JPH036413Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は複数の型締装置に対し、射出装置を
交互に横移動自在に配して合成樹脂の成形を行う
場合に好適な射出装置の移動装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 一般的に型締装置に対して射出装置を進退移動
させるには２つの手段がある。

その１つは、機台上に摺動自在に設けた射出装
置と、型締装置とを油圧シリンダにより接続し、
該シリンダの縮伸により往復移動を行なうことで
あり、他の１つは、機台上に摺動自在に設けた射
出装置と射出装置後方の機台を油圧シリンダによ
り係合させ、その油圧シリンダの伸縮により往復
移動を行なうことである。

しかし、複数の型締装置に対して、１基の射出
装置を交互に横移動して成形を行なう交互式射出
成形機の場合には、射出装置の移動の都度射出装
置に設けられた移動シリンダと型締装置、或いは
射出装置後部機台との係合又は解除を行なうこと
は困難であることから、第３図及び第４図に示す
如く、射出装置１を載置する射出台２に移動シリ
ンダ３を設け、その射出台２を機台４の上のスラ
イド板５に摺動自在に設け、かつスライド板後部
に立設した壁部５ａに、上記移動シリンダ内のピ
ストン６のピストンロツド７を連結し、機台上面
とスライド板下面との間に、機台上に並設した２
基の型締装置８，９に対して射出装置１を横移動
させるレール１０及びガイド部材１１と横移動装
置１２とを設け、ノズル１ａと金型１３，１４と
の接離のための進退動作は、上記移動シリンダ３
への圧油の供給により行ない、各型締装置８，９
への射出装置１の交互移動は上記横移動装置１２
によりスライド板５ごと移動して行なつていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかし、上記の如き従来装置においては、ノズ
ルタツチ力及び射出装置１の後退力のすべてをス
ライド板５で受けており、特に壁部５ａにおいて
は交番曲げ荷重が作用するため、スライド板５と
壁部５ａには十分な剛性を付与せねばならず、特
に交互式成形機ではガイド部材１１を介してスラ
イド板５をレール１０に嵌合させているだけに、
取り付けが不安定であるから、通常の場合よりも
十分な剛性を必要とする。

そのため、スライド板５は大型化、重厚化し易
く、コストの上昇を招くばかりか、交互式成形機
の場合には、横移動装置、ガイド、レールのクラ
スアツプまでをも余儀なくされ、移動抵抗、慣性
力も増加するなどの問題があつた。

この考案は上記事情に鑑みてなされたものであ
つて、上記スライド板の受ける力を減少し、スラ
イド板を小型かつ軽薄化させることのできる新た
な射出装置の移動装置を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的による本考案は、機台上に並設された
複数の型締装置に対して、横移動自在に設けた機
台上のスライド板に載置され、かつ一体に有する
射出台内の移動シリンダとピストンとにより、上
記型締装置に対し進退移動自在に配置された射出
装置において、上記スライド板の後端に壁部を立
設するとともに、該壁部に近接する受け部材を機
台上に設け、上記移動シリンダのピストンロツド
を、射出台後端から壁部を貫通して末端が受け部
材に臨む所まで突出し、かつ末端は受け部材内側
面及び壁部外側面と接する係止部材をもつて形成
してなることを要旨とするものである。

（作用） 上記構成による本考案では、ノズルタツチ力は
移動シリンダ前室への圧油の供給により発生し、
その反力はピストン、ピストンロツド、係止部材
を介して受け部材に作用し、射出装置の後退は移
動シリンダ後室への圧油の供給により行われ、そ
の反力はピストン、ピストンロツド、係止部材を
介して壁部に作用する。

しかし、射出装置の後退力はノズルタツチ力の
約半分と小さく、しかもサイクル毎に発生する力
は射出装置、射出台の慣性力と摩擦抵抗により発
生するわずかなものであるので総合的にスライド
板、壁部に作用する力は減少し、しかも力は交番
ではなく、片繰り返し的に作用する。

この考案を第１図及び第２図に示す実施例によ
り詳説する。

（実施例） 図中２１は機台で、上部に並設した２基の型締
装置２２と１基の射出装置２３とが設けてある。
上記射出装置２３は下部に射出台２４を備え、そ
の射出台２４を後端に壁部１５ａを立設したスラ
イド板２５の上に摺動自在に載置して、機台上に
設けられている。

またスライド板２５は、上記型締装置２２に対
して横方向に敷設した機台上の２条のレール２６
に、ガイド部材２７を嵌合させて移動自在に設け
られ、かつレール間に配置した油圧シリンダによ
る横移動装置２８に連結してある。

上記射出台２４の内部には、移動シリンダ２９
が型締装置２２に向けて設けてある。このシリン
ダ内のピストン３０のロツド３１は、射出台後端
から上記壁部２５ａを貫通して、壁部外側に近接
させて機台上に設けた横長の受け部材３２に末端
が臨む所まで突出し、かつ末端は受け部材外側面
及び壁部外側面と接する係止部材３３により形成
されている。

なお射出装置２３はインラインスクリユ式、プ
ランジヤ式、スクリユプリプラ式等の公知のいか
なるものでも良く、また型締装置２２も直圧式に
限らず、ドグル式、トグル直圧式等公知のいかな
るものでも良い。

次に移動作用について説明する。

まず第１図の状態において、移動シリンダ２９
の前室に圧油を供給すると、射出装置２３の移動
抵抗よりピストン３０の移動抵抗の方が小さいこ
とから、ピストン３０と共にピストンロツド３１
が後退し、端部の係止部材３３の外端面が受け部
材３２に当る。しかしその以上ピストンは後退し
ないので、今度は射出装置１が射出台２４と共に
型締装置２２の方向へ前進して、ノズル２３ａが
金型３４にタツチする（第２図）。

次に射出装置２２より上記金型３４に樹脂材料
の供給を行ない、ゲートシールが完了したら移動
シリンダ２９の後室に圧油を供給すると、上記ピ
ストン３０とピストンロツド３１が第１図に示す
ように左方へ移動し、係止部材３３の内端面が第
１図に示すように壁部外側面に当つて、ピストン
３０がそれ以上動かないようになる。このため反
対に今度は射出装置２３と射出台２４とが第１図
に示す位置まで後退移動することになる。

そしてノズル２３ａが型締装置２２と干渉しな
い位置まで後退したら圧油の供給を止めて、射出
装置２３を停止させ、横方向に対する固定を解除
してから移動装置２８を作動して射出装置２３を
隣の型締装置の対向位置まで移動し、位置決め及
び再び横方向に対する固定を行つたのち、前記と
同様に射出装置２３の進退移動を行う。

（考案の効果） この考案は上述のように、射出装置２３を載置
した横移動自在な機台２１上のスライド板２５の
後端に壁部２５ａを立設するとともに、その壁部
２５ａに近接する受け部材３２を機台上に設け、
スライド板上に位置する射出装置２３の射出台２
４に内設した移動シリンダ２９のピストンロツド
３１を、射出台後端から壁部２５ａを貫通して末
端が受け部材３２に臨む所まで突出し、その末端
を受け部材３２の内側面及び壁部２５ａの外側面
と接する係止部材３３により形成し、射出装置２
３の前進時及びノズルタツチ時の力を受け部材３
２で受けるようにしたことから、スライド板側に
はほとんど力が作用せず、反対に後退時には壁部
に力が作用するが、後退側油室の有効断面積は前
進側より小さく（発生する力が小さい）、また各
サイクル毎に発生する力は、射出装置及び射出台
の慣性力と摩擦抵抗により発生するわずかな力で
あり、しかも力は片繰り返し的に作用するので、
壁部の必要とする剛性を低減することができ、ス
ライド板の剛性も低減できる。この結果スライド
板を小型かつ軽量化して、コストダウンを図るこ
とができるばかりか、射出装置が後退位置にある
ときには、受け部材と係止部材との間に間隙が生
ずるので、スライド板による射出装置の横移動も
スムーズに行われるなどの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の移動装置を備えた射出装置を
有する成形機の要部縦断部分側面図、第２図は同
上のノズルタツチ時の要部縦断部分側面図、第３
図は従来の移動装置を備えた射出装置を有する成
形機の平面図、第４図はその要部縦断部分側面図
である。 ２１……機台、２２……型締装置、２３……射
出装置、２４……射出台、２５……スライド板、
２５ａ……壁部、２９……移動シリンダ、３０…
…ピストン、３１……ピストンロツド、３２……
受け部材、３３……係止部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機台上に並設された複数の型締装置に対して、
   横移動自在に設けた機台上のスライド板に載置さ
   れ、かつ一体に有する射出台内の移動シリンダと
   ピストンとにより、上記型締装置に対し進退移動
   自在に配置された射出装置において、上記スライ
   ド板の後端に壁部を立設するとともに、該壁部に
   近接する受け部材を機台上に設け、上記移動シリ
   ンダのピストンロツドを、射出台後端から壁部を
   貫通して末端が受け部材に臨む所まで突出し、か
   つ末端は受け部材内側面及び壁部外側面と接する
   係止部材をもつて形成してなる射出装置における
   移動装置。