JPH0380112B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は転写型感熱記録装置に関し、特にライ
ンサーマルヘツドと該ラインサーマルヘツドに対
応するインクドナーフイルムおよびバツクローラ
とによつて構成される色転写感熱記録部を２色分
以上有し、該各記録部で当該色の画情報の転写を
それぞれ独立に行うとともにこれら各色転写画情
報の重ね合せによつてカラー原稿の記録を行う多
色転写型感熱記録装置に関する。

〔従来技術〕

第１図は従来の多色転写型感熱記録装置の一構
成例を概念的に示した略図である。該多色転写型
感熱記録装置はそれぞれ色の異なるインクドナー
フイルム（以下IDFと略す）すなわちイエロー
IDF1、シアンIDF2、マゼンタIDF3、当該各色
IDF1、２、３の供給ローラ１１，１２，１３お
よび巻取りローラ２１，２２，２３、当該各色
IDF1、２、３に対応してそれぞれ独立に配設さ
れるラインサーマルヘツド３１，３２，３３およ
びバツクローラ４１，４２，４３とにより構成さ
れるそれぞれ独立した３色の転写感熱記録部すな
わちイエロー記録部１０、シアン記録部２０、マ
ゼンタ記録部３０を直列的に配列して成つてい
る。該装置において記録開始操作がなされると前
記イエローIDF1、シアンIDF2、マゼンタIDF3
は、それぞれ図示しない圧接機構に連結されてい
る前記各ラインサーマルヘツド３１，３２，３３
により各バツクローラ４１，４２，４３に圧接さ
れるとともに、それぞれの供給ローラ１１，１
２，１３から巻取りローラ２１，２２，２３への
巻取りが開始される。これと同時に、図示しない
記録用紙供給ローラからは記録用紙Ｐの搬送が開
始されまず前記イエロー記録部１０のイエロー
IDF1、バツクローラ４１間に供給され以後は上
述した如く該バツクローラ４１に圧接され予め搬
送されている当該イエローIDF1との摩擦力によ
り搬送される。そしてこの時該記録用紙Ｐには任
意カラー原稿のイエロー画情報に応じ選択的に駆
動されるラインサーマルヘツド３１の所要発熱個
所で前記イエローIDF1のインクが融解転写され
まずイエロー画情報のみ記録がなされる。当該イ
エロー画情報の記録がなされた記録用紙Ｐは次に
シアン記録部２０のシアンIDF2、バツクローラ
４２間に供給され、上述したと同様の方法により
シアン画情報により駆動されるラインサーマルヘ
ツド３２の所要発熱個所でシアンIDF2のインク
の融解転写によるシアン画情報の記録がなされ
る。更に当該イエロー画情報およびシアン画情報
の記録がなされた記録用紙Ｐはマゼンタ記録部３
０のマゼンタIDF3、バツクローラ４３間に供給
され上述と同様の方法で、マゼンタ画情報が加え
られるラインサーマルヘツド３３とマゼンタ
IDF3とによりマゼンタ画情報の記録なされた後
排紙トレイ５０に排紙される。このようにそれぞ
れ異なる色の転写感熱記録部を直列的に配列し、
当該各記録部を一枚の記録用紙を順次搬送させつ
つそれぞれ異なるインク色の転写を独立に行うと
ともにこれら転写インクの例えば減色混合によつ
て７色のカラー記録を行う多色転写型感熱記録装
置においては、他の記録装置に比べ記録速度が速
いという利点がある反面前記各記録部における記
録用紙送り量の微細な差がそのまま記録品質の低
下につながるという不都合があつた。このような
記録用紙の送り量の差は前記各記録部の各IDF供
給ローラおよび各バツクローラの製造工程におけ
る微少な径の差および汚れ状態あるいは各記録部
の印字比率の差等により容易に発生するものであ
つた。

〔発明の目的〕

本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり
前記諸要因により各記録部における記録用紙の送
り量に差が生じた場合にもこれを補正できもつて
該各記録部間での各色インクの転写位置ズレのな
い良好な記録画像を常に安定して得ることのでき
る多色転写型感熱記録装置を提供することを目的
とする。

〔発明の構成〕

そこで本発明においてはまず各IDFの巻取りロ
ーラにスリツプクラツチを具備したテークアツプ
ローラを採用し前記各IDFを一定のトルクでスリ
ツプさせつつ巻取るようにし当該記録部における
記録用紙Ｐと各IDF間に発生するスリツプを低減
しこれら両者をほぼ同量の送り量で搬送できるよ
うにしている。そしてこれら各IDFの送り量を該
各IDFの搬送を伴つて回転する検知ローラの回転
角から検出し、更にこの検出値から当該記録部に
おける記録用紙の送り量を算出しこれら各送り量
と前記記録用紙の基準送り量を比べ、前記各記録
部で該基準送り量の1/n相当の送り量が増減した
場合に該送り量1/nを補正すべく前記記録用紙Ｐ
の搬送に与かる各バツクローラの駆動用ステツプ
モータに加える駆動パルスを制御し当該バツクロ
ーラで搬送される記録用紙Ｐの送り量を前記各記
録部で同一の値（基準送り量）に保つことにより
上述した如くの転写位置ズレによる記録品質の低
下を防止するようにしている。

〔実施例〕

以下本発明の実施例を添付図面にもとづいて詳
細に説明する。第２図は本発明の一実施例を示す
多色転写型感熱記録装置の概略構成図であり第１
図に示した従来装置と同様の機能を果すものにつ
いては同一の符号を符している。該装置によれば
スリツプクラツチを具備したそれぞれイエロー
IDF1、シアンIDF2、マゼンタIDF3を巻取るため
のテークアツプローラ７１，７２，７３、また当
該各色IDF1、２、３の送り量を検出するための
IDF搬送量検出ローラ８１，８２，８３が新たに
配設されている。以下これら各テークアツプロー
ラ７１，７２，７３およびIDF搬送量検出ローラ
８１，８２，８３の構成、機能について詳述す
る。まず前記テークアツプローラ７１は第３図に
示す如くに構成（テークアツプローラ７２，７３
も同構成）される。

すなわち前記イエローIDF1が巻回されるロー
ラ軸７１０と両端フレーム７１１とから成るロー
ラ部はフレーム軸７１２に固定されており該フレ
ーム軸７１２には電磁クラツチ７１３がその長軸
方向にのみ摺動自在に貫入されている。また前記
ローラ軸７１０はベアリング７１４を介して磁性
体ローラ７１５に遊嵌されており更に該磁性体ロ
ーラ７１５にはプーリー７１６、該プーリー７１
６を摺動自在に挾持するスリツプクラツチ板７１
７、仕切板７１８およびスプリング７１９がやは
り摺動自在に外嵌されている。ここで前記プーリ
ー７１６とスリツプクリツチ板７１７とは仕切板
７１８を介してスプリング７１９の弾性力により
前記磁性体ローラ７１５に圧接されており該プー
リー７１６はまたベルトＢを介して図示しない駆
動源に連結されている。該テークアツプローラ７
１において扱者が図示しない駆動スイツチをオン
にすることにより前記プーリー７１６駆動用の駆
動源が回動され該回動により回送される前記ベル
トＢに追従して当該プーリー７１６が回転され
る。この時該プーリー７１６にスプリング７１９
の弾性力で圧接されているスリツプクラツチ板７
１７および磁性体ローラ７１５も該プーリー７１
６の回転に追従して一緒に回転される。この時前
記電磁クラツチ７１３はまた励磁されておらず前
記磁性体ローラ７１３から分離されているためロ
ーラ軸７１０、フレーム７１１およびフレーム軸
７１２は前記プーリー７１６の回転に追従せずイ
エローIDF1の巻取りは停止された状態にある。
次に扱者が記録開始操作を行うと前記電磁クラツ
チ７１３が励磁されて前記磁性体ローラ７１５に
吸着する。

これによつて前記ローラ軸７１０、フレーム７
１１、フレーム軸７１２も前記プーリー７１６の
回転に追従して回動しバツクローラー４１の回動
に伴つて搬送されるイエローIDF1の巻取りが開
始される。

ところで上述したように前記プーリー７１６と
スリツプクラツチ板７１７および磁性体ローラ７
１５はスプリング７１９の弾性力により圧着され
ているのみであるから前記IDF1の巻取りに際し、
該IDF1に前記スプリング７１９の弾性力によつ
て発生する前記プーリー７１６とスリツプクラツ
チ板７１７との摩擦力で規定されるトルク以上の
テンシヨンが加わると上述した理由により該プー
リー７１６とスリツプクラツチ板７１７間でスリ
ツプが生じ前記ローラ部が該当プーリー７１６の
回転に追従できなくなるため該IDF1はそれ以上
のテンシヨンで巻取られることはない。

このためイエロー記録部１０における記録用紙
ＰとイエローIF1との送り量は全く同量となる。
以上述べたテークアツプローラ７１の構成および
機能はテークアツプローラ７２，７３についても
全く同様であるため、シアン記録部２０およびマ
ゼンタ記録部３０における前記記録用紙Ｐの送り
量はそれぞれシアンIDF2およびマゼンタIDF3の
送り量と同量となる。このような条件の下では前
記各IDF1、２、３の送り量を検出することによ
つて当該各記録部１０，２０，３０における記録
用紙Ｐの送り量をも検出できる。そして本発明で
はこの各記録部における各IDF1、２、３の送り
量を該各IDF1、２、３を挾持して配設されるそ
れぞれ１対のローラから成るIDF搬送量検出ロー
ラ８１，８２，８３の回転角から検出するように
している。第４図ａは前記IDF1搬送量検出ロー
ラ８１の回転角検出器８１０の一構成例（検出ロ
ーラ８２，８３の回転角検出器８２０，８３０も
同構成）を示す略図であり例えば前記検出ローラ
８１の回転シヤフト８１１に周知のインクリメン
タルシヤフトエンコーダを取り付けて構成され
る。このインクリメンタルシヤフトエンコーダは
透明部分と不透明部分とが均一なピツチで形成さ
れる回転板８１２と該回転板８１２を挾んで対向
配列される発光素子８１３および受光素子８１４
から構成され前記回転板８１２が前記検知ローラ
８１の回動に伴つて回転する時に発光素子８１３
から照射され光が該回転板８１２およびスリツト
板８１５を介して受光素子８１４で受光される時
の当該受光素子８１４の出力によつて該回転板８
１２の回転状態に応じた同図ｂに示す如くのパル
ス列を発生する。従つてこのパルス数をカウント
することにより該カウント値に応じた検知ローラ
８１の回転角を得ることができ更に該回転角から
前記イエロー記録部１０におけるイエローIDF1
の送り量すなわち前記記録用紙Ｐの送り量を検出
することができる。また前記回転角検出器８１０
と同構成の回転角検出器８２０，８３０を前記
IDF2搬送量検出ローラ８２およびIDF3搬送量検
出ローラ８３の各シヤフトにも配設しこれにより
当該シアン記録部２０、マゼンタ記録部３０にお
ける記録用紙Ｐの各送り量を検出することができ
る。ところで本発明の前記記録用紙Ｐの送り方法
および送り量補正方法は以下のようなものとす
る。まず前記記録部における記録用紙Ｐの搬送に
与かる各バツクローラ４１，４２，４３の回転条
件は当該各バツクローラ４１，４２，４３を駆動
する各ステツプモータに例えば５パルスを加える
ことによつて前記記録用紙Ｐを基準送り量例えば
１／８mmだけ送ることができるようにする。また前
記各色IDF搬送量検出ローラ８１，８２，８３の
回転角検出器８１０，８２０，８３０には前記記
録用紙Ｐの基準送り量1/8mm1/5（ｎ＝５）すなわ
ち１／８×１／５＝１／40mmを送るために要する前記各
検 出ローラ８１，８２，８３の回転角を検出できる
ようなものを用い前記各記録部における記録紙Ｐ
の基準送り量からの1/40mm相当分の送り量変動を
検出し該1/40mm単位の送り量補正を行う。このた
め、前記検知ローラ８１，８２，８３の各径が例
えば20mmのものを用いる場合には下式 １／８×１／５：20π＝θ：360° からθ＝0.14°以下を検出できるようなものすな
わち257（＝360°÷0.14°）パルス／回転以上の分解
能を有するものを用いる。次に前記各記録部にお
ける記録用紙Ｐの送り量補正制御をイエロー記録
部１０を例にとつて説明する。

第５図は上述のイエロー記録部記録用紙送り量
補正制御回路の一構成例をブロツク図で示したも
のである。該装置において扱者によりまず記録開
始操作がなされると駆動制御部９１からバツクロ
ーラ駆動回路９２に制御パルスが送出される。そ
うすると該駆動回路９２から前記バツクローラ４
１駆動用のステツプモータ４１０に所定の駆動パ
ルスが送出され当該バツクローラ４１が回動され
ることによつて前記記録用紙Ｐおよびイエロー
IDF1の搬送が開始される。このIDF1の搬送に伴
つてIDF1搬送量検出ローラ８１が回動され該ロ
ーラ８１の回転角検出器８１０からは当該IDF1
の送り量すなわち前記記録用紙Ｐの送り量に応じ
たパルスが発生される。そして該パルスはカウン
タC₁によつてカウントされた後用紙送り用算出
回路９４に加えられ所定演算によつて前記記録用
紙Ｐの実際の送り量が算出され該送り量は更に比
較器９５に加えられる。一方前記駆動制御部９１
からバツクローラ駆動回路９２に加えられる制御
パルスはカウンタC₀によりカウントされ後記録
用紙送り量算出回路９３に加えられ所定演算によ
つて当該パルス数が前記ステツプモータ４１０に
加えられた時に回動するバツクローラ４１によつ
て送られるべき基準の記録用紙送り量が算出され
上記同様比較器９５に加えられる。そして該比較
器９５では前記記録用紙Ｐの基準送り量と実際の
送り量とを比較し、前記実際の送り量が前記基準
の送り量より1/40mm分少ないものであつた場合に
は前記バツクローラ駆動回路９２に１パルス追加
信号を送出する。これによつて該駆動回路９２か
らステツプモータ４１０に加えられる前記記録用
紙Ｐの１ライン走査時における印加パルスは５パ
ルスから６パルスにふやされ当該１走査時におけ
る前記バツクローラ４１での記録紙Ｐの送り量を
６×１／40（＝１／８＋１／40）mmとし前記記録用紙Ｐ
の 基準送り量1/8mmより1/40mm多く搬送する。また
反対に前記比較器９５における比較の結果実際の
送り量が基準の送り量より1/40mm相当多い場合に
は当該比較器９５から駆動回路９２にパルス削減
信号を送出し、当該記録用紙Ｐの次の１ライン走
査時にステツプモータ４１０に加える駆動パルス
を５パルスから４パルスに減らしこの時前記バツ
クローラ４１による当該記録用紙Ｐの送り量を４
×１／40（＝１／８−１／40）mmとし記録用紙Ｐの基準
送 り量1/8mmより1/40mm少ない送り量の搬送を実行
する。このような記録用紙搬送量補正を行うこと
によつて当該イエロー記録部１０における記録用
紙ｐの送り量を常に基準送り量と同じくすること
ができる。また上述した如くの記録用紙送り量補
正制御回路をシアン記録部２０、マゼンタ記録部
３０にも同様に構成し上述した如くの制御を行え
ば、前記各記録部における記録用紙送り量を全て
前記基準送り量に一致させることができ従来のよ
うな前記各記録部間の転写位置ズレを低減でき印
字品質の向上に貢献できる。

また、上述した如くの1/40mm程度の補正では肉
眼では識別がほとんど不可能であり前記転写ズレ
補正のための補正量としては十分である。尚、本
発明では、イエロー、シアン、マゼンタの３色記
録部を有する場合の記録装置における実施例につ
いてのみ説明したが２色あるいは４色の記録装置
についても適要できるのは勿論である。

〔発明の効果〕 以上説明したように本発明の多色転写型感熱記
録装置によれば記録用紙の基準送り量の1/n相当
の記録用紙送り量ズレを補正でき各記録部の送り
量を常に基準送り量に一致させることができるた
め各記録部における転写位置ズレのない品質良好
な記録画像を安定して得ることができるという優
れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の多色転写型感熱記録装置の一構
成を示す略図、第２図は本発明の一実施例を示す
多色転写型感熱記録装置の概略構造図、第３図は
各テークアツプローラの概略構造を示す図、第４
図は各IDF搬送量検出ローラの回転角検出器の一
構成例を示す略図、第５図は本発明における各記
録部記録用紙送り量補正制御回路の一構成例をブ
ロツク図で示したものである。 ７１，７２，７３……テークアツプローラ、８
１，８２，８３……IDF搬送量検出ローラ、８１
０，８２０，８３０……IDF搬送量検出ローラ回
転角検出器、９１……装置駆動制御部、９２……
バツクローラ４１駆動回路、９３，９４……記録
用紙送り量算出回路、９５……比較器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱融解性あるいは熱昇華性インクを塗布した
   インクドナーフイルムと記録用紙とを重ね合わ
   せ、これらをバツクローラとラインサーマルヘツ
   ドとの間で挟持して搬送しつつ前記ラインサーマ
   ルヘツドから前記インクドナーフイルムに画情報
   に応じて選択的に熱エネルギーを供給するように
   した記録部を複数有し、前記記録用紙を前記各記
   録部のそれぞれを経て順次搬送することにより多
   色記録を行う多色転写型感熱記録装置において、 ステツプモータを駆動源として前記バツクロー
   ラを回転駆動することにより前記記録用紙を搬送
   する記録用紙搬送手段と、 該記録用紙搬送手段による前記記録用紙の搬送
   に合わせて前記バツクローラと前記サーマルヘツ
   ド間を通過する前記インクドナーフイルムを一定
   のトルクでスリツプさせつつ巻取るインクドナー
   フイルム駆動手段と、 該インクドナーフイルム駆動手段により巻き取
   り中のインクドナーフイルムの送り量を検出する
   送り量検出手段と、 該送り量検出手段の検出値から求められる記録
   用紙送り量と記録用紙基準送り量との比較結果に
   応じて前記記録用紙搬送手段を制御し、前記記録
   用紙の実際の送り量が前記記録用紙基準送り量と
   常に等しくなるように補正する記録用紙送り量補
   正制御手段と を具備することを特徴とする多色転写型感熱記録
   装置。 ２ インクドナーフイルム駆動手段は、テークア
   ツプローラを用いて構成されることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の多色転写型感熱記録
   装置。