JPH035555Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は折畳み容器、殊にそのヒンジ部の構造
に関する。

〔背景技術〕

合成樹脂製の折畳み容器として、従来より蝶着
体とこれに回動自在に連結される被蝶着体、そし
て上記両者を回動自在に連結するためのヒンジ部
が一体に形成されたものが提供されているが、こ
れは製造が簡単である半面、大きな折畳み容器の
製造が困難である。このために、大形の折畳み容
器については、蝶着体及び被蝶着体を個別に成形
して、この両者をヒンジで連結する構造をとつて
いるが、蝶着体の端縁に設けた筒部と被蝶着体に
設けた筒部との間にピンを挿入して被蝶着体に蝶
着体を回動自在に連結していたので、組立てが困
難で手間がかかつていた。

〔考案の目的〕

本考案は叙上の従来例の欠点に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは蝶着体と被
蝶着体とを個別に成形するにもかかわらず、両者
のヒンジによる連結が容易且つ確実で生産性の高
い折畳み容器を提供するにある。

〔考案の開示〕

しかして本考案に係る折畳み容器は、端縁にヒ
ンジ差込部を備えた蝶着体と、同じくヒンジ差込
部を備えた被蝶着体と、一対の側片が回動自在に
連結されたヒンジとからなり、蝶着体と被蝶着体
とがそのヒンジ差込部に各側片が差込まれるヒン
ジで回動自在に連結されて形成されるものであつ
て、蝶着体及び被蝶着体の各ヒンジ差込部はその
内面に係止部が凹欠されており、ヒンジの各側片
には上記係止部に先端が係止するばね片が切起こ
されていることに特徴を有して、ヒンジの各側片
を蝶着体及び被蝶着体のヒンジ差込部に差込んだ
ならば、ヒンジの側片に設けられたばね片がヒン
ジ差込部における係止部に係止されて蝶着体及び
被蝶着体に対するヒンジの取り付けがなされるよ
うにしたものである。

以下、本考案の実施例を添付図により詳述す
る。図示したものは、かごやコンテナー、収納容
器などの折畳み容器Ａであつて、底板１の上に側
壁板２と端壁板３を折畳めるようになつたもので
あり、ここでは側壁板２が蝶着体Ｂに該当し、底
板１が被蝶着体Ｃに該当している。

折畳み容器Ａは第１図に示すように底板１、一
対の側壁板２、一対の端壁板３及び複数個のヒン
ジ７より成つており、いずれも合成樹脂成形品で
ある。底板１は上面外周に立上がり部８を有して
いて長方形もしくは正方形の浅皿形をしており、
下面には台輪部９を有している。底板１の端縁内
面には端縁全長に沿つて突台部１０が突設され、
更に立上がり部８の端縁側内面からは突台部１０
上面へ向けて突片１１，１２が突出させられてお
り、突台部１０上面と突片１１，１２との間には
クランプ用間隙１３が形成されている。立上がり
部８の側縁側両端には略への字状の屈曲長孔１４
間には適当なピツチでヒンジ７と連結するための
上面開口したポケツト状のヒンジ差込部１５が設
けられており、ヒンジ差込部１５の外面には角窓
形の係止部１６が開口させられている。端壁板３
の上部には取手部６が開口され、両側部上面には
Ｖ字状に切込み１７を設けて端に接続凸起５を突
設してあり、両側面下端からは夫々外側方へ向け
て先端に外れ止め片１８を有する軸部１９を突設
してある。側壁板２両端の内面上端部からは内方
へ向けて下面開口した接続凹所４が突出させられ
ており、側壁板２の下端縁にはヒンジ７と連結す
るための下面開口したポケツト状のヒンジ差込部
２０が設けられ、ヒンジ差込部２０の外面には角
窓形の係止部２１が開口させられている。ヒンジ
７は中央に薄肉部２２を有し、薄肉部２２によつ
てその両側の側片２３が互いに回動できるように
なつたものであり、側片２３にはテーパがついて
やや台形状となつており、側片２３にはばね片２
４が切起し設けられている。しかして、端壁板３
を強制的に撓ませて軸部１９を屈曲長孔１４内に
挿通させてあり、端壁板３は軸部１９を中心とし
て自由に回動するようになつており、しかも軸部
１９は屈曲長孔１４に沿つてスライドするように
なつている。そして、軸部１９が屈曲長孔１４の
下部イに位置しているときには端壁板３は底板１
内へ倒れて収納されるようになつており、端壁板
３を立てながら軸部１９を屈曲長孔１４の上部ロ
へ移動させることによつて端壁板３は突台部１０
の上に載り、端壁板３下端のフランジ２５がクラ
ンプ用間隙１３内に挾持され端壁板３は傾かない
ように保持される。２６は屈曲長孔１４の上縁に
突設された弾性小突起であり、軸部１９が屈曲長
孔１４の下部へ戻るのを防止するものである。次
に、側壁板２の各ヒンジ差込部２０内にヒンジ７
の側片２３を挿入するばね片２４の先が係止部２
１の縁に引つ掛かつて側片２３は抜けなくなる。
尚、外面に開口する係止部２１から露出している
ばね片２４を押し込むことによつて、ばね片２４
の係止部２１に対する係止を容易に解除すること
ができ、ヒンジ差込部２０から側片２３を抜くこ
とができる。続いてヒンジ７の他方の側片２３を
底板１のヒンジ差込部１５内に挿入し、ばね片２
４の先を係止部１６の縁に引つ掛ける。これによ
つて側壁板２が底板１に回動自在に蝶着され、第
７図ａ，ｂに示すように側壁板２を立てたり、倒
したりできる。側壁板２を立てたときにはヒンジ
差込部１５，２０の外側の先端同志が当接し、側
壁板２は外側へは倒れないようになつている。

このようにして一体化された折畳み容器Ａは、
まず端壁板３を底板１の上へ倒し、次に端壁板３
の上から側壁板２を倒すことによつて板状に折畳
まれる。逆に、組立てる際には、先に側壁板２を
立て、次に端壁板３を立て、端壁板３上面の接続
凸起５を接続凹所４内に挿入するようにして端壁
板３を引き上げる。このとき、軸部１９は屈曲長
孔１４内を通つて中央部ハへ上昇しており、端壁
板３の下部内面を水平に押して端壁板３を突台部
１０の上に立ててやれば良い。尚、接続凹所４の
縁からはガイド片２７が垂下されていて接続凸起
５を挿入し易いようになつている。これによつ
て、接続凸起５が接続凹所４内に嵌合しているこ
とによつて端壁板３と側壁板２とが一体に接続さ
れており、不用意に側壁板２や端壁板３が倒れる
ことがないようになつており、特に取手部６を持
つて下げたときには接続凹所４内に接続凸起５が
喰込んでいるので全体に外れることがなく、持ち
易くなつている。又、端壁板３の取手部６を持つ
て折畳み容器Ａを下げたとき、底板１は軸部１９
を介して支持されており、ヒンジ７には荷重が加
わつていないので薄肉部２２がちぎれたりするお
それがないのである。

尚、上記実施例では係止部１６，２１は窓状に
開口され、前述のようにヒンジ７による連結の解
除も容易に行なえるようにされていたが、窪み状
に凹設されていて貫通していなくても差支えな
い。

〔考案の効果〕

以上のように本考案においては、ヒンジの側片
をヒンジ差込部に差込むだけで側片のばね片がヒ
ンジ差込部内面の係止部に係止されて、ヒンジの
取り付けが確実になされるものであり、このため
に蝶着体と被蝶着体とを回動自在に連結すること
がきわめて容易に行なえるものであつて、蝶着体
及び被蝶着体を個別に成形するようにしたもので
あるにも拘わらず、組み立て易くて生産性に優れ
ているという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部分解した
斜視図、第２図は同上の折畳み状態において一方
の側壁板を少し開いたときの斜視図、第３図ａ，
ｂは同上の底板の一部破断した正面図及び平面
図、第４図は側壁板の接続凹所を示す正面図、第
５図は接続凹所と端壁板の接続凸起を示す正面
図、第６図はヒンジの斜視図、第７図ａ，ｂは側
壁板を立てたときと倒したときの状態を示す断面
図、第８図は端壁板の軸部を示す斜視図、第９図
は接続凹所と接続凸起との接続方法を示す断面図
である。 Ｂ……蝶着体、Ｃ……被蝶着体、１５……被蝶
着体のヒンジ差込部、１６……係止部、２０……
蝶着体のヒンジ差込部、２１……係止部、２３…
…側片、２４……ばね片。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 端縁にヒンジ差込部を備えた蝶着体と、同じ
   くヒンジ差込部を備えた被蝶着体と、一対の側
   片が回動自在に連結されたヒンジとからなり、
   蝶着体と被蝶着体とがそのヒンジ差込部に各側
   片が差込まれるヒンジで回動自在に連結されて
   形成される折畳み容器であつて、蝶着体及び被
   蝶着体の各ヒンジ差込部はその内面に係止部が
   凹欠されており、ヒンジの各側片には上記係止
   部に先端が係止するばね片が切起こされている
   折畳み容器。 (2) ヒンジ差込部は係止部が外面に開口して、ヒ
   ンジ差込部に差込まれたヒンジの側片における
   ばね片は外面に露出する実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の折畳み容器。