JPH0380118B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明はプリンタなどのインクリボンカセツ
トに関するもので、とりわけ、インクをインクカ
ートリツジから補給する転写式のインクリボンカ
セツトに関するものである。

［従来の技術］ 従来の転写式のインクリボンカセツトにおい
て、インクはインクカートリツジの転移部材、た
とえばフエルト片を通つて転写ローラに供給さ
れ、さらにこの転写ローラと接している布状のイ
ンクリボンに転写される。

［解決しようとする課題］ このような構成のインクリボンカセツトにおい
て転写ローラの回転が止まつている間に、転移部
材が転写ローラと接している部分にインクがたま
りやすかつた。したがつて時間をおいて新たにプ
リントを開始する際、インクリボンにインクが過
剰についた部分があるためプリントに濃淡のムラ
が生じて見づらくなつていた。

そこで特開昭58−5768号公報に開示されている
ように、インクリボンに接して余剰インクを絞り
とる絞り部材を有するインクリボンカセツトがあ
る。

しかし、このように絞り部材をインクリボンに
接触させる構成では、張力がかかつた状態で保持
されている薄い布状のインクリボンにさらに圧力
を加えるため、インクリボンが損傷しやすく寿命
が短くなるという欠点がある。また、インクは布
状のインクリボンに含浸されており、部分的に特
に過剰に含浸されたインクを絞りとつてインク量
を低減することはできても、インクリボン全体に
わたつて、インク量の多い部分や少ない部分をな
くし均一なインク量とすることは困難である。す
なわち、インクリボンに部分的にインク量の少な
過ぎる部分があつても、これを補正して印字ムラ
を防ぐことはできないという問題がある。

その上、この構成は単色の印字の際には用いる
ことができても、複数の色帯を有するインクリボ
ンを用いて多色印字を行なう際には、絞りとられ
た異なつた色彩のインクが絞り部材の表面で混り
合い、この混り合つた色がインクリボンに再付着
して、所望の色彩の印字が行なえなくなる恐れが
ある。従つて、多色印字装置においては、インク
リボンと接触する絞り部材を用いる構成をとるこ
とは困難である。

そこで本発明の目的は、インクリボンに過大な
張力を加えることなく、転写ムラをなくし均一な
品質の印字を可能にし、しかも多色印字装置にお
いても利用可能なインクリボンカセツトを提供す
ることにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明に係るイン
クリボンカセツトは、補給用のインクが含浸され
ているインクカートリツジと、インクカートリツ
ジと当接して当該インクカートリツジからインク
の補給を受けかつ一方向に回転する転写ローラ
と、転写ローラと接触してインクが転写されるイ
ンクリボンと、インクカートリツジからのインク
補給位置とインクリボンへのインク転写位置との
間で転写ローラに圧接して転写ローラ上のインク
をならすならし部材とを含むものであり、転写ロ
ーラに対し、インクカートリツジの当接位置とな
らし部材の圧接位置とインクリボンの接触位置と
が、転写ローラの回転方向に沿つて順に位置して
いる。

そして、このインクリボンはそれぞれ異なる色
彩のインクが含浸される複数の色帯からなり、複
数のインクカートリツジおよび転写面およびなら
し部材は、複数の色帯にそれぞれ対応するように
設けられている場合に特に効果的である。

［作用］ 本発明に係るインクリボンカセツトは転写ロー
ラに圧接するならし部材を設けているため、イン
クリボンに過大な圧力を加えることなく、転写ム
ラをなくすことができる。

さらに、複数の色帯を有するインクリボンを用
い多色印字を行なう際にも、各色彩をインクリボ
ンに転写するためのそれぞれの転写面に対してな
らし部材を設けているため、インクをならす際に
異なつた色彩が混り合うことはない。従つて、多
色印字装置においても、転写ムラをなくし印字品
質を高めることができる。

［実施例］ この発明の実施例について説明する。

第１，２図において、インクリボンカセツト１
の上ケース２と下ケース３により転写ローラ４が
回転自在に支持されている。この転写ローラ４は
その軸がモータ（図示せず）により回転駆動され
る。インクカートリツジ５のインク転移材６がこ
の転写ローラ４の外周面（転写面）に接触して、
インクカートリツジ内のインクを転写ローラに少
しづつ供給する。この転写ローラ４には転写ムラ
防止用のならし部材７が適当な圧力で接触してい
る。このならし部材７はこの例ではローラであ
り、ゴムあるいはプラスチツク材にて形成され
る。上ケース２と下ケース３に細長い軸受穴８，
９が設けられ、ここにならし部材７の軸１０，１
１がはめ込まれ、軸受穴の許容範囲で動きうる。
ならし部材７には、第３図示のバネ１２の腕が係
合され、転写ローラ４に向けて押圧されている。
転写ローラ４にはさらにインクリボン１３を案内
するバネ１４が適当な圧力で接触しており、転写
ローラ４の回転にともないインクリボンはインク
リボン収納部１５に送り込まれていき、蛇行して
収納される。他方、インクリボン１３のケースか
らの出口付近には押えバネ１６が設けられ、ケー
スから外に出た部分のインクリボン１３は一定の
張りをもたせてある。転写ローラ４の近くにはセ
パレータ１７が配置されてインクリボン１３の巻
き込みを防止している。

このように本発明では、転写ローラ４の回転に
伴なつて、インク転移材６、ならし部材７、イン
クリボン１３の順に転写ローラ４の転写面に接触
するように配置されている。

プリンタなどにおいて新たにプリントを開始す
る際、あるいはある程度時間をおいてプリントを
再開する場合、転写ローラ４のインク転移材６が
接触する部分にはインクが過剰についている。転
写ローラが第１図で時計方向に回るとき、ならし
部材７によりならされて、インクがいわば塗り延
ばされることとなり、転写ローラ４にむらなくイ
ンクが付着した状態でインクリボン１３に転写す
る。

上述の実施例ではならし部材としてローラを用
いているが、第４図示のように、フエト片、ある
いはゴム片をならし部材１８として用い、これを
バネ１９で支持するとともに転写ローラ４に押し
付けてもよい。また金属製あるいは合成樹脂製の
板バネをならし部材としてこれを直接転写ローラ
に接触させるようにしてもよい。

上述の実施例では単色のインクリボンカセツト
の例であるが、つぎに多色インクリボンカセツト
の例について説明する。第５，６図において、４
色のインクリボンカセツト２０では、４種類のイ
ンクをつめたインクカートリツジ２１ａ，２１
ｂ，２１ｃ，２１ｄが転写ローラ２２の回りに配
置されている。転写ローラ２２には４つの転写面
２３ａ，２３ｂ，２３ｃ，２３ｄがそれぞれ設け
られ、各インクカートリツジのインク転写材２４
ａ，２４ｂ，２４ｃ，２４ｄと接触している。下
ケース２５に設けたガイド柱２６，２７に第７図
のような形状のセパレータ２８がはめ込まれ、上
ケース２９との間で支持される。このセパレータ
２８に図示のように５本の腕３０をもつたバネ３
１が固着されている。各腕３０はその先端部でセ
パレータ２８との間でローラ形のならし部材３２
ａ，３２ｂ，３２ｃ，３２ｄの軸部を転写ローラ
２２方へ押圧しつつ支持する。各ならし部材３２
ａ，３２ｂ，３２ｃ，３２ｄはそれぞれ転写面２
３ａ，２３ｂ，２３ｃ，２３ｄと接触するもので
ある。転写ローラ２２にはさらにインクリボン３
４を案内するバネ３５が適当な圧力で接してお
り、さらにインクリボン収納部３６からの出口付
近には押えバネ３７が設けられている。

この実施例においても、転写ローラ２２の回転
に伴なつて、インク転写材２３ａ，２３ｂ，２３
ｃ，２３ｄ、ならし部材３２ａ，３２ｂ，３２
ｃ，３２ｄ、インクリボン３４の順に転写ローラ
２２に接触するように配置されている。

この実施例の動作は前記実施例の場合と同様で
あり、転写ローラ２２が第５図で反時計方向に回
転すると、各転写面２３ａ，２３ｂ，２３ｃ，２
３ｄにおける過剰インクはそれぞれならし部材３
２ａ，３２ｂ，３２ｃ，３２ｄよりならされてイ
ンクリボン３４に転写されていく。

この実施例ではならし部材にローラを用いてい
るが、第８図のように、バネ片３８の先端にフエ
ルト、ゴムなどのならし部材３９を固着したもの
を４本出して、それぞれの転写面２３ａ，２３
ｂ，２３ｃ，２３ｄと接触させてもよい。また金
属製、あるいは合成樹脂の板バネをならし部材と
して用いてこれを転写面に接触させてもよい。

以上の構成よりなる本発明によるインクリボン
カセツトによれば、転写ローラに付着しているイ
ンクが塗り延ばされ、インクリボンに均一に転写
され、印字が見やすいものとなる。

［効果］ 本発明に係るインクリボンカセツトは、インク
リボンではなく転写ローラに圧接するならし部材
を設けているため、インクリボンに過大な圧力を
加えることはない。そして、転写ローラの表面に
付着しているインクをならした後でインクリボン
に転写するため、転写ムラをなくすことができ、
印字品質を向上させることができる。しかも、イ
ンクは転写ローラに含浸されず表面に付着しただ
けの状態でならし部材が圧接されているため、十
分にインクがならされる。

さらに、複数の色帯を有するインクリボンを用
い多色印字を行なう際にも、各色彩をインクリボ
ンに転写するための各転写面に対してそれぞれな
らし部材を設けているため、インクをならす際に
異なつた色彩が混り合うことはない。従つて、多
色印字装置においても、転写ムラをなくし印字品
質を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の上ケースを外した
状態の平面図、第２図はその要部の側面図、第３
図はバネの斜視図、第４図は他の実施例の上ケー
スを外した状態の平面図、第５図はさらに他の実
施例の上ケースを外した状態の平面図、第６図は
その要部の側面図、第７図はバネを固着した状態
のセパレータの斜視図、第８図はさらに他の実施
例の要部の平面図である。 １……インクリボンカセツト、４……転写ロー
ラ、５……インクカートリツジ、７……ならし部
材、１３……インクリボン、２０……インクリボ
ンカセツト、２１ａ，２１ｂ，２１ｃ，２１ｄ…
…インクカートリツジ、２２……転写ローラ、２
３ａ，２３ｂ，２３ｃ，２３ｄ……転写面、３２
ａ，３２ｂ，３２ｃ，３２ｄ……ならし部材、３
４……インクリボン、３９……ならし部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 補給用のインクが含浸されているインクカー
   トリツジと、上記インクカートリツジと当接して
   当該インクカートリツジから上記インクの補給を
   受けかつ一方向に回転する転写ローラと、上記転
   写ローラと接触して上記インクが転写されるイン
   クリボンと、上記インクカートリツジからのイン
   ク補給位置と上記インクリボンへのインク転写位
   置との間で上記転写ローラに圧接して上記転写ロ
   ーラ上のインクをならすならし部材とを含み、 上記転写ローラに対し、上記インクカートリツ
   ジの当接位置と上記ならし部材の圧接位置と上記
   インクリボンの接触位置とが上記転写ローラの回
   転方向に沿つて順に位置しているインクリボンカ
   セツト。 ２ 上記インクリボンはそれぞれ異なる色彩のイ
   ンクが含浸される複数の色帯からなり、複数の上
   記インクカートリツジおよび上記転写ローラの転
   写面および上記ならし部材は、上記複数の色帯に
   それぞれ対応するように設けられている特許請求
   の範囲第１項のインクリボンカセツト。 ３ 上記ならし部材はローラである特許請求の範
   囲第１項または第２項のインクリボンカセツト。 ４ 上記ならし部材はフエルト片である特許請求
   の範囲第１項または第２項のインクリボンカセツ
   ト。 ５ 上記ならし部材は板バネである特許請求の範
   囲第１項または第２項のインクリボンカセツト。