JP5532600B2 - ダイカスト用離型剤組成物およびそれを用いるエマルジョン型ダイカスト用離型剤 - Google Patents

ダイカスト用離型剤組成物およびそれを用いるエマルジョン型ダイカスト用離型剤 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金等からなるダイカスト成形物(ダイカスト製品)を製造するためのダイカスト用金型に塗布して使用するダイカスト用離型剤組成物およびそれを用いるエマルジョン型ダイカスト用離型剤に関し、特に高温での潤滑性、離型性、金型付着性に優れるダイカスト用離型剤組成物およびそれを用いるエマルジョン型ダイカスト用離型剤に関する。
ダイカスト(Diecasting)とは、特殊鋼で精度の高い金型を作り、その金型をダイカストマシンに取り付け、これに溶融したアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金などを高圧で注入し、迅速に凝固させてダイカスト製品を作製し、こうして作製したダイカスト製品を取り出す工程を有する高生産性の鋳造方式である。ダイカスト製品は、寸法精度が高く強度に優れ、外観が美しく、必要な機械加工が少ないという優れた特長を有する。
水性ダイカスト用離型剤として、従来、ジメチルシリコーンオイル等のアルキル変性シリコーンオイル、またはメチルフェニルシリコーンオイルの乳化物が使用されている。更に最近では、大型の成形物や複雑形状の成形物の製造に用いられる水性ダイカスト用離型剤として、高温でのシリコーン分の残存性を活かした耐熱性のアラルキル変性シリコーンオイルの乳化物も汎用されている。アルキル基やアラルキル基により潤滑性を付与されたこれらの離型剤は、金型上で加熱されて固着化し、強固な離型皮膜を形成することにより、高い離型性を示す。しかし、より高温になると離型性が不足して成形物の外観が悪くなり、更には金型に成形物が付着してしまうといった不具合が発生する。
そこで、上記の不具合を改善する目的で、ジメチルシリコーンオイルとアルキル変性シリコーンオイルの混合物で耐熱性を改良した離型剤(特許文献1)、アルキル基とアラルキル基の双方を含有するジオルガノポリシロキサンにより耐熱性を向上させた離型剤(特許文献2)、アルキル変性シリコーンオイルに微量のトリアルコキシシリルアルキル基を導入して金型との接着性を高めた離型剤(特許文献3)が提案されている。
しかし、上記離型剤は、耐熱性が高まったとはいえ、十分とはいえず、より高温では垂直な金型での流れ落ち現象が見られ、大型成形物の上部では外観異常が発生するといった問題がある。また、特許文献2で提案されている離型剤は、炭素原子数の大きい有機基で変性されたシリコーン(例えば、炭素原子数20以上の長鎖アルキル基で変性されたシリコーン)を含む高融点の固形状の離型剤であるため、一般的な乳化機で乳化するのは困難であり、特殊な乳化機を必要とするなど、工業的にも不利である。
従来、有機物の耐熱性向上剤として、各種のヒンダードアミンやヒンダードフェノールが市販されているが、オルガノポリシロキサンとの相溶性に乏しいため、シリコーンオイルを含む水性ダイカスト用離型剤に添加しても沈殿してしまい、耐熱性向上作用を発揮できない。
なお、特許文献4および5には、芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンが開示されているが、この芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤組成物は記載されておらず、このダイカスト用離型剤組成物が優れた離型性、耐熱性、金型付着性、ペインタブル性を有し、高温で連続的にダイカストを行ったときの堆積性が低いことも記載されていない。
特開2001−259787号公報 特開2001−114895号公報 特開平9−12886号公報 特公昭63−19538号公報 特公平7−119358号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、優れた離型性、耐熱性、金型付着性、ペインタブル性を有し、高温で連続的にダイカストを行ったときの堆積性が低いダイカスト用離型剤組成物およびそれを用いるエマルジョン型ダイカスト用離型剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、アラルキル基含有オルガノポリシロキサン等の、従来、離型性付与成分として用いられているオルガノポリシロキサンに、耐熱性付与成分として特定の芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンを添加することにより上記目的を達成することができることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は第一に、
(A)(A1)下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(2)で示されるアリール基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせ、および
(A2)下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンと25℃における粘度が10〜500mPa・sのジメチルポリシロキサンとの組み合わせ
のいずれか1種 90〜99.7質量%、ならびに
(B)下記一般式(3)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせ 0.3〜10質量%
からなるオルガノポリシロキサン混合物(ただし、(A)および(B)成分の合計が100質量%である。)
を含むダイカスト用離型剤組成物を提供する。

(式中、Rは独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表し、
1は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
mおよびnはおのおの0〜1,000の整数であり、かつ、m+nは10〜1,000の整数であり、
2は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
但し、n=0のとき、R2は炭素原子数7〜17のアラルキル基である。)

(式中、Rは前記のとおりであり、
は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、
は炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、複数存在する場合には互いに同一又は異なり、
sは0〜999の整数であり、tは1〜1,000の整数であり、かつ、s+tは10〜1,000の整数である。)

(式中、Rは独立に

を表し、
は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、又はフェニル基を表し、
pは1〜50の整数である。)

(式中、RおよびRは前記のとおりであり、
qは0〜47の整数であり、rは1〜10の整数であり、かつ、q+rは1〜48の整数である。)
本発明は第二に、上記ダイカスト用離型剤組成物、界面活性剤、および水を含むエマルジョンからなるエマルジョン型ダイカスト用離型剤を提供する。
本発明のダイカスト用離型剤組成物は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金等を成形するためのダイカスト用金型に塗布して用いられて良好な離型性およびペインタブル性を示し、200℃程度の低温から300℃以上の高温までの幅広い温度範囲において優れた金型付着性を示す。本発明のダイカスト用離型剤組成物は、高温で連続的にダイカストを行っても堆積性が低く、作業性を著しく向上させ、ダイカスト用金型からの離型の効率を大幅に改善するものである。本発明のダイカスト用離型剤組成物は耐熱性に優れているので大型成形物の作製にも適用することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド・エンジニアリング・ラボラトリーズ社(BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES,INC.)製の粘弾性測定装置(Viscometer)により測定した25℃における値である。
[ダイカスト用離型剤組成物]
本発明のダイカスト用離型剤組成物は、上記のとおり、(A)成分および(B)成分からなるオルガノポリシロキサン混合物を含むものである。
<オルガノポリシロキサン混合物>
・(A)成分
(A)成分は、本発明のダイカスト用離型剤組成物に高温での離型性を与える離型性付与成分であり、上記(A1)および(A2)成分のいずれか1種である。
・・(A1)成分
(A1)成分は、下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(2)で示されるアリール基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせであるが、典型的には下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン又は下記一般式(2)で示されるアリール基含有オルガノポリシロキサンである。

(式中、Rは独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表し、
1は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
2は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
mおよびnはおのおの0〜1,000の整数であり、かつ、m+nは10〜1,000の整数であり、
但し、n=0のとき、R2は炭素原子数7〜17のアラルキル基である。)

(式中、Rは前記のとおりであり、
は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、
は炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、複数存在する場合には互いに同一又は異なり、
sは0〜999の整数であり、tは1〜1,000の整数であり、かつ、s+tは10〜1,000の整数である。)
炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基である上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。炭素原子数2〜5のアルケニル基である上記Rとしては、例えば、ビニル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のアルコキシ基である上記Rとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。得られる離型剤組成物にペインタブル性を付与する上では、上記一般式(1)において、全R中の適度な割合、例えば、全R中の20〜50モル%が炭素原子数8〜14の直鎖状アルキル基であることが好ましい。上記一般式(1)において、上記Rは、メチル基、メチル基とデシル基との組み合わせ、又はメチル基とドデシル基との組み合わせであることが特に好ましい。上記一般式(2)において、上記Rは、特にメチル基であることが工業的に好ましい。
上記R1は炭素原子数7〜17のアラルキル基である。R1の炭素原子数が7未満では得られる組成物の高温での付着性が乏しくなる場合がある。R1の炭素原子数が17を超えると、上記一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンを製造するためのオレフィン原料が固体となるので工業的に取り扱いにくくなる。上記R1としては、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等が挙げられるが、特に2−フェニルプロピル基が好ましい。
上記R2としては、例えば、上記RおよびR1のおのおのについて具体的に例示した有機基が挙げられる。
上記Rとしては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、特にフェニル基であることが工業的に好ましい。
上記Rとしては、例えば、上記RおよびRのおのおのについて具体的に例示した有機基が挙げられる。
上記mおよびnはおのおの0〜1,000、好ましくは5〜200の整数であり、かつ、m+nは10〜1,000、好ましくは20〜800の整数である。m+nが10未満では得られる組成物は高温での優れた離型性を有さない場合がある。m+nが1,000を超えると、得られるオルガノポリシロキサンは粘度が高くなりやすく乳化が困難になる場合がある。
上記sは0〜999の整数であり、アリール基含有シロキサン単位の個数を表す上記tは1〜1,000の整数であり、かつ、s+tは10〜1,000、好ましくは10〜800の整数である。s+tが10未満では得られる組成物は高温での優れた離型性を有さない場合がある。s+tが1,000を超えると、得られるオルガノポリシロキサンは高粘度になりやすく乳化が困難になる場合がある。
・・(A2)成分
(A2)成分は、上記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンと25℃における粘度が10〜500mPa・sのジメチルポリシロキサンとの組み合わせである。このジメチルポリシロキサンを上記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンと併用することで、得られる組成物のペインタブル性を更に向上させることがしにくくなる場合はあるものの、該組成物の低温部(250℃程度以下の範囲)での離型性をより向上させることができる。
前記ジメチルポリシロキサンの25℃における粘度は10〜500mPa・sであるが、好ましくは20〜350mPa・sである。該粘度が10mPa・s未満では、得られる組成物は離型性に乏しくなる場合がある。また、該粘度が500mPa・sを超えると、ジメチルポリシロキサンは離型性付与成分である(A1)成分との相溶性に乏しくなる場合があり、また、得られる組成物はペインタブル性に乏しくなる場合がある。
上記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンの(A2)成分中の配合量は、(A)成分と(B)成分とからなるオルガノポリシロキサン混合物中での該オルガノポリシロキサンの量が70〜99質量%となる量とすることが好ましい。一方、前記ジメチルポリシロキサンの(A2)成分中の配合量は、(A)成分と(B)成分とからなるオルガノポリシロキサン混合物中での該ジメチルポリシロキサンの量が0.7〜29.7質量%となる量とすることが好ましい。これらの配合量を上記の範囲とすることにより、良好なペインタブル性を維持したままで、得られる組成物の前記低温部での離型性を更に向上させることが容易となる。
・(B)成分
(B)成分は、本発明のダイカスト用離型剤組成物に耐熱性を与える耐熱性付与成分であり、下記一般式(3)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせであるが、典型的には下記一般式(3)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン又は下記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンである。(B)成分は、従来の耐熱性向上剤である各種のヒンダードアミンやヒンダードフェノールと異なり、(A)成分の離型性付与性のオルガノポリシロキサンに均一に溶解するので、本発明のダイカスト用離型剤組成物に著しい耐熱性を付与することができる。

(式中、Rは独立に

(即ち、N−フェニルアミノフェニル基、N−(p−アニリノフェニル)アミノフェニル基、N−(α−ナフチル)アミノフェニル基、またはN−(β−ナフチル)アミノフェニル基)
を表し、
は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、又はフェニル基を表し、
pは1〜50の整数である。)

(式中、RおよびRは前記のとおりであり、
qは0〜47の整数であり、rは1〜10の整数であり、かつ、q+rは1〜48の整数である。)
炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基である上記Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。上記一般式(3)および(4)において、上記Rは、メチル基またはフェニル基であることが好ましい。
上記一般式(3)又は(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンにおいて、ケイ素原子数(即ち、シロキサン単位の重合度)が50より大きくなると、相対的に芳香族アミノ基の含有量が小さくなり過ぎて、得られる組成物は所望の耐熱性を発揮しにくくなるため、上記pは1〜50の整数であり、上記q+rは1〜48の整数である。また、上記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンは、rが10より大きいと、離型性付与成分である(A)成分への溶解性に乏しくなるので、上記一般式(4)において、qは0〜47の整数であり、rは1〜10の整数である。
上記一般式(3)又は(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記式A)〜G)で示されるものが挙げられる。
(A)成分および(B)成分からなるオルガノポリシロキサン混合物において、(A)成分の添加量は90〜99.7質量%であり、(B)成分の添加量は0.3〜10質量%であり、ただし、(A)および(B)成分の合計が100質量%である。(B)成分の添加量が0.3質量%未満(即ち、(A)成分の添加量が99.7質量%超)では、得られる組成物は耐熱性が向上しにくい。(B)成分の添加量が10質量%を超えると(即ち、(A)成分の添加量が90質量%未満であると)、(A)成分と(B)成分との溶解性が乏しくなりやすく、更に、(B)成分の添加量を増やしても、得られる組成物の耐熱性が向上しにくくなるので、経済的にも不利である。
[その他の任意成分]
本発明のダイカスト用離型剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、オルガノポリシロキサン混合物以外に、その他の任意成分、例えば、防腐剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤等の一般的にシリコーンエマルジョンに使用される添加剤や、離型性を調整する目的で、エステル油、鉱油、油脂類、各種合成ワックス類、アルミニウム粉、黒鉛などの(A)成分以外の離型性付与成分を更に配合することができる。これらその他の任意成分の配合量は、離型剤組成物中、0.1〜10質量%とすることが好ましく、特に0.5〜5質量%とすることが好ましい。
[エマルジョン型ダイカスト用離型剤]
本発明のダイカスト用離型剤組成物は、有機溶剤で希釈して金型に塗布することもできるが、一般工業的には乳化して用いる。そこで、本発明のダイカスト用離型剤は、本発明のダイカスト用離型剤組成物、界面活性剤、および水を含むエマルジョンからなるエマルジョン型ダイカスト用離型剤である。
使用される界面活性剤は、特に限定されず、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられるが、特にノニオン系界面活性剤が安定性面で好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・オクチルフェニルエーテル等が挙げられる。
前記エマルジョンの製造方法は特に限定されないが、本発明のダイカスト用離型剤組成物に界面活性剤および水を加え、せん断応力を加えて乳化することにより、水中油型のエマルジョンとして前記エマルジョンを得ることができる。乳化は、ホモミキサー、コロイドミル、ラインミル、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、トリミックスミキサー等の乳化機又は混合機を用いて行うことができる。
本発明の効果を損なわない限り、前記エマルジョン中の各成分の配合量は特に制限されない。しかし、前記エマルジョン中の本発明のダイカスト用離型剤組成物の配合量は1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。また、前記エマルジョン中の界面活性剤の配合量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。更に、残部を水とすることが好ましい。前記ダイカスト用離型剤組成物の配合量が1〜50質量%であると、得られるエマルジョンからなるエマルジョン型ダイカスト用離型剤は、高粘度となりにくいので塗布しやすく、また、より良好な離型性を発現する。前記界面活性剤の配合量が0.1〜10質量%であると、該界面活性剤の乳化力は十分なものとなりやすく、かつ、得られるエマルジョンからなるエマルジョン型ダイカスト用離型剤は離型性が悪化しにくい。
本発明のエマルジョン型ダイカスト用離型剤をダイカスト用金型にスプレー塗布、浸漬等の公知の方法により塗布し、該離型剤が塗布された該金型に溶融したアルミニウム合金、マグネシウム合金、亜鉛合金などの合金を注入し、該合金を凝固させ、凝固した該合金を該金型から取り出すことにより、ダイカスト成形物を製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示し、Meはメチル基を、Phはフェニル基を示す。
[エマルジョンの調製方法]
下記の実施例1〜5の各々で調製したオルガノポリシロキサン混合物または下記の比較例1に記載のオルガノポリシロキサン50部、ポリオキシエチレンドデシルエーテル(HLB=10.5)3部、及びポリオキシエチレンドデシルエーテル(HLB=16.3)2部を均一に分散混合した後、水4部を加えて攪拌した。攪拌後の試料をコロイドミルに通して乳化し、得られた乳化物に更に水95部を添加して試料が均一になるまで攪拌して、水性エマルジョンを得た。得られた水性エマルジョンについて、下記のとおりにして、離型性、付着性、堆積性を調べた。結果を表1に示す。
[実施例1]
下記式(5)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン49.5部、及び下記式A)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン0.5部を均一に混合してオルガノポリシロキサン混合物を調製した。
上記式(5)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独及び上記オルガノポリシロキサン混合物について空気中で熱重量分析を行った(測定機器:株式会社リガク製 Thermo plus TG8120、測定条件:昇温速度10.0℃/分)。結果を図1に示す。図1では、測定開始時の温度(25℃)での重量に対する各温度での重量の減少率を温度に対してプロットした。図1に示すとおり、上記オルガノポリシロキサン混合物は、上記式(5)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独と比較して、約220〜約400℃の範囲において重量の減少率が小さく、より高い耐熱性を有していた。
[実施例2]
上記式(5)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン48部、及び上記式A)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン2部を均一に混合してオルガノポリシロキサン混合物を調製した。
[実施例3]
下記式(6)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン49部、及び下記式G)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン1部を均一に混合してオルガノポリシロキサン混合物を調製した。
実施例1と同様に、上記式(6)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独及び上記オルガノポリシロキサン混合物について空気中で熱重量分析を行った。結果を図2に示す。図2では、測定開始時の温度(25℃)での重量に対する各温度での重量の減少率を温度に対してプロットした。図2に示すとおり、上記オルガノポリシロキサン混合物は、上記式(6)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独と比較して、約220〜約480℃の範囲において重量の減少率が小さく、より高い耐熱性を有していた。
[実施例4]
上記式(5)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン40部、25℃における粘度が100mPa・sのジメチルポリシロキサン9部、及び上記式A)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン1部を均一に混合してオルガノポリシロキサン混合物を調製した。
[実施例5]
下記式(7)で示されるフェニル基含有オルガノポリシロキサン49部、及び上記式G)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン1部を均一に混合してオルガノポリシロキサン混合物を調製した。
[比較例1]
下記式(8)で示されるオルガノポリシロキサンをエマルジョンの調製に用いた。
<離型性の評価>
長さ5cm×幅5cm×深さ5mmであり、底面に断面が半径2mmの半円状をした溝を長さ方向および幅方向に沿って1cm毎に方眼状に掘った金型に、オルガノポリシロキサンの合計の濃度が1%になるように水で希釈した水性エマルジョンを吹き付け、350℃に予熱した。この金型に電気炉により750℃で溶融させたアルミニウムを注ぎ込み、冷却後、金型からアルミニウムを剥し、はがれやすさの程度を下記の基準で評価した。
○:容易に脱型、 △:脱型がやや困難、 ×:脱型が非常に困難
<付着性の評価>
10cm×10cm×1cmの鉄板を200℃、300℃、又は400℃に加熱し、オルガノポリシロキサンの合計の濃度が1%になるように水で希釈した水性エマルジョン40mlを4kgf/cm2のスプレー圧で、この加熱した鉄板の表面に吹き付け、付着の度合いを観察し、下記の基準で評価した。
○:厚く均一に付着、 △:薄く均一に付着、 ×:薄く斑に付着
<堆積性の評価>
10cm×10cm×1cmの鉄板を200℃に加熱し、オルガノポリシロキサンの合計の濃度が2%になるように水で希釈した水性エマルジョンを、この加熱した鉄板の表面に50回スプレーした後、水を染み込ませたガーゼで鉄板上の堆積物をふき取り、堆積物の除去のしやすさを調べ、下記の基準で評価した。
○:容易に除去、 △:膜が若干残存、 ×:除去困難
実施例1で用いたアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独及び実施例1で該オルガノポリシロキサンから調製したオルガノポリシロキサン混合物について空気中で熱重量分析を行った結果を示すグラフである。 実施例3で用いたアラルキル基含有オルガノポリシロキサン単独及び実施例3で該オルガノポリシロキサンから調製したオルガノポリシロキサン混合物について空気中で熱重量分析を行った結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. (A)(A1)下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(2)で示されるアリール基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせ、および
    (A2)下記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンと25℃における粘度が10〜500mPa・sのジメチルポリシロキサンとの組み合わせ
    のいずれか1種 90〜99.7質量%、ならびに
    (B)下記一般式(3)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、下記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン、又はその組み合わせ 0.3〜10質量%
    からなるオルガノポリシロキサン混合物(ただし、(A)および(B)成分の合計が100質量%である。)
    を含むダイカスト用離型剤組成物。
    (式中、Rは独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表し、
    1は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
    2は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数7〜17のアラルキル基を表し、
    mおよびnはおのおの0〜1,000の整数であり、かつ、m+nは10〜1,000の整数であり、
    但し、n=0のとき、R2は炭素原子数7〜17のアラルキル基である。)
    (式中、Rは前記のとおりであり、
    3は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、
    4は炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表し、複数存在する場合には互いに同一又は異なり、
    sは0〜999の整数であり、tは1〜1,000の整数であり、かつ、s+tは10〜1,000の整数である。)
    (式中、R5は独立に
    を表し、
    6は独立に炭素原子数1〜14の直鎖状アルキル基、又はフェニル基を表し、
    pは1〜50の整数である。)
    (式中、R5およびR6は前記のとおりであり、
    qは0〜47の整数であり、rは1〜10の整数であり、かつ、q+rは1〜48の整数である。)
  2. (A1)成分が上記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンであり、
    (B)成分が上記一般式(3)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサン又は上記一般式(4)で示される芳香族アミノ基含有オルガノポリシロキサンである、請求項1に係るダイカスト用離型剤組成物。
  3. (A)成分が(A2)成分であり、前記オルガノポリシロキサン混合物において、上記一般式(1)で示されるアラルキル基含有オルガノポリシロキサンの量が70〜99質量%であり、前記ジメチルポリシロキサンの量が0.7〜29.7質量%である請求項1または2に係るダイカスト用離型剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物、界面活性剤、および水を含むエマルジョンからなるエマルジョン型ダイカスト用離型剤。
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