JPH038290B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水冷エンジンを搭載し、かつそのラジ
エタをフレームのヘツドパイプの周囲に配置した
自動２輪車等の車両に関する。

近年、自動２輪車においてもエンジン出力の向
上やエンジン騒音の低減を図るためにエンジンを
水冷化する傾向にある。このようにエンジンを水
冷化した場合、ラジエタは走行中に走行風を良好
に受け易い場所であり、しかも操向輪が跳ね上げ
た泥等の異物が付着し難い場所に設置することが
望ましく、このことから本出願人によつてラジエ
タをフレームのヘツドパイプの前面に配置した自
動２輪車が開発されている。この位置にラジエタ
を設置すれば、ダウンチユーブや燃料タンクの前
面に設置した場合よりも走行風を受け易く、冷却
性能上好都合となる利点がある。

ところで、ラジエタをヘツドパイプの前面に設
置するに当つては、このラジエタをフロントフオ
ークに取付ける構造と直接ヘツドパイプに取付け
る構造とが考えられる。しかしながら、ラジエタ
をフロントフオークに取り付けるとラジエタ自体
がフロントフオークと一体に移動するのでハンド
ル操作が重くなるとともに、冷却水パイプの配管
にも問題が生じる。一方、ラジエタを直接ヘツド
パイプに取付けると、上記問題は解消できるが、
今度はフロントフオークとの干渉を考慮する必要
がある。すなわち、通常フロントフオークは左右
１対のフオークパイプの上端部間にアツパブラケ
ツトとロアブラケツトとを取付け、これらアツパ
およびロアブラケツトをヘツドパイプに挿通した
ステアリングシヤフトの上下端部に夫々連結して
あるため、ヘツドパイプの前面にラジエタを取付
けると、このラジエタの両側方に上記フオークパ
イプが位置されることになる。このためフロント
フオークの回動時にフオークパイプがラジエタに
当たる虞れがあるので、これを避けるためにはラ
ジエタの幅を狭くして小型化するか、あるいはラ
ジエタをヘツドパイプよりも前方に大きく突出さ
せねばならない。したがつて、ラジエタの大きさ
が制限され、冷却性能が損なわれるとともに、ラ
ジエタを突出させると外観が損なわれるばかりで
なく、その取付構造も複雑となる等の不具合があ
る。

本発明はこのような事情にもとづいてなされた
もので、その目的とするところは、走行風を良好
に受け易い場所にラジエタを配置できるのはもち
ろん、操向操作時にラジエタとフロントフオーク
とが干渉することもなく、ラジエタの大きさが制
約されず容量を充分に確保できるとともに、ハン
ドル操作に悪影響を及ぼすこともない水冷エンジ
ン付車両を提供しようとするものである。

すなわち、本発明は上記目的を達成するため、
ヘツドパイプの周囲にラジエタを固定するに当
り、このヘツドパイプに挿通されたステアリング
シヤフトの下端部にフロントフオークの上端部を
連結し、このフロントフオークをラジエタおよび
ヘツドパイプの下方で回動させるようにしたこと
を特徴とする。

以下本発明の一実施例を、スクータ形自動２輪
車に適用した図面にもとづいて説明する。

図中１はアンダーボーン形のパイプフレームを
示し、このフレーム１はヘツドパイプ２、ダウン
チユーブ３および左右１対のメインパイプ４，４
（一方のみを図示）によつて構成してある。ヘツ
ドパイプ２にはステアリングシヤフト５が回動自
在に挿通されており、ステアリングシヤフト５の
上下端部はヘツドパイプ２の上下開口端部から
夫々導出されている。そしてステアリングシヤフ
ト５の上端部には操向ハンドル６が固定されてい
るとともに、下端部にはフロントフオーク７の上
端部が連結されており、フロントフオーク７は操
向ハンドル６によつて操向操作される。フロント
フオーク７は左右に離間された１対のフオーク構
成体８ａ，８ｂを備え、これらフオーク構成体８
ａ，８ｂは上端部において互に連結されていると
ともに、下端部間には操向輪９を軸支したピボツ
ト軸１０が架設されている。なお、この実施例の
フオーク構成体８ａ，８ｂはプレス成形品であつ
て、内部が中空に形成されているとともに、夫々
の内部にはピボツト軸１０を懸架する図示しない
緩衝器が収容されている。そしてこのようなフロ
ントフオーク７は、その上端中央部がステアリン
グシヤフト５の下端部に連結されており、上記ヘ
ツドパイプ２の下方においてステアリングシヤフ
ト５と一体に回動するようになつている。

ヘツドパイプ２およびダウンチユーブ３の前面
側にはレツグシールド１１が配置されている。レ
ツグシールド１１は車体の左右方向に張り出した
一体構造をなし、その幅方向に沿う中央部分には
ヘツドパイプ２およびダウンチユーブ３の後面に
回り込む凹部１２が凹設されている。凹部１２は
ヘツドパイプ２およびダウンチユーブ３の後面か
ら側面にかけてを覆つており、このためヘツドパ
イプ２の前面側にはレツグシールド１１の前面に
開口する空間１３が形成されている。そしてヘツ
ドパイプ２の前面にはラジエタ１４が設置されて
いる。ラジエタ１４は詳図しないが冷却フインを
備えたラジエタコア１５とコアフレーム１６とか
ら構成され、上記ヘツドパイプ２の前面に固定さ
れている。すなわち、ヘツドパイプ２の前面には
１対のブラケツト１７，１８が左右方向に張り出
して溶接されており、夫々のブラケツト１７，１
８の両端部は前方に向つて導出されて互に離間対
向された支持片１９，１９および２０，２０を構
成している。そしてこれら支持片１９，１９およ
び２０，２０にはボルト２１…が挿通されてい
る。各ボルト２１…はラジエタ１４におけるコア
フレーム１６の両側面に螺合されており、ラジエ
タ１４をブラケツト１７，１８に固定している。
したがつて、ラジエタ１４はそのラジエタコア１
５を前方に向けた姿勢でヘツドパイプ２の前面に
固定され、上記空間１３内に収容されるととも
に、凹部１２の前面開口に位置されている。

また、レツグシールド１１の前面上部には、フ
ロントフエンダ２２兼用の前面カバー２３が着脱
可能に取り付けられている。前面カバー２３は詳
図しないが上下端部に設けた係止突部をレツグシ
ールド１１の凹部１２の開口部に係止させるとと
もに、中間部をヘツドパイプ２の前面に溶接した
ブラケツト２４にボルト２５，２５を介して締め
つけることにより固定されている。つまり第５図
に示されるようにブラケツト２４は凹部１２の前
面開口から前方に向つて突出する左右１対のステ
ー２６，２６を備え、このステー２６，２６の先
端部に前面カバー２３を衝合し、この衝合部分に
ボルト２５，２５を挿通してこれらボルト２５，
２５をステー２６，２６に溶接したナツト２７，
２７に螺合させることによりレツグシールド１１
に固定されるようになつている。そしてこの前面
カバー２３は凹部１２の前面開口を覆つており、
この凹部１２との間でヘツドパイプ２やステアリ
ングシヤフト５はもちろん、ラジエタ１４を包み
込んでいる。なお、前面カバー２３におけるラジ
エタ１４に対向する部分には、多数のスリツト状
をなした冷却風取入口２８…が開設されている。

一方、上記メインパイプ４，４は途中から立ち
上げられており、これら立ち上がり部２９，２９
の上端部は後方に延長されてシートレール３０，
３０を構成している。立ち上がり部２９，２９の
上端部間には燃料タンク３１が設置されていると
ともに、この燃料タンク３１上にはシート３２が
取り付けられている。また立ち上がり部２９，２
９には燃料タンク３１の下方に位置してエンジン
ユニツト３３の前端部が揺動可能に連結されてい
る。エンジンユニツト３３は水冷エンジン３４と
このエンジン３４のクランクケース３５の左側か
ら後方へ向つて延びる伝動ケース３６とを一体構
体として構成したもので、伝動ケース３６の後端
部にはＶベルト駆動される駆動輪３７が支持され
ているとともに、この伝動ケース３６の後端部は
一方のシートレール３０との間に架設された緩衝
器３８で懸架されている。そしてこの水冷エンジ
ン３４のウオータジヤケツトは、上記ラジエタ１
４に図示しない冷却水パイプを介して接続されて
おり、ウオータジヤケツトとラジエタ１４との間
を冷却水が循環するようになつている。

上記メインパイプ４，４の前端水平部分にはス
テツプボード３９が載設されており、ステツプボ
ード３９の後端部は立ち上げられて水冷エンジン
３４の前方および側方を取り巻いている。ステツ
プボード３９の後端部上方にはフロントカバー４
０が配置されており、このフロントカバー４０は
シート３２下の前方から側方にかけてを覆つてい
る。フロントカバー４０の上端部後方にはアツパ
カバー４１が配置されており、このアツパカバー
４１はシート３２下の後半部からシートレール３
０，３０の後端部上方を覆つている。またこのア
ツパカバー４１の下部には左右１対のサイドカバ
ー４２，４２（一方のみを図示）が配置されてお
り、これらサイドカバー４２，４２はフロントカ
バー４０に連続してシート３２下の両側方を覆つ
ている。したがつて、これらカバー４０，４１お
よび４２，４２はシート３２下の周囲を覆うフル
カバードタイプをなしている。

なお、図中符号４３は操向ハンドル６回りを覆
うハンドルカバーを示す。

このような構成によると、ヘツドパイプ２に挿
通したステアリングシヤフト５の下端部に、フロ
ントフオーク７の上端部を連結したので、ヘツド
パイプ２の側方にフロントフオーク７を構成する
フオーク構成体８ａ，８ｂが位置することはな
く、操向ハンドル６を操向操作するとフロントフ
オーク７はヘツドパイプ２の下方で回動すること
になる。このため、ヘツドパイプ２の前面にラジ
エタ１４を固定してもこのラジエタ１４とフロン
トフオーク７とが干渉し合うこともなく、ラジエ
タ１４の大きさが制限されずに済む。したがつ
て、走行風を良好に受け易いヘツドパイプ２の前
面にラジエタ１４を配置できることと相まつて、
冷却効果が頗る向上する。しかもラジエタ１４は
フレーム１側に固定されているので、ハンドル操
作が重くなる等の悪影響が生じることはなく、操
縦性が向上する。

またこの実施例では、ヘツドパイプ２およびラ
ジエタ１４をレツグシールド１１と前面カバー２
３とで包み込み、この前面カバー２３はレツグシ
ールド１１に対して前方から着脱可能に取り付け
てあるので、単に前面カバー２３を取り外すだけ
でラジエタ１４を前方に露出させることができ
る。このためラジエタ１４が覆い隠されているカ
バードタイプであるにも拘わらず保守点検を容易
に行え、整備性が向上する利点がある。

なお、本発明に係る車両はスクータ形に代表さ
れるフルカバードタイプの自動２輪車に特定され
るものではなく、ラジエタやフレームならびにエ
ンジン回り等が外方に露出されている自動２輪車
であつても良く、さらには自動２輪車に限らず車
体の前部に１輪の操向輪、後部に２輪の駆動輪を
設けた自動３輪車であつても良い。

またフロントフオークの構成も上述した実施例
に制約されるものではなく、アウターチユーブ内
にインナチユーブを摺動可能に挿入したものであ
つても良いとともに、操向輪の支持方式も両端支
持に限らず、片持ち式であつても良い。

以上詳述した本発明は、ヘツドパイプの周囲に
ラジエタを固定するとともに、このヘツドパイプ
に挿通されたステアリングシヤフトの下端部に操
向輪を軸支したフロントフオークの上端部を連結
したものである。このものによると、ハンドルを
操作してもフロントフオークはヘツドパイプの下
方で回動するため、このフロントフオークとラジ
エタとが干渉することはない。このため、ラジエ
タの大きさが制限されずに済み、その容量を充分
に確保することができるから、上記走行風を良好
に受け易いヘツドパイプの周囲にラジエタを設置
したことと相まつて、冷却性能が頗る向上する。
それとともに、ラジエタはハンドルやフロントフ
オークとは一体的に動かないから、ハンドル操作
が重くなることもなく、操縦性が向上する等の優
れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は自動
２輪車の側面図、第２図は正面図、第３図はフロ
ントフオーク回りの側面図、第４図は第３図中
−線に沿う断面図、第５図は第３図中−線
に沿う断面図である。 ２……ヘツドパイプ、６……ハンドル、５……
ステアリングシヤフト、７……フロントフオー
ク、９……操向輪、１４……ラジエタ、３４……
水冷エンジン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ヘツドパイプの周囲にラジエタを配置した水
   冷エンジン付車両において、上記ラジエタはヘツ
   ドパイプに固定するとともに、ヘツドパイプには
   ハンドルによつて操向操作されるステアリングシ
   ヤフトを回転自在に挿通し、このステアリングシ
   ヤフトの下端部に１輪の操向輪を軸支したフロン
   トフオークの上端部を連結したことを特徴とする
   水冷エンジン付車両。