JP2945252B2 - 水除去型水溶性ダイカスト用離型剤 - Google Patents

水除去型水溶性ダイカスト用離型剤

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JP2945252B2 JP25934593A JP25934593A JP2945252B2 JP 2945252 B2 JP2945252 B2 JP 2945252B2 JP 25934593 A JP25934593 A JP 25934593A JP 25934593 A JP25934593 A JP 25934593A JP 2945252 B2 JP2945252 B2 JP 2945252B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車部品や電装部品
鋳造において使用する水除去型水溶性ダイカスト用離型
剤に関し、更に詳しく言えば、特に金型の汚れが無く、
分散が安定で、離型性が良く、耐熱性に優れる離型剤に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】水溶性ダイカスト用離型剤としては、黒
鉛、雲母、窒化ホウ素、金属酸化物等の固体粉末を含有
するものが知られており、上記の固体粉末を水中に安定
に分散する目的で分散剤が配合されている。分散剤とし
ては、リグニンスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチ
ルセルロース、水ガラス、燐酸塩、硼酸塩等が用いられ
る(例えば、特開平2−120397号公報(窒化ホウ
素、リグニンスルホン酸ナトリウム、カルボキシメチル
セルロース)、特開昭55−29506号公報(カルボ
キシメチルセルロース、リグニンスルホン酸ナトリウ
ム、水ガラス、燐酸塩、硼酸塩)等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
水溶性ダイカスト用離型剤においては、金型の汚れ(即
ち、ビルドアップ)が多いため、一定時間毎に金型を研
磨する必要が生じて作業能率が悪いという問題がある。
また、分散が不安定なため、固体粉末が沈降して作業性
が低下するという問題もある。上記のように金型の汚れ
が無く、或いは汚れが付着しても容易に除去でき、また
分散が安定で、作業環境が改善でき、離型性が良く、且
つ耐熱性に優れる水溶性ダイカスト用離型剤は見出され
ていないのが実状である。
【0004】本発明は、上記欠点を克服するものであ
り、金型の汚れが無く、分散が安定で、離型性が良く、
耐熱性が良好な水除去型水溶性ダイカスト用離型剤を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、離型剤に
配合する分散剤の種類と、金型汚れ或いは付着物の洗浄
性及び分散安定性との関係について鋭意研究した結果、
分散剤としてスメクタイトクレーと水溶性高分子化合物
を含有する組成物が、優れた性能を発揮することを見出
して、本発明を完成するに至ったのである。即ち、本
発明は、(A)雲母、タルク及びカオリンから選ばれ
る少なくとも1種、(B)シリコーン、ワックス、油脂
及び金属石けんから選ばれる1種又は2種以上、(C)
界面活性剤、並びに(D)スメクタイトクレーと水溶性
高分子化合物とからなる分散剤を含有し、窒化ホウ素、
水溶性リン酸塩及びコロイド状シリカを含まず、上記ス
メクタイトクレー及び水溶性高分子化合物の含有量は、
上記離型剤全体を100重量部とした場合、0.1〜1
0重量部であり、且つ該スメクタイトクレーと該水溶性
高分子化合物の比率は、重量比で、1:0.2〜1:2
であることを特徴とする。
【0006】本第1発明における上記(A)としては、
雲母、タルク及びカオリンから選ばれる少なくとも1種
を使用する。(B)成分としての「シリコーン」として
は、ジメチルシリコーン、α−オレフィン変性シリコー
ン等のアルキルシリコーン、フェニルシリコーン、α−
メチルスチリルシリコーン等のアリールシリコーン、ア
ルキルアリール変性シリコーン等が挙げられる。また、
「ワックス」としては、ポリエチレンワックス及びその
酸化物、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワ
ックス等を使用することができる。更に「油脂」として
は、大豆油、ナタネ油、牛脂、豚脂、パーム油等の動植
物油脂が使用できる。「金属石けん」とは、アルカリ金
属以外の金属の脂肪酸塩をいい、主な金属として、マグ
ネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉛、アルミニム、
鉄、コバルト、クロム、マンガン等を使用することがで
きる。上記(C)「界面活性剤」としては、主としてノ
ニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤を使用でき
る。尚、本発明の水除去型離型剤は本第2発明のよう
に、上記(B)成分を除いたものとすることもできる。
これにより、堆積物の水除去性が向上するという効果を
奏する。
【0007】また上記(D)「分散剤」としては、スメ
クタイトクレー及び水溶性高分子化合物を併用して配合
する必要がある。スメクタイトクレー単独を界面活性剤
配合すると、経時で離型剤が沈降し分散性が悪く被膜が
均一に生成しないという問題があるからである。上記
「スメクタイトクレー」は、2:1型粘度鉱物で、ケイ
酸塩層のもつ負電荷が(O10(OH)2 当たり)雲母の
1に対し0.6〜0.3のものである。従って、層間の
結合が弱く、層間陽イオンが交換性で、水分子や有機分
子が容易に層間に入る。層間隔は、層間陽イオン及び層
間分子の種類によって大きく変化する。スメクタイトク
レーを用いる理由は、珪酸塩層の同形置換量が少なく、
陰電荷も小さく層間陽イオンとの結合が弱いので、水で
膨潤し易いという性質を有し、そのため金型に付着して
も容易に水で除去できるためである。
【0008】上記「水溶性高分子化合物」は、成分を均
一に付着させる作用効果を有する成分であり、半合成又
は合成品である、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシアルキルセルロース、メチルヒドロオキシアルキル
セルロース、ポリビニルアルコール、ザンサンガム、ア
ルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸塩等が挙げら
れる。天然の水溶性高分子化合物は抗菌性に劣るため不
適切である。
【0009】また、スメクタイトクレー及び水溶性高分
子化合物の含有量は、離型剤組成物全体を100重量部
とした場合に、0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
この含有量が0.1重量部未満では、充分な増粘、分散
効果が得られず、含有量が10重量部を越えると、離型
剤組成物の流動性が乏しくなるからである。また、スメ
クタイトクレーと水溶性高分子化合物の比率は、1:
0.2〜1:2の範囲が適当である。この比率が1:
(0.2未満)では、被膜が均一に生成せず、1:(2
を越える)場合では、経時で離型剤が沈降し分散性が低
下するからである。
【0010】本発明の離型剤は、水の中に界面活性剤を
溶解又は分散した後、雲母、タルク及びカオリンから選
ばれる少なくとも1種を添加し、スメクタイトクレー、
次いで水溶性高分子化合物及び任意成分を添加して均一
になるよう攪拌混合して調製する。
【0011】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を詳細
に説明する。先ず、表1に本発明の離型剤組成物を示
す。尚、表1における成分の数値は重量部を表す。表1
において、「雲母」は商品名「M7500」(平均粒径
10μm)(ワンドー工業株式会社製)を、「タルク」
は商品名「ミクロエースP4」(平均粒径1.5μm)
(日本タルク株式会社製)を、「シリコーン」は商品名
「KM870;シリコーンエマルション」(信越シリコ
ーン株式会社製)を、「ワックス」は商品名「ACP6
29」(アライドケミカル株式会社製)をモルフォリン
で中和し、ノニルフェニルエーテル(HLB:12.
6)で乳化したワックス濃度40重量%のエマルション
を、「界面活性剤」は炭素原子数12〜14のアルコー
ルのエチレンオキシド9モル付加物(HLB:13.
3)を、「スメクタイトクレー」は商品名「VEEGU
M M」(三晶株式会社製)を、「ザンサンガム」は商
品名「KELZAN」(三晶株式会社製)を、「水ガラ
ス」は商品名「ケイサンソーダ1号」(日本化学工業株
式会社製)を、それぞれ用いた。
【0012】
【表1】
【0013】本発明の離型剤の性能を明らかにするため
以下の性能試験を行った。試験項目、条件を下記に示
す。 安定性 試料を1週間放置した後の液の分離状態を観察評価し
た。評価の表示は、◎:分離なし、○:若干上層に透明
層あり、△:50%以上、上層透明層、×:無機物沈降
を表す。 堆積性 試料を水で30倍に希釈した液を攪拌式加圧タンク内に
採り、200℃に加熱した試験片(SPCC−SB,1
00×100×1mm)に200mmの高さから、連続
150回スプレーした時の堆積量(mg)を測定した。 堆積物の除去性 前記における堆積物を水をしみこませたガーゼで拭き
取ることができるかどうかを試験した。評価の表示は、
◎:完全に除去できる、○:若干膜が残る、×:ほとん
ど除去できないを表す。以上の試験結果を表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】鋳造性と堆積性 実施例3及び比較例2の離型剤を用い、下記の条件で鋳
造加工した時の鋳造性及び離型剤の堆積性を試験した結
果、実施例3及び比較例2共に油流れが無く、良好な鋳
造性を示したが、実施例3の離型剤では800ショット
まで型の研磨が不要であったのに対し、比較例2の離型
剤では堆積物が多いために、200ショット毎にグライ
ンダーで研磨しないと鋳造できなかった。比較例1〜4
では、すべての性能が悪かった。また、比較例5〜6で
は原液安定性が悪い。一方、実施例1〜6ではすべて優
れた性能を示した。特に、実施例1〜3では、実施例4
〜6に比べて堆積性はやや低下するが、安定性、除去性
はより優れる。
【0016】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
本発明の水除去型水溶性ダイカスト用離型剤において
は、前記の必須成分以外に、酸化防止剤、防腐防黴剤、
湿潤剤等の添加剤を適宜使用することができる。
【0017】
【発明の効果】本第1発明及び第2発明の水除去型水溶
性ダイカスト用離型剤は、金型汚れが少なく、或いは汚
れが金型に付着しても容易に除去でき、分散安定性及び
離型性にも優れるため、作業効率の向上を図ることが可
能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 105:24 101:04 125:30 129:16 159:10) C10N 20:06 30:04 30:08 40:24 40:36 (56)参考文献 特開 平2−120397(JP,A) 特開 平5−271682(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10M 173/00 C10M 103/06 C10M 107/50 C10M 109/00 C10M 105/24 C10M 101/04 C10M 125/30 C10M 129/16 C10N 40:24 C10N 40:36 WPI/L(QUESTEL)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)雲母、タルク及びカオリンから選
    ばれる少なくとも1種、(B)シリコーン、ワックス、
    油脂及び金属石けんから選ばれる1種又は2種以上、
    (C)界面活性剤、並びに(D)スメクタイトクレーと
    水溶性高分子化合物とからなる分散剤を含有し、窒化ホ
    ウ素、水溶性リン酸塩及びコロイド状シリカを含まず、
    上記スメクタイトクレー及び水溶性高分子化合物の含有
    量は、上記離型剤全体を100重量部とした場合、0.
    1〜10重量部であり、且つ該スメクタイトクレーと該
    水溶性高分子化合物の比率は、重量比で、1:0.2〜
    1:2であることを特徴とする水除去型水溶性ダイカス
    ト用離型剤。
  2. 【請求項2】 (A)雲母、タルク及びカオリンから選
    ばれる少なくとも1種、(C)界面活性剤、並びに
    (D)スメクタイトクレーと水溶性高分子化合物とから
    なる分散剤を含有し、窒化ホウ素、水溶性リン酸塩及び
    コロイド状シリカ並びに(B)シリコーン、ワックス、
    油脂及び金属石けんを含まず、上記スメクタイトクレー
    及び水溶性高分子化合物の含有量は、上記離型剤全体を
    100重量部とした場合、0.1〜10重量部であり、
    且つ該スメクタイトクレーと該水溶性高分子化合物の比
    率は、重量比で、1:0.2〜1:2であることを特徴
    とする水除去型水溶性ダイカスト用離型剤。
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