JPH039166Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、記録媒体として磁気デイスクを用い
た磁気デイスク記録再生装置に関し、特に磁気デ
イスクを装置本体の磁気デイスク回転駆動用モー
タの回転軸へチヤツキングする機構の改良に関す
る。

〔従来の技術〕

近年、磁気デイスクを記録媒体として用いた磁
気デイスク記録再生装置が、コンピユータ用のデ
ータ記録再生装置あるいは電子カメラ用の画像記
録再生装置として広く利用されるに至つている。
この磁気デイスク記録再生装置における従来の磁
気デイスクチヤツキング機構は、モータの回転軸
すなわちスピンドル軸に磁気デイスクの中心孔を
嵌込み、その外側をスピンドル軸に固定化された
押圧部材にて押圧することによりチヤツキングを
行ない、その摩擦力で磁気デイスクを回転駆動す
る如く構成されていた。したがつて磁気デイスク
の中心とスピンドル軸の中心とのずれ、すなわち
偏心が発生し易く、「トラツクピツチの微小化に
よる記録密度の向上」等をはかる上で支障を来た
すという問題があつた。また押圧部材による押圧
力つまりスラスト力等によるスピンドル軸の回転
負荷トルクが相当大きなものとなる難点があつ
た。

このような従来のチヤツキング機構における欠
点を解消すべく、最近はいわゆるマグネツト式チ
ヤツキング機構が開発され、実用に供されてい
る。これに伴い、磁気デイスク側の被チヤツキン
グ部位の構成も変つてきている。

第５図はマグネツト式チヤツキング機構に適合
する如く構成された磁気デイスクジヤケツトの平
面図である。第５図において、１は磁気デイスク
ジヤケツトのケースであり、このケース１の中に
は磁気デイスク２が回転自在に収納されている。
３は上記磁気デイスク２の中心部に設けたセンタ
コアでり、その中央部位にはスピンドル軸へ係合
するほぼ三角形をなす係合孔４が設けられてい
る。この係合孔４の底辺部の近傍にはスリツト５
が上記底辺部と平行に設けてあり、上記底辺部と
スリツト５とで挟まれた部分にセンタリング用ば
ね６を形成している。

なお第５図中、７は記録済みトラツク数を計数
表示するカウンタである。８は前記磁気デイスク
２に対し、装置本体側の磁気ヘツドおよびパツド
などがケース１の表裏両面から接触可能なよう
に、ケース１の表裏両側壁にあけた窓である。９
は上記窓８を非使用時においては閉塞状態とな
し、使用時においては開放状態となすように、ス
ライド自在に設けた蓋である。また１０，１１は
磁気デイスクジヤケツトを装置本体へ装填する際
に、ケース１を位置決めするための基準孔であ
る。

上記の如く構成された磁気デイスクジヤケツト
は、第６図に示す如く、装置本体側のスピンドル
軸１７に対してその係合孔４を係合させ、以下述
べる如くチヤツキングされる。

第７図は、第６図の−線矢視断面図であ
り、ジヤケツト部Ａとチヤツキング機構部Ｂとに
分解して示した図である。第７図に示すように、
ジヤケツト部Ａのセンタコア３は、磁気デイスク
２の中心部位に固定した鉄等の磁性体からなる円
盤状の吸着ヨーク１２と、この吸着ヨーク１２の
中心孔に嵌合されたプラスチツキ製のセンタ位置
決め部材１３と、吸着ヨーク１２の裏面に取付け
たホコリ侵入防止用、磁気デイスク・ケース内位
置決め用のプラスチツク製短円筒１４とからなつ
ている。なお１５は磁性体からなる円柱状のPG
（パルス発生）用ヨークであり、一端（図中下端）
が前記吸着ヨーク１２と結合され、他端（図中上
端）がセンタ位置決め部材１３の表面へ露出する
如く設けられいる。

また第７図に示すように、チヤツキング機構部
Ｂは、モータ１６のスピンドル軸１７にチヤツク
用ベース部材１８の軸筒１８ａを非回転状態に嵌
込み、このチヤツク用ベース部材１８の円環状周
壁１８ｂにおける内周面に沿つてリング状永久磁
石１９を配設したものとなつている。

かくしてジヤケツト部Ａを、第７図中矢印で示
すようにチヤツキング機構部Ｂに対して装着する
と、吸着ヨーク１２が永久磁石１９により吸着さ
れ、チヤツキングが行なわれる。この場合、上記
吸着力は、当然のことながら磁気デイスク２の面
に対して垂直な方向に働く。一方、センタリング
用ばね６によるセンタリング力は、磁気デイスク
２の平面に沿つた方向に働く。このとき格別の支
障がなければ、第６図から明らかなように、セン
タコア３（より具体的にはセンタ位置決め部材１
３）に設けた係合孔４は、三点Ｘ，Ｙ，Ｚにおい
てスピンドル軸１７の周面に密着する。したがつ
てスピンドル軸１７の直径の寸法誤差（4μｍ以
下）、スピンドル軸１７の回転振れ（2μｍ以下）、
程度の僅かな誤差を除けば、磁気デイスク２の中
心とスピンドル軸１７の中心とが正確に一致する
筈である。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが前述したように、磁気デイスク２には
永久磁石１９による吸着力が磁気デイスク２の面
に対して垂直に働いているため、この吸着力との
関係において前記センタリングが正確に行なわれ
ない場合が生じる。すなわち、「永久磁石１９に
よる吸着力」が、「ばね６の力に基づいて発生す
る装着時の摩擦抵抗」（センタリング用ばね６の
ばね力に、スピンドル軸１７と係合孔４との接触
部である三点Ｘ，Ｙ，Ｚにおける摩擦係数を乗じ
た値）よりも大きいと、「永久磁石１９による吸
着力」によつてセンタリング用ばね６による「セ
ンタリング作用」が阻害され、Ｙ点やＺ点に〓間
が生じてしまい、良好なセンタリングが行なえな
いことになる。

そこで上記とは逆に、「永久磁石１９による吸
着力」を、「ばね６の力に基づいて発生する装着
時の摩擦抵抗」より小さくすると、チヤツキング
自体が十分良好に行なわれず、磁気デイスク２が
スピンドル軸１７に対して傾いた状態に保持され
てしまう場合がある。なおＸ，Ｙ，Ｚの各点がス
ピンドル軸１７に対して傾いた状態になると、単
に上記摩擦抵抗力だけでなしに、センタリング用
ばね６のばね力のベクトル成分が吸着動作を妨げ
る力として作用する。このため上記の傾きは修正
不可な状態に陥る。

かくして従来は、吸着が不十分な箇所を押圧機
構を用いて外部から一度押圧してやるという手段
を用いて確実なチヤツキングを行なわせていた
が、このような押圧機構を用いることは、装置の
構成を複雑化し、コスト高を招くという不具合が
あつた。

そこで本考案の目的は、センタリング機能を失
わずに良好なチヤツキングを行なうことができ、
しかもチヤツキング動作にバラツキが生じ易い条
件下であつても、チヤツキングおよびセンタリン
グを安定かつ確実に行なうことができ、加えて、
例えばチヤツク用ベース部材の磁気デイスク受面
を拡大してチヤツキング作用の安定化をはかると
いつた手段をも支障なく講じ得る、構成が簡単で
安価に製作可能な磁気デイスク記録再生装置を提
供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記課題を解決し目的を達成するため
に次のような手段を講じた。

磁気デイスク記録再生装置本体における磁気
デイスク回転駆動モータの回転軸に軸筒部を非
回転状態に嵌込まれ、磁気デイスク受面側の外
周部に円環状周壁を有する、非磁性体製のチヤ
ツク用ベース部材を設ける。

このチヤツク用ベース部材の円環状周壁の内
周面に沿つて所定間隔で点在する如く配設さ
れ、磁気デイスク受面に当接される磁気デイス
クのセンタコアにおける吸着ヨークを吸着可能
な如く複数の永久磁石を設ける。

これら複数の永久磁石相互間にあつて、各永
久磁石と平行な状態を呈する如く複数の柱状磁
性体を配設する。

これら柱状磁性体を介して発生磁束が前記吸
着ヨークに作用する如く、前記チヤツク用ベー
ス部材の磁気デイスク受面とは反対側の背面側
に電磁石を配置する。

この電磁石を、磁気デイスク装填時において
一定時間に亙り間欠的に励磁する励磁手段を設
ける。

〔作用〕

このような手段を講じたことにより、次のよう
な作用を呈する。

(1) 磁気デイスクの装填時においては、電磁石に
よる吸着力の増強作用が行なわれるので、十分
大きな吸着力が得られ、良好なチヤツキングが
行なわれる。

(2) 電磁石の励磁は、磁気デイスク装填時におい
て一時的に行なわれるだけであつて、磁気デイ
スク装填完了後においては電磁石の励磁は行な
われない。したがつてその後は永久磁石のみに
よる吸着が行なわれるので、センタリング用ば
ねのばね力が有効に働き、センタリング作用が
安定に行なわれることになる。

(3) 電磁石は間欠的に励磁されるので、寸法上あ
るいは特性上のバラツキなどの影響により、１
回の励磁だけではチヤツキングおよびセンタリ
ング作用が十分に行なわれないような場合であ
つても、引き続いて行なわれる２回目以降の励
磁によつて「揺さ振り」を掛けられた状態を呈
し、修正が行なわれる。したがつてチヤツキン
グ動作上のバラツキが大きいような場合であつ
ても、チヤツキングおよびセンタリングを安定
かつ確実に行なえる。

(4) 電磁石は、チヤツク用ベース部材の背面側に
配設されるので、チヤツク用ベース部材を大径
化することを妨げられずに済む。したがつて、
例えばチヤツク用ベース部材の磁気デイスク受
面を拡大してチヤツキング作用の安定化をはか
るといつた手段をも何等支障なく講じ得る。

(5) 従来のように大掛りな押圧機構等を新たに設
ける必要がないので、構成は簡単であり、比較
的安価に製作可能である。

〔実施例〕

第１図および第２図は本考案の一実施例の構成
を示す図であり、第１図はチヤツキング機構の主
要部を示す平面図、第２図は第１図の−線矢
視断面図である。なお第７図と同一部分には同一
符号を付してある。

第１図および第２図に示すように、磁気デイス
ク記録再生装置本体における磁気デイスク回転駆
動モータ１６のスピンドル軸１７には、チヤツク
用ベース部材１８が嵌合固定されている。チヤツ
ク用ベース部材１８はプラスチツクなどの非磁性
体にて一体成形されており、中央部位には前記ス
ピンドル軸１７に対して非回転状態に嵌込まれる
軸筒部１８ａが設けてあり、周辺部には磁気デイ
スク受面側（第２図中上側）に突出した円環状周
壁１８ｂが設けられている。なお円環状周壁１８
ｂの端面はチヤツク用ベース部材１８の実質的な
磁気デイスク受面となる部分であるため、微細な
鉄粉等が付着しないようにし、磁気デイスク受面
に寸度の変化が生じないように材質上の配慮がな
されている。この円環状周壁１８ｂの内周面に沿
つて、複数個（本実施例では３個）の永久磁石１
９ａ，１９ｂ，１９ｃが、所定間隔（本実施例で
は120゜間隔）で点在する如く配設されている。こ
れらの永久磁石１９ａ，１９ｂ，１９ｃは、磁気
デイスク受面に当接される磁気デイスクのセンタ
コアにおける吸着ヨークを、吸着可能な如く設け
られている。これらの永久磁石１９ａ，１９ｂ，
１９ｃの相互間には、複数個（本実施例では６
個）の円柱状磁性体３１〜３６が、２個づつ、約
40゜の間隔で、各永久磁石１９ａ，１９ｂ，１９
ｃと平行な状態を呈する如く配設されている。

前記チヤツク用ベース部材１８の磁気デイスク
受面とは反対側の背面側には、電磁石３０が配設
されている。なお本実施例では、上記電磁石３０
はモータ１６の端面に対して固定された状態とな
つている。かくしてこの電磁石３０により発生し
た磁束は、前記円柱状磁性体３１〜３６を介し
て、磁気デイスクのセンタコアにおける吸着ヨー
クに作用する如く構成されている。この電磁石３
０は、図示しない励磁手段により、磁気デイスク
の装填時において、一定時間に亙り間欠的に励磁
されるものとなつている。なお上記励磁手段とし
ては、例えば磁気デイスクジヤケツト装填時にお
いてONとなるスイツチによつてタイマーを起動
し、このタイマーの設定時限の期間中において例
えばチヨツパ回路等を働かせ、通電を間欠的に行
なわせるような手段を用いるものとする。

このように構成された本装置は次のように作動
する。磁気デイスクジヤケツトがチヤツキング機
構に装填されると、図示しないスイツチがONと
なる。このため第３図に示すようなスタート信号
Ｓ１がタイマーに与えられ、同タイマーが起動す
る。そうするとタイマーからは一定時間Ｔ１に亙
り、タイマー出力Ｓ２が送出される。このタイマ
ー出力Ｓ２は、例えばチヨツパ回路等によつて、
第４図のＳ３に示すように通電期間Ｔ１１と非通
電期間Ｔ１２とが比較的短い周期で交互に繰返さ
れるパルス列に変換される。このパルス列化され
たタイマー出力Ｓ３によつて電磁石３０が励磁さ
れる。かくして磁気デイスクジヤケツトの吸着ヨ
ークには、永久磁石１９ａ，１９ｂ，１９ｃの吸
着力のほかに、電磁石３０の吸着力も働く。すな
わち電磁石３０にて発生した磁束は、円柱状磁性
体３１〜３６を介して吸着ヨークに効率よく作用
する。したがつて磁気デイスクジヤケツトは極め
て強い力でチヤツク用ベース部材１８の磁気デイ
スク受面に引付けられ、良好なチヤツキングが行
なわれる。そして上記電磁石３０の励磁は、磁気
デイスク装填時における一定時間Ｔ１の期間だけ
一時的に行なわれるのみであつて、磁気デイスク
装填完了後の期間Ｔ２においては電磁石３０の励
磁は行なわれない。したがつて期間Ｔ２において
は、永久磁石１９ａ〜１９ｃのみによる吸着が行
なわれるので、磁気デイスクのセンタコアに設け
られているセンタリング用ばね６によるばね力が
有効に働いて、センタリング作用が支障なく行な
われる。また、電磁石３０は間欠的に励磁される
ので、寸法上あるいは特性上のバラツキなどの影
響により、１回の励磁だけではチヤツキングおよ
びセンタリング作用が十分に行なわれないような
場合であつても、引き続いて行なわれる２回目以
降の励磁によつて「揺さ振り」を掛けられた状態
を呈し、修正が行なわれる。したがつてチヤツキ
ング動作上のバラツキが大きいような場合であつ
ても、チヤツキングおよびセンタリングを安定か
つ確実に行なえる。さらに、電磁石３０は、チヤ
ツク用ベース部材１８の背面側に配設されるの
で、チヤツク用ベース部材１８を大径化すること
を妨げられずに済む。したがつて、例えばチヤツ
ク用ベース部材１８の磁気デイスク受面を拡大し
てチヤツキング作用を安定化をはかるといつた手
段をも支障なく講じ得る。また従来のように大掛
りな押圧機構等を新たに設ける必要がないので、
構成は簡単であり、比較的安価に製作可能であ
る。

なお本考案は上述した一実施例に限定されるも
のではない。例えば電磁石３０への通電制御手段
としては、１チツプマイクロコンピユータを用
い、予めプログラムを組んでおくことにより、磁
気デイスクジヤケツト装填時において、0.5秒程
度の時間に亙り間欠的な通電が自動的に行なわれ
るようにしてもよい。このほか本考案の要旨を逸
脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論
である。

〔考案の効果〕

本考案は、駆動モータの回転軸に嵌合固定され
るチヤツク用ベース部材の円環状周壁の内周面に
沿つて、複数の永久磁石を所定間隔で配設し、そ
れらの間に複数の柱状磁性体を配設し、これら柱
状磁性体を介して発生磁束が磁気デイスク側の吸
着ヨークに作用する如く、前記チヤツク用ベース
部材の磁気デイスク受面とは反対側の背面側に電
磁石を配置し、この電磁石を励磁手段により磁気
デイスク装填時において一定時間に亙り間欠的に
励磁するように構成したものである。

したがつて本考案によれば、センタリング機能
を失わずに良好なチヤツキングを行なうことがで
き、しかもチヤツキング動作にバラツキが生じ易
い条件下であつても、チヤツキングおよびセンタ
リングを安定かつ確実に行なうことができ、加え
て、例えばチヤツク用ベース部材の磁気デイスク
受面を拡大してチヤツキング作用の安定化をはか
るといつた手段をも支障なく講じ得る、構成が簡
単で安価に製作可能な磁気デイスク記録再生装置
を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本考案の一実施例を示す図
で、第１図はチヤツキング機構の主要部の構成を
示す平面図、第２図は第１図の−線矢視断面
図、第３図および第４図は電磁石の励磁タイミン
グを示す図である。第５図〜第７図は従来例を示
す図で、第５図は磁気デイスクジヤケツトの平面
図、第６図は装置本体へジヤケツトを装填した状
態を示す部分平面図、第７図は第６図の−線
矢視断面を分解して示した図である。 １……磁気デイスクジヤケツトのケース、２…
…磁気デイスク、３……センタコア、４……係合
孔、６……センタリング用ばね、１２……吸着ヨ
ーク、１３……センタ位置決め部材、１６……モ
ータ、１７……スピンドル軸、１８……チヤツク
用ベース部材、１９，１９ａ〜１９ｃ……永久磁
石、３０……電磁石、３１〜３６……円柱状磁性
体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気デイスク記録再生装置本体と、この本体の
   磁気デイスク回転駆動モータの回転軸に軸筒部を
   非回転状態に嵌込まれ磁気デイスク受面側の外周
   部に円環状周壁を有する非磁性体製のチヤツク用
   ベース部材と、このチヤツク用ベース部材の円環
   状周壁の内周面に沿つて所定間隔で点在する如く
   配設され磁気デイスク受面に当接される磁気デイ
   スクのセンタコアにおける吸着ヨークを吸着可能
   な如く設けられた複数の永久磁石と、これら複数
   の永久磁石相互間にあつて各永久磁石と平行な状
   態を呈する如く配設された複数の柱状磁性体と、
   これら柱状磁性体を介して発生磁束が前記吸着ヨ
   ークに作用する如く前記チヤツク用ベース部材の
   磁気デイスク受面とは反対側の背面側に配置され
   た電磁石と、この電磁石を磁気デイスク装填時に
   おいて一定時間に亙り間欠的に励磁する励磁手段
   とを具備したことを特徴とする磁気デイスク記録
   再生装置。