JPH0379213B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動車用のブレーキ装置におけるマス
ターシリンダに関し、特に、軸線方向に延在しか
つリザーバからの流体を受容する孔を具えたハウ
ジングと、上記ハウジング内に一線をなして摺動
自在に収容され、ブレーキ作動時に一対の圧力室
内に流体圧力を生起する一対のピストンと、上記
ハウジングから延出するように第１の軸線方向の
端部をハウジングに固着された独立した円筒状の
ベアリングとを備え、一方のピストンがベアリン
グ内に摺動自在に案内されて孔の開口端を閉鎖
し、他方のピストンが内方スリーブにより上記孔
内に案内され、上記ベアリングがスリーブとで、
休止位置においてリザーバと一方の圧力室とを流
体的に連通させる通路を形成しているタイプのマ
スターシリンダに関するものである。

米国特許第4249381号において、ブレーキ作動
中に、一対の固定シール部材に対して一対のピス
トンが移動することによりハウジングから流体を
移送して流体圧力を生起するようにしたマスター
シリンダが開示されている。この装置において、
ハウジングの孔は、一対のピストンと、上記シー
ル部材に協働するスリーブと、上記ピストンの一
方を支持すると共にスリーブを上記孔の定位置に
保持するベアリングとを具えている。更に、ハウ
ジングの孔は、相当の長さに亘つて一対の圧力室
の一方に生起された流体圧力に曝されるようにな
つている。

本発明の一つの目的は、ハウジングの長さを縮
少してマスターシリンダの重量及びサイズを減少
すると共に、一方の圧力室内に生起される流体圧
力に曝されるハウジングの孔の部分の長さを短縮
して、起り得べき漏洩面積を減少することによ
り、上記公知装置の構造を改良することである。

上記目的を達成するため、本発明は、上述した
タイプのマスターシリンダにおいて、上記通路が
上記ハウジングの孔とは独立して上記スリーブの
外面と上記ベアリングの内面との間に配設される
とともに、上記第１及び第２の軸線方向の端部間
で延在して低圧流体を常時連通させるようにし、
上記一方のピストンが上記ハウジングから軸線方
向に離れて上記ベアリングの第２の軸線方向の端
部に摺動自在に支持されていることを特徴として
いる。

本発明の一つの利点は、上記ベアリングをハウ
ジングの外側において上記一方の圧力室の境界と
して使用することにより、ハウジングの長さを短
縮し得ることである。

又、ベアリングをハウジングの孔に対して密封
的に係合させて、ハウジング孔の小さい面積の部
分が、一方の圧力室内に生起される流体圧力に曝
されるようにすることによつて、追加の利益が得
られる。

以下、本発明の一実施例を添付図面について詳
細に説明する。

マスターシリンダ１０は、その内部に底壁１６
から開口端まで延在した孔１４を具えたハウジン
グ１２を有している。一対の孔２０及び２２が孔
１４と交差し、リザーバ２４から孔１４にブレー
キ流体を連通させている。リザーバ２４は、プラ
スチツク材料製であつて、ハウジング１２に対し
ての取付具となるタブ２６を具えている。しかし
ながら、本発明は、ハウジングがリザーバと一体
に作られたものにも均等に適用し得るものであ
る。

孔１４は、底壁１６に隣接する小径部分２８か
ら開口端１８に隣接する大径のねじ部分３０との
間に複数の直径部分を有する段付孔として形成さ
れている。一対のピストン３２及び３４がブレー
キ作動中に、移動し得るように孔１４内に収蔵さ
れている。ピストン３２は開口端１８から外方に
延びていて図示しない入力部材と協働し、又ピス
トン３４は孔１４内に封入されている。一対のシ
ールリング３６及び３８が一対のピストン３２及
び３４と協働し、従つてこれらのピストンが固定
のシールリングに対して移動することによつて、
一対の圧力室４０及び４２内に流体圧力が生起さ
れる。圧力室４０及び４２は、後述するように、
夫々対応するブレーキ回路（図示せず）に流体圧
力を連通させる。

ベアリング５０は、その第１の端部５２をねじ
部分３０に螺合して固定され、又第２の端部５４
がピストン３２に係合して同ピストンを支持す
る。第２端部は第１端部より曲率半径が小さく、
その半径方向内方に延びた部分がピストン３２に
係合し、かつ又シールリング３６に対向する。ピ
ストン３２はノツチ５６を具え、又シールリング
３６は、上記ノツチ５６内に入りこむことによつ
て、マスターシリンダが車両に装着される以前に
ピストン３２をベアリング５０に対して軽く保持
するための、半径方向内方のリツプを具備してい
る。装着時に、ピストン３２が内方に移動され、
上記リツプはノツチ５６から外れる。ベアリング
５０は、第１端部５２の前端から第２端部まで延
在した複数の軸線方向に延びた溝６４を具えてい
る。溝６４は前端部においてスロツト６６と整合
し、従つて溝６４は、上記前端部と孔１４との間
の中間の円周方向スペース６８及び前記開口２０
を経てリザーバ２４に連通している。第２端部５
４はスリーブ７２を収容する凹所（又はアンダカ
ツト）７０を具え、又ベアリングの前端部がスリ
ーブ７２に当接して、同スリーブを孔１４内で定
位置に配設する。スリーブ７２は、溝６４を介し
ベアリング５０と協働して第１端部５２から第２
端部５４まで延びた通路６５を形成し、同通路６
５は、シールリングを通りピストン３２の前端に
設けられたノツチ７４を経てリザーバ２４を圧力
室４０に連通させる。

シール装置５８がベアリング５０の端部５４に
支持されており、同シール装置はカラー６０とシ
ール６２とからなつている。シール６２はベアリ
ング５０の右端の溝６３に嵌合し、又カラー６０
は凹所６１内に支持され、同カラーの内方端縁５
９がシール６２を上記溝６３内に保持する。

２部材からなるばね保持装置７６がピストン３
２と３４との間に延在して、スプリング７８を支
持している。ピストン３４は、その前端部分にノ
ツチ８０を具えており、同ノツチは、ピストン３
４がその休止位置にあるとき、圧力室４２とリザ
ーバとの間を孔２２を介して直接に連通させるも
のである。スリーブ７２は、シール８４を介して
孔１４に密封的に係合し、かつ圧力室４０と圧力
室４２とを密封するようにシール８６を介してピ
ストン３４と係合する一体的な支持部８２を具え
ている。支持部８２は又、孔１４内でピストン３
４の中心を定め、同ピストン３４がシール３８を
通つて移動し得るようにするものである。スプリ
ング８８がピストン３４の後端９０と支持部８２
との間に介装され、支持部８２を孔１４内の定位
置に保持する。

スリーブ７２の前端部分には孔９２が設けら
れ、一方ピストン３４には孔９４が設けられてい
るので、圧力室４０内の流体は制動時に出口４４
から押し出される。スリーブ７２の前端は、シー
ル８４に対向して同シールを出口４４に隣接した
同出口の一側における孔１４内に保持し、又同ス
リーブ７２は、シール９８に対向して同シールを
出口４４に隣接した同出口の他側において孔１４
内に定置する肩部９６を具えている。シール９８
は又、シール１００と協働して、孔２０と通路６
５を密封的に連通させる。スリーブ７２の後方端
にはリテーナ７３が支持され、同リテーナ７３は
ベアリング５０の第２端部と協働してシールリン
グ３６を定置する。

一対のピストン３２及び３４が図示の休止位置
にあるとき、一対の圧力室４０及び４２はリザー
バ２４と流体的に連通している。圧力室４０は、
ノツチ７４、シール溝１０２、スリーブ７２とベ
アリング５０との間に形成されベアリングの隙間
に通ずる逃げ道１０４、凹所７０、通路６５、ス
ロツト６６、円周方向のスペース６８及び孔２０
を経てリザーバ２４に連通する。一方、圧力室４
２は、ノツチ８０、シール溝１０６、円周方向の
スペース１０８及び孔２２を経てリザーバ２４に
連通する。ブレーキ作動中、ピストン３２が移動
してノツチ７４とシール溝１０２との間の連通を
遮断し、圧力室４０内に封じ込められた流体が圧
縮されて同室内に流体圧力が生起する。実質的に
同時に、ピストン３４が、圧力室４０内に生起さ
れた流体圧力及びスプリング７８の力に応じて、
スプリング８８を圧縮して移動し、ノツチ８０及
びシール溝１０６の連通を遮断する。この結果、
圧力室４２内に封じ込められた流体が圧縮されて
同室内に流体圧力が生起する。ブレーキ作動が終
了すると、スプリング７８及び８８が休止位置に
向つて弾性的に伸長し、ピストンはそれらの休止
位置に復帰する。

ベアリング５０及びスリーブ７２が開口端１８
から外方に延在しているので、圧力室４０の一部
をハウジングの外部に形成することができ、従つ
てハウジングは従来技術のものよりも短縮され
る。ベアリング及びスリーブが、ハウジングの孔
の軸線方向外方に部分的に配設されるだけでな
く、ピストン３２が、シールリング３６と共に、
休止位置においてハウジングの孔から完全に外方
に配設され、更に又ピストン３４も、休止位置に
おいて、部分的にハウジングの孔の軸線方向外方
に配設される。

図示のように、スリーブ７２は、シール８４と
９８を、ハウジングの孔の軸線方向の全長に関し
相互に比較的に接近して位置せしめる（図示の実
施例では約１：５である）。これらのシール間の
小さい間隔の故に、圧力室４０内に生起される流
体圧力に曝されるハウジング孔の部分が狭い範囲
になる。この結果、シール９８の右側のハウジン
グ孔には何等圧力が作用せず、シール９８の右側
のハウジングにおける如何なる弱点も、マスター
シリンダの外部に流体圧力を漏洩させるような欠
陥とはならない。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明の一実施例を示す断面図であ
る。 １２…ハウジング、１４…孔、３２，３４…ピ
ストン、４０，４２…圧力室、５０…ベアリン
グ、７２…スリーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軸線方向に延在しかつリザーバ２４からの流
   体を受容する孔１４を具えたハウジング１２と、
   上記ハウジング１２内に一線をなして摺動自在に
   収容され、ブレーキ作動時に一対の圧力室４０，
   ４２内に流体圧力を生起する一対のピストン３
   ２，３４と、上記ハウジング１２から延出するよ
   うに第１の軸線方向の端部５２をハウジング１２
   に固着された独立した円筒状のベアリング５０と
   を備え、一方のピストン３２がベアリング内に摺
   動自在に案内されて孔の開口端１８を閉鎖し、他
   方のピストン３４が内方スリーブ７２により上記
   孔１４内に案内され、上記ベアリング５０がスリ
   ーブ７２とで、休止位置においてリザーバ２４と
   一方の圧力室４０とを流体的に連通させる通路６
   ５を形成しているマスターシリンダにおいて、上
   記通路６５が上記ハウジングの孔１４とは独立し
   て上記スリーブ７２の外面と上記ベアリング５０
   の内面との間に配設されるとともに、上記第１及
   び第２の軸線方向の端部５２，５４間で延在して
   低圧流体を常時連通させるようにし、上記一方の
   ピストン３２が上記ハウジング１２から軸線方向
   に離れて上記ベアリング５０の第２の軸線方向の
   端部５４に摺動自在に支持されていることを特徴
   とするマスターシリンダ。 ２ 上記通路６５が少なくとも１つの軸線方向に
   延びた溝６４により形成されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載のマスターシリン
   ダ。 ３ 上記ベアリングの第２の端部５４が、上記第
   １端部５２より曲率半径の小さい半径方向内方部
   分に、上記スリーブ７２を受容するとともに、上
   記リザーバ２４から上記一方の圧力室４０に延び
   る上記通路６５の一部をなす凹部７０を設けたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項
   記載のマスターシリンダ。 ４ 上記通路６５を経て上記リザーバ２４と上記
   一方の圧力室４０とを流体的に連通させるハウジ
   ング内の第１の孔２０と、上記リザーバ２４と上
   記他方の圧力室４２とを流体的に連通させるハウ
   ジング内の第２の孔２２との間の軸線方向の距離
   が、上記他方のピストン３４の軸線方向の長さよ
   り小さいことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   乃至第３項の何れか１項に記載のマスターシリン
   ダ。 ５ 上記一対のピストン３２，３４が休止位置に
   あるとき、一方のピストン３２がハウジング孔１
   ４の軸線方向外側に配設されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項乃至第４項の何れか１
   項に記載のマスターシリンダ。 ６ 上記他方のピストン３４が休止位置にあると
   き、同ピストンの端部がハウジング孔１４の軸線
   方向外側に位置せしめられることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項乃至第５項の何れか１項に記
   載のマスターシリンダ。 ７ 上記一方のピストン３２が掛け止め装置３
   ６，５６により上記ベアリング５０から抜出すこ
   とを阻止されるが、ベアリング５０がハウジング
   １２に固着された後は、ベアリング５０内へ装入
   できることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃
   至第６項の何れか１項に記載のマスターシリン
   ダ。 ８ 上記スリーブ７２が、ハウジング孔１４の軸
   線方向の長さより実質的に小さい軸線方向距離を
   互いに離れるように一対のシール８４，９８を定
   置し、上記ハウジング孔１４が上記軸線方向距離
   にわたつてのみ上記一方の圧力室４０内に生起さ
   れた流体圧力に曝されることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項乃至第７項の何れか１項に記載の
   マスターシリンダ。