JPH04107572U - 内燃機関用ピストン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ピストンリングを軽量化して内燃機関の低燃
費化を図るとともに、燃焼室へのオイル上がりを防止す
る。 【構成】 コンプレッションリング２は、一方の合口端
部のリング上面４にリング外周面５及び合口端面に開放
する切欠部７を形成し、他方の合口端部の合口端面の前
記切欠部７に対向する位置に、切欠部７に配置される突
出部９を突出形成している。リング２はＴｉ合金からな
り、リング２の外周面５と上下面４に硬質皮膜を形成す
る。硬質皮膜は内周面１４に設けなくともよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、２本リング構成の内燃機関用ピストンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、内燃機関の低燃費化対策で、ピストンリングの軽量化、低張力化の要求 が強まっている。この対策の一環として、２本リング構成のピストンとすること がある。この場合、セカンドリングを排除するケースが一般的であるが、セカン ドリングを排除することにより、オイルリングまわりから上昇したオイルがトッ プリングの下（セカンドランド）に充満し、トップリングを介して燃焼室にオイ ル上がりを生じることがある。

【０００３】 この現象を少しでも少なくするために、トップリングの合口に特殊形状を採用 するケースがある。即ち、一方の合口端部の上面に外周面及び端面に開放する切 欠部を備え、他方の合口端部の端面に前記切欠部に配置される突出部を備えた合 口構造を採用するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この場合、合口部の強度低下を来すため、トップリングのＢ寸 を薄くすることが強度上難しい欠点がある。そのため、トップリング重量を少な く出来ず、高回転時にフラッタリングの発生でブローバイの増加を生じることが ある。

【０００５】 本考案の目的は、上記問題を解決し、内燃機関のより一層の低燃費化を図るこ とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の構成は、１本のコンプレッションリングと１本のオイルリングを備え た２本リング構成の内燃機関用ピストンにおいて、前記コンプレッションリング が、一方の合口端部の上面に外周面及び端面に開放する切欠部を備え、他方の合 口端部の端面に前記切欠部に配置される突出部を備えた合口構造を有し、かつこ のリング素材がＴｉ合金で、少なくともリングの外周面と上下面に硬質皮膜が形 成されていることを特徴とする。

【０００７】

【作用】

特殊合口形状のコンプレッションリングの素材がＴｉ合金（比重は鉄の約半分 ）なので、Ｂ寸を薄くせずに、軽量化できる。したがって、強度を低下させずに 、リングの慣性力を小さくできるので、高回転時のフラッタリングの発生を少な くでき、２本リング構成のピストンにおいて、低燃費化を一層図れる。

【０００８】 そして、Ｔｉ合金の直摺動では焼き付くので、少なくともリングの外周面と上 下面に硬質皮膜を形成してある。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】 図１〜図２において、ピストン１は２本リング構成のもので、ピストンヘッド 寄りの部分に１本のコンプレッションリング２と、その下方に１本のオイルリン グ３を備える。

【００１１】 コンプレッションリング２は特殊合口形状（図３参照）を採用しており、一方 の合口端部のリング上面４にリング外周面５及び合口端面６に開放する切欠部７ が形成され、他方の合口端部の合口端面８の前記切欠部７に対向する位置に、切 欠部７に配置される突出部９が突出形成されている。切欠部７と突出部９は半径 方向に切った縦断面が同一の三角形状をなしており、切欠部７の斜面１０に突出 部９の斜面１１が配置し、両合口端面６，８間に所定の合口すきまを有して、リ ング溝１２に装着され、外周面５がシリンダ２０の内壁面２１に押接している。

【００１２】 そしてこのリング２はＴｉ合金、例えばＴｉ−６Ａｌ−４Ｖなどからなり、リ ング２の外周面５と上下面４，１３と内周面１４とに硬質皮膜１５を形成してあ る。なお、硬質皮膜１５は内周面１４に設けなくともよい。硬質皮膜１５として は、窒化（ガス窒化、ガス軟窒化、塩浴窒化、イオン窒化等）、イオンプレーテ ィング〔ＴｉＮ、ＴｉＣ、Ｔｉ（Ｃ，Ｎ）、Ｃｒ_x Ｎ_y 、Ｃｒ_x Ｃ_y 等〕、クロ ムめっき（ソリッドめっき、ポーラスめっき）、イオン注入（Ｎ、Ｃ等）、ある いは溶射など常法により形成すればよい。

【００１３】 なお、コンプレッションリング２の切欠部７と突出部９の断面形状は、上記で は三角形状のものを示したが、これに限ることはなく、この他例えば矩形のもの （図４参照）、あるいは矩形のもので隅部を丸くしたもの（図５参照）など、そ の形状は問わない。

【００１４】 オイルリング３はリング溝１６に装着された３ピース構成の鋼製組合せオイル リングで、２本のサイドレール１７，１８と１本のスペーサエキスパンダ１９と からなり、サイドレール１７，１８はスペーサエキスパンダ１９により上下に離 隔保持され、かつシリンダ２０の内壁面２１に押接される。なお、スペーサエキ スパンダ１９等の形状は図示のものに限ることはない。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、２本リング構成の内燃機関用ピストンに おいて、低燃費化を一層促進できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２の要部拡大図である。

【図２】ピストン部分の断面図である。

【図３】コンプレッションリングの合口部分の斜視図で
ある。

【図４】コンプレッションリングの合口部分の他の例を
示す斜視図である。

【図５】コンプレッションリングの合口部分の他の例を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ ピストン ２ コンプレッションリング ３ オイルリング ４ リング上面 ５ リング外周面 ６ 合口端面 ７ 切欠部 ８ 合口端面 ９ 突出部 １０ 斜面 １１ 斜面 １２ リング溝 １３ リング下面 １４ リング内周面 １５ 硬質皮膜 １６ リング溝 １７ サイドレール １８ サイドレール １９ スペーサエキスパンダ ２０ シリンダ ２１ 内壁面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 １本のコンプレッションリングと１本の
   オイルリングを備えた２本リング構成の内燃機関用ピス
   トンにおいて、前記コンプレッションリングが、一方の
   合口端部の上面に外周面及び端面に開放する切欠部を備
   え、他方の合口端部の端面に前記切欠部に配置される突
   出部を備えた合口構造を有し、かつこのリング素材がＴ
   ｉ合金で、少なくともリングの外周面と上下面に硬質皮
   膜が形成されていることを特徴とする内燃機関用ピスト
   ン。