JPH0360446B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、育苗容器によつて育苗した苗を用い
て移植する移植機の苗列分離装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、移植作業の省略化のため、種々な自動移
植機が開発されているが、一般畑作物用の自動移
植機としては、先に提案された特開昭58−162203
号公報に示されるものがきわめて大きな能力を発
揮している。

この先に提案された自動移植機は、第７図、第
８図および第９図に示されるような育苗容器１を
用いるものである。すなわち、この育苗容器１
は、塩化ビニールなどの比較的柔軟で可撓性を有
する合成樹脂薄材によつて一体に形成され、上板
２の下部に、上面を開口した多数の育苗鉢３が前
後方向および横方向に所定間隔をおいて並設され
ている。この各育苗鉢３は、底面４を平坦とする
とともに、側面５を下方に行くにしたがつて幅狭
とし、各育苗鉢３のテーパー状の側面５の間に前
後方向および横方向にわたつて溝６，７が直線状
に形成されている。そして、各育苗鉢３に土８を
詰めるとともに播種し、苗９を育成するものであ
る。

そうして、この育苗容器１によつて育苗した苗
集団を育苗容器１ごとに移植機に供給し、育苗容
器１を苗９の横一列単位で送るとともに、苗浮か
し装置で育苗容器１の一列の苗９を育苗容器１か
ら浮き出させ、苗９を育苗容器１から容易に抜き
出させる状態にし、さらに苗捕捉装置によりその
一列の苗９を捕捉して育苗容器１から引き抜き、
苗植え付け装置で圃場に植え付けるものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上述の移植機においては、育苗容器から苗を取
出すに先立つて、苗浮かし装置により各育苗鉢の
底部を押動し、苗の分離の際に育苗鉢の苗の根部
を育苗鉢との密着から解放して根部を育苗鉢内で
浮き上らせ、育苗容器からの苗の分離を容易にし
ているが、一列の苗を捕捉して分離する際に、次
の列の苗に影響を与えることがある。

たとえば、育苗容器の各育苗鉢の苗は互いに隣
接するものにおいて葉の絡み等によつて連繋され
た状態になることがある。このような場合、苗捕
捉装置で一列の苗を捕捉し、育苗容器の各育苗鉢
から持ち上げて分離する際、次に捕捉する列の苗
まで一緒に持ち上げて育苗鉢から誘い出すことが
あり、このようなときには正常な作動を著しく阻
害する。すなわち、育苗容器の育苗鉢から苗列を
抜き取る作動が不規則になると、自動移植機は高
速で作業を行なうため、不規則動作の発生による
障害除去の時間が相対的にきわめて大きくなり、
自動移植機の本来の性能を発揮させることができ
なくなる。

本発明は、上述のような問題を解決しようとす
るもので、苗列の分離を一列ずつ確実に行なえる
ようにすることを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、可撓性を有する合成樹脂薄材によつ
て一体に形成され前後方向および横方向に所定間
隔をおいて育苗鉢３を並設した育苗容器１を用い
て育苗し、この育苗容器１によつて育苗された苗
９を移植するものであつて、上記育苗容器１を前
後方向に移動可能に支持する育苗容器支持装置２
２と、この育苗容器支持装置２２によつて支持さ
れた育苗容器１をその育苗鉢３間隔で前方に送る
育苗容器送り装置２３と、この育苗容器送り装置
２３によつて所定位置に送られた育苗容器１の育
苗鉢３の苗９の根部を育苗鉢３との密着から解放
する苗浮かし装置２５と、この苗浮かし装置２５
によつて育苗容器１の育苗鉢３から密着を解放さ
れた苗９を捕捉して持ちあげる苗捕捉装置２６
と、この苗捕捉装置２６で捕捉されて所定の位置
に送られた苗９を圃場に導く苗植え付け装置２８
とを備えた移植機において、上記苗捕捉装置２６
で育苗容器１の横一列に配列された育苗鉢３から
一列の苗９を捕捉して持ち上げる際に次の一列に
配列された育苗鉢３の苗９の根部を押える押え体
６３を設けたものである。

〔作用〕

本発明は、苗捕捉装置により育苗容器における
横一列の育苗鉢から一列の苗を取出す際に、次の
一列の苗の根部を押え体によつて押え、次の一列
の苗を誘い出して持ち上げるようなことを防止す
るものである。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図および第２図は、移植機の全体を示すも
のである。

１１は機枠で、この機枠１１の前部に三点リン
ク機構を介してトラクタに連結するトラクタ連結
部１２が設けられている。また、上記機枠１１の
下部に支枠１３を介して開溝器１４が設けられて
いるとともに、機枠１１の後部両側に車軸１５を
介して鎮圧輪１６が軸架されている。

上記機枠１１上に自動給苗装置２１が設けられ
ている。この自動給苗装置２１は、育苗容器支持
装置２２、育苗容器送り装置２３、育苗容器排出
装置２４、苗浮かし装置２５、苗捕捉装置２６、
苗送り装置２７、苗植え付け装置２８を備えてい
る。

つぎに、上記育苗容器支持装置２２を、第３
図、第４図および第５図について説明する。

この育苗容器支持装置２２は、基板３１上に前
後方向に向つて両側の側板３２およびこの両側の
側板３２間に複数個の案内板３３が上記育苗容器
１の前後方向の溝６の間隔に対応する等間隔で平
行にかつ同高に立設され、この両側の側板３２お
よび各案内板３３の上端に沿つて丸棒状の案内ロ
ツド３４が設けられている。また、上記基板３１
の前部に開口部３５が形成され、この開口部３５
に対応して上記各案内板３３の下部に切欠部３６
が形成されている。

そして、育苗容器支持装置２２上に育苗容器１
を供給し、各案内板３３の案内ロツド３４上に育
苗容器１の前後方向の各溝６を嵌合し、各案内板
３３および両側の側板３２の案内ロツド３４で各
溝６間および両側縁部の上板２を同高の同一平面
上で支持する。これによつて、育苗容器１は前後
方向移動自在に支持される。

つぎに、上記育苗容器送り装置２３を、第３図
および第５図について説明する。

この育苗容器送り装置２３は、送り板４１を有
し、この送り板４１は、上記育苗容器１の全幅と
対応する長さに形成され、育苗容器の横方向の溝
７に係脱自在に係合するようになつており、上縁
部に上記育苗容器支持装置２２の各案内板３３に
対応する位置において凹部４２が形成されてい
る。そして、上記送り板４１は、上記育苗容器支
持装置２２の開口部３５および切欠部３６に臨ま
せられている。また、上記送り板４１は駆動機構
４３によつて作動される可動枠４４に取付けられ
ており、駆動機構４３の作動により、送り板４１
が基板３１の開口部３５および各案内板３３の切
欠部３６において垂直に上昇し、送り板４１の各
凹部４２が各案内板３３を避けながら各案内ロツ
ド３４の上端面から少し突出するとともに、育苗
容器１の横方向の溝７に入り、ついで、送り板４
１が前方に所定距離前進し、溝７の前方の側面５
に当接して育苗容器１を所定距離送り、ついで、
送り板４１が垂直に下降して溝７から離脱し、さ
らに、所定距離後方に移動して復帰し、このよう
にして育苗容器１を育苗鉢３間隔で順次送り出
す。

つぎに、上記苗浮かし装置２５を第３図および
第４図について説明する。

この苗浮かし装置２５は、上記育苗容器支持装
置２２の基板３１の前端下部に支枠５１を介して
ガイド枠５２が取付けられ、このガイド枠５２に
その角状のガイド孔５３を介して角棒からなる上
下動杆５４が上下動自在に設けられ、この上下動
杆５４の上端部に支板５５が取付けられ、この支
板５５上に上記各案内板３３間に臨ませた押動体
５６が設けられている。また、上下動杆５４は駆
動機構５７によつて上下動される。

また、上記育苗容器支持装置２２の両側の側板
３２の前端外側部に前側板６１が取付けられ、こ
の両側の前側板６１の上部間に案内上板６２が取
付けられ、この案内上板６２の後部に上記各案内
板３３上に位置させて押え体６３が突設されてい
る。この各押え体６３は、育苗容器１における横
一列の各育苗鉢３間に位置する細幅の育苗容器押
え部６４と、この育苗容器押え部６４の先端に一
体に連設され次の横一列の各育苗鉢３間に位置す
る広幅の土押え部６５とを有しており、この土押
え部６５はその両側において隣接する各育苗鉢３
の土８上に張出している。

そして、育苗容器１の静止状態において上下動
杆５４が上昇し、支板５５を介して各押動体５６
が上昇し、育苗容器１の最前列の各育苗鉢３の底
面に突き当り、押動する。これによつて、各育苗
鉢３の底面４はその可撓性により上方に凹み、育
苗鉢３内にある苗９の根部も押上げられ、育苗鉢
３の内側面との密着状態が解かれ、苗９を育苗鉢
３から抜き去るのを容易にする。

このように各押動体５６が各育苗鉢３の底面４
を突き上げる際、各育苗鉢３間に押え体６３の育
苗容器押え部６４が位置して各育苗鉢３の両縁の
上板２を上方から押え、各育苗鉢３が持上がるの
を防止する。そして、育苗容器１の一列の育苗鉢
３は各押動体５６と各押え体６３の育苗容器押え
部６４とで挾持された状態となり、一列の育苗鉢
３の苗９を浮き上られる際に育苗容器１が不規則
な動きをするのを防止する。

つぎに、上記苗捕捉装置２６は、第１図および
第２図に示すように、苗捕捉体７１が駆動機構７
２により所定の軌跡で移動するように設けられて
いる。

そして、苗捕捉体７１は、上記のように所定位
置で浮き上げられた育苗容器１の横一列の育苗鉢
３における苗９を側方から捕捉し、ついで上昇し
て苗９を抜き出し、所定位置で離脱させる。

このように、苗捕捉体７１で捕捉した苗９を育
苗鉢３から持ち上げる際、葉の絡み等によつて次
に捕捉される次列の苗９まで持ち上げようとして
も、第６図のように、苗９の根部が両側から張出
した押え体６３の土押え部６５によつて押えられ
ていて持ち上げられることはない。なお、この
際、押え体６３の育苗容器押え部６４の幅は各育
苗鉢３間の間隔と等しいか狭く形成されているた
め、持ち上げの際に障害にはならない。

また、苗捕捉装置２６で捕捉した苗９は苗送り
装置２７に供給し、この苗送り装置２７で送られ
た苗９を苗植え付け装置２８により、開溝器１４
によつて形成された圃場の植付溝に導いて定植
し、また、空となつた育苗容器１を育苗容器排出
装置２４で排出する。

〔発明の効果〕

本発明によれば、苗捕捉装置で育苗容器の横一
列に配列された育苗鉢から一列の苗を捕捉して持
ち上げる際に、押え体が次の一列に配列された育
苗鉢の苗の根部を押えることにより、葉の絡み等
があつても、次に捕捉される苗まで持ち上げるこ
とはなく、苗を一列ずつ確実に分離供給すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す移植機の側面
図、第２図は第１図の移植機の平面図、第３図は
要部の装置の側面図、第４図は第３図の装置の平
面図、第５図は第３図の装置の−部の断面
図、第６図は押え体による苗押え状態を示す断面
図、第７図は本発明で用いる育苗容器の一例を示
す斜視図、第８図は第７図の育苗容器の平面図、
第９図は第７図の育苗容器の側面図である。 １……育苗容器、３……育苗鉢、９……苗、２
２……育苗容器支持装置、２３……育苗容器送り
装置、２５……苗浮かし装置、２６……苗捕捉装
置、２８……苗植え付け装置、６３……押え体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可撓性を有する合成樹脂薄材によつて一体に
   形成され前後方向および横方向に所定間隔をおい
   て育苗鉢を並設した育苗容器を用いて育苗し、こ
   の育苗容器によつて育苗された苗を移植するもの
   であつて、 上記育苗容器を前後方向に移動可能に支持する
   育苗容器支持装置と、 この育苗容器支持装置によつて支持された育苗
   容器をその育苗鉢間隔で前方に送る育苗容器送り
   装置と、 この育苗容器送り装置によつて所定位置に送ら
   れた育苗容器の育苗鉢の苗の根部を育苗鉢との密
   着から解放する苗浮かし装置と、 この苗浮かし装置によつて育苗容器の育苗鉢か
   ら密着を解放された苗を捕捉して持ちあげる苗捕
   捉装置と、 この苗捕捉装置で捕捉されて所定の位置に送ら
   れた苗を圃場に導く苗植え付け装置と、 を備えた移植機において、 上記苗捕捉装置で育苗容器の横一列に配列され
   た育苗鉢から一列の苗を捕捉して持ち上げる際に
   次の一列に配列された育苗鉢の苗の根部を押える
   押え体を設けたことを特徴とする移植機の苗列分
   離装置。