JPH0367459B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明はダイカスト用水性離型剤に関する。 従来の技術 ダイカスト用離型剤は油性離型剤と水性離型剤
とに大別されるが、油性離型剤は引火の危険や発
煙による作業環境上の問題があるため、最近では
水性離型剤が多用されている。水性離型剤は鉱
油、油脂、ワツクス、シリコーン油等を界面活性
剤を用いて水に乳化または分散させた組成のもの
が用いられている。水性離型剤は、一般には油性
離型剤と比べて高温の金型への付着性がわるいの
で、離型性において劣る場合が多い。そこでとく
に高温の金型への付着性をよくするためにワツク
ス類（パラフインワツクス、ポリエチレンワツク
ス、酸化パラフインワツクス等）を多量に配合し
た水性離型剤が用いられていた。 ところがワツクスを配合した離型剤を使用する
と、使用中に離型剤組成物が熱的変化を受けて生
じた物質が金型の合せ面に付着して堆積し、これ
が原因で製品の寸法精度が悪化するなどの問題が
あつた。 発明が解決しようとする問題点 上記の現状であるから、離型性にすぐれ、しか
も金型合せ面に堆積物が付着することがなく、寸
法精度のよいダイカスト製品が得られるような水
性離型剤を提供することが本発明の目的である。 問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するために本発明者らは鋭
意研究の結果、ポリオキシアルキレングリコール
ビスフエノールＡエーテルを含有させることによ
り、水性離型剤の離型性が向上し、しかも金型合
せ面に堆積物が付着しないことを見出し、本発明
に完成した。 すなわち本発明は、下記の一般式で示され、か
つ、平均分子量が400ないし2000の範囲内にある
ポリオキシアルキレングリコールビスフエノール
Ａエーテル （ただし、式中のR₁およびR₂はエチレン基また
はプロピレン基であつて、両者は同じてあつても
異なつてもよく、ｍおよびｎは平均分子量が400
ないし2000の範囲内になるような数であつて、そ
れぞれ１以上40以下の正の整数である。）、水、油
脂及び界面活性剤を含有することを特徴とするダ
イカスト用水性離型剤である。 上記の一般式において、ｍとｎの比率には制限
はなく、一般式で示される化含物の平均分子量は
400ないし2000の程度が適当である。この平均分
子量が400未満では、離型剤の金型への付着性が
劣り、離型性が低下する。一方、平均分子量が
2000を越えると、離型剤の金型への付着量が多く
なり過ぎて堆積物が多くなり、金型のガス穴を詰
まらせ、製品の精度が悪化する。 上記の一般式によつて表わされるポリオキシア
ルキレングリコールビスフエノールＡエーテル
は、ビスフエノールＡに対してエチレンオキシド
及びまたはプレピレンオキシドを反応させる公知
の方法によつて製造することができる。 上記の一般式で表わされるポリオキシアルキレ
ングリコールビスフエノールＡエーテルの含有量
は、離型剤全体を100重量部とした時に、５〜20
重量部の範囲が適当である。この含有量が５重量
部未満では離型性が低下し、含有量が20重量部を
越えると金型への堆積物の付着を防止することが
できなくなるからである。 また、本発明において油脂の含有量は、離型剤
全体を100重量部とした時に、２〜20重量部の範
囲が適当である。この含有量が２重量部未満では
金型への付着性が低下し、20重量部を越えると金
型への堆積物が増加するからである。 更に、本発明において使用する界面活性剤の含
有量は、離型剤全体を100重量部とした時に、５
〜30重量部の範囲である。この含有量が５重量部
未満では、安定な離型剤組成物が得られず、30重
量部を越えると金型への付着性が低下するからで
ある。 本発明における油脂としては、牛脂、豚脂、ヒ
マシ油、パーム油、ナタネ油等の動植物油脂を使
用し、界面活性剤としては、脂肪酸石けん、アル
コール硫酸エステル塩、石油スルホン酸塩等のア
ニオン系活性剤、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフエニルエーテル等のノ
ニオン系活性剤を使用する。 本発明の離型剤は、上記の化合物を水に含有さ
せることによつて得られる。 また、本発明の離型剤は、必須成分のほかに水
性離型剤の成分として公知の鉱油、脂肪酸エステ
ル、合成潤滑油、シリコーン油等を併用してもよ
いが、ワツクス類を併用することは堆積物の付着
を防止するという観点から見て好ましくない。 本発明の水性離型剤は、アルミニウムまたは亜
鉛のダイカスト用離型剤として使用できる。 実施例 つぎに実施例および比較例によつて本発明を具
体的に説明する。ただし本発明はこれらの実施例
および比較例によつてなんら制限されるものでは
ない。 実施例 １ 混合槽にポリオキシアルキレングリコールビス
フエノールＡエーテル（ただしオキシアルキレン
はオキシエチレンおよびオキシプロピレンであつ
て、前者の平均付加モル数は２モル、後者の平均
付加モル数も２モルであり、化合物の平均分子量
は400である）９ｇ、鉱油（40℃の動粘度480mm²／
Ｓ）５ｇ、ヒマシ油５ｇ、ノニルフエノールのエ
チレンオキシド６モル付加物６ｇ、オレイン酸５
ｇ、モルホリン1.6ｇを仕込み、かきまぜ機を用
いて30分間かきまぜた。こうして得られた混合物
を、水68.4ｇの中にかきまぜながら徐々に加えて
本発明の水性離型剤を得た。 実施例 ２ 実施例１と同様の方法により、下記の配合組成
の水性離型剤（本発明の離型剤）を得た。 ポリオキシアルキレングリコール ビスフエノールＡエーテル（ただしオキシアルキ
レンはオキシエチレンおよびオキシプロピレンで
あつて、前者の平均付加モル数は７モル、後者の
平均付加モル数も７モルであり、化合物の平均分
子量は900である） 12ｇ 鉱油（40℃の動粘度480mm²／Ｓ） ６ｇ ヒマシ油 ３ｇ ノニルフエノールのエチレンオキシド６モル付加
物 ６ｇ オレイン酸 ３ｇ モルホリン １ｇ 水 69ｇ 比較例 １ 鉱油（40℃の動粘度480mm²／Ｓ） ５ｇ 酸化ポリエチレンワツクス（融点は110℃、酸
価は15である。） ９ｇ ヒマシ油 ５ｇ ノニルフエノールエチレンオキシド６モル付加
物 ６ｇ オレイン酸 ５ｇ モルホリン 1.6ｇ 水 68.4ｇ 比較例 ２ シリコーン油エマルジヨン（固形分60％）（信
越シリコーン株式会社製KM870） ３ｇ 鉱油（40℃の動粘度480mm²／Ｓ） ６ｇ 酸化ポリエチレンワツクス（融点は110℃、酸
価は15である。） ９ｇ ヒマシ油 ３ｇ ノニルフエノールエチレンオキシド６モル付加
物 ６ｇ オレイン酸 ３ｇ モルホリン １ｇ 水 69ｇ 試験例 実施例および比較例の離型剤に、重量に基いて
99倍の水を加えて希釈した水溶液について、アル
ミニウムのダイカスト鋳造を行い、材料の溶着に
よつて金型の研磨を要するにいたるまでのシヨツ
ト数、製品の仕上面および寸法精度不良による製
品の不良率をしらべた。その結果を第１表に示
す。

【表】 なお、実施例の場合には金型合せ面に堆積物の
付着が認められなかつたのに対し、比較例１では
堆積物の付着が顕著であつた。 発明の効果 本発明のダイカスト用水性離型剤は離型性にす
ぐれ、しかも金型合せ面に堆積物が付着しないの
で、これをダイカストに適用することによつて、
生産性が高まり、仕上面が美しく、寸法精度のよ
いダイカスト製品を効率よく製造することができ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記の一般式で示され、かつ、平均分子量が
   400ないし2000の範囲内にあるポリオキシアルキ
   レングリコールビスフエノールＡエーテル （ただし、式中のR₁及びR₂はエチレン基又はプ
   ロピレン基であつて、両者は同じであつても異な
   つてもよく、ｍ及びｎは平均分子量が400ないし
   2000の範囲内になるような数であつて、それぞれ
   １以上40以下の正の整数である。）、 水、油脂及び界面活性剤を含有することを特徴
   とするダイカスト用水性離型剤。