JPH0355322B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 空気入りタイヤなかでもより好適には空気入り
ラジアルタイヤに適用されるブロツクタイプトレ
ツドパターンの改良に関してこの発明は、とくに
雪氷上走行においても有用な、牽引、制動性能に
すぐれる空気入りタイヤを提案しようとするもの
である。 ブロツクタイプトレツドパターンは、とくに各
タイヤや、全天候（オールウエザー）型タイヤで
多用され、多数のブロツクの群を区画形成したト
レツド陸部にいわゆるサイプを分散配置すること
によつて、雪氷上においては殊に重要な牽引、制
動性能の増強が図られる。 （従来の技術） ブロツクタイプトレツドパターンの適用に関し
て特公昭53−42921号公報には、特定の用途又は
季節的要因の考慮の下で、走行環境のいかんに拘
らず、車の正確な誘導を保証するには、ブロツク
があらゆる方向に高い変形抵抗を有し、またブロ
ツクの摩損の均一化のためブロツク全部が同一又
は近似の剛性を有し、さらに道路とブロツクの界
面における水膜の破砕と排水を容易に行わせるよ
うに、小さい直線グルーブを介して境界グルーブ
に連通する中心穴をブロツクに設け、境界グルー
ブにつき走行方向に対し斜方向でかつタイヤ接地
区域の縁部に開口する形状をなすものとすること
が推奨されている。 この場合、直線グループと、これを介して境界
グルーブに連通する中心穴の役割につき、ブロツ
クの下にたまつた水を集めて最短距離で排出する
ことがあげられているように、接地したブロツク
における排水径路を確保するだけに止まつてい
て、上記の走行環境に関しては、季節的要因とい
つても単なる雨季が問題とされているのみで冬用
又は全天候型タイヤの雪氷上走行中における牽
引、制動性能上不可欠な、上記サイプの配列や機
能の一切に触れられていない。 一方、実開昭59−102409号公報にはやはりブロ
ツク配列になるトレツドパターンに関して各ブロ
ツクに、上掲公報における中心穴と直線グルーブ
にそれぞれ対応するような、デインプル及びカー
フを設けることが開示されているがその主旨はな
めらかな路面走行時における高周波の騒音（シズ
ル音）の低域を図るところにあり、ブロツクタイ
プトレツドパターン適用の基本はともかくとし
て、その使途や応用の態様は、独自のものにしか
すぎない。 ちなみに上記の直線グルーブは中心穴からの排
水径路をタイヤの接地域にて常時確保する必要上
常に開放が維持される溝幅を有し、また上記カー
フについてはデインプル内にて閉じ込められる空
気の圧縮を防止するような通気作用を常時に確保
するためやはり広い溝幅（実施例では２mm）を有
するものとされている。 （発明が解決しようとする課題） ブロツクタイプトレツドパターンに限らず、一
般にトレツド陸部におけるサイプ配列自体は周知
であるが、トレツド上に配設される主溝や副溝に
対し独立した、すなわち切込みの長手方向両端が
溝の縁に達しないいわゆる盲サイプと、トレツド
陸部を横断してそれを区画している主溝や副溝の
溝縁相互間にわたる切離しサイプ及び一端でのみ
溝縁に開通する半盲サイプに大別されるのが通例
である。 盲サイプはその切込みの両端における拘束のた
めに必要なときでも十分に大きい〓間の拡幅、と
くに一様な拡大を期待できず、一方切離しサイプ
はトレツド陸部を分断してしまうために必要以上
の〓間の過度拡幅が生じる程にも陸部剛性を弱め
るから、補助的には混用できても、合目的的でな
く、さらに半盲サイプは、その開通端で大きい偏
つた〓間の拡幅と、ときにそれにより切込み終端
で亀裂の発生、成長のうれいがある。 上記した何れのタイプにあつてもサイプの切込
みは、タイヤの通常の実質的な等速走行中、トレ
ツド陸部における実際の接地域でのみ互いに閉じ
合わさる程度に狭い、一般には１mmに達しない、
より好ましくは0.5mm適度以下の〓間とされるを
通例とするが、とくに雪氷上走行における牽引、
制動性能の改善のためには、サイプと直交する向
きでトレツド陸部に働く外力の作用下に上記〓間
の切込み全長さにわたる一様な拡開を生じること
が必要なところ、上述三種類のタイプの何れのサ
イプによつてもその機能をもたらし得なかつたの
であり、この点の解決によつて、雪氷上走行の際
における牽引、制動性能の向上を図ることがこの
発明の目的である。 ここに通常の実質的な等速走行中というのは、
タイヤに負荷される荷重に応じて定められる充て
ん空気圧の下でのタイヤ走行中に、駆動又は制動
トルクに基くような正又は負の加速度が、事実上
作用しない走行状態にあることを意味する。 （課題を解決するための手段） この発明はトレツド上でそのまわりに沿つて延
びる複数の主溝と、これら主溝に対して交差する
向きに延びる多数の副溝とによつてブロツクの群
を区画形成したトレツド陸部をそなえ、通常の実
質的な等速走行中、上記トレツド陸部における実
際の接地域でのみ互いに閉じ合わさる程度に狭い
〓間にて主溝と同等以下の深さをもつて主溝の縁
から互いに平行に上記ブロツクのおのおのに切込
んだ複数の横向きサイプを、上記トレツド陸部に
分散配置してなり、横向きサイプの少なくとも大
部分は上記ブロツクの横幅の中間に切込み終端を
有する半盲サイプよりなり、この半盲サイプはこ
れと直交する向きで上記トレツド陸部に働く外力
の作用下に、上記〓間の全長にわたる一様な拡幅
を導く丸い小穴によつて上記切込み終端を限界し
たものであること、を特徴とする、牽引、制動性
能にすぐれる空気入りタイヤであり、ここに丸い
小穴が、半盲サイプと同等以上の深さで〓間の３
〜５倍に当る穴径を有し、また向きサイプの深さ
が主溝深さの小なくとも0.5倍であることが一層
のぞましい。 なおこの発明のサイプ配列は、上のように特定
される半盲サイプのみからなる場合のほか、盲タ
イプ及び／又は切離しタイプのものを部分的に併
用しても良い。 さて第１図にこの発明に従うブロツクタイプト
レツドパターンの１例を示し、図中Ｔでトレツド
の表面全体をあらわすものとして、このトレツド
Ｔを、センタ主溝１と、これを挾むペアー主溝
１′と、これら主溝１，１′と交差する向きで図示
の場合、クランク形をなしてトレツドの幅方向に
沿つて延びる多数の副溝２，２′とによつて区分
し、この実施例においてトレツドＴを実質上４等
分する位置にタイヤの円周に沿つてジグザグに延
びる３本の主溝１，１′によつて中央２列、両側
各１列都合４列の縦列ブロツクＢ，B′を区画し
ている。 両主溝１，１′は図示の如き二段ジグザグタイ
プとすることもでき、さらにはトレツドＴの両側
域かまたは中央域かの何れか一方を除いてその周
縁に沿つて延びる周溝としてもよく、何れにして
も副溝２，２′とともにトレツド表面から陥没し、
その故にこの場合、縦列ブロツクＢ，B′のすべ
ては縦列配置のトレツド陸部をなす。 第１図では、とくに主溝１，１′をトレツドＴ
の円周に沿う周溝とし、副溝２，２′を概ねトレ
ツドＴの横方向に延びる横溝としこれらによつて
ブロツク３を縦列配置に区分した例を示している
が、そのほかたとえば主溝１，１′をトレツドＴ
を斜めに横断する向きに配置し、副溝を主溝と交
差する向きに配置することによつてブロツク３，
３′が区分されるようにしてもよい。 トレツド陸部を形成する図示例のブロツク３，
３′には、主溝１，１′に面している出隅ｐの近傍
と、入隅Ｑから切込んだ半盲サイプｓのほかに、
中央縦列ブロツク群Ｂの各ブロツク３を二分す
る、クランク形の切離しサイプs₁、両側縦列ブロ
ツクの各ブロツク３′を分離する２本の切離しサ
イプs₂，s₃をもそなえ、半盲サイプｓがその切込
み終端に、サイプｓの〓間に比しより大きい穴径
の丸い小穴ｈを有しまた切離しサイプs₂，s₃の中
間位置にこの例でデザインのつりあいのためほぼ
同様な丸い小穴h₁を穿つてある。なお図示にはあ
らわされていないが盲サイプを配置するときも同
趣旨にてその一端又は両端に丸い小穴を設けても
よい。 丸い小穴ｈ，h₁はサイプs₁，s₂，s₃の〓間の2.5
倍程度以上、とくに３〜５倍の穴径を有すること
がのぞましく一般に各サイプのすきま幅は0.5mm
幅程度なので、２mmφ前後で適度する。 丸い小穴ｈ，h₁の深さは、各サイプが、主溝
１，１′の深さに比し同等以下とされる慣習の下
で、溝深さとほぼ同等程度、数値的には、0.5〜
1.0倍程度で適合する。 （作用） 丸い小穴ｈは、これによつて終端が限定される
ように、主溝１，１′の縁から切込んだ半盲サイ
プ３，３′によるブロツクのサイプ長さ方向に沿
つた幅方向で、ブロツク剛性の均等化に役立つ
て、接地面上におけるブロツクのサイプに沿う不
均等変形の回避に寄与する。すなわちブロツクに
駆動力または制動力が作用したときサイプがその
全体の長さに亘つて実質上平行に、且つ大きく開
くため、従来のタイプ（丸い小穴のない）のサイ
プを設けた場合と比べて、踏み固められた雪路、
氷結路等に対するグリツピング効果が驚異的に向
上することの外、ブロツクの切浅しによる剛性確
保と相まつて、偏摩耗を来さずして、雪氷路上で
の牽引力、制動力の増強、ウエツト路上での駆
動、制動作用を営む。一方コーナリング時など、
ブロツクに対して、主として横方向から力が作用
したときは、ブロツクの全体が一体となつて働く
ため不所望なブロツク剛性の低下を来すことがな
い。 （実施例） 第１図に図示したところに従い、サイズ
165SR13のオールシーズンタイヤのトレツドパタ
ーンに適用した。 供試タイヤの補強構造は、従来通りで、丸い小
穴を設けなかつたコントロールも含めサイプはす
べて0.5mmのすきま幅にて主溝深さの0.7倍の深さ
に揃えた。 丸い小穴ｈは、孔径２mmの丸穴を主溝深さとほ
ぼ同等の深さで穿つた。 上記供試タイヤはコントロールとともに、雪上
及び氷上での牽引及び制動性能と、ウエツト路面
での制動性能試験に供しその成績を比較してコン
トロールでの成績を100とする指数表示にて、次
表の結果が得られた。 なお２万Kmの実車走行テストによる偏摩耗の発
生状況についても同表に示した結果が得られた。

【表】 次にサイプの〓間を0.5mmのまま丸い小穴ｈの
穴径をそれぞれ1.0、1.5、2.5、3.0、3.5mmにかえ
たものも上記コントロール（穴径／〓間：1.0）
とともに含めた７種の試供タイヤについて、氷温
−１℃の実路面にて氷上制動テストを、実施（実
車テスト）したところ、第２図に示した成績が得
られた。図の横軸にとつた指標としての穴径／〓
間の比の値が2.5〜５の範囲でコントロールに比
しより好適な成績が得られている。 またサイプの〓間をそれぞれ0.3、0.5、0.7、
1.0、1.2、1.5及び2.0mmとし、かつ穴径／〓間の
比の値を４（一定）とした７種のタイヤをつくり、
5000Kmにわたつて走行させた後の氷上制動テスト
を氷温−２℃の路面にて実施（実車テスト）した
結果第３図の成績が得られ、ここにサイプのすき
ま幅は、１mm未満で良好であるが、これに比し１
mm以上の場合に氷上制動性能の劣化があらわれ
る。 サイプの〓間が広すぎるのはそれによる有効実
接触面積の減少と共にブロツク剛性も低下するた
め、走行後（走行によつて或る程度摩耗すると）
のブロツクエツジ摩耗（サイプに面したブロツク
の角が丸くなる摩耗）がそれに伴い大きくなつて
これが氷雪面上制動性能を低下させる原因と考え
られる。 （発明の効果） この発明によれば、サイプの切込み長さのほぼ
全長さにわたつて事実上均等な剛性による、接地
面下の変形抵抗に由来した雪氷上牽引及び制動性
能、ウエツト路面に対する制動性能の改善が、ト
レツドの偏摩耗を来すことなく、有利に実現され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はトレツドパターンの展開図、第２図、
第３図は氷上性能比較グラフである。 １，１′……主溝、２，２′……副溝、Ｂ，
B′……縦列ブロツク群、Ｔ……トレツド、ｓ…
…半盲サイプ、ｈ……丸い小穴。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トレツド上でそのまわりに沿つて延びる複数
   の主溝と、これら主溝に対して交差する向きに延
   びる多数の副溝とによつてブロツクの群を区画形
   成したトレツド陸部をそなえ、通常の実質的な等
   速走行中、上記トレツド陸部における実際の接地
   域でのみ互いに閉じ合わさる程度に狭い〓間にて
   主溝と同等以下の深さをもつて主溝の縁から互い
   に平行に上記ブロツクのおのおのに切込んだ複数
   の横向きサイプを、上記トレツド陸部に分散配置
   してなり、 横向きサイプの少なくとも大部分は上記ブロツ
   クの横幅の中間に切込み終端を有する半盲サイプ
   よりなり、この半盲サイプはこれと直交する向き
   で上記トレツド陸部に働く外力の作用下に、上記
   〓間の全長にわたる一様な拡幅を導く丸い小穴に
   よつて上記切込み終端を限界したものであるこ
   と、 を特徴とする、牽引、制動性能にすぐれる空気入
   りタイヤ。 ２ 丸い小穴が、半盲サイプと同等以上の深さで
   〓間の３〜５倍に当る穴径を有する、特許請求の
   範囲第１項に記載した牽引、制動性能にすぐれる
   空気入りタイヤ。 ３ 半盲サイプの深さが主溝深さの少なくとも
   0.5倍である、特許請求の範囲第１項または第２
   項に記載した牽引、制動性能にすぐれる空気入り
   タイヤ。