JPH04107896U - 導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造 - Google Patents
導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造Info
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Landscapes
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Abstract
(57)【要約】
【目的】電子機器に悪影響を及ぼすEMI(電磁波障
害)対策、ESD(静電気破壊)対策のための電気的シ
ールドを安定的に行う。 【構成】導電性樹脂成形品であるハウジング1は表面に
金属繊維を露出させないよう成形しており樹脂表面の導
電性は少ない。このハウジング1のビス締め部5には、
コイルスプリング9が端部9aを露出させ埋め込まれて
いる。ハウジング1と蓋3との導通は、この露出した端
部9aを導電性部材の蓋3とハウジング1とで挟み接合
することで得られる。またこの導通はコイルスプリング
9の弾性によって安定的に保持される。
害)対策、ESD(静電気破壊)対策のための電気的シ
ールドを安定的に行う。 【構成】導電性樹脂成形品であるハウジング1は表面に
金属繊維を露出させないよう成形しており樹脂表面の導
電性は少ない。このハウジング1のビス締め部5には、
コイルスプリング9が端部9aを露出させ埋め込まれて
いる。ハウジング1と蓋3との導通は、この露出した端
部9aを導電性部材の蓋3とハウジング1とで挟み接合
することで得られる。またこの導通はコイルスプリング
9の弾性によって安定的に保持される。
Description
【0001】
[考案の目的]
【0002】
本考案は、OA機器、通信機器および一般の電子機器のハウジングとしてE
MI(電磁波障害)シールドまたはESD(静電気破壊)シールド等を行うため
に用いられる導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造に関する。
【0003】
近年の半導体技術の発達で小型、高密度のデバイスが開発され、このデバイ
スを実装したOA機器、通信機器および一般の電子機器もコンパクト化されつつ
ある。これにともない静電気による電子部品の破壊問題または電磁波による電気
性能の劣化問題も増化傾向にある。
【0004】
したがって、これらの機器を設計するにあたっては何等かのEMI対策、ES
D対策を施す必要があり、一般的には回路部品を実装した基板等を装着するハウ
ジングの内側を金属で囲みシールドする方法がとられいてる。
【0005】
ところで、近年では機器全体の軽量化、大量生産性、コストダウンのメリット
等から、金属を用いずハウジングそのものを導電性樹脂で成形し、金属と同等の
シールド効果を上げる方法が考案されている。この導電性樹脂の製造方法には大
別すると、熱可塑性樹脂に導電性フィラー(金属箔粉、金属または金属化した無
機あるいは有機繊維等)を充填する方法と、樹脂成形品の表面に導電性塗料の塗
膜を形成させる方法とがあるが、量産性およびコスト面から前者導電性フィラー
を充填する方法が採られる。また導電性フィラーを充填する方法にも、そのフィ
ラーの形態により粉末充填、フレーク充填、繊維充填等に区別されるが、実際に
は導電性と品質の点で繊維充填が多く商品化されている。
【0006】
繊維充填による導電性樹脂、例えばエミクリア(東芝ケミカル社製、商品名)
を用いた成形品の場合、製品は意匠部品として外観が重要視されることから、樹
脂表面に露出するフィラー(銅繊維)に対し酸化防止処理を施すか、あるいはフ
ィラーを隠すように成形する。
【0007】
しかしながら、これでは樹脂表面の導電性がなくなり、例えば電子機器のハウ
ジングを金属製の蓋などの導電性部材で塞ぐときに、その接合部の接触、非接触
が回路のアース接地や電磁波のシールド効果に大きな影響を及ぼす。
【0008】
そこでこのような問題を解決する手法として図6、図7のような接合構造が採
られている。
【0009】
図6は従来の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造を説明するための部
分斜視図である。図中、導電性樹脂で成形された電子機器のハウジング101に
は、ビス締め部102が設けられている。このビス締め部102には、導電性の
インサート金具103(黄胴製)がハウジング101の成形と同時に埋め込まれ
ている。このインサート金具103はハウジング101の表面にその一面が露出
されている。一方、導電性部材の蓋104はインサート金具103と対応する部
分にタッピング加工がなされており、この蓋104をハウジング101の下面に
あてがいながら、ビス締め部102の上からビス105を挿入して蓋104にネ
ジ込みハウジング101と固定する接合構造になっている。
【0010】
図7は図6の断面図である。この図を用いてハウジング101と蓋104との
導通について説明する。
【0011】
同図において、ハウジング101とインサート金具103とは、互いの接触面
で導通が得られている。一方、インサート金具103とビス105とは、インサ
ート金具103のビス穴にビス105との隙間があるため、ビス穴との接触導通
はない。したがって、ビス105の頭部とインサート金具103とが接触するa
部でのみビス105の締め付けで導通が得られる。またビス105と蓋104と
は、タッピング部分(b部)で導通が得られるが、これもビス105の締め付け
によるものである。つまり、ハウジング101と蓋104とは、ハウジング10
1−インサート金具103−ビス105−蓋104という接続経路で電気的な導
通が得られるようになっている。
【0012】
ところで、このような接合構造では次のような問題が残されていた。
【0013】
この導通を保持させているのは、ビス105の締め付け力にほかならない。つ
まり、ハウジング101とインサート金具103との導通は、ビス105と蓋1
04との上下方向からの締め付け力で保持されているのである。したがって、外
力、例えば衝撃力などでビス105の緩みが発生した場合や樹脂成形時のひけ、
反り等でインサート金具103とハウジング101との隙間が生じた場合は、全
体の導通が極端に低下する。
【0014】
さらにハウジング101のビス締め部102にインサート金具103を埋め込
むためには、ビス締め部102の肉厚tをある程度厚くする必要があり薄肉部に
は適用できない構造でもあった。しかもインサート金具105は黄胴製であり、
樹脂との食い付きをよくする目的で外周面に凹凸をつける加工を行うためコスト
がかかっていた。
【0015】
このように従来の接合構造では、外力によるビスの緩みや樹脂成形時の成形
状態によって、部材同志の接触力が低下し導通が損なわれることがある。これは
EMI対策、ESD対策を施したハウジングのシールド効果を不安定にさせる。
またインサート金具を使うと構造的、コスト的な問題も生じる。
【0016】
本考案の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造は、このような課題を解
決するためのもので、電子機器のハウジングを構成する導電性樹脂成形品と導電
性部材との導通を常に保ち、EMI対策、ESD対策のための電気的なシールド
を安定的にまた安価に行える接合構造を提供する。
【0017】
[考案の構成]
【0018】
本考案の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造は上記した目的を達成
するために、樹脂表面に導電性のない、あるいは希少な導電性樹脂を用いて成形
された導電性樹脂成形品と導電性部材とを接合する接合構造において、前記導電
性樹脂成形品に導電性スプリングの一部を露出させて埋め込み、この導電性スプ
リングの露出部と直接あるいは導電性締結具を介して前記導電性部材とを接触さ
せつつ双方を接合してなる。
【0019】
本考案の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造では、導電性樹脂成形
品から一部を露出する導電性スプリングを介して、この導電性樹脂成形品に接合
される導電性部材との導通を得る。したがって、本考案の接合構造によれば、外
力(例えば衝撃力)や樹脂成形時の成形状態にかかわらず、導電性樹脂成形品と
導電性部材との導通を常に保持することができる。
【0020】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本考案に係る一実施例の接合構造の構成を説明するための分解斜視図で
ある。同図において、1は電子部品等が実装された基板(図示せず)などが取付
けられる導電性樹脂成形品としてのハウジングである。このハウジング1はエミ
クリア(東芝ケミカル社製導電性樹脂、商品名)を用いて成形されており、樹脂
表面の導電性は希少である。このハウジング1の一部には、導電性部材としての
金属製の蓋3を接合するためのビス締め部5が設けられている。このビス締め部
5には、ビス締め穴7が形成されこのビス締め穴7を囲むように導電性スプリン
グとしてのコイルスプリング9が埋め込まれ、端部9aは露出している。一方、
蓋3には、ハウジング1のビス締め穴7に対応するビス穴11が設けられており
導電性締結具としてのビス13によって、蓋3はハウジング1に接合される。
【0022】
次に図2に示す図1の拡大図でビス締め部5の成形について説明する。上述の
コイルスプリング9は円錐状に巻かれ、無負荷状態の自然高がビス締め部5の厚
みよりも高く、負荷が加わって伸縮した状態の高さがビス締め部5の厚みよりも
低くなるようなものを選定する。
【0023】
そして樹脂成形する際に、このコイルスプリング9を図のような埋め込み位置
に配置してキャビティ型とコア型とで押し込み縮ませる。次に導電性樹脂を充填
し成形すると、コイルスプリング9のバネ空間に隙間なく導電性樹脂を入り込ま
せることができる。この結果、ビス締め部5とコイルスプリング9とは密に固着
され、衝撃などの外力に対して強いインサート構造となる。続いてハウジング1
を金型から取り出すために金型を開けると、コイルスプリング9のうちで樹脂に
埋め込まれていない部分、つまりキャビティ型またはコア型に接触している端部
だけは、金型の開放により圧縮から解除されることとなりビス締め部5からコイ
ル1巻き程の長さで飛び出す。
【0024】
こうして成形されたハウジング1に蓋3をあてがいビス締めすると、露出され
たコイルスプリング9の端部9aは蓋3に圧着され、表面に導電性のないハウジ
ング1でも内部からコイルスプリング9を通して蓋3との導通を得る。またハウ
ジング1と蓋3との接合状態の変化、例えばビスの緩みや樹脂の反り等が生じて
接合が弱くなったとしても、コイルスプリング9の弾性によって導通は保持され
る。さらに従来例では、ハウジング101−インサート金具103−ビス105
−蓋104という接続経路で電気的な導通が得られていたのに対して、本実施例
では、ハウジング1−コイルスプリング9−蓋3というように接続経路も一つ削
減され導通の安定性からはよい結果になる。
【0025】
図4は本考案の接合構造の変形例の斜視図、図5は図4の断面図である。
【0026】
図中、15はハウジング1のビス締め部5にその一部を露出させて埋め込まれ
た円筒状のコイルスプリングである。このコイルスプリング15はハウジング1
を成形するときに、ビス締め穴7の回りを一周するように寝かされ、ビス締め部
5に埋め込まれたものである。
【0027】
このコイルスプリング15の一部をビス締め部5から露出させるためには、コ
イルの直径(巻かれた幅)がビス締め部5の高さよりも若干高くなるものを選定
する。そしてこのコイルスプリング15を樹脂成形の金型に配置し圧縮して成形
する。圧縮されたコイルスプリング15は金型の圧力でコイルの直径方向に縮ん
で成形される。そして金型から取出すと、圧力から解放されたコイルスプリング
15の円弧の一部15aは、ビス締め部5から露出する。この露出の形はコイル
スプリング15が寝かされた形でビス締め穴7の回りを一周しているのでビス締
め穴7を中心として放射状になる。この部分に蓋3をあわせてビス締めすると、
ビス締めの圧力で露出したコイルの一部15aは蓋3に均等に接触する。この結
果、ハウジング1と蓋3とは安定的に導通が得られるようになる。
【0028】
かくして本実施例によれば、樹脂表面に導電性のない繊維充填式製法による導
電性樹脂を用いたハウジングでも、ビス締め部に埋め込まれたコイルスプリング
の弾性によって、他の導電性部材との導通を安定的に保持できる。さらにコスト
のかかる黄胴製のインサート金具に代えて安価なコイルスプリングを用いること
で製品のコストも低減できる。
【0029】
なお、本考案の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造では、インサート
金具を用いた従来の構造と比較して導電性スプリング自体の体積が小さいので、
線形や巻数を変えることによってビス締め部分の厚みの比較的薄いものにも対応
できる。
【0030】
以上説明したように本考案の接合構造によれば、電子機器のハウジングを構成
する導電性樹脂成形品と導電性部材との導通を常に保ち、EMI対策、ESD対
策のための電気的シールドを安定的にまた安価に行える。
【図1】本考案に係る一実施例の導電性樹脂成形品と導
電性部材との接合構造の構成を説明するための分解斜視
図である。
電性部材との接合構造の構成を説明するための分解斜視
図である。
【図2】図1の導電性樹脂成形品のビス締め部拡大図で
ある。
ある。
【図3】図2のビス締め部の断面図である。
【図4】本考案に係る応用例の導電性樹脂成形品と導電
性部材との接合構造の応用例の斜視図である。
性部材との接合構造の応用例の斜視図である。
【図5】図4の応用例の断面図である。
【図6】従来の導電性樹脂成形品と導電性部材との接合
構造におけるビス締め部の部分斜視図である。
構造におけるビス締め部の部分斜視図である。
【図7】図6のビス締め部の断面図である。
1…………ハウジング
3…………蓋
5…………ビス締め部
7…………ビス締め穴
9、15…コイルスプリング
11………ビス穴
13………ビス
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)考案者 中谷 浩二
東京都港区新橋3丁目3番9号 東芝オー
デイオ・ビデオエンジニアリング株式会社
内
(72)考案者 川井 広伸
東京都港区新橋3丁目3番9号 東芝オー
デイオ・ビデオエンジニアリング株式会社
内
Claims (1)
- 【請求項1】樹脂表面に導電性のない、あるいは希少な
導電性樹脂を用いて成形された導電性樹脂成形品と導電
性部材とを接合する接合構造において、前記導電性樹脂
成形品に導電性スプリングの一部を露出させて埋め込
み、この導電性スプリングの露出部と直接あるいは導電
性締結具を介して前記導電性部材とを接触させつつ双方
を接合してなることを特徴とする導電性樹脂成形品と導
電性部材との接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1029691U JPH04107896U (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1029691U JPH04107896U (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04107896U true JPH04107896U (ja) | 1992-09-17 |
Family
ID=31900312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1029691U Withdrawn JPH04107896U (ja) | 1991-02-28 | 1991-02-28 | 導電性樹脂成形品と導電性部材との接合構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04107896U (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1051171A (ja) * | 1996-07-31 | 1998-02-20 | Pfu Ltd | 電子機器用筐体 |
JP2006073803A (ja) * | 2004-09-02 | 2006-03-16 | Kenwood Corp | 電子機器 |
-
1991
- 1991-02-28 JP JP1029691U patent/JPH04107896U/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1051171A (ja) * | 1996-07-31 | 1998-02-20 | Pfu Ltd | 電子機器用筐体 |
JP2006073803A (ja) * | 2004-09-02 | 2006-03-16 | Kenwood Corp | 電子機器 |
JP4696505B2 (ja) * | 2004-09-02 | 2011-06-08 | 株式会社ケンウッド | 電子機器 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19950518 |