JPH0356128B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は中空角パイプ等を金型でもつて成形加
工するプレス加工用金型装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 従来、金型を用いて中空角パイプ等を２次成形
加工する装置としては、あらかじめ成形加工され
たパイプに所定のパイプカツト、パイプ端末カツ
ト、パイプＶノツチカツトなどを成形加工する金
型装置が使用されている。これらの装置を用いる
場合は、中空角パイプ等の被加工物を押圧するの
に油圧シリンダーと動力油圧ポンプを介して行つ
ていた。したがつて、これらの装置を直接金型装
置本体に付設したり、またこれらの装置を金型装
置に連動されるように取付けられていたので、金
型装置そのものが大型化されると共に、構造が複
雑となり、取扱いや操作が困難となる。また、被
加工物の形成加工がスムーズにできず非能率とな
り、多くの問題点があつた。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の被加工物を原点側方向へ押圧手段を、油
圧シリンダーと動力油圧ポンプによらず他の手段
を用いることと、パイプの寸法変動にも柔軟に対
応できかつ高能率を上げることに、本発明が解決
しようとする課題がある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、かかる課題を解決するために開発さ
れたものであつて、カムホルダー４と、該カムホ
ルダー４の先端部に軸２１を介してバネ７により
弾設し回動自在としたクイツクカム６と、前記カ
ムホルダー４を上部ホルダー２の裏面部と対向さ
せてアツパープレート５に取り付けた上型３とか
らなる上型部１と、下型１３の基台部にカムロツ
ド１６を内設し、該カムロツド１６の一端はスラ
イドカム１９を付設したバツクアツプ１５がベー
ス１２上を摺動自在となるように固定し、他端は
スプリング１７，１８を介して被加工物を押える
万力１４が前記ベース１２上を摺動自在となるよ
うに固定した下型１３とからなる下型部１１とか
ら構成して成り、前記上型部１と下型部１１とが
スプリング８にて弾設していることを特徴とする
プレス加工用金型装置の提供にあり、また前記下
型部１１の万力１４が加圧スプリング１７と万力
復帰用のスプリング１８間に弾設され、該万力１
４の弾圧により被加工物Ｐが下型１３の基台原点
Ｙ−Ｙ面へ押圧されるように構成してなり、また
前記上型部１と下型部１１とを弾設するスプリン
グ８が上型復帰用のスプリング８であるプレス加
工用金型装置の提供にある。

［作用］ (1) 上型部１が上死点にある状態で、万力１４と
上型３との間に被加工物Ｐを設置する。この状
態で上型部１をスプリング８のばね力に抗して
加圧して下降させると、カムホルダー４のクイ
ツクカム６がスライドカム１９に当接してスラ
イドカム１９を押しのけ、これによりバツクア
ツプ１５がベース１２上を摺動して万力１４が
スプリング１７，１８のばね力に抗して下型１
３上を摺動して被加工物Ｐを締め付け固定す
る。更に上型部１を下降させて、上型３により
被加工物Ｐを加工し、上型部１が下死点に達
し、クイツクカム６がスライドカム１９により
バネ７のばね力に抗して回動してスライドカム
１９が若干戻るから、万力１４による被加工物
Ｐの締め付け固定が開放され、上型部１が上昇
する際生ずる摩擦が大幅に軽減され、上型部１
の加圧をやめれば、スプリング８のばね力によ
り上型部１は上昇する。クイツクカム６がスラ
イドカム１９との当接が終了すると、クイツク
カム６はバネ７のばね力により反転して元の位
置に戻る。

(2) 前記下型部１１の万力１４が加圧スプリング
１７と万力復帰用のスプリング１８間に弾設さ
れ、該万力１４の弾圧により被加工物が押圧さ
れるように構成されているので、被加工物の押
圧が機械的にならず、常時加圧がソフトにしか
も強圧力で弾圧されることになる。

(3) 前記上型部１と下型部１１とを弾設するスプ
リング８が上型復帰用のスプリング８であるた
めに、上型部１をプレス機の作動における回復
状態がスムーズとなる。

［実施例］ 以下、図面に従つて本発明の実施例について説
明する。

第１図と第２図は、本発明のプレス加工用金型
装置の分解と組立て状態を示したものである。本
図からも明らかのように本発明装置は、上型部１
と下型部１１とからなるプレス加工用金型装置で
あり、その特徴はカムホルダー４と万力１４とに
ある。カムホルダー４は上型３をかかえる上型ホ
ルダー２と対置させてアツパープレート５に螺着
されている。このカムホルダー４の先端部にはク
イツクカム６が取付けられている。万力１４はい
わゆるバイスであり下型１３へ被加工物Ｐを押圧
するために設けたものである。なお、８は上型部
１を下型部１１の動作下死点より復帰させるスプ
リング、１２は下型部１１の取付ベース、１５は
スライドカム１９のバツクアツプ、１９はバツク
アツプ１５に付設されているスライドカム、２０
は止めネジであり、万力１４の押圧力を調整する
ネジを兼ねたものである。

第３図は、第２図に示した本発明装置の内部構
造を示したものであり、以下本発明の構成につい
て説明する。まず、上型部１はアツパープレート
５を介して上型ホルダー２に雄金型である上型３
と、クイツクカム６が設けてあるカムホルダー４
が取付けられている。次に、下型部１１は、ベー
ス１２上に雌金型である下型１３が固着されてお
り、この下型１３の基台部にカムロツド１６が挿
着されている。カムロツド１６の一端は、スライ
ドカム１９が付設されているバツクアツプ１５に
止めネジ２０により螺着されている。この場合、
バツクアツプ１５はベース１２上を摺動自在とな
るように構成されている。一方、カムロツド１６
の他端には、加圧用のスプリング１７と万力復帰
用のスプリング１８とが内設されており、この両
スプリング１７，１８間に万力１４が挿設されて
止めネジ２０にて螺着されている。つまり、万力
１４がスプリング１７にて常時加圧されると共に
スプリング１８にて万力１４を復帰させるように
構成されているのである。この場合も、万力１４
が下型１３を摺動自在となるように構成すること
が条件となる。

このように構成されている上型部１と下型部１
１は、スプリング８を介して装着されている。こ
のスプリング８は、上型３の復帰用のスプリング
であり、リターンスプリングの圧力だけで上型部
１がスムーズに上昇できるように構成されてい
る。

第４図と第５図は、本発明装置の使用状態を図
示したものであり、以下順次説明する。まず、第
３図に図示されているように、プレス加工用金型
装置の上型３が上死点にある状態で被加工物Ｐを
下型１３の壁面（Ｙ−Ｙ面）に当ててセツトす
る。次に、万力１４を被加工物Ｐの方向に作動
（万力１４の作動手段はいかなる手段でもよい）
させて、第４図の状態にする。すなわち、第４図
イ，ロに図示されているように、上型部１のアツ
パープレート５を上型３の上死点から矢線Ｇ方向
に加圧（加圧手段は従来と同じ）すれば、上型部
１はスプリング８のバネ力に抗して下降するか
ら、カムホルダー４に弾設しているクイツクカム
６は下型１３の側面１３ａにカム面６ａを摺動さ
せながら下降し、カム面６ｂがスライドカム１９
のカム面１９ａに当接して摺動し、スライドカム
１９を矢線Ｈ方向に押しのけようとする。このた
め、スライドカム１９を付設しているバツクアツ
プ１５はスプリング１８のバネ力に抗して同じく
矢線Ｈ方向にベース１２上を摺動して、カム面６
ｂとカム面１９ａとの摺動から、クイツクカム６
の頂点６ｃとスライドカム１９のカム面１９ｂと
の摺動に移行する。従つて、スプリング１７を介
して万力１４が矢線Ｈ方向に下型１３上を摺動し
て、上述の移行点で被加工物Ｐが下型１３の壁面
（Ｙ−Ｙ面）と万力１４の壁面間に締め付け固定
されることになる。更に、上型部１のアツパープ
レート５を加圧すれば、第４図イ，ロに示すよう
に、上型部１を支えているスプリング８を更に圧
縮しながら上型３が被加工物Ｐに接触すると同時
に切り込まれて、一定の位置で切り欠かれること
になる。この場合、上型３は被加工物Ｐを貫通す
ると共に、カムホルダー４のクイツクカム６が更
にスライドカム１９を第４図イ，ロ中矢線Ｈ方向
に押しながら下方向に押され、やがて上型３は下
死点に達し、第４図ハの位置になることになる。

この位置に上型３が達する過程で、クイツクカ
ム６は、その頂点６ｃがスライドカム１９のカム
面１９ｂに当接していたのが、スプリング１８の
ばね力によりクイツクカム６がバネ７のばね力に
抗して矢線Ｉ方向に約90度回転して、クイツクカ
ム６のカム面６ｄとスライドカム１９のカム面１
９ｂとが接するようになり、カムホルダー４内に
隠れるような状態になる。このためバツクアツプ
１５は矢線Ｋ方向に若干戻すから、万力１４も戻
り、被加工物Ｐの締め付け固定状態が解除され、
上型部１が上昇する際生ずる上型３と被加工物Ｐ
との摩擦が大幅に軽減され、上型部１の加圧をな
くせば、スプリング８のばね力だけで上型部１を
スムーズに上昇させることができる。

クイツクカム６がスライドカム１９との当接状
態が終了すると、クイツクカム６はバネ７のばね
力により反転して第４図ハの二点鎖線で示す元の
位置に戻り、このプレス加工用金型装置は再び同
一の加工をすることが可能な状態になる。

第５図は、被加工物Ｐの成形加工の一事例を示
したものである。図示されているのは中空角パイ
プに溝型の切欠部を成形加工する場合であり、Ａ
は上型の刃が中空角パイプに差し込まれた状態、
Ｂは更に刃がくい込んだ状態、そして、Ｃは上型
が下方向に抜けた状態と切欠片Ｄが切り取られた
状態をそれぞれ示したものである。

第６図は、従来のプレス加工用金型装置を示し
たものである。本図からも明らかのように万力１
４はエアーシリンダー（又は油圧シリンダー）Ｗ
を介して作動し、上型は通常のスプリングＳによ
つてのみ復帰上昇されている。したがつて、被加
工物Ｐは万力１４と下型の壁面間に機械的に押圧
され、一方上型も被加工物Ｐに機械的に加圧され
ることとなる。その結果、被加工物Ｐと作業者間
がシリンダーＷによりスペース妨害を受け、下死
点で一旦正確に停止させてエアー圧又は油圧を下
げ万力１４を解放状態にしてから上型３の復帰上
昇をさせることになり、手順を間違えるなどで、
しばしば不良製品が生ずるなどの問題点があつ
た。

［発明の効果］ 本発明は、以上のように構成されているので、
次のような効果を有している。

ア 従来は、被加工物を押圧するのにエアーシリ
ンダー又は油圧シリンダー等の圧力により油圧
バイスを作動してたので、設備費用や作業効率
も悪かつたが、本発明の万力によればこれらの
問題点をすべて解決することができる。

イ 本発明のように上型部を構成すれば、上型の
押圧と引抜きがスムーズとなるので、高精度の
成形加工ができると共に、均一で良質の加工製
品を得ることができる。

ウ 特に上型部を上下移動させるのにクイツクカ
ムを使用しているので、上型の上昇時に被加工
物との間に摩擦も生じず、しかもリターンスプ
リングの押圧だけでスムーズに上昇させること
ができるので、上型の回復状態が良好となる。

エ なお、本発明装置はユニツト化することがで
きるので、いかなる被加工物であつても自在に
成形加工ができるばかりか、取扱い操作も簡便
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本発明のプレス加工用金型装
置の分解図と組立図、第３図は本発明装置の主要
な構成部分を図示した概要図、第４図は本発明装
置の使用状態とその作動状態を示した説明概要
図、第５図は本発明装置を用いて成形加工した被
加工物の一事例を示した説明概要図、第６図は従
来のプレス加工用金型装置を示した概要図であ
る。 １……上型部、２……上部ホルダー、３……上
型、４……カムホルダー、５……アツパープレー
ト、６……クイツクカム、７……バネ、８，１
７，１８……スプリング、１１……下型部、１２
……ベース、１３……下型、１４……万力（バイ
ス）、１５……バツクアツプ、１６……カムロツ
ド、１９……スライドカム、２１……軸、Ｐ……
被加工物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ カムホルダー４と、該カムホルダー４の先端
   部に軸２１を介してバネ７により弾設し回動自在
   としたクイツクカム６と、前記カムホルダー４を
   上部ホルダー２の裏面部と対向させてアツパープ
   レート５に取り付けた上型３とからなる上型部１
   と、下型１３の基台部にカムロツド１６を内設
   し、該カムロツド１６の一端はスライドカム１９
   を付設したバツクアツプ１５がベース１２上を摺
   動自在となるように固定し、他端はスプリング１
   ７，１８を介して被加工物Ｐを押える万力１４が
   前記ベース１２上を摺動自在となるように固定し
   た下型１３とからなる下型部１１とから構成して
   成り、前記上型部１と下型部１１とがスプリング
   ８にて弾設していることを特徴とするプレス加工
   用金型装置。 ２ 前記下型部１１の万力１４がスプリング１７
   と万力復帰用のスプリング１８間に弾設され、該
   万力１４の弾圧により被加工物が下型１３の基台
   原点Ｙ−Ｙ面へ押圧されるように構成してなる請
   求項１記載のプレス加工用金型装置。 ３ 前記上型部１と下型部１１とを弾設するスプ
   リング８が上型復帰用のスプリング８である請求
   項１記載のプレス加工用金型装置。