JPH0390556A - 無機薄膜及びその形成方法 - Google Patents

無機薄膜及びその形成方法

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JPH0390556A
JPH0390556A JP22528389A JP22528389A JPH0390556A JP H0390556 A JPH0390556 A JP H0390556A JP 22528389 A JP22528389 A JP 22528389A JP 22528389 A JP22528389 A JP 22528389A JP H0390556 A JPH0390556 A JP H0390556A
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thin film
inorganic thin
film
vapor deposition
metal
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JP22528389A
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Yutaka Ishida
裕 石田
Osamu Takai
治 高井
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属又は合金からなる部材の防食の目的に用
いられる無機薄膜及びその形成方法に関するものであり
、特に鋼板、亜鉛めっき鋼板アルミニウム軽金属等の高
耐食性皮膜又は耐食性に優れた塗装下地膜及びその形成
方法に関する。
〔従来の技術〕
鉄鋼などの金属は、酸素、水、イオン等の作用により腐
食し、消耗する。そこで金属の防食を行う必要があるが
、一般には金属表面に保護皮膜を形成する方法が広く利
用されている。保護皮膜としては、樹脂塗料からなる塗
膜や、酸化皮膜又はそれらの複合皮膜等の各種皮膜がそ
の用途に応じて選択される。またこのような保護皮膜は
、耐食性をさらに向上させるために、−層のみではなく
複層として形成される場合もある。
ところで、被塗面(保護皮膜が形成される面)となる金
属の表面状態は、塗膜(保護皮膜)の付着力又は塗膜(
保護皮膜)下における腐食の起こりやすさなどに大きな
影響を及ぼす。したがって金属を塗装する場合に、前処
理として、金属表面に付着している酸化膜くさび〉、油
脂、よごれ等を除去して、清浄で安定な面を作る必要が
ある。
さらに防食効果をより一層向上させるために、化成処理
によってあらかじめ安定な無機塩からなる保護皮膜をつ
くり、その上に塗装する方法が一般に行なわれている。
このような化成処理による皮膜は塗料の付着性を増し、
また防錆力を付与する。
対象となる金属が主として鉄鋼、亜鉛(亜鉛めっき鋼板
)又はアルミニウム軽金属の場合には、上記の化成処理
として、リン酸亜鉛系もしくはリン酸鉄系のリン酸塩皮
膜の形成が主として行なわれている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来の化成処理による皮膜は、皮膜結晶
粒子のサイズが大きい〈約■〜lOμs〉ために、皮膜
に多くの隙間(ピンホール)が生じる。
このピンホールの存在は、金属の腐食速度を早める。
この欠点を克服するために、これまで種々の提案がなさ
れてきた。たとえば特公昭60−9590号は、リン酸
塩化合物等の無機化合物と、鉄に対して犠牲防食作用の
ある亜鉛等の金属もしくは合金とを、物理蒸着により同
時に鋼材上にめっきしてなる複合めっきの形成方法を開
示している。この方法では、めっき膜は膜厚方向に均一
な組成となり、また複合めっき膜には亜鉛等の金属が含
まれることになる。上記のような物理蒸着による方法を
とれば、少ないめっき量でもピンホールのほとんどない
めっきが得られ、ピンホールに起因する腐食を防ぐこと
ができる。
しかしながら、より苛酷な条件で使用可能な耐食性被膜
のニーズは強く、被覆される金属と、耐食性被膜上にさ
らに形成される塗膜との両方に対して密着性が良好であ
り、耐食性にも一層優れた被膜が望まれている。
したがって、本発明の目的は、優れた耐食性を与えると
ともに、金属表面及び塗膜との密着性に優れた無機薄膜
、及びその形成方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、(a) 
P含有化合物と、(b)特定の金属化合物とを用いて、
気相反応によりP成分と特定の金属元素成分とを薄膜中
にある比率となるように共存させれば、耐食性と密着性
の両方に優れた無機薄膜を形成することができることを
発見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の無機薄膜は、物理蒸着により金属又
は合金からなる部材の表面に形成されるもので、(a)
 Pと、(b)Zn、 Fe、 Al、 Ni、 Co
、 Mn、 Ca及びC「からなる群から選ばれた1種
又は2種以上の元素とを含有する酸化物からなることを
特徴とする。
また、本発明のもう一つの無機薄膜は、物理蒸着により
金属又は合金からなる部材の表面に形成されるもので、
(a) Pと、(b)2n、 Fe、 Al、 Ni、
 Co。
Mn、 Ca及びCrからなる群から選ばれた1種又は
2種以上の元素とを含有する酸化物からなり、Pと、前
記元素(b)との含有比率P/元素(b)が、前記部材
の表面近傍における膜部分では小さく、前記膜の表面部
分では大きくなるように、厚み方向に変化していること
を特徴とする。
さらに、金属又は合金からなる部材の表面に無機薄膜を
形成する本発明の方法は1、物理蒸着により、(a) 
Pと、(b)Zn、 Fe、 Al、 Ni、 Co、
 Mn、 Ca及びCrからなる群から選ばれた1種又
は2種以上の元素とを同時に含有する酸化物の薄膜を形
成することを特徴とする。
さらに、金属又は合金からなる部材の表面に無機薄膜を
形成する本発明のもう一つの方法は、Pを含む化合物と
、Zn、 Fe、 Al、 Ni、 Co、 Mn、 
Ca及びCrからなる群から選ばれた1種又は2種以上
の元素を含む化合物との組成比率の異なった複数の蒸着
源を用いて、物理蒸着を行い、前記部材の表面近傍に形
成される層では、Pと前記元素(b)との含有比率P/
元素わ)が小さく、前記薄膜の表面に近くなるに従って
、前記比率が大となるように、複数の層を形成すること
を特徴とする。
また、金属又は合金からなる部材の表面に無機薄膜を形
成する本発明のさらに別の方法は、Pを含む化合物と、
Zn、 Fe、 Al、 Ni、 Co、 Mn、 C
a及びC「からなる群から選ばれた1種又は2種以上の
元素を含む化合物とからなる蒸着源を用いて、物理蒸着
を行い、前記物理蒸着における蒸着源に与えるエネルギ
ーを変化させることにより、形成される無機薄膜中のP
と前記元素わ)との含有比率P/元素(b)を、前記部
材の表面近傍から前記薄膜表面部に向かって、連続的に
大きくすることを特徴とする。
本発明を以下詳細に説明する。
本発明の無機薄膜は、(a) Pと、(b)Zn、 F
e、 AI。
Ni、 Co、 Mn、 Ca及びCrからなる群から
選ばれた■種又は2種以上の元素(以下便宜上“b群元
素”と呼ぶ)とを同時に含有した酸化物の薄膜で、主と
して、鋼板、亜鉛めっき鋼板・アルミニウム軽金属等の
表面に形成される。なおり群元素としては、特にZn、
 Fe、 A1が好ましく、特にZnが好ましい。
b群元素としてZnを選択する場合には、Zn配合量の
50重量%以下を、Mg、 Ti、 Zr、 Sr、 
Siから選ばれた1種又は2種以上の元素で置換しても
よい。
この置換のより好ましい量は、Zn配合量の30重量%
以下である。
蒸着源としては、P含有化合物としてb群元素のリン酸
塩を用い、またb群元素として、その単体、酸化物又は
リン酸塩を用いるのが好ましい。
以下、b群元素の好ましい例として2nを取り上げ、Z
nを含む本発明の無機薄膜について説明する。
b群元素としてZnを選択した場合の本発明の無機薄膜
は、Zn、  P及び○から形成される。
まず、無機薄膜におけるP成分は一部溶解して、被覆さ
れる金属の表面部を不動態化する。またPO。
は一般に有機物との親和性が高いので、無機薄膜にさら
に塗膜を形成する場合、塗膜との密着性を向上させる。
なおPの含有量は、後述するように、Znの含有量との
比が特定の範囲内となるように設定する。
Znは、本発明の無機薄膜中に、主としてZnOの形で
存在する。ZnOの結晶格子間隔は、Feのそれに非常
に近いので、ZnOは無機薄膜と鋼板との密着性を特に
向上させる。また亜鉛めっき鋼板との密着性も向上させ
る。このようにZnは無機薄膜と被覆される金属との密
着性を向上させる作用を有する。また、被覆される金属
の表面近傍にZnn骨分存在させることにより、耐食性
が向上する。
無機薄膜中におけるPとZnとの含有比(重量比) P
/Znは、無機薄膜を均一の単層とする場合、0.1〜
0.9の範囲に規定する。P/Znが0.1 に満たな
いと、無機薄膜と塗膜との密着性が劣り、また0、9を
超す値とすると、耐食性が低下して好ましくない。P/
Znのより好ましい範囲は0.15〜0.7 である。
上述したように、P成分(PO4)は特に無機薄膜と塗
膜との密着性を向上させ、一方、ln成分(2no)は
特に無機薄膜と被覆される金属との密着性を向上させる
。またZnOは塗膜との親和性が低い。
これらの理由により、P/Znを無機薄膜において一様
とするよりは、塗膜側でP成分を大とし、被覆される金
属側でZn成分を大とすると、より密着性の高い無機薄
膜を得ることができる。さらに被覆される金属側にZn
成分を多くし、塗膜側にP成分を多くすると、耐食性が
より一層向上する。そこで、無機薄膜において塗膜側の
P/2nを大とし、そこから金属側に向かってP/Zn
を小さくするとよい。
このようなP/Znを有する無機薄膜の構造としては、
主として以下の2つの態様がある。
(イ〉無機薄膜の深さ方向に、P/2nが大から小に連
続的に変化した単層の無機薄膜。
(0)P / Z nの異なる多数の層からなり、被覆
される金属側の層ではP/Znが小であり、表面の層に
いくに従ってP/Znが大となる複層の無機薄膜。
本発明の無機薄膜は、上記の(イ)及び(!2)のどち
らの構造でも良い。(イ)及び(ロ)のどちらの構造に
おいても、P/Znは上述したように0.1〜0,9 
の範囲内にある。ただし、無機薄膜が(0)の構造とな
るときには、被覆される金属に近い層が、それより外側
の層よりも小さなP/Zn値を有していることが必要で
ある。
なお、上述したように、本発明の無機薄膜の上に、さら
に塗料を塗布し、塗膜を形成することができる。本発明
の無機薄膜上に塗布することのできる塗料としては、メ
ラミンアルキド樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、
又はエポキシ樹脂等のカチオン電着塗料などの熱硬化性
樹脂塗料や、アクリルラッカー等の熱可塑性樹脂塗料が
ある。
次に上記した無機薄膜を形成する本発明の方法について
説明する。
まず鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム軽金属板等の
被覆される部材を、溶剤、化学薬品等を用いて、通常行
なわれている方法で脱脂処理を行なう。
次に、エツチングにより金属表面層の酸化物を除去する
。エツチングは、たとえばスパッタリング装置を用いた
プラズマエツチング等により行なうことができる。
エツチングにより金属の表面酸化物を除去した後に、無
機薄膜を形成する。単層でかつP/Zn値が一様である
無機薄膜の場合は、スパッタリング法、イオンブレーテ
ィング法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD)、及
び化学蒸着法(CVD)のいずれの方法によっても形成
することができるが、多成分からなる化合物の膜を形成
するという観点から、スパッタリング法が特に好ましい
スパッタリング法に用いるターゲットは、2nO粉末と
、リン酸亜鉛(Zr+s (PO4) 2 ’ 4H2
0)  とを用いて製造する。まず両者を所望のP/Z
nを得るような割合に混合し、空気中で加熱する。加熱
により原料中の結晶水を除去する。加熱は450 ℃以
上で3時間程度とする。次にこの混合粉末をステンレス
型皿に入れ、100kg/cr1以上の圧力でプレスし
、ターゲツト材とする。
上記のターゲツト材を用いて、高周波(RF)スパッタ
リンクにより無機薄膜を形成する時には、例えば第1表
に示す条件で行なうことができる。
第    1   表 P/Zn値の異なる複数の層からなる無機薄膜の場合に
おいても、基本的にはスパッタリング等の物理蒸着法及
び化学蒸着法のいずれも適用できる。
しかしながら、P/2n値を段階的に変化させることを
考えれば、スパッタリング法が簡単で好ましい。
その場合、まずP/Zn値の異なる層に応じた組成の複
数のターゲットを準備する。ターゲットの調製には前述
の通りZn口及びZn+ (PO2)2・4H20を用
い、両者をそれぞれ重量比で0〜100部及び100〜
0部の範囲内で所望の配合量として、P/Zn値の異な
る−複数のターゲットを作成する。そして小さなP/Z
n値を与えるターゲットから順に使用してスパッタリン
グを行なえば、P/Zn値の異なった複数の層からなる
無機薄膜が得られる。
さらに、被覆される金属の表面から外側に向かってP/
Zn値が連続して大きくなる無機薄膜を形成する場合に
は、高周波(RF)スパッタリング法を適用するのが好
ましい。このときは、ZnとPとを含むターゲット(I
n= (PO=) 2のみ、又はZna(POn)2 
とZnOの混合物)1種類を用い、高周波の出力を変え
ながらスパッタリングを行なう。高周波の出力が大きい
とP/Zn値は小さくなるので、スパッタリングの初期
段階においては高周波の出力を大きくしておき、スパッ
タリングが進むにつれて徐々に高周波の出力を下げてい
く。これによって被覆される金属表面近傍ではP/Zn
値が小さく、薄膜の金属表面に近くなるにしたがってP
/Zn値が徐々に大きくなる無機薄膜を形成することが
できる。
以上に説明した方法によって形成した無機薄膜の歪除去
を行うために、空気中あるいは不活性ガス中で、500
 ℃未満の温度で約1時間熱処理してもよい。熱処理温
度が500 ℃以上であると、得られた無機薄膜中のZ
nやPが飛んでしまい、無機薄膜に細孔(ピンホール)
が形成されるおそれがあり、また無機薄膜の結晶化にま
り熱歪が生じたりして、無機薄膜の耐食性や密着性を低
下させるので、好ましくない。
このようにして形成した無機薄膜上に、さらに必要に応
じて、前述した熱硬化性又は熱可塑性の樹脂塗料を塗装
し、これを硬化させて、耐食性に優れた金属又は合金製
の部材を得ることができる。
なお、金属又は合金の部材に直接本発明の無機薄膜を底
形してもよいが、まず金属又は合金の部材の表面に通常
の化成処理を施してから、本発明の無機薄膜を形成する
こともできる。このとき、化成処理による被膜の隙間を
物理蒸着によって埋めることができる。また化成処理を
併用することにより、被膜が特定の部位の耐食性等を補
強することにもなるので、好ましい。
以上す群元素としてZnを例にとり説明したが、他のb
群元素を用いても、Znと同様に耐食性に優れ、塗膜と
の密着性が良好な無機薄膜を形成することができる。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1,2 リン酸亜鉛(Zn、 (PO4) 2  ” 4H,0
)粉末と、酸化亜鉛(2nO)粉末とを第2表に示す重
量比で混合した後、空気中で450 ℃で3時間焼成を
行なった。
この粉末をステンレス装態に入れ、100kg/c++
Iの圧力で5分間プレスを行い、スパッタリングのター
ゲットとした。
鋼板(SPCC−3B)をアルカリ (又は溶剤〉脱脂
浴中で脱脂した後、スパッタリング装置(日本真空製5
BR1104)内に設置した。
Ar圧Q、 Q2Torrの雰囲気中で高周波の出力を
100Wとし、10分間エツチングを行なった。
次に上記した方法で作成したターゲットを用いて、スパ
ッタリング法により無機薄膜の形成を行なった。このと
きAr圧は0.02Torrで、高周波出力は200W
とし、底形される膜の重量はスパッタリングの時間によ
り制御した。
得られた膜中のZn及びPの含有量を蛍光X線分析法で
測定した。膜のP/Zn比を第2表に合わせて示す。な
お第2表に示す薄膜重量は、計算によって求めたもので
ある。
次に下記の要領でフェロテスト(ピンホールテスト)を
行なった。まず以下の組成の試験液を調製した。
フェリシアン化カリウム    30g塩化ナトリウム
        40g蒸留水           
929g界面活性剤          1g (FC−126,住友スリーエム■製)試験液合計  
       1000g次に試験液に浸した濾紙を1
分間鋼板の被膜面に接触させた。1分後に濾紙を鋼板か
らはがして、被膜と接触した面を上にして濾紙を乾いた
吸取紙上にのせ、濾紙の(青色)変色度合を評価した。
○:青色を生じない〈ピンホールがない〉。
△:少数の小さな分離したスポットを生じるか、又は全
体が薄い青色を生じる。
×:大部分が青色に変色する(ピンホールが多数存在す
る)。
フェロテストの結果を第2表に合わせて示す。
比較例1 実施例1と同様の方法で鋼板(SPCC−SB)に無機
薄膜を形成した後、得られた鋼板を空気中において50
0〜700 ℃で1時間の加熱処理を行なった。
その後、実施例1と同様にフェロテストを行なった。結
果を第2表に合わせて示す。
比較例2 鋼板(SPCC−SO)を化成処理液(リン酸亜鉛〉 
を用いて通常の化成処理方法により表面処理した。
得られた鋼板について実施例1と同様にフェロテストを
行なった。
結果を第2表に合わせて示す。
実施例3〜7.比較例3 実施例1と同様の方法で、第3表に示すターゲット組成
となるようにターゲットを調製し、やはり実施例1と同
様の方法で、鋼板(SPCC−3R)にスパッタリング
法により薄膜を形成した。次に薄膜上にメラミンアルキ
ド樹脂塗料(日本ペイント■製オルガセレクト120)
をエアスプレーで約30μmの厚さに塗布し、130 
℃で10分間焼付けを行なった。
得られた試料について、以下の要領で塗膜の密着性試験
(ゴバン目テスト〉及び耐食性試験(ツルトスプレーテ
スト:5ST)を行なった。
■ゴバン目テスト 塗膜にナイフで1mm間隔の傷をつけて25ケの基盤目
をつくり、JIS K5400 に準拠して剥離テスト
を行ない、全目数中の剥離した目数を数えた。
■ツルトスプレーテスト(SST;JIS 22371
)塗膜面に傷をつけ、所定時間食塩水を噴霧し、その後
テープにより塗膜剥離を行ない、その剥離幅を測定した
結果を第3表にあわせて示す。
比較例4.5 比較のために、スパッタリングによる無機薄膜を形成せ
ず、通常の化成処理を施したもの(比較例4〉、及び鋼
板の表面をペーパー研摩したのみのもの(比較例5)に
、実施例3と同様にメラミンアルキド樹脂塗料を塗布し
て塗膜を形成し、ゴバン目テスト及びツルトスプレーテ
ストを行なった。結果を第3表に合わせて示す。
実施例8.比較例6 ターゲット用原料としてリン酸亜鉛粉末とピロリン酸亜
鉛粉末とを用い、第3表に示す組成とした以外は、実施
例3と同様に無機薄膜及び塗膜を形tし、ゴバン目テス
ト及びツルトスプレーテストを行った。結果を第3表に
合わせて示す。
実施例9 リン酸亜鉛のみからなるターゲットを実施例1と同様の
方法により作成した。このターゲットを用いてスパッタ
リングを行なった。スパッタリングにおける高周波の出
力を400Wで10分保持した後に1001’lまで下
げ、この状態にして20分間保持した。
得られた無機薄膜上に実施例3と同様にメラミンアルキ
ド樹脂塗料による塗膜を形成した。ゴバン目テスト及び
ツルトスプレーテストの結果を第3表に合わせて示す。
実施例1O〜15.比較例7 リン酸亜鉛及び酸化亜鉛を用いて、それぞれ第4表に示
す組成のターゲットを、各実施例につき2個ずつ作成し
た。まず第1のターゲットを用いて鋼板(SPCC−3
O)にスパッタリングを行ない、約Ig/m’の無機薄
膜を形成後、第2のターゲットに変えてさらにスパッタ
リングを行ない、新たに約1 g / m’無機薄膜を
形成した。なおスパッタリングの他の条件は実施例1と
同様にした。
得られた無機薄膜上にさらに実施例3と同様にメラミン
アルキド樹脂塗料による塗膜を形成し、ゴバン目テスト
及びツルトスプレーテストを行なった。結果を第4表に
合わせて示す。
実施例I6〜21.比較例8〜11 リン酸亜鉛及び酸化亜鉛をそれぞれ第5表に示す割合と
して、実施例1と同様にターゲットを作成した。なお実
施例19〜21及び比較例11はそれぞれ組成の異なる
2つのターゲットを作成した。
実施例18及び比較例10では電気亜鉛めっき鋼板(目
付量20g/m’)を用い、他は鋼板(SPCC−3S
)を用い、第5表に示すスパッタ条件で無機薄膜を形成
した。実施例■9〜21及び比較例11では、実施例1
Oと同様に第1及び第2のターゲットを連続して用いて
、二重層となる無機薄膜を形成した。
得られた無機薄膜の上に、さらにアクリルメラミン樹脂
塗料(日本ペイント■製スーパーラックF47)をエア
ースプレーで約35μmの厚さに塗布し、150 ℃で
20分間焼付けを行なった。
塗膜を形成した試験片について、実施例3と同様にゴバ
ン目テスト及びツルトスプレーテストを行なった。結果
を第5表に合わせて示す。
実施例22〜26、比較例12〜14 リン酸亜鉛及び酸化亜鉛をそれぞれ第6表に示す割合と
し、実施例1と同様の方法でターゲットを作成した。な
お実施例23〜26及び比較例14では、それぞれ組成
の異なる2つのターゲットを作成した。
鋼板(SPCC−3B) を用い、第6表に示すスパッ
タ条件で無機薄膜を形成した。実施例23〜26及び比
較例14においては、まず第1のターゲットを用いてス
パッタリングを行って、約0.5g / m″の無機薄
膜を形成し、続いて第2のターゲットに換えてスパッタ
リングを行い、約1.0g/m’の無機薄膜を形成した
。また、比較例13では、スパッタリングを行わず、リ
ン酸亜鉛の化成処理液を用いて、通常の化成処理を行っ
た。
得られた無機薄膜の上に、さらにエポキシ系樹脂塗料(
日本ペイント■製パワートップU−100)をカチオン
電着塗装して、約207Jlの塗膜を形成し、170 
℃で20分間の焼付けを行った。
塗膜を形成した試験片について、実施例3と同様にゴバ
ン目テスト及びツルトスプレーテストを行った。結果を
第6表に合わせて示す。
実施例27、比較例15 実施例1と同様のターゲット(リン酸亜鉛/酸化亜鉛:
 80/20)を用い、アルミニウム板(JIS H1
050)の表面に、実施例1と同様に、スパッタリング
により膜を形成した〈実施例27〉。得られた膜中のP
/Zn比は0.5であり、層重量は1.5g / m’
であった。
比較のために、アルミニウム板(JIS H1050)
に通常のリン酸亜鉛化成処理を行い、層重量1.5g/
 m’となる膜を形成したく比較例15)。
得られた2種のアルミニウム板を3%食塩水に3ケ月間
室温にて浸漬して、白錆の発生の有無を調べた。結果を
第7表に示す。
第7表 まず鋼板(SSPC−3S)  をリン酸鉄化成処理液
を用いて化成処理し、層重量0.8g/m’となる被膜
を形成した。次に、この鋼板に、リン酸亜鉛/酸化亜1
:90/10 のターゲットを用い、高周波出力200
w、Ar圧0.02Torrの条件でスパッタリングを
行い、薄膜を形成した(実施例28)。このとき、スパ
ッタリングにより形成された薄膜の重量は1.0g/m
”(計算値)であり、P/Znは0.58であった。
鋼板(SSPC−SB)  をリン酸亜鉛化戒処理液を
用いて化成処理し、層重量2.0g/m’となる被膜を
形威した。つぎにこの鋼板にリン酸亜鉛/酸化亜鉛ニア
0/30 のターゲットを用い高周波出力200−1^
r圧0、02Torrの条件でスパッタリングを行い、
薄膜を形成した〈実施例29〉 。このスパッタリング
により形成された薄膜の重量は0.5g/m’(計算値
)であり、P/Znは0.39であった。
実施例28及び29の鋼板について、実施例1と同様の
方法でフェロテストを行った。結果を第8表に示す。
比較のために、鋼板(SSPC−SB)  を実施例2
8と同様にリン酸鉄処理液を用いて化成処理し、被膜を
形成した(比較例16)。このときの層重量は0.8g
/ m’であった。得られた鋼板について、実施例1と
同様にフェロテストを行った。結果を第8表に合わせて
示す。
第8表 実施例11のターゲット(リン酸亜鉛/酸化亜鉛)の代
わりに、実施例30はリン酸亜鉛/酸化鉄を70/30
 (重量比)、実施例31はリン酸亜鉛/酸化アルミニ
ウムを80/20 (重量比)、実施例32はリン酸亜
鉛/二酸化珪素を90/10(重量比)としたターゲッ
トを用い、それ以外は実施例■1と同様にして、無機薄
膜を形成した。その上に、メラミンアルキド樹脂塗料を
塗布して塗膜を形威し、ゴバン目テスト及びツルトスプ
レーテストを行った。結果を第9表に示す。
以上から明らかなように、本発明の無機薄膜は、P/Z
n比が薄膜中に一様であるもの(実施例3〜8.16〜
18及び22)  、P/Znの異なる二層からなるも
の〈実施例10〜15.19〜21、及び23〜26〉
、さらにP/Znが薄膜の深さ方向に連続的に変化する
もの〈実施例9〉すべてにおいて、ゴバン目テスト及び
ツルトスプレーテスト(SST)において良好な結果を
示す。またPの代わりにFe (実施例30) 、AI
(実施例31) 、Si (実施例32)を用いたもの
も、上記テストにおいて良好な結果を示している。
一方、通常の方法により化成処理を施した試験板(、比
較例4.9.10及び13)では、ツルトスプレーテス
トにおける剥離幅が大きく耐食性に弱い。
またスパッタリング膜形戊後に熱処理を施した試験板(
比較例8.12)  はゴバン目テスト及びツルトスプ
レーテストの両方において劣る。さらにP/Znが0.
1 より小さなもの(比較例3及び7)もゴバン目テス
ト及びツルトスプレーテストの両方において劣った結果
を示す。
〔発明の効果〕
本発明の方法では、物理蒸着により無機薄膜を形成する
ので、皮膜粒子のサイズが通常の化成処理による皮膜粒
子よりはるかに小さいサブミクロンのサイズとなり、さ
らに粒子の大きさが化成処理によるものに比べて均一と
なる。そのため皮膜中にピンホールが存在せず耐食性は
向上する。また皮膜中のP/Znを規定することにより
、耐食性のみならず密着性にも優れたものとなる。特に
P/Znを膜厚方向に変化させた本発明の無機薄膜は、
被覆される金属及びその上面に設けられる塗膜との密着
性に優れているとともに、優れた耐食性を示す。
本発明の無機薄膜は、特に鋼板、亜鉛めっき鋼板及びア
ルミニウム軽金属に対して、優れた耐食性被膜及び耐食
性塗装下地膜として、用いることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. (1) 金属又は合金からなる部材の表面に物理蒸着に
    より形成された無機薄膜であって、(a)Pと、(b)
    Zn、Fe、Al、Ni、Co、Mn、Ca及びCrか
    らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素とを含有
    する酸化物からなることを特徴とする無機薄膜。
  2. (2) 金属又は合金からなる部材の表面に物理蒸着に
    より形成された無機薄膜であって、(a)Pと、(b)
    Zn、Fe、Al、Ni、Co、Mn、Ca及びCrか
    らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素とを含有
    する酸化物からなり、Pと、前記元素(b)との含有比
    率P/元素(b)が、前記金属又は合金部材の表面近傍
    においては小さく、膜の表面部分では大きくなるように
    、厚み方向に変化していることを特徴とする無機薄膜。
  3. (3) 金属又は合金からなる部材の表面に、物理蒸着
    により、(a)Pと、(b)Zn、Fe、Al、Ni、
    Co、Mn、Ca及びCrからなる群から選ばれた1種
    又は2種以上の元素とを同時に含有する酸化物を形成す
    ることを特徴とする無機薄膜形成方法。
  4. (4) 金属又は合金からなる部材の表面に、物理蒸着
    により、(a)Pと、(b)Zn、Fe、Al、Ni、
    Co、Mn、Ca及びCrからなる群から選ばれた1種
    又は2種以上の元素とを同時に含有する酸化物を形成す
    ることを特徴とする無機薄膜形成方法において、Pを含
    む化合物と、前記元素(b)を含む化合物との組成比率
    の異なった複数の蒸着源を使用し、前記部材の表面に近
    い層では、Pと前記元素(b)との含有比率P/元素(
    b)が小さく、前記薄膜の表面に近くなるに従って前記
    比率が大となるように、複数の層を形成することを特徴
    とする無機薄膜形成方法。
  5. (5) 金属又は合金からなる部材の表面に、Pを含む
    化合物と、Zn、Fe、Al、Ni、Co、Mn、Ca
    及びCrからなる群から選ばれた1種又は2種以上の元
    素を含む化合物とからなる蒸着源を用いて物理蒸着を行
    い、その際蒸着源に与えるエネルギーを変化させること
    により、形成される無機薄膜中のPと前記元素(b)と
    の含有比率P/元素(b)を、前記部材の表面近傍から
    前記薄膜の表面に向かって連続的に大きくすることを特
    徴とする無機薄膜形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06322523A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Nippon Steel Corp 気相セラミック被覆めっき鋼板
JP2001201626A (ja) * 2000-01-14 2001-07-27 Nippon Sheet Glass Co Ltd 光学部材
JP2019510983A (ja) * 2016-02-02 2019-04-18 セキュリティ マターズ リミテッドSecurity Matters Ltd. 金属物体の認証

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JP2001201626A (ja) * 2000-01-14 2001-07-27 Nippon Sheet Glass Co Ltd 光学部材
JP2019510983A (ja) * 2016-02-02 2019-04-18 セキュリティ マターズ リミテッドSecurity Matters Ltd. 金属物体の認証

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