JPH035180Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術は、補強部材を介装することにより剛
性を高めるようにしたフロントボデイーの構造技
術分野に属する。

〈要旨の概要〉 而して、この考案はエプロンアツパメンバの内
側に固設されサスペンシヨン上部を支持するスプ
リングサポートと、両端部を上記エプロンアツパ
メンバ基部に接合されるカウルトツプとの間にカ
ウルブレースが介装される自動車のフロントボデ
イー構造に関する考案であり、特に、上記カウル
ブレースが、平面視略コの字状に形成されてカウ
ルトツプとエプロンアツパメンバとスプリングサ
ポートの上面に重合され、更に、略コの字状に形
成されたカウルブレースの凹部内側全域にフラン
ジが延出形成され、フランジがカルウトツプとエ
プロンアツパメンバとスプリングサポートの側面
に重合され、カウルブレースのカウルトツプ、エ
プロンアツパメンバ、及び、スプリングサポート
との適宜重合面が固定されている自動車のフロン
トボデイー構造に係る考案である。

〈従来技術〉 近年、自動車の開発にあたつては安全性、及
び、操縦安定性が大きな課題の１つとされ、これ
に対処すべく各種の対応策が案出され実施されて
いる。

従来より、自動車における安全性、及び、操縦
安定性はボデイー剛性に負うところが極めて大き
いことが知られており、このボデーイ剛性を向上
させる為にボデイー各所に閉断面構造を多く採用
したり、或いは、補強部材を付設する等の様々な
工夫が為されてきた。

而して、中形車以上の多くの乗用車のフロント
ボデイーは、車両前後に走向する一対のエプロン
アツパメンバ間にカウルトツプが架設されると共
にエプロンアツパメンバ、及び、カウルトツプ
各々が他の部材と閉断面構造を成してその剛性を
維持出来るようにされている。

ところが、一般にエプロンアツパメンバの内側
には、サスペンシヨン上端を支持するスプリング
サポートやスプリングサポートプレート等が付設
され、自動車の走行中にこのエプロンアツパメン
バに対して頻繋に大きな振動や衝撃が印加される
ため、実使用に際してこれだけではボデイー剛
性、及び、操縦安定性を充分に維持することが出
来なかつた。

これに対処するに、従来、カウルトツプを車両
前方に延出してスプリングサポートに直接固設し
た態様、或いは、実公昭58−6783号公報に開示さ
れている様な、スプリングサポート上面とカウル
トツプ中央側とにブレースを架設した態様等が案
出されていた。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかしながら、上述従来のカウルトツプを車両
前方に延出してスプリングサポートに直接固設し
た態様は、カウルトツプがウインドシールドガラ
ス下方からスプリングサポート近傍に亙る大幅な
スペースを占める結果となるため、クラツチマス
ターシリンダやブレーキブースタ等の配設を困難
にし、実使用することが出来ないという欠点があ
つた。

又、上述従来のスプリングサポート上面とカウ
ルトツプ中央側とにブレースを架設した態様は、
ブレースが、カウルトツプとエプロンアツパメン
バより成るコーナ部を大きく占めるため、エンジ
ン、或いは、他の部品の交換時における作業性を
低下させるという難点があつた。

更に、ブレースは、垂直な曲折部を１箇所だけ
有する構造であり、その接合面も２平面のみであ
るため、ブレース単品の強度、ブレースが接合さ
れた接合部のねじれ剛性共に充分ではないという
不具合な点もあつた。

この考案の目的は上述従来技術に基づく自動車
のフロントボデイー構造の問題点を解決すべき技
術的課題とし、無駄の無い構造簡易な部品をボデ
イーの所定部に付設することによつて確実にボデ
イー剛性をアツプさせると共にエンジン内スペー
スを有効利用出来るようにして、自動車産業にお
ける補強部材利用分野に益する優れた自動車のフ
ロントボデイー構造を提供せんとするものであ
る。

〈問題点を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は、前述問題点を解決
するためにカウルブレースを平面視略コの字状に
形成し略コの字状に形成された内側凹部全域に一
体のフランジを延出形成し、カウルトツプと、カ
ウルトツプ端部にその基部が接合されるエプロン
アツパメンバと、エプロンアツパメンバの内側に
固設されサスペンシヨン上部を支持するスプリン
グサポートの上面に上記カウルブレースの基面を
重合すると同時に、カウルブレースのフランジ面
をカウルトツプ、エプロンアツパメンバ、及び、
スプリングサポートの各側面に重合して、エンジ
ンルーム内の大きなスペースを使用することな
く、互いに垂直な隣接三平面を有する強固な構造
にて支持するようにした技術的手段を講じたもの
である。

〈実施例−構成〉 次に、この考案の１実施例を第１〜４図に基づ
いて説明すれば以下の通りである。

１は、自動車のフロントボデイーでありこの考
案の要旨を成し、第１，２図はフロントボデイー
のウインドシールドガラス２下部近傍を示す。

而して、ウインドシールトガガラス２の下部前
方には、互いに接合され閉断面構造を成すカウル
トツプアウタパネル３とカウルトツプインナパネ
ル４が配設され、カウルトツプアウタパネル３の
上面にはカウルアツパパネル５が付設され、互い
に接合されたカウルトツプアウタパネル３とカウ
ルトツプインナパネル４の両側端には車両前後に
走向エプロンアツパメンバ６が接合されている。

又、エプロンアツパメンバ６のエンジンルーム
７内側にはカウルトツプインナサイドパネル８
が、他側にはカウルトツプサイドパネル９が各々
接合され、カウルトツプインナサイドパネル８、
及び、カウルトツプサイドパネル９は、下方に湾
曲して延出され、カウルトツプサイドパネル９の
基端部がカウルトツプインナサイドパネル８の表
面に接合され、エプロンアツパメンバ６と共に閉
断面構造を構成している。

更に、エプロンアツパメンバ６のエンジンルー
ム７側上面、及び、側面には、図示しないステア
リング上部を支持するスプリングサポート１０が
固定されている。

尚、エプロンアツパメンバ６、カウルトツプイ
ンナサイドパネル８、及び、カウルトツプサイド
パネル９によつて構成される閉断面構造は、前記
カウルトツプアウタ３、及び、カウルトツプイン
ナパネル４側方のカウルトツプサイドパネル１１
まで延長されている。

又、カウルトツプアウタパネル３、エプロンア
ツパメンバ６、及び、スプリングサポート１０部
分にはカウルブレース１２が架設されるが、カウ
ルブレース１２は平面視略コの字状に形成され、
更に略コの字状に形成された内側の凹状部分全域
にはフランジ１３が形成されており、上述架設に
あたつて、カウルブレース１３の基面１４が前記
カウルアツパパネル５、エプロンアツパメンバ
６、及び、スプリングサポート１０の各上面にス
ポツト溶接され、それと同時にカウルブレース１
３のフランジ１３面がカウルトツプアウタパネル
３、エプロンアツパメンバ６、及び、スプリング
サポート１０の各側面にスポツト溶接される。

〈実施例−作用〉 上述構成において、実際に上述フロントボデイ
ー１が採用され、その自動車によつて路上走行が
行われた場合、車両両側に配設されたエプロンア
ツパメンバ６には、エプロンアツパメンバ６の内
側に付設されたスプリングサポート１０を介して
路面振動、及び、各種の振動、衝撃が印加される
が、エプロンアツパメンバ６は、カウルブレース
１２によつてスプリングサポート１０とカウルア
ツパパネル５、及び、カウルトツプアウタパネル
３とが接合されているため、エプロンアツパメン
バ６にスプリングサポート１０より印加される応
力を、カウルブレース１２を介してカウルアツパ
パネル５、及び、カウルトツプアウタパネル３に
分散支持され、又、カウルアツパパネル５、及
び、カウルトツプアウタパネル３とエプロンアツ
パメンバ６、エプロンアツパメンバ６とスプリン
グサポート１０は、各々カウルブレース１２の基
面１４とフランジ１３面の２面によつて支持固定
されているため、確実に剛性が高められる。

又、カウルブレース１２は、その基面が平面視
略コの字状に形成されその内側凹部にフランジが
形成されているため、カウルブレース１２自身の
剛性が高く維持されるばかりでなく、エンジンル
ーム７内の占めるスペースも最小限に小さくされ
る。

尚、この考案の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、その他の種々の態様
が採用可能である。

〈考案の効果〉 以上この考案によれば、基本的に無駄の無い構
造簡易なカウルブレースをエプロンアツパメンバ
とスプリングサポートとの適宜部位に架設するこ
とにより、確実にボデイー剛性をアツプさせ、エ
ンジンルーム内のスペースをも有効利用出来るよ
うにするという優れた効果が奏される。

即ち、カウルブレースを平面視略コの字状に形
成し、略コの字状に形成された内側凹部全域に一
体のフランジを延出形成し、カウルトツプとエプ
ロンアツパメンバとスプリングサポートの上面に
亙りカウルブレースの基面を重合し、それと同時
にカウルブレースの上記フランジ面をカウルトツ
プ、エプロンアツパメンバ、及び、スプリングサ
ポートの各側面に重合したことにより、エプロン
アツパメンバに該スプリングサポートより印加さ
れる応力をカウルトツプに分散支持させることが
出来、又、カウルトツプとエプロンアツパメン
バ、エプロンアツパメンバと上記スプリングサポ
ートとの接合部剛性をも確実に高めるという優れ
た効果が奏される。

更に、カウルブレースは平面視略コの字状に形
成されているため、エンジンルーム内に占めるカ
ウルブレースのスペースを最小限に小さくするこ
とが出来、エンジンルーム内部品の交換時におけ
る作業能率向上、及び、エンジンルーム内の有効
利用を可能にするという優れた効果も奏される。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の１実施例の説明図であり、
第１，２図は斜視図、第３図は第１図−断面
図、第４図は第３図−断面図である。 ６……エプロンアツパメンバ、１０……スプリ
ングサポート、３，５……カウルトツプ、１２…
…カウルブレース、１……自動車のフロントボデ
イー、１３……フランジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エプロンアツパメンバの内側に固設されサスペ
   ンシヨン上部を支持するスプリングサポートと該
   エプロンアツパメンバ基部に接合されるカウルト
   ツプとの間いカウルブレースが介装される自動車
   のフロントボデイー構造において、上記カウルブ
   レースが平面視略コの字状に形成され上記カウル
   トツプとエプロンアツパメンバとスプリングサポ
   ートの上面に重合され、更に該カウルブレースの
   略コの字状に形成された内側全域にフランジが延
   出形成され該フランジが上記カウルトツプとエプ
   ロンアツパメンバとスプリングサポートの側面に
   重合されていることを特徴とする自動車のフロン
   トボデイー構造。