JPH0376652B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は繰り返し単位の主体がエチレンテレフ
タレートで構成されている熱可塑性ポリエステル
樹脂による中空成形体に関するものであり、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂を利用して得られる
二軸延伸ブロー成形体たる中空成形体が具備する
機械的特性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、無
毒性等の諸特性を低下させることなく、更に遮光
性においても優れた性質を有する着色中空成形体
を提供するものである。 繰り返し単位の主体がエチレンテレフタレート
で構成されている熱可塑性ポリエステル樹脂によ
る二軸延伸ブロー成形体は機械的特性が優れてい
ること、水分やガスの遮断性に良いこと、耐薬品
性、保香性に優れていること、更には無毒性、か
つ軽量である等の諸特性を具備していることによ
り、液状調味料等の食料品用容器、医薬品用容
器、化粧料用容器等として近年広範囲の分野にお
ける各種包装容器として利用されているが、その
大部分が、ポリエチレンテレフタレート製中空成
形体のもう一つの特性である透明性が活性され
た、すなわち、内部の充填物がそのまま視認され
るような無着色透明な中空成形体として利用され
ているのが現状である。 ところで前記無着色透明な中空成形体は、その
透明性が優れており、美麗な外観を呈するもので
はあるが、色彩観点からの意匠性が無いばかり
か、可視光線や紫外線に晒されて品質が低下した
り劣化したりするものを充填するための容器とし
ては不都合であり、特に前記ポリエチレンテレフ
タレート樹脂の二軸延伸ブロー成形体たる中空成
形体が高度の耐圧特性を具備している点において
ビール用容器としても利用し得る強度を有してい
るにも拘らず、遮光性がないことにより、その分
野での利用に制限を受けているのが実状である。 もつとも、例えば特開昭53−12952号公報や特
開昭56−49750号公報には、染料や顔料が配合さ
れているポリエチレンテレフタレート樹脂による
中空成形体とすることにより、色彩観点において
の意匠性に優れたものを得ることや、特開昭56−
16546号公報には、酸化チタンやカーボンブラツ
ク等の隠蔽力に優れた無機質顔料を配合したポリ
エチレンテレフタレート樹脂による中空成形体と
することにより、遮光性を有する成形体を得るこ
とが示されているが、前二者の公開公報に示され
ている中空成形体は、遮光性については全く意図
されてなく、もちろん遮光性を満足するものでは
なく、また後者の公開公報によるものは、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂中に配合される酸化チ
タンやカーボンブラツクが、成形用原料たるポリ
エチレンテレフタレート樹脂の結晶化速度を促進
する核剤として作用するものである関係上、中空
成形体を二軸延伸ブロー成形法で得る場合には、
中空成形体として満足されるような整然とした形
状のものが得られ難いばかりでなく、その製作工
程たる成形サイクルが大幅に遅くなるため、工業
的規模による大量生産が困難である等の欠点を有
している。 本発明は特許請求の範囲に記載せるような構成
の熱可塑性ポリエステル製中空成形体、すなわ
ち、無機質系充填成分として二酸化チタン成分と
雲母成分とを含有する熱可塑性ポリエステル樹脂
の二軸延伸ブロー成形体たる熱可塑性ポリエステ
ル製中空成形体において、前記熱可塑性ポリエス
テル樹脂は、繰り返し単位の主体がエチレンテレ
フタレートで構成されているポリエチレンテレフ
タレートであり、前記二酸化チタン成分と雲母成
分とは、前記熱可塑性ポリエステル樹脂100重量
部に対して、二酸化チタン成分0.5〜3.0重量部、
雲母成分0.3〜2.0重量部であり、かつ雲母成分は
二酸化チタン成分の50重量％以上配合されている
熱可塑性ポリエステル樹脂の二軸延伸ブロー成形
体たる中空成形体とすることにより、機械的特性
が優れていること、水分やガスの遮断性が良いこ
と、耐薬品性や保香性に優れていること、無毒性
かつ軽量である等のポリエチレンテレフタレート
樹脂による熱可塑性ポリエステル製中空成形体が
本来具備する諸特性を何ら犠牲にすることなく、
しかも色彩観点における意匠性に優れ、かつ遮光
性にも優れた性質を有する熱可塑性ポリエステル
製中空成形体であり、更には、ポリエチレンテレ
フタレート樹脂による無着色、透明な熱可塑性ポ
リエステル製の二軸延伸ブロー成形体を得る際と
何ラ変わらぬ生産速度で生産することが出来、成
形困難性に伴なう形状不良品を産出するようなこ
とがなく円滑に成形し得るという特質を有する新
規な熱可塑性ポリエステル製中空体を提供し得た
ものである。 以下、本発明の遮光性を有する熱可塑性ポリエ
ステル製中空成形体の構成について詳述する。 本発明の熱可塑性ポリエステル製中空成形体
は、熱可塑性ポリエステル樹脂を利用して成形さ
れている二軸延伸ブロー成形体であり、最も一般
的には、射出成形または押出成形によつて得られ
るところの開口部を有する有底もしくは無底円筒
体からなるパリソンを、延伸適温に調温し、延伸
ブロー成形用金型内で延伸ロツドによる軸方向の
延伸と圧縮気体による円周方向の延伸とを、同時
または遂次に行なうことからなる成形方法で得ら
れる二軸延伸ブロー成形体である。 この熱可塑性ポリエステル製中空成形体におけ
るポリエステル樹脂は、繰り返し単位の主体がエ
チレンテレフタレートで構成されているポリエチ
レンテレフタレート樹脂であり、通常、酸成分の
80モル％以上、好ましくは90モル％以上がテレフ
タル酸で、グリコール成分の80モル％以上、好ま
しくは90モル％以上がエチレングリコールで、残
部の他の酸成分としては、イソフタル酸、ジフエ
ニルエーテル−４，4′−ジカルボン酸、ナフタレ
ン１，４−または２，６−ジカルボン酸、デカン
１，10−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、ヘキサヒドロフタル酸等が、また残部の他の
グリコール成分としては、プロピレングリコー
ル、１，４−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール、１，６−ヘキサ
ンジオール、シクロヘキサンジメタノール、２，
２−ビス（４−ヒドロキシフエニル）プロパン、
２，２−ビス（４−ヒドロキシエトキシジフエニ
ル）プロパン等が使用されているエチレンテレフ
タレート樹脂、共重合成分としてｐ−オキシ安息
香酸やｐ−オキシエトキシ安息香酸等が共重合さ
れているエチレンテレフタレート樹脂、あるいは
ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステ
ルとのブレンド樹脂でエチレンテレフタレートの
繰り返し単位が80モル％以上を占めるような樹脂
等が使用される。 本発明の遮光性を有する熱可塑性ポリエステル
製中空成形体の成形用原料すなわち前記熱可塑性
ポリエステル樹脂を樹脂成分とする成形用原料中
に配合される二酸化チタン成分は、一般のプラス
チツク成形品の成形の際に配合されるようなもの
が使用され、通常二酸化チタン顔料として市販さ
れているアナターゼ型又はルチル型の粒径0.1〜
0.5μ程度の微粉末がそのまま使用される。この二
酸化チタン成分が本発明の熱可塑性ポリエステル
製中空成形体に遮光特性を具備せしめるもので、
二酸化チタン成分が樹脂成分たる熱可塑性ポリエ
ステル樹脂100重量部に対して0.5重量部未満の少
量になると、本発明で目的とする遮光性の度合が
不十分となり、また3.0重量部を超える大量にな
ると、得られる熱可塑性ポリエステル製中空成形
体のガス遮断性が悪化する傾向が現出されるた
め、二酸化チタン成分は熱可塑性ポリエステル樹
脂100重量部に対して0.5〜3.0重量部の範囲内で
使用されることが必要である。前記二酸化チタン
成分と共に無機質系充填剤成分として熱可塑性ポ
リエステル樹脂中に配合される雲母成分は、前記
二酸化チタン成分の配合によつて悪化する二軸延
伸ブロー成形性を改良するもので、通常２〜
100μ程度の雲母粉が利用される。この雲母成分
の配合は、前記の通り、二軸延伸ブロー成形性を
改良するものであるから、ある程度は二酸化チタ
ン成分に比例した添加量が必要であり二酸化チタ
ン成分の50重量％以上の配合でその作用が十分に
発現される。しかしながら、雲母粉の必要以上の
配合は経済的でないばかりか得られる熱可塑性ポ
リエステル製中空成形体のガス遮断性が悪化する
要因ともなるので、熱可塑性ポリエステル樹脂
100重量部に対して最大2.0重量部までに抑えてお
くことが必要である。 本発明で使用する成形用原料中に無機質系充填
剤成分として配合される二酸化チタン成分と雲母
成分とについては、前記の通り各成分のそれぞれ
の微粉末を利用し得ることは勿論であるが、近年
真珠顔料として市販されている粒径３〜150μ程
度のチタンコーテイング雲母を利用しても良く、
要は成形用原料中に無機質系充填剤成分として、
二酸化チタン成分と雲母成分との両成分が配合さ
れていれば必要にして十分である。 尚、本発明で使用する成形用原料中には、該原
料中における前記二酸化チタン成分と雲母成分と
の量が比較的少ない場合には、その他の無機質系
充填剤、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、タルク、亜鉛華等が更に配合されていても良
いが、無機質系充填剤の配合は一般に二軸延伸ブ
ロー成形性の悪化や得られる熱可塑性ポリエステ
ル製中空成形体のガス遮断性の低下の原因となる
ので、少量に抑えておくことが必要である。 また、本発明で使用する成形用原料中には、前
記無機質系充填剤以外に、例えば色彩を調節する
ための染料、顔料、酸化防止剤、分散剤等を適宜
配合し得ることは勿論である。 本発明の熱可塑性ポリエステル製中空成形体は
以上の通りの構成からなるもので、機械的特性、
水分やガスの遮断特性、耐薬品性や保香特性、無
毒性かつ軽量である等のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂による二軸延伸ブロー成形体からなる中
空成形体が本来具備する諸性能を何ら犠牲にする
ことなく、色彩観点における意匠性と優れた遮光
性とを具備するものであり、しかもポリエチレン
テレフタレート樹脂による無着色、透明な熱可塑
性ポリエステル製の二軸延伸ブロー成形体を成形
する際と何ら変わらぬ生産速度で成形され得るも
のであり、二軸延伸ブロー成形の成形困難性に伴
なう形状不良品を産出するようなこともなく、円
滑に成形され得る等の作用、効果を奏するもので
ある。 以下、本発明の遮光性を有する熱可塑性ポリエ
ステル製中空成形体の具体的な構成を示し、併せ
その物性を比較品の物性と共に表示する。 実施例・比較例 ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に
対して後記第１表の所定欄に表示されている無機
質系充填剤を配合した７種類の成形用原料を使用
して得られた有底円筒状のパリソンを、延伸温度
90〜120℃に加熱した後、金型内で二軸延伸ブロ
ー成形し、胴部平均厚み略0.5mm、容量２の二
軸延伸ブロー成形体たる熱可塑性ポリエステル製
壜状中空成形体(1)〜(7)を得た。 得られた各中空成形体の500ｍμ光線透過率及
び中空成形体の形状は第１表に示す通りである。 尚、光線透過率の測定は厚み0.5mmの部分片を
切り抜き、日立分光光度計307型を利用して実施
したものである。 また、前記実施例・比較例中で利用したチタン
コーテイング雲母粉は、二酸化チタン成分30重量
％、雲母成分70重量％からなるものである。 【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 無機質系充填剤成分として、二酸化チタン成
   分と雲母成分とを含有する熱可塑性ポリエステル
   樹脂の二軸延伸ブロー成形体たる熱可塑性ポリエ
   ステル製中空成形体において、前記熱可塑性ポリ
   エステル樹脂は、繰り返し単位の主体がエチレン
   テレフタレートで構成されているポリエチレンテ
   レフタレートであり、前記二酸化チタン成分と雲
   母成分とは、前記熱可塑性ポリエステル樹脂100
   重量部に対して、二酸化チタン成分0.5〜3.0重量
   部、雲母成分0.3〜2.0重量部であり、かつ雲母成
   分は二酸化チタン成分の50重量％以上であること
   を特徴とする遮光性を有する熱可塑性ポリエステ
   ル製中空成形体。