
ブル１８上には位置決め用のテーパコーン２６を
介してパレツト３０を載置することができる。該
パレツト３０はＴ溝２８を介してボルトにより工
作物を固定載置する構造となつている。傾斜ベー
ス１６の作用によつてパレツト３０は想像線３２
で示す状態から想像線３４で示す状態まで、本実
施例では約110°程旋回傾斜が可能である。また、
右方にある図示しないパレツト交換装置により、
パレツトの搬入、搬出が行われる。

次に第１図を参照すると、回転テーブル１８
は、傾斜ベース１６に対して垂直に立設されて軸
受４０を介して回転可能な軸３６に、ボルト３８
により固定されている。この回転テーブル１８の
下面には環状のウオームホイール４２がボルト４
４によつて固定されている。該ウオームホイール
４２をウオーム４６によつて回転駆動することに
より回転テーブル１８は回転することができる。
この回転テーブル１８はその回転が一平面内で安
定して回転できるよう、また傾斜ベース１６と共
に旋回傾斜した場合に該回転テーブル１８が傾斜
ベース１６から離れないように、ボルト５０にて
傾斜ベース１６に固定された回転テーブル押えリ
ング４８によつて保持されている。

一方、回転テーブル１８に垂直方向に埋設され
た後述のパレツト昇降ピストン５２に固定された
パレツト押え板５４はその両側面に、パレツト３
０の受け部５８と係合するパレツト押え部５６が
夫々平行に形成されている。パレツト３０の受け
部５８もパレツト３０の下面に２つ平行に形成さ
れており、パレツト３０を紙面に垂直な方向にス
ライドさせて搬入、搬出を行う際に、パレツト押
え板５４のパレツト押え部５６は、パレツト３０
の受け部５８を介してパレツト３０のガイドの役
目を果たす。更には、パレツト押え部５６と受け
部５８との係合により搬入されたパレツト３０を
引き下げて４つのテーパコーン２６（第４図参
照）に位置決め係合させると共に、回転テーブル
１８に対して堅固に固定する役目も果たす。

こうした作動及び作動力をパレツト押え板５４
に与えるピストン機構を第３図により説明する。
回転テーブル１８にシリンダ蓋６０を有したシリ
ンダ６２をボルト６４にて埋設固定している。該
シリンダ６２内にはシリンダ６２と摺動する中央
部７０と、該中央部７０の径よりも小さな径を有
し、中央部７０の下側に形成された下方小径部７
２と、中央部７０の上側に形成されてパレツト押
え板５４にボルト６６を介して固定結合された上
方小径部６８とを具備したパレツト昇降ピストン
５２が挿入されている。パレツト３０の交換時に
パレツト３０をテーパコーン２６から離すよう上
方に押し上げる場合、下部オイル供給路７６から
中央部７０の下方に圧油を供給し、該圧油により
パレツト昇降ピストン５２を介してパレツト３０
を押し上げることとなる。また交換されたパレツ
ト３０を位置決め保持する場合には、上部オイル
供給路７４から中央部７０の上方に圧油を供給
し、該圧油によりパレツト昇降ピストン５２を介
してパレツト３０を引き下げる。

第４図を参照すると、位置め用テーパコーン２
６は４個、パレツト昇降ピストン５２は４個、
夫々パレツト３０、パレツト押え板５４に対して
互いに対称となる位置に設置されていることがわ
かる。また、後述の係止ピン７８もパレツト３０
に対して対称となる位置に２つ設置されている。

再び第１図に戻ると、回転テーブル１８にシリ
ンダ蓋８０を有したシリンダ８２が埋設固定され
ている。このシリンダ８２内に摺動可能なピスト
ン８４を具備した係止ピン７８が立設されてい
る。該係止ピン７８はピストン８４の下方及び上
方に径の小さな下部８６及び上部８８を形成して
おり、夫々下部オイル供給路９０、或いは上部供
給路９２から圧油の供給を受けてピストン８４に
圧力を作用させて係止ピン７８を上昇、或いは後
述の圧縮コイルばね９６のばね力に抗して下降さ
せる。一方パレツト３０の下面には上記係止ピン
７８と対応した位置に係止ピン７８を受入れ係合
させるための円筒形係合孔９４が設けられてい
る。本実施例では係止ピン７８も係合孔９４に挿
入され易いように円筒形状を成している。パレツ
ト３０の係合孔９４から係止ピン７８を抜き取る
時は勿論のこと、挿入する場合も正確に、しかも
素早く行なうため油圧により作動させる。

パレツト交換時におけるパレツト押え板５４や
係止ピン７８の動作順序を説明する。先ずパレツ
ト３０を傾斜テーブルに載せる場合は、係止ピン
７８は下降し、パレツト押え板５４は上昇してい
る。図示しないパレツト交換装置によりパレツト
３０がパレツト押え板５４上をスライドして搬入
される。するとパレツト昇降ピストン５２によつ
てパレツト押え板５４が下降し、パレツト３０が
テーパコーン２６に係合して回転テーブル１８上
に正確に位置決め固定される。次に係止ピン７８
が上昇してパレツト３０底面の係合孔９４に挿入
される。パレツト３０をはずす場合は、係止ピン
７８を下降させ、パレツト押え板５４を上昇させ
てパレツト３０とテーパコーン２６との係合を解
除し、図示しないパレツト交換装置によつてパレ
ツト３０をパレツト押え板５４上をスライドさせ
て搬出する。

ここで、圧油の配管系の故障や停電時において
は圧油が抜けてパレツト昇降ピストン５２及びピ
ストン８４に油圧力が作用しなくなる。パレツト
３０を載置して傾斜ベース１６が傾斜した状態で
作業を行なつている場合に上記のような非常事態
になれば、パレツト昇降ピストン５２も係止ピン
７８もその保持力を失いパレツト３０が落下する
虞れが生ずる。この危険を防止するため、係止ピ
ン７８は圧縮コイルばね９６によつて常に上方に
付勢されている。即ち、油圧力の作用が失われて
も、係止ピン７８はパレツト３０の係合孔９４に
係合保持されている。圧縮コイルばね９６はシリ
ンダ８２のシリンダ蓋８０に設けた円筒孔９８
と、係止ピン７８に設けた円筒孔１００との間に
はずれることのないよう配設して係止ピン７８に
確実に付勢力を作用させている。

上記の様な非常時にパレツト３０を保持してい
るのは２つの係止ピン７８のみならず、パレツト
押え板５４とパレツト３０の受け部５８との係合
も一役を担つている。例えば第２図に示す想像線
３４の状態では、最悪の場合パレツト押え板５４
が上昇して、パレツト３０がテーパコーン２６か
らはずれてしまう。しかしその場合でも２本の係
止ピン７８及びパレツト押え板５４と受け部５８
との係合でパレツトは落下しないのである。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、通常時に使用するパレツト保持系の故障時、
或いは停電時の非常時においても常時ばね付勢力
の作用している係止ピンの作用によりパレツトの
落下を防止することの可能な安全装置が提供され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるパレツト落下防止装置を
第２図の矢視線−により示した断面図、第２
図は傾斜テーブルの側面図、第３図はパレツト昇
降ピストン部分の拡大断面図、第４図は第１図の
略示平面図。 １６……傾斜ベース、１８……回転テーブル、
２６……テーパコーン、３０……パレツト、４２
……ウオームホイール、４６……ウオーム、４８
……回転テーブル押えリング、５２……パレツト
昇降ピストン、５４……パレツト押え板、５６…
…パレツト押え部、５８……パレツトの受け部、
７８……係止ピン、８４……ピストン、９０……
下部オイル供給路、９２……上部オイル供給路、
９４……係合孔、９６……圧縮コイルばね、９８
……シリンダ側の円筒孔、１００……係止ピン側
の円筒孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ パレツトの搬入出が可能で、かつ該パレツト
   を水平位置から傾斜させることが可能な傾斜テ
   ーブルにおいて、前記パレツトを傾斜テーブル
   のパレツト載置台に対して上昇させて解放し、
   下降させてテーパコーンで位置決め保持するパ
   レツト押え板と、前記パレツト載置台に前記パ
   レツト下面に向かつて往復動するように取付け
   られ、前記パレツト押え板が上昇端にあり前記
   パレツトと前記テーパコーンとの係合がはずれ
   ているとき前記パレツトと係合しない位置から
   係合する位置までストローク可能であつて、上
   部が一様断面の係止ピンと、前記パレツト下面
   に穿設され、前記係止ピンを間隙を有してはめ
   込み可能な係合孔と、前記係止ピンを常に前記
   係合孔に係合させるように付勢するばね手段
   と、前記パレツトの搬入出時には前記係合孔か
   ら前記ばね手段の付勢力に抗して前記係止ピン
   を前記パレツト載置台側に押し込む駆動手段と
   から構成したことを特徴とする傾斜テーブルに
   おけるパレツト落下防止装置。 ２ 前記パレツト押え板は、前記パレツト載置台
   に設けたシリンダピストン装置に直結され、該
   シリンダピストン装置に加圧流体を供給するこ
   とにより昇降する実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の傾斜テーブルにおけるパレツト落下
   防止装置。 ３ 前記駆動手段がシリンダと、該シリンダ内を
   往復動し、前記係止ピン下部から成るピストン
   と、該ピストンの下方から加圧流体を供給可能
   な第１の流体供給通路と、上方から加圧流体を
   供給可能な第２の流体供給通路とを具備して成
   る実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   に記載の傾斜テーブルにおけるパレツト落下防
   止装置。 ４ 前記ばね手段が円筒形圧縮コイルばねから成
   り、その一端が前記シリンダの下部に設けた円
   筒孔に挿入され、他端が前記係合ピンに設けた
   円筒孔に挿入されてなる実用新案登録請求の範
   囲第３項に記載の傾斜テーブルにおけるパレツ
   ト落下防止装置。