JPH0380931B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は各種配管埋設工事における開削推進装
置に関するものである。

一般に比較的浅い地表面下に下水道管やガス管
等の埋設物を埋設したり、あるいは構造物を築造
する場合、開削工法が採用されている。

この工法は相対向して鋼矢板を打ち込み、その
矢板間の掘削を行い、掘削面の安定を図りながら
その溝内に埋設物等を吊り込んで、埋戻しを行う
方法である。

ところで、都市の道路にはガス、上下水道管等
の各種の横断管や通信ケーブル等多くの埋設物が
埋設されている。

そのため、事前に埋設試掘調査を行つて埋設の
位置、深さ、種別等を正確に確認しておかなけれ
ばならず、調査作業に手数を要する。

さらに住宅地での鋼矢板の打設、引き抜き作業
は騒音や振動等の公害を発生するだけでなく、施
工効率の低さに起因して工期が長期化する等の問
題を抱えている。

これらの問題を改善するためにフレームと、こ
のフレームの外周に相対向して土留めパネルを一
体に固定してなる土留め装置を使用し、掘削の
後、開削方向に作業機械等で牽引して施工する方
法も発されている。

この工法の場合は施工上、フレームおよび両パ
ネルを同時に牽引するため、パネルに加圧する土
圧を切るには牽引能力の高い大型の牽引装置を必
要とする。

また、この工法は横断管等が埋設されている現
場では、横断管を切替える必要がある。

特に横断管等は地表から比較的浅いところに多
数集中して埋設されている事が多く、そのため、
横断管の切替え工事による高額経費が工費に加算
されて全体の工費をより高価にしている。

また開削と並行して埋設作業を行えるオープン
シールド掘進機が特開昭55−36505号公報に開示
されている。

この掘進機は枠体の両側に枠体の全長を越える
長さのブレードを配備し、各ブレードと枠体の間
にジヤツキを設けて構成される。

この掘進機にあつては、埋設物をブレード後部
の切梁材として利用するために、埋設物の径
（幅）がブレードの対向距離より小さと、ブレー
ドの支持部材を失い、ブレード後部が片持ち梁と
なつて変形してしまう危険がある。

さらに油圧装置を搭載する関係から、製品コス
トが高くなる他に、構造や制御の複雑化や重量増
大の問題がある。

本発明は以上のような問題を解決するためにな
されたもので、操作性および安全性に優れ、省エ
ネが図れる開削推進装置を提供する事を目的とす
る。

次に本発明の一実施例について説明するが、ま
ず本発明に係る装置について説明する。

(イ) 装置の全体の構成 第１図に示すように開削装置は、２枚のスラ
イドパネル１と、このスライドパネル１間をス
ライド自在に支承する剛性の支持枠２で構成す
る。

(ロ) スライドパネル スライドパネル１は開削溝の壁面を保護する
目的の板体である。

スライドパネル１の内側にはパネル１の長手
方向、すなわち水平方向にＨ型鋼等からなるレ
ール３をパネル１の全長に渡つて並行に複数取
り付ける。

このレール３は後述する支持枠２と係合する
だけでなくパネルを補強する事を目的として設
置する。

スライドパネル１の切羽側のエツジ１１の内
面にはスライドパネル１を掘削方向に引き寄せ
るための受力片１２を設ける。

(ハ)支持枠 支持枠２は第１，２図に示すように後方に開
放空間を有する剛性の枠体である。

支持枠２は、縦材２１と横材２２でスライド
パネル１の全長とほぼ等しい長さの枠体を２組
製作し、相対向して鉛直に配置したこれら２つ
の枠体の前部間のみに横断材２３を水平に連結
して形成する。

横断材２３の後方に延びる縦材２１と横材２
２からなる枠体はスライドパネル１の後部に作
用する土圧を支持できる剛性を付与しておく。

本発明がこのように構成したのは、支持枠２
の後方に開放空間を形成するためである。

この支持枠２の外表には前記スライドパネル
１を横材２２方向のスライドを許容させて取り
付ける。

スライドパネル１を支持枠２にスライド自在
に連結するには例えば、縦材２１の外面に断面
Ｃ形の係合溝２４をレール３と対応する位置に
取り付け、両者３，２４を係合させて構成する
事が考えられる。

本発明の装置はヒユーム管等の埋設物４を支
持枠２の後部の広い空間内で吊り込めるよう構
成する事を特徴の一つとする。

すなわち、支持枠２は片持ばりに構成するの
で、横材２２の後部に新たな切梁を設けなくと
もパネル１に作用する曲げモーメントに十分対
抗できる。

(ニ) 補助パネル 補助パネル５は横断管６等が埋設されている
場合、横断管６を避けながら掘削と地表付近の
地山の保護を目的とするパネルである。

既述したように各種埋設物は地表から比較的
浅いところに埋設されている。

本発明はこの点に着目して、前記スライドパネ
ル１は主にこれらの横断管６群を避けた深い位置
を開削する事を目的とし、補助パネル５はこれら
の横断管６群の埋設されている浅い所を開削する
事を目的とする。

従つて、開削溝の深さや横断管６の存否等を考
慮して使用目的に応じて補助パネル５の採用を決
定する。

補助パネル５は支持枠２の縦材２１あるいは横
材２２に着脱自在に設置する支柱５１と、この支
柱５１間に嵌挿するミニパネル５２で構成する。

支柱５１は例えばＨ型鋼等で形成し、縦材２１
の延長方向に配置し、ピン等によつて縦材２１と
の固定位置を上下方向に調節できるよう構成す
る。

ミニパネル５２は細幅の矩形板で形成し、開削
方向の支柱５１間に着脱自在に設置する。

また、切刃側の補助パネル５は地山に直接貫入
するので支柱５１にミニパネルを固定したものを
採用する。

切刃側の補助パネル５以外はそれぞれ独立した
構造の支柱とミニパネル５２を採用する。

ミニパネル５２は横断管６の露出個所を通過す
る際、横断管６との衝突を避けるために必要な枚
数のミニパネル５２を取外し、通過後再び支柱５
１間にミニパネル５２を挿入して使用できるよう
構成する。

従つて、ミニパネル５２を取り外した場合に露
出する地山面積を最小限に押えるにはミニパネル
５２の開削方向の長さをできるだけ短く形成する
事が考えられる。

次に施工方法について説明する。

(イ) 装置の組み立て 分離した状態のスライドパネル１と支持枠２
を運搬して現場で組み立てる。

装置の組み立ては支持枠２をスライドパネル
１間に連絡するだけの簡単な作業であるから短
時間に行うことができる。

(ロ) 掘削、補助パネルの設置 バツクホー等で地盤に溝を掘削し、前述の装
置を配置する。

次に支持枠２の上部に補助パネル５を取り付
ける。

溝内に配置した支持枠２は撓みを阻止できる
ように横材２２で支持しているのでスライドパ
ネル１の全面に作用する土圧に十分対抗して掘
削面の崩壊を阻止できる。

同じく補助パネル５は各支柱５１に支えられ
て地表近くの土圧に対抗して地山の崩壊を阻止
する。

(ハ) スライドパネルの引き寄せ 次に片方のスライドパネル１の受力片１２
に、バツクホーのバケツト等で開削方向の衝撃
を与えて、静摩擦を切つて前方に引き寄せる。

各スライドパネル１に衝撃を与える事は瞬間
的に牽引力が作用するので土圧力を切る際の摩
擦抵抗が小さくて済むという利点に基づくもの
である。

このように掘削と並行して各スライドパネル
１を前進させる。

補助パネル５はスライドパネル１から分離し
ているのでスライドパネル１と一体に前進する
事はない。

(ニ) 補助パネル５の開削 スライドパネル１を所定のスパンだけ前進さ
せたら、支持枠２を開削方向に牽引してスライ
ドパネル１間をスライドさせる。

この結果、支持枠２と一体の補助パネル５が
前進して開削が進行する。

(ホ) 横断管の回避 開削予定の地中に横断管６が埋設してある場
合には、衝突を避けられる位置まで支柱５１お
よびミニパネル５２の各頂面位置を降下して修
正する。

ミニパネル５２を取除いた結果露出した地山
は公知の鋼矢板８等を地山と横断管６の下方に
位置するパネル５との間に挿入して保護する。

横断管６の露出個所を通したら再び支柱５１
を伸長し、同時にこの支柱５１間にミニパネル
５２を挿入して地表までの地山を保護する。

以上の作業を開削方向に配置したミニパネル
５２群の差し変えを繰り返しながら、地山を保
護しつつ補助パネル５を通過させる。

(ヘ) 配管、埋め戻し 開削溝の底盤を整えた後、支持枠２の空間内
に埋設物４を吊り込み敷設する。

本発明の装置は支持枠２を後方を開放した状
態で横材２２を支持出来るので、従来装置のよ
うに切梁間から埋設物５を吊り込む必要はまつ
たくなく、直接溝内に設置することができる。

埋設物４の敷設後、砂やその他の骨材を使つ
て埋め戻しを行う。

以上のように掘削、片側づつのスライドパネ
ル１の引き寄せ、支持枠２の引き寄せおよび補
助パネル５を使用した場合の補助パネル５によ
る掘削、配管および埋め戻しの各作業を繰り返
して埋設物を敷設していく。

(ト) その他の実施例 前記実施例の補助パネル５は分離独立した支
柱５１とミニパネル５２を組み立てて構成する
場合について説明したが、その他に支柱５１と
複数枚のミニパネル５２を一体に構成した構造
のものを採用する事ができる。

すなわち、横断管の露出個所を通過する時の
み該当する補助パネル５を支持枠２から取外
し、通過後に再び支持枠２に設置して開削およ
び地山の保護を行う。

この実施例の場合、ミニパネル５２に比べて
挿入、取外しが一度に行えるので、横断管が一
定の深さに埋設してあるような現場では特に有
効である。

また各々のパネル１を上下に二分割に形成し
て別々に掘削機によつて前方に引き出すことも
できる。

この場合パネルの推進に要する力は小さくて
済む。

また、パネル１や支持枠２の下面に二個所に
垂直方向のジヤツキで出入するシユーを取り付
けておけば、掘進に伴つて先端が下がつた場合
や上つた場合に簡単に対処して修正を行うこと
が出来る。

本発明は以上説明したようになるから次のよう
な効果を期待することができる。

(イ) 掘削、排土、配管、埋め戻しの各作業をラツ
プさせて円滑に行う事ができる。

従つて従来の各工法に比較して著しく工期を
短縮でき、かつ、工費も大幅に低減できる。

(ロ) 補助パネルを採用する場合は横断管が存在し
ていても、補助パネルの簡単な操作によつて横
断管の切り替えをしないで通過でき、経済的で
ある。

(ハ) 支持枠を剛性の片持ちばりに形成したので、
支持枠の一方を開放して広い空間を確保でき
る。

従つて長尺の敷設管でも容易に吊り込む事が
できる。

(ニ) 剛性の支持枠と補強したスライドパネルを配
置するので、作業の安全性が向上する。

(ホ) スライドパネルを支持枠を介してスライド自
在に構成したので、一方のスライドパネルを推
進させる際にもう一方のスライドパネルに作用
する摩擦抵抗の影響を受けることがない。

従つて両方のスライドパネルを同時に推進さ
せるような装置に比べて小さな推進力で充分で
ある。

(ヘ) スライドパネルは組み立て式なので、現場で
の組み立てが可能でありさらに、運搬および収
納が極めて簡単である。

(ト) ヒユーム管等の埋設作業だけでなく、開削し
た溝内で場所打ちコンクリートの打設や各種の
工事に利用できる。

(チ) 鋼矢板を使用しないので打ち込み、引き抜き
の為の専用機械を必要とせず、騒音、振動公害
を最少に押える事が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係る装置の一実施例の説明
図、第２図：スライドパネルの取付け状態の説明
図、第３〜４図：施工方法の説明図 １：スライドパネル、２：支持枠、３：ガイド
レール、５：補助パネル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 相対向する一対のスライドパネルと、 前記スライドパネルの全長とほぼ等しい長さの
   枠体を相対向して垂直に配置し、これらの枠体の
   前部間のみに横断材を水平に連結し、横断材の後
   方に延びる方形枠の間に開放空間を形成した剛性
   の支持枠とよりなり、 各スライドパネルを支持枠の外側に開削方向の
   スライドを許容する状態で取り付けた、 開削推進装置。