JPH0371379B2 - - Google Patents

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JPH0371379B2
JPH0371379B2 JP62118686A JP11868687A JPH0371379B2 JP H0371379 B2 JPH0371379 B2 JP H0371379B2 JP 62118686 A JP62118686 A JP 62118686A JP 11868687 A JP11868687 A JP 11868687A JP H0371379 B2 JPH0371379 B2 JP H0371379B2
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iron oxide
powder
magnetic
ferrous
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JP62118686A
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Tatsuo Ishikawa
Kazutaka Fujii
Kenichi Sasaki
Masashi Oota
Masahide Myashita
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Publication of JPS63107819A publication Critical patent/JPS63107819A/ja
Publication of JPH0371379B2 publication Critical patent/JPH0371379B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、磁気記録媒体用材料として有用な特
に飽和磁化量σs(emu/g)、熱特性、経時安定性
等に優れたコバルト含有強磁性酸化鉄の製造方法
に関する。 [従来の技術] コバルト含有磁性酸化鉄は高保磁力を有し、こ
れを用いて製作した磁気テープは高密度記録がで
き、高周波領域での感度にすぐれていて、近年オ
ーデイオ、ビデオなどの分野でさかんに利用され
ている。高保磁力のコバルト含有磁性酸化鉄を得
るために、多くの方法が提案されており、例え
ば、(1)γ−Fe2O3粉末をコバルト塩を含む液中
で、特定のOH基濃度、高温、非酸化性雰囲気中
で処理する方法(特公昭52−24238)、(2)コバルト
化合物によつて磁性酸化鉄を被覆した後、400℃
程度の温度で熱処理をおこなう方法(特公昭48−
10994)、(3)磁性酸化鉄粉末をコバルト塩の存在す
るアルカリ溶液中で120〜200℃の温度で水熱反応
をおこなわせる方法(特公昭48−44040)、(4)磁性
酸化鉄粉末をコバルト塩の存在するアルカリ溶液
中で沸点以下のできるだけ高い温度で処理した
後、水洗、濾別し、次いで乾燥することなく水中
に分散させて加熱する方法(特開昭55−56016)
などがある。 [発明が解決しようとする問題点] ところが、前記(1)の方法では、エピタキシヤル
反応が急速に進み、保磁力分布が広くなり、前記
(2)の方法ではコバルトイオンが磁性酸化鉄の内部
に拡散するため、熱特性、経時安定性などの点に
おいて満足のいくものが得られず、また前記(3)、
(4)の方法では磁性酸化鉄の表面がアルカリによつ
て一部溶解し、その表面が荒れ、さらにエピタキ
シヤル反応が急速に進み、保磁力分布が広くなる
等の欠点がある。 このように、従来技術においては、高保磁力の
ものが得られてもその他の磁気特性が満足できな
いという問題があつた。近年、オーデイオ・ビデ
オテープの高級化が進んできた中では、高保磁力
を有すると共に、他の磁気特性においても優れて
いることが求められており、この両方をバランス
させ、同時に満足させるようなコバルト含有強磁
性酸化鉄が強く望まれていた。 本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、
高保磁力を有すると共に、飽和磁化量σs(emu/
g)が優れ、熱特性や経時安定性が改良され、
又、テープ化時の走行性や磁性粉のカレンダーロ
ール付着原因となる粉おち現象が改良されるなど
の特徴を有するコバルト含有磁性酸化鉄の製造方
法を提供することにある。 [問題を解決するための手段] 本発明者らは、磁性酸化鉄表面に披着させたコ
バルト化合物や第1鉄化合物の金属原子を、被着
後の熱処理によつても磁性酸化鉄粒子内部に拡散
しないように被着表面に安定な結晶形で固定化す
ることができれば、高保磁力を有すると共に、優
れた諸特性をも有した被着型コバルト含有強磁性
酸化鉄が得られるのではないかと考え、コバルト
化合物や第1鉄化合物の金属原子を粒子の表面部
に固定するための製造方法について種々検討し
た。 即ち、従来技術によれば、コバルト化合物や第
1鉄化合物を被着した磁性粉末を、アルカリ性水
溶液中や水中で加熱するか、又は乾燥後乾式熱処
理する方法等が用いられてきたが、これらの方法
では、熱処理によつて第1鉄原子が磁性酸化鉄粒
子内部へ拡散し、コバルト原子もその影響を受け
て若干内部へ拡散するため、熱特性、経時安定性
の低下等の問題を招いているのではないかと推察
し、コバルトや第一鉄等の金属原子が磁性酸化鉄
粒子内部へ拡散し難い加熱方法を鋭意研究した。 その結果、磁性酸化鉄の表面にコバルト及び第
1鉄を含む金属化合物を被着した後、該粉末を、
酸性物質を添加して分散スラリーとしてのPH値を
中性付近の特定の値にした水系媒液中で加熱処理
することにより、コバルトや第一鉄などの金属原
子を磁性酸化鉄粒子内部へ拡散させることなくそ
の表面部に固定化でき、優れた磁気特性を有する
コバルト含有強磁性酸化鉄を得ることができるこ
とを見出して、本発明を完成させるに至つた。 即ち、本発明は、磁性酸化鉄粉末を水系媒液中
で、コバルト塩及び第1鉄塩を含む金属塩並びに
アルカリで処理して該粉末粒子の表面にコバルト
及び第1鉄を含む金属化合物を被着し、次いでこ
の粉末を濾別、水洗後、酸性物質を添加して分散
スラリーとしてPH6.5〜9.5を示す水系媒液中で加
熱処理することを特徴とするコバルト含有強磁性
酸化鉄の製造方法である。 この発明の一連の処理には、従来からの処理が
部分的に含まれてはいるが、特に磁性酸化鉄粉末
に出来るだけマイルドな条件でコバルト塩と第1
鉄塩を被着させ、続いて水洗後酸性物質を添加し
てPHを調整したうえ加熱処理するという点で全体
的にみて独特の処理なのである。 本発明方法においては、コバルト塩と共に第1
鉄塩を用いることが肝要であり、本発明目的の1
つである飽和磁化量σsの向上は、コバルト塩のみ
では達成できず、第1鉄塩との併用によつてもた
らされる。しかし、単に第1鉄塩を併用しただけ
では、飽和磁化量は向上しても、経時安定性を悪
化させることになり、従来技術においてこの両者
を同時に満足させることは困難であつたが、本発
明方法によれば、第1鉄が粒子の表面部に偏在す
るため飽和磁化量は更に一段と向上すると同時に
経時安定性をも満足させることが可能となる。 本発明方法において、使用する磁性酸化鉄とし
ては、γ−Fe2O3、Fe3O4、γ−Fe2O3を部分還
元して得られるベルトライド化合物などの針状磁
性酸化鉄微粉末がある。コバルト塩としては、例
えば塩化コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト
などが挙げられ、第1鉄塩としては、例えば硫酸
第1鉄、塩化第1鉄、硝酸第1鉄、炭酸第1鉄な
どが挙げられる。また、必要に応じ用いられる他
の金属塩としては、マンガン塩、亜鉛塩、クロム
塩、ニツケル塩などが適宜選ばれる。アルカリと
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸ナトリウム、アンモニアなどが適宜選ばれる。 そして、上記コバルト塩及び第1鉄塩の被着方
法としては、種々の方法を用いることができる。
例えば、磁性酸化鉄粉末を分散させたスラリー
に、コバルト塩と第1鉄塩並びにアルカリを添加
する順序によつても、次のような各種の方法があ
る。 (1) コバルト塩と第1鉄塩を含んだ水溶液を添加
した後、アルカリ水溶液を添加する方法。 (2) アルカリ水溶液を添加した後、コバルト塩と
第1鉄塩を含んだ水溶液を添加する方法。 (3) コバルト塩水溶液を添加してアルカリで水酸
化コバルトを沈殿させた後、第1鉄塩水溶液を
添加する方法。 (4) アルカリ水溶液を添加した後、コバルト塩水
溶液を添加し、さらに第1鉄塩水溶液を添加す
る方法。 (5) 第1鉄塩水溶液を添加して、アルカリで水酸
化第1鉄を沈殿させた後、コバルト塩水溶液を
添加する方法。 (6) アルカリ水溶液を添加した後、第1鉄塩水溶
液を添加し、さらにコバルト塩水溶液を添加す
る方法。 また、コバルト塩と第1鉄塩と共に、その他の
金属塩の一部又は全部を同時に処理したり、順次
処理したりする等適宜の方法を採用することがで
きる。 この被着処理は、非酸化性雰囲気中、すなわち
コバルト、第1鉄、その他の金属原子が実質的に
酸化されない雰囲気中で行なう必要があり、例え
ば反応液中に不活性ガスをバブリングさせたり、
反応容器内の空気を不活性ガスで置換したりして
反応させるのがよい。この処理は、通常室温〜
100℃、望ましくは室温〜50℃で行なわれ、この
温度が低すぎると処理時間が長くなり、一方高す
ぎると保磁力分布などが広くなり望ましくなく、
系内のOH基濃度は通常0.01〜3モル/であり、
この濃度が低すぎると所望の保磁力が得られず、
一方高すぎると一旦被着したコバルト化合物が一
部溶解して望ましくない。またこの被着処理時間
は通常0.1〜10時間である。コバルトの被着量は、
磁性酸化鉄に対する重量基準で0.5〜30%、好ま
しくは1〜10%であり、第1鉄の場合は1〜30
%、望ましくは2〜20%、その他の金属の場合は
0〜10%程度である。 次いで、前述の被着処理をした磁性酸化鉄粉末
を、濾別した後、充分に水洗する。この水洗した
粉末を直接水中に分散させると、スラリーPHは、
粉末の洗浄が充分行われていても通常9.7〜11.5
を示す。この理由は定かでないが、本発明者らは
粉末粒子表面のOH基が影響しているものと推測
している。本発明においては、該粉末を酸性水溶
液に分散させるか、又は該粉末を水中に分散させ
たスラリーに酸性物質を添加して、スラリーのPH
値を濾過・水洗操作だけでは到達し得ない中性前
後に調整した後に加熱処理することが肝要であ
る。 この分散スラリーのPH値は、通常6.5〜9.5、望
ましくは6.5〜9.0であり、さらに望ましくは7.0〜
8.5である。PH6.5未満では被着したコバルト化合
物が溶出してくるために好ましくなく、又、PHが
9.5を越えると所望の効果が得られない。PH調整
に用いる酸性物質は、特に限定されるものではな
いが、例えば硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、弗酸、
ホウ酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、シユウ酸、酒石
酸、安息香酸等のカルボン酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、スルフ
イン酸、各種酸性塩が挙げられる。 加熱処理は、前記処理を行なつた分散スラリー
をそのまま開放容器或は密閉容器、例えばオート
クレーブに入れて行なう。処理温度は通常80〜
160℃、望ましくは100〜160℃、特に望ましくは
110〜155℃の温度であり、処理時間は通常1〜10
時間である。この場合、常圧又は加圧のいずれで
もよいが、加圧系の場合は、通常1.1〜10気圧程
度である。これ等の加熱処理の際は、非酸化性雰
囲気下でおこなうことが望ましい。この加熱処理
温度が低すぎると所望の効果が得られず、一方高
すぎるとコバルトや第一鉄等の金属原子が粒子内
部へ拡散しはじめて、保磁力が高くなると共に飽
和磁化量が低下し、本発明の目的とする諸特性に
もたらされる効果が得られ難くなる。 前述の加熱処理をした磁性酸化鉄は、通常、濾
過・乾燥後、所望の特性を有するコバルト含有磁
性酸化鉄になるが、更に不活性雰囲気中、100゜〜
200℃で乾式熱処理をすることにより、保磁力や
その他磁気特性において改善された磁性粉末が得
られる場合がある。 [作用] 本発明の作用機構は明らかではないが、それを
推測するために、本発明方法で得られた磁性粉と
PH調整をしないこと以外は本発明方法と同様にし
て得られた磁性粉とを、PH0〜2の硫酸水溶液中
でそれぞれ表面を少しずつ溶解させ、溶出したコ
バルトイオン(Co2+)と第1鉄イオンを定量分
析して第1表に示した。同表の実施例1〜2と比
較例1〜3との比較からも明らかなように、同一
溶出コバルトイオン量に対する第1鉄イオン量の
割合が表面部において前者の方がきわめて大き
く、後者は、内部にまで均一に第1鉄原子が分布
していることが判つた。 このことから、本発明によれば、表面部に第1
鉄原子を固定化させる作用が何らかの形で働いて
いるものと思われる。このような作用として、例
えば、第1鉄原子がマグネタイト(FeO・
Fe2O3)の結晶として、表面部に固定される、と
いうことも考えられる。 このように本発明で得られた被着型コバルト含
有酸化鉄は、コバルト原子が表面に偏在し、しか
も結晶として安定化していることにより熱特性や
経時安定性が優れたものとなり、又、表面部分の
第1鉄(マグネタイト成分)の量が多いため、飽
和磁化量σs(emu/g)が高い値になつているも
のと思われる。 又、PH値を調整することの副次的な効果とし
て、粉末粒子表面に付着して粉末粒子同士をお互
いに凝集させていたアルカリ成分が取り除かれる
ことにより、磁性粉末粒子同士がお互いに解離す
ることや、通常の洗浄では除去できない微量の可
溶性塩も減少することが塗料化時やテープ化時に
色々な好結果をもたらすことが挙げられる。 [実施例] 次に、具体的な実施例により、本発明を説明す
る。 実施例 1 γ−Fe2O3粉末(保磁力Hc:4000e、平均長軸
粒子径:0.4μ、軸比:8)100gを水1に分散
させてスラリーとし、室温で液中にN2ガスを吹
き込みながら、0.85モル/の硫酸コバルト水溶
液70ml、0.90モル/の硫酸第1鉄水溶液168ml、
及び10モル/のNaOH水溶液184mlを加えて室
温で5時間撹拌した。このスラリーを濾過・水洗
し、得られた湿ケーキをPH=6の希硫酸水溶液1
中に分散させ、希硫酸水溶液を追加添加しなが
らPH=7.5に調整したスラリーとし、オートクレ
ーブに入れて、N2ガスで置換した後密閉し、130
℃で6時間加熱処理した。処理後、濾過・水洗し
て湿ケーキとし、N2ガス中で乾燥し、目的のコ
バルト含有磁性酸化鉄粉末(A)を得た。 実施例 2 加熱処理温度を155℃とすることの他は実施例
1と同様にしてコバルト含有磁性酸化鉄粉末(B)を
得た。 実施例 3 γ−Fe2O3粉末(保磁力Hc:3800e、平均長軸
粒子径:0.18μ、軸比:8)100gを水1に分散
させてスラリーとし、室温で液中にN2ガスを吹
き込みながら、0.85モル/の硫酸コバルト水溶
液80ml、0.90モル/の硫酸第1鉄水溶液161ml
及び10モル/のNaOH水溶液185mlを加えて室
温で5時間撹拌した。このスラリーを濾過・水洗
し、得られた湿ケーキ100g/の濃度で水中に
分散後、希硫酸水溶液を添加しながらPH=7.5に
調整したスラリーとし、オートクレーブに入れて
N2ガスで置換した後密閉し、130℃で3時間加熱
処理した。処理後、濾過・水洗し、N2ガス中で
乾燥し、目的のコバルト含有磁性酸化鉄粉末(C)を
得た。 実施例 4 希蟻酸水溶液にてPH=7.5にスラリーを調整す
る他は実施例3と同じにしてコバルト含有磁性酸
化鉄粉末(D)を得た。 実施例 5 希酢酸水溶液にてPH=7.5にスラリーを調整す
る他は実施例3と同じにしてコバルト含有磁性酸
化鉄粉末(E)を得た。 実施例 6 希塩酸水溶液にてPH=7.5にスラリーを調整す
る他は実施例3と同じにしてコバルト含有磁性酸
化鉄粉末(F)を得た。 比較例 1 実施例1と同様に被着したスラリーを濾過・水
洗し、得られた湿ケーキを水中に分散させて、PH
=9.8となつたスラリーを、オートクレーブに入
れて、以後の操作も実施例1と同様に行なつて、
コバルト含有磁性酸化鉄粉末(G)を得た。 比較例 2 加熱処理をしないことの外は、実施例1と同じ
に行ないコバルト含有磁性酸化鉄粉末(H)を得た。 比較例 3 加熱処理をしないことの外は、比較例1と同じ
に行ないコバルト含有磁性酸化鉄粉末(I)を得た。 比較例 4 希硫酸水溶液によるPH調整を行なわないことの
外は、実施例3と同じにしてコバルト含有磁性酸
化鉄粉末(J)を得た。 比較例 5 実施例3にて、希硫酸水溶液によるPH調整の後
加熱処理を行なわずにそのまま濾過・水洗し、
N2ガス雰囲気中で乾燥し、コバルト含有磁性酸
化鉄粉末(K)を得た。 比較例 6 実施例3にて、湿ケーキを水中に分散後、希硫
酸によるPH調整も加熱処理も行なわずにそのまま
濾過・水洗し、N2ガス中で乾燥し、コバルト含
有磁性酸化鉄粉末(L)を得た。 上記サンプル(A)〜(L)について、通常の方法によ
り保磁力及び飽和磁化量を測定し、又、磁性粉中
のCa成分を原子吸光法により分析し、さらに、
下記計算式により保磁力の経時変化(△Hc)を
求め、結果を第1表に示す。 保磁力の経時変化(△Hc)=[60℃の温度、80
%の湿度で14日間放置した後の保磁力(Hc)]−
[当初の保磁力(Hc)] 飽和磁化量の経時変化(△σs)=[60℃の温度、
80%の湿度で14日間放置した後の飽和磁化量
(σs)]−[当初の飽和磁化量(σs)] さらに、下記の方法で熱特性を測定した結果を
第1表に示す。 熱特性:保磁力の温度依存性に関するものであ
り、下記式によつて計算される。 熱特性(TP:%)=125℃の保磁力/室温の保磁力×1
00 又、磁性塗料作成時に用いられる脂肪酸と磁性
粉末との反応性を調べるため、下記方法で脂肪酸
(ミリスチン酸:C14)吸着量を測定し、結果を第
1表に示す。 磁性粉10gと溶剤(MEK:トルエン=1:1)
30ml及びミリスチン酸4%(磁性粉重量基準)と
を混合し、レツドデビル分散機(Red Devil
Shaker)で15分間振とうした後、遠心分離によ
り上澄液を分取し、定量分析した。加えたミリス
チン酸量と定量分析量とから次式により吸着量が
計算される。 ミリスチン酸(C14)吸着量% =加えた量−分析量/加えた量×100 更にそれぞれのサンプルについて、下記の配合
割合に従つて配合物を調整し、ボールミルで分散
して磁性塗料を製造した。 (1) コバルト含有強磁性酸化鉄 100.0重量部 (2) 界面活性剤 3.8 〃 (3) 塩ビ−酢ビ共重合体樹脂 8.0 〃 (4) ポリウレタン樹脂 35.5 〃 (5) メチルエチルケトン 108.1 〃 (6) トルエン 108.1 〃 (7) シクロヘキサノン 36.0 〃 次いで、各々の磁性塗料をポリエステルフイル
ムに通常の方法により塗布、配向した後乾燥して
約9μ厚の磁性塗膜を有する磁気テープを作成し
た。それぞれのテープについて通常の方法により
保磁力(Hc)、角形比(Br/Bm)、配向性
(OR)、反転磁界分布(SFD)を測定した。その
結果を第1表に示す。
【表】 第1表の結果から、本発明よつて得られるコバ
ルト含有強磁性酸化鉄粉末は、飽和磁化量が高
く、又、テープの角形比も高いことから、中低域
の出力に優れた磁性粉であることがわかる。経時
安定性や熱特性にも優れており、このことから被
着したコバルトが拡散し難いもの(表面に固定さ
れたもの)となつていることが推察される。尚、
比較例1〜4の結果から、PH調整と加熱処理の組
合せによつて、この効果が大きくな、又、加熱処
理により保磁力が向上するような条件(比較例
4)では、本効果は不充分となりPH調整操作と加
熱処理操作の片方が欠けても(比較例1、2)両
方とも欠けても(比較例3)本効果は不充分であ
ることがわかる。 又、磁性粉中のCa含有率が低く、ミリスチン
酸吸着量が少なくなり、更に、テープの反転磁界
分布(SFD)も小さく、磁性粉としての優れた
特性を有することがわかる。一般に、テープ製造
時の種々のトラブル発生の原因として、磁性粉の
Ca含有率やミリスチン酸吸着量及びPH値などが
影響すると云われており、本発明による磁性粉
は、これ等の面で有利であり、テープ製造安定性
がより優れたものである。 実施例7〜25、比較例7〜15 実施例1で用いたのと同じγ−Fe2O3粉末100
gを水1に分散させてスラリーとし、室温で液
中にN2ガスを吹き込みながら0.85モル/の硫
酸コバルト水溶液80ml、0.90モル/の硫酸第1
鉄水溶液161ml、及び10モル/のNaOH水溶液
185mlを加えて室温で5時間撹拌した。このスラ
リーを濾過・水洗し、得られた湿ケーキを用いて
水中に分散させ、PH調整をしない場合と希硫酸水
溶液を添加してPH=9.5、8.5、7.8にそれぞれPH調
整した場合とについてオートクレーブでの加熱温
度条件を種々変更して、5時間加熱処理し、濾
過・水洗後N2ガス中で乾燥して、各種磁性粉を
得た。 このPH調整条件、加熱処理条件と得られた磁性
粉のHc、σs、Hcの経時変化、σsの経時変化、C14
吸着量を前述の方法で求め、第2表にまとめた。 又、第2表のデータを第1図〜第4図に図示し
た。同表によれば、本発明によつて得られたもの
は、飽和磁化量の値が高く、保磁力や飽和磁化量
の経時安定性において優れていることが判る。
【表】
【表】 比較例 16〜21 実施例1で用いたのと同じ、γ−Fe2O3粉末
100gを水1に分散させてスラリーとし、室温
で液中にN2ガスを吹き込みながら、0.85モル/
の硫酸コバルト水溶液80ml及び10モル/の
NaOH水溶液134mlを加えて室温で5時間撹拌し
た。このスラリーを濾過・水洗し、得られた湿ケ
ーキを100g/の濃度で水中に分散させ、PH調
整をしない場合と、希硫酸水溶液を添加してPH=
7.8にPH調整した場合とについて加熱処理条件を
変更して、5時間加熱処理し、濾過・水洗後N2
ガス中で乾燥して、各種磁性粉を得た。 このPH調整条件、加熱処理条件と得られた磁性
粉のHc、σs、Hcの経時変化(△Hc)、σsの経時
変化(△σs)を前述の方法で求め、第3表にまと
めた。
【表】 第3表の結果から、第一鉄を含まないコバルト
のみの被着の場合、前記実施例等とは明らかに異
なる傾向を示し、粉末のHcは、加熱温度の上昇
に伴なつて上昇する。また、Hcの経時変化やσs
の経時変化は比較的良いが、飽和磁化量σsが低
く、コバルトのみの被着では本発明の目的である
飽和磁化量と経時安定性とを同時に満足させるこ
とができないことが判る。 実施例26〜27、比較例22〜29 実施例3で用いたのと同じγ−Fe2O3100gを
水1に分散させてスラリーとし、室温で液中に
N2ガスを吹き込みながら、0.85モル/の硫酸
コバルト水溶液85ml、0.90モル/の硫酸第1鉄
水溶液165ml、及び10モル/のNaOH水溶液
187mlを加えて室温で5時間撹拌した。このスラ
リーを濾過・水洗し、得られた湿ケーキを用いて
水中に分散させ、PH調整をしない場合と希硫酸水
溶液を添加してPH=8.5、7.3、6.3、5.8に調整し
た場合とについて、室温及び130℃の処理温度で
それぞれ5時間処理し、濾過・水洗後N2ガス中
で乾燥して各種磁性粉を得た。 得られた磁性粉のHc、σs、Hcの経時変化、σs
の経時変化を前述の方法で求め第4表にまとめ
た。
【表】 第4表の結果から、加熱処理しない場合(室
温)のHc発現性は、PHを6.3まで下げても影響な
いが、PH5.8では大巾に低下しており、被着した
コバルトが溶解したことによるものと推察され
る。加熱処理をする本発明の場合はPH6.3でもHc
低下が見られ、PH6.5以上が望ましいことが判る。 [発明の効果] 本発明は、以上のように構成したことにより、
従来の被着型コバルト含有強磁性酸化鉄では不充
分であつた磁気特性の経時安定性や熱特性が優れ
たものとなり、又、飽和磁化量も一段と高めら
れ、かつこれを用いてテープにした時の角形比や
反転磁界分布も改善される。 更には、磁性粉がCa含有率やミリスチン酸吸
着量が少ない点で、テープ製造安定性も改善され
ていることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例7〜25、比較例7〜15の各PH調
整値と磁性粉末の保磁力を示すグラフ、第2図は
同例の各PH調整値と磁性粉末の保磁力の経時変化
を示すグラフ、第3図は同例の各PH調整値と磁性
粉末の飽和磁化量を示すグラフ、第4図は同例の
各PH調整値と飽和磁化量の経時変化を示すグラフ
である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 磁性酸化鉄粉末を水系媒中で、コバルト塩及
    び第1鉄塩を含む金属塩並びにアルカリで処理し
    て該粉末粒子の表面にコバルト及び第1鉄を含む
    金属化合物を披着し、次いでこの粉末を濾別、水
    洗後、酸性物質を添加して分散スラリーとしてPH
    6.5〜9.5を示す水系媒液中で加熱処理することを
    特徴とするコバルト含有強磁性酸化鉄の製造方
    法。
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