JPH0238865Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車の車体構造に関するものであ
り、具体的には自動車の車体後部側壁部からその
下方のリヤタイヤハウス部にかけての補強構造に
係るものである。

従来の技術 自動車のリヤクオータパネルアウタとリヤクオ
ータパネルインナとで構成される車体後部側壁部
には、リヤクオータパネルアウタとリヤクオータ
パネルインナとの間の空間部にほぼハツト型断面
をなすリンホースメントと該リンホースメントが
接合固定されたリヤクオータパネルインナとによ
り、リヤレール或はサイドレール等の上部構造体
からリヤタイヤハウスに至る閉断面のリヤピラー
が形成され、このリヤピラーによつて車体後部側
壁部の強度，剛性の向上をはかつているのが普通
である（例えば実開昭59−136378号公報参照）。

考案が解決しようとする問題点 従来のリヤピラーはその下端部がリヤタイヤハ
ウスのアーチ部上面に結合されているのが普通で
あるので、フロアパネルの下部に形成されるサイ
ドフレームおよびクロスメンバとの下部構造体と
上記リヤピラーとはリヤタイヤハウスのインナパ
ネルつまりリヤホイールエプロンに連結されてい
るだけであり、車体の骨格構造としてリヤピラー
と下部構造体とは分断された状態となつており、
これが後部車体全体の捩り剛性不足，それに基づ
く負荷時の断面変形等の原因となつている。

本考案は上記のような従来構造の問題に対処す
ることを主目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、リヤクオータパネルインナとそれに
接合固着されたリヤピラーリンホースメントとか
らなり車体後部側壁内に形成された閉断面のリヤ
ピラーの上端部を車体上部構造体に結合し、該リ
ヤピラーの下端を、リヤホイールエプロンとリヤ
アーチにて構成されるリヤタイヤハウスの該リヤ
アーチの上面に接合固着すると共に、該リヤアー
チの下面に上部リンホースメントを接合固着して
リヤタイヤハウス内に上記リヤピラー下端に連結
した車幅方向の閉断面部を形成し、上記リヤホイ
ールエプロンに側部リンホースメントを接合固着
してリヤタイヤハウス内にサイドフレームおよび
クロスメンバ等よりなる車体下部構造体に下端部
が連結し上端部が上記上部リンホースメントの車
体中央側端部に相互嵌合固着されたほぼ上下方向
の閉断面部を形成したことを特徴とするものであ
る。

作 用 上記により、閉断面のリヤピラーと閉断面の車
体下部構造体とはリヤタイヤハウス内に上部リン
ホースメントと側部リンホースメントにて形成さ
れた閉断面部にて一体的に連結され、車体後部の
車枠を全周途切れることのない一体的な閉断面部
にて構成でき、また上記リヤタイヤハウス内に形
成される閉断面部の構成部材をリヤピラー側に結
合された上部リンホースメントと車体下部構造体
側に結合された側部リンホースメントとに分割す
ると共に、上部リンホースメントと側部リンホー
スメントを相互嵌合させて固着したことにより、
ボデーコンプリート集成作業性の著しい向上をは
かり得るものである。

実施例 以下本考案の実施例を附図を参照して説明す
る。

第１，２図において、１はリヤクオータパネル
アウタ、２はリヤクオータパネルインナ、３はリ
ヤピラーリンホースメントであり、ほぼハツト型
断面をなすリヤピラーリンホースメント３をリヤ
クオータパネルインナ２に接合固着することによ
り、リヤクオータパネルアウタ１とリヤクオータ
パネルインナ２とにより形成される車体後部側壁
内に閉断面のリヤピラー４が構成される。

５はリヤホイールエプロン（リヤタイヤハウス
インナ）６とリヤアーチ（リヤタイヤハウスアウ
タ）７とにより形成されたリヤタイヤハウスであ
り、上端部を図示しないリヤレール或はサイドレ
ール等の車体構造体に結合されたリヤピラー４の
下端部は上記リヤタイヤハウス５のリヤアーチ上
面に結合されている。

リヤアーチ７は図示実施例のようにリヤクオー
タパネルインナ２と一体に構成しても良いしまた
リヤクオータパネルインナ２とは別体に構成し該
別体のリヤアーチ７の内側縁および外側縁にリヤ
クオータパネルインナ２の下端部およびリヤクオ
ータパネルアウタ１の下端部をそれぞれ結合した
構造としても良い。該リヤアーチ７の内側縁には
リヤホイールエプロン６の側縁部が接合固着され
る。

該リヤホイールエプロン６の下方部にはフロア
パネル８の側端縁が接合固着され、ほぼＬ字状断
面をなすサイドフレーム９がリヤホイールエプロ
ン６とフロアパネル８とに接合固着されフロアパ
ネル下面両側部に前後方向の閉断面部が形成され
ると共に、フロアパネル８の下面に接合固着され
たほぼハツト型断面のクロスメンバ１０の両側端
部が上記サイドフレーム９に結合され、サイドフ
レーム９にて形成される前後方向の閉断面部およ
びクロスメンバ１０にて形成される車幅方向の閉
断面部等にて車体下部構造体が構成される。

１１はリヤアーチ７のリヤピラー４下端結合部
の下面に接合固着されるほぼハツト型断面の上部
リンホースメントであり、該上部リンホースメン
ト１１とリヤアーチ７とによりタイヤハウス５内
上部において車幅方向の閉断面部が形成され、該
車幅方向閉断面部を形成する上部リンホースメン
ト１１の車体中央側壁部にはリヤアーチ７の車体
中央側壁部よりリヤホイールエプロン６方向に延
長されその延長開放端部には第５図に示すように
全周にわたり外側にひろがるガイドフランジ１１
ａが折曲形成されている。

該上部リンホースメント１１はリヤピラー４の
下端部とリヤアーチ７を挟んで接合固着されるこ
とにより、閉断面のリヤピラー４と上部リンホー
スメント１１にてリヤタイヤハウス５内に形成さ
れる閉断面部とが一体的に連結した構造となつて
いる。

１２はほぼハツト型断面をなしリヤホイールエ
プロン６のタイヤハウス５内に接合固着された側
部リンホースメントであり、該側部リンホースメ
ント１２とそれが接合固着されたリヤホイールエ
プロン６にてリヤタイヤハウス５内側面部に上下
方向の閉断面部が形成され、該側部リンホースメ
ント１２の下端部は前記サイドフレーム９とリヤ
ホイールエプロン６を挟んで接合固着されると共
に、該側部リンホースメント１２の上端部はリヤ
ホイールエプロン６の上端部よりリヤアーチ７方
向に延長し、この延長開放端部には第５図に示す
ように全周にわたり内側につぼまるガイドフラン
ジ１２ａが形成され、前記上部リンホースメント
１１の延長開放端部に側部リンホースメント１２
の延長開放端部が挿込嵌合されこの嵌合部をスポ
ツト溶接等にて固着することにより、リヤタイヤ
ハウス５内にリヤピラー４とサイドフレーム９と
を一体的に連結する閉断面部が形成される。１１
ｂ，１２ｂはスポツト溶接用の作業穴である。

なお上記側部リンホースメント１２下端部のサ
イドフレーム９との結合部は、第３図に示すよう
にクロスメンバ１０の側端部とサイドフレーム９
の結合部とほぼ一致した位置となつており、サイ
ドフレーム９によつてフロア下面に形成される前
後方向の閉断面部内において、一端縁リヤホイー
ルエプロン６を挟んで側部リンホースメント１２
に接合固着され他端縁をサイドフレーム９を挟ん
でクロスメンバ１０に接合固着されるセパレータ
１３を設けることによつて、上記側部リンホース
メント１２はサイドフレーム９，セパレータ１３
をかいしてクロスメンバ１０に一体的に連結され
る。

上記において、リヤタイヤハウス５内に上部リ
ンホースメント１１および側部リンホースメント
１２によつて形成される閉断面部は、第６図に示
すように、リヤクオータパネルアウタ１，リヤク
オータパネルインナ２，リヤピラーリンホースメ
ント３，リヤアーチ７および該リヤアーチ７下面
に接合固着した上部リンホースメント１１等にて
車体側部構造体を構成し、フロアパネル８，クロ
スメンバ１０，サイドフレーム９，リヤホイール
エプロン６および該リヤホイールエプロン６に接
合固着した側部リンホースメント１２等にて構成
した車体下部構造体を、上記車体側部構造体に、
上記側部リンホースメント１２の延長開放端部を
上部リンホースメント１１の延長開放端部に嵌め
合せることにより組合せセツトし、リヤホイール
エプロン６の側端部とリヤクオータパネルインナ
２とのつき合せ部をスツポト溶接にて固着すると
共に、上部リンホースメント１１と側部リンホー
スメント１２の嵌め合せ部を作業穴１１ｂ，１２
ｂを用いてスポツト溶接にて固着して車体側部構
造体と車体下部構造体とを結合するものであり、
上記上部リンホースメント１１と側部リンホース
メント１２とを嵌め合い結合したことにより車体
側部構造体と車体下部構造体との集成作業の著し
い簡易化をはかり得ると共に結合強度の大幅な向
上をはかり得る。

また上部リンホースメント１１および側部リン
ホースメント１２のそれぞれ延長開放端部に形成
したガイドフランジ１１ａおよび１２ａは、上部
リンホースメント１１と側部リンホースメント１
２の嵌め合せを円滑に行うことができるようにす
ると言う機能を有していると共に、一方のガイド
フランジ１１ａは嵌め合せ結合後のシール剤充填
用溝ａの形成および該シール剤の塗布ガン案内部
材としての機能を併せもつものである。

考案の効果 上記のように構成した本考案によれば、上部リ
ンホースメントと側部リンホースメントとにより
リヤタイヤハウス内に形成した閉断面部が、上部
をリヤレール或はサイドレール等の車体上部構造
体に結合された閉断面のリヤピラー下端部とクロ
スメンバ，サイドフレーム等により構成された車
体下部構造体とを一体的に連結し、第７図に斜線
を符して示したように、車体後部の車枠を全周途
切れることのない一体的な閉断面部にて構成する
ことができ、車体後部の強度，剛性の向上をはか
り、負荷時の車体の断面変形拘束効果の著しい向
上をはかり得ると共に、リヤピラーと車体下部構
造体とを連結する閉断面部を、リヤピラー側の上
部リンホースメントと下部構造体側の側部リンホ
ースメントとに２分割し両者を互に嵌め合せて固
着する構成を採つているので、ボデーコンプリー
ト集成作業の大幅な簡易化をはかり得るもので、
コスト低廉でかつ車室内スペースを一切せばめる
ことがない点等を相俟つて、実用上多大の効果を
もたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部側面図、
第２図および第３図は第１図のＡ−ＡおよびＢ−
Ｂの各断面図、第４図は第２図のＣ−Ｃ断面図、
第５図は第２図のＤ部拡大詳細図、第６図は本考
案による車体構造の集成態様を説明する断面説明
図、第７図は本考案を適用した後部車体の車枠構
造の一例を示す断面説明図である。 １……リヤクオータパネルアウタ、２……リヤ
クオータパネルインナ、３……リヤピラーリンホ
ースメント、４……リヤピラー、５……リヤタイ
ヤハウス、６……リヤホイールエプロン、７……
リヤアーチ、８……フロアパネル、９……サイド
フレーム、１０……クロスメンバ、１１……上部
リンホースメント、１２……側部リンホースメン
ト、１３……セパレータ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) リヤクオータパネルインナとそれに接合固着
   されたリヤピラーリンホースメントとからなり
   車体後部側壁内に形成された閉断面のリヤピラ
   ーの上端部を車体上部構造体に結合し、該リヤ
   ピラーの下端を、リヤホイールエプロンとリヤ
   アーチにて構成されるリヤタイヤハウスの該リ
   ヤアーチの上面に接合固着すると共に、該リヤ
   アーチの下面に上部リンホースメントを接合固
   着してリヤタイヤハウス内に上記リヤピラー下
   端に連結した車幅方向の閉断面部を形成し、上
   記リヤホイールエプロンに側部リンホースメン
   トを接合固着してリヤタイヤハウス内にサイド
   フレームおよびクロスメンバ等よりなる車体下
   部構造体に下端部が連結し上端部が上記上部リ
   ンホースメントの車体中央側端部に相互嵌合固
   着されたほぼ上下方向の閉断面部を形成したこ
   とを特徴とする自動車の車体構造。 (2) 相互嵌合固着される上部リンホースメントと
   側部リンホースメントのそれぞれの嵌合端部の
   いずれか一方には外側にひろがるガイドフラン
   ジ，他方には内側につぼまるガイドフランジが
   それぞれ形成されていることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項に記載の自動車の車
   体構造。