JPH034965B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転磁気ヘツド型の磁気記録再生装置
の磁気ヘツドの機械的位置決めおよび取付に関す
るものである。

ヘツド回転型の磁気記録再生装置においては、
第１図に示すように、磁気ヘツド２はシリンダ１
に固定され、このシリンダ１が軸Ｙ−Ｙを中心に
回転運動することにより、シリンダ１に巻き付い
て走行する磁気媒体ａへの記録再生を行なう。こ
こで磁気ヘツド２は決められた位置を決められた
時間に通過することが要求される。そのためには
シリンダ１に対して磁気ヘツド２は所定の位置に
厳密に固定されていることが必要条件のひとつで
ある。

第２図および第３図に従来の磁気ヘツドのシリ
ンダアツセンブル法を示すが、シリンダに対して
次に示す４項目にわたる調整位置決めを行なうこ
とが必要である。

第１の調整項目はヘツド高さである。これはシ
リンダ１の基準面Ａから磁気ヘツド２の一方のト
ラツク端までの距離で、図では寸法ｈで示す。

第２の調整項目はヘツド突出量である。これは
シリンダ１の外周面から磁気ヘツド２の先端部ま
での距離で、図では寸法ｐで示す。

第３の調整項目は180゜割出しである。これはシ
リンダ１の回転中心ｏに対して２つの磁気ヘツド
２のギヤツプ３の180゜対称性であり、この誤差を
図ではｅで示す。シリンダアツセンブルにおいて
は回転中心ｏとシリンダの幾何学的中心は同一で
ある。

第４の調整項目はアジマスである。これはシリ
ンダ１の回転平面に対する磁気ヘツド２のギヤツ
プ３の直角度である。これを図ではθとして示
す。

しかし、アジマス調整は従来のシリンダアツセ
ンブル工程ではこれをせず、この工程に先立つ磁
気ヘツド２とヘツドベース４との接着工程で調整
される。

次に、シリンダアツセンブル手順を説明する。

まずヘツドベース４とシリンダ１のヘツドベー
ス取付面５との間に適当な厚さのスペーサ６をは
さんでスペーサ６の厚みを決定する。

次に、ヘツド突出量を調整してビス７によりヘ
ツドベース４をシリンダ１に固定する。ここでヘ
ツド高さと突出量が同時に設定される。次に、２
つの磁気ヘツド２の180゜調整を行なう。180゜調整
はヘツドベース４をビス７の回りに回転させて調
整する方法を用い、このために偏心ピン８を用い
る。偏心ピン８の偏心軸部８ａは断面偏心円とな
つており、軸部８ｂをシリンダ１に穿孔された穴
９に入れ、偏心ピン８を回転させて、偏心軸部８
ａでヘツドベース４を押すことにより、この調整
ができる。またヘツド高さは高さ調整ビス１０に
よりヘツドベース４に変形を与えて調整すること
も可能である。

以上で従来の磁気ヘツド２のシリンダアツセン
ブル法を説明したが、この方法ではビス７を固定
した後ではヘツド突出量の設定をすることができ
ない。従つてすべての調整が終つた段階でヘツド
突出量が違つていたことが判明した場合、ヘツド
突出量のみを調整することは不可能であり、ビス
７を緩めて、再び最初からすべての項目について
調整しなければならない。このように、ビス７固
定後にヘツド突出量を調整できないのが従来例の
１つの欠点である。

またこの調整法にはアジマス調整が全くない。
高品位の画質を要求される磁気記録再生装置にお
いては、アジマス調整をシリンダアツセンブル段
階で行なうことが必要不可欠であり、このような
用途においては従来のシリンダアツセンブル法は
もはや役立たない。従来法をこの用途に用いよう
とするならば、磁気ヘツド２とヘツドベース４の
接着工程においてアジマスを厳密に規制しなけれ
ばならないが、磁気ヘツド２とヘツドベース４と
の間に介在する接着層があるため現実にはこれは
むずかしい。ちなみに、家庭用のアジマス方式磁
気記録再生装置では、アジマスは10分程度の精度
で十分であり、この要求精度に対してはシリンダ
アツセンブル段階でのアジマス調整はなくとも良
い。しかし高品位画質及び互換性が重視される方
式においては、アジマス精度は１分オーダーが必
要となる。そのためシリンダアツセンブル段階で
のアジマス調整は必要不可欠な条件となる。した
がつて、ヘツド突出量調整とアジマス調整が正
確、容易に行なえる方法の出現が待望されるわけ
であり、これが実現されれば磁気記録再生装置の
生産性に及ぼす影響は大であり、またその効果も
大きいと言わねばならない。

本発明はヘツド高さ、ヘツド突出量、アジマス
の調整を容易に行なえるようにすることを目的と
し、階段状の段部を持つ弾性薄板と該段部の段差
よりやや大きい厚みの板状の基台を有し、前記弾
性薄板の上段平面部は基台を介して回転シリンダ
のヘツドベース取付面に固定され、前記弾性薄板
の下段平面部の先端に磁気ヘツドが接着固定され
るとともに、該下段平面部はヘツド突出量調整用
窓と、該窓と先端ヘツド固定部の間に設けられた
幅狭の首部とを有し、回転シリンダに螺合したヘ
ツド突出量調整ビスのテーパー部を下段平面部の
ヘツド突出量調整用窓の一側内縁に当接させ、さ
らに回転シリンダに螺合するアジマス調整ビスと
高さ調整ビスを、前記首部と先端ヘツド固定部と
の間に形成された下段平面部の両翼部と、前記首
部と先端ヘツド固定部との間の下段平面部の略幅
方向中心線上にそれぞれ当接させて、これを達成
したものである。

以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明す
る。第４図は本発明によるヘツドベース１４を
示。２１は段階状の段部を持つ弾性薄板であり、
その上段平面部２２と下段平面部２３は平行で、
この２面の他にこれら２面に直角な垂直側面部２
４からなり、上段平面部２２は、前記段部の段差
よりやや大きい厚みの板状の基台２５を介してビ
ス１７によりシリンダ１１に締結される。このと
き、垂直側面部２４は基台２５に対して間隙を有
せしめられて固定される。また下段平面部２３は
シリンダ１１のヘツドベース取付面１５に平行し
て近接しており、かつヘツド突出量調整用窓２６
が設けられている。この窓２６のシリンダ外周側
内縁にはヘツド突出量調整ビス２７のテーパー部
２７ａが当接している。前記ヘツド突出量調整ビ
ス２７の基部はねじ部２７ｂに構成されシリンダ
１１に設けられた雌ねじ部に螺合して、シリンダ
１１の他面から回転操作可能であり、この回転に
より、ヘツド突出量調整ビス２７はそのテーパー
部２７ａを介して弾性薄板２１の下段平面部２３
をシリンダ１１の半径方向すなわちヘツド突出方
向へ変形移動させ、ヘツド突出量の調整が可能と
なる。この下段平面部２３の移動により、垂直側
面部２４は板厚方向に曲げ変形を起し、これによ
り下段平面部２３の移動は上段平面部２２には伝
わらない。磁気ヘツド１２は下段平面部２３のシ
リンダ外周側先端に接着固定される。磁気ヘツド
１２とヘツド突出量調整用窓２６の間に下段平面
部２３の幅Ｗよりも狭い幅Whを有する首部２８
が設けられ、磁気ヘツド１２と首部２８の間に形
成された左右の翼部２９にはアジマス調整ビス３
０が当接し、左右の翼部２９を結ぶ下段平面部２
３の中央部には高さ調整ビス３１が当接してい
る。これらアジマス調整ビス３０及び高さ調整ビ
ス３１はいずれもその基部のねじ部３０ａ，３１
ａがシリンダ１１に設けられた雌ねじ部に螺合し
てシリンダ１１の他面から回転操作可能である。
このため、高さ調整ビス３１を回わすと、高さ調
整ビスの移動に伴つてこれに当接する下段平面部
２３も変形移動し、ヘツド高さを調整することが
できる。また、アジマス調整ビス３０を回わす
と、翼部２９が下段平面部２３の中心軸Ｘ―Ｘを
中心に回転し、アジマスを調整することができ
る。ここで幅がWnと小さな首部２８を設けたの
は、アジマス調整ビス３０の移動に伴う下段平面
部２３の変形をＸ―Ｘ軸の回りの回転とすること
が目的である。このようにすると下段平面部２３
の変形は首部２８のＸ―Ｘ軸回りのねじりとして
吸収され、アジマス調整につれて発生するヘツド
高さの変化を押えることが可能となる。

180゜割出し調整は従来例と同様に偏心ピン１８
を用いる。シリンダ１１に穿孔された180゜割出し
調整穴１９に偏心ピン１８を挿入し、偏心ピン１
８を回転させると偏心軸部１８ａが弾性薄板２１
と基台２５を押して、これらをビス１７の回りに
回転させ、180゜割出し調整することができる。こ
の場合の調整は前述の他の調整と同じようにシリ
ンダ１１の他面から可能である。

第１図に示すようにシリンダ１はシリンダユニ
ット３２に対してＹ―Ｙ軸に関して回転自在に取
付けられるが、シリンダ１の取付方向は第８図に
示す方向とは上下逆である。そのためヘツド高
さ、ヘツド突出量、アジマス調整、180゜割出しの
４項目の調整方向は第１図に示す上方向からであ
り、シリンダユニツト３２にシリンダを取付けた
状態で調整可能となる。磁気ヘツド１２はシリン
ダ１１に対して既に位置決めされていても、シリ
ンダ１１をシリンダユニツト３２に組込んだ後は
再び磁気ヘツド１２の位置の微小修正をしなけれ
ばならないため、シリンダユニツト３２に組込ん
だ後に前記４項目の修正ができるということは非
常に有益である。

以上説明したように、本発明によればヘツド高
さ、ヘツド突出量、アジマス調整のすべてを調整
することが可能である。このように、ヘツド突出
量、アジマス、高さの３項目は弾性薄板の変形に
よつて調整するが、弾性薄板には大きな変形を与
えることができ、したがつて大きな調整量を得る
ことができ、大きな調整量がとれるということは
調整作業上非常に有益である。

さらに、本発明では180゜割出しを含めて４項目
の調整をすべて一方向から行なうことが可能であ
るので基台と弾性薄板とにより構成した本発明の
ヘツドベースをほぼ位置決めした状態でシリンダ
にビスで固定し、その後一方向から高さ、突出
量、アジマス、180゜割出しの４項目すべてを調整
することができる。このようにヘツドベースをビ
スにより固定した後にすべての項目の調整ができ
るというこの点も本発明のもつ大きな長所であ
る。

本発明は上記効果の他にシリンダをシリンダユ
ニツトに調整組込み後においても、前記４項目の
調整が可能であるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はシリンダユニツトの構造を示す概略
図、第２図ａ，ｂは従来の磁気ヘツドのアツセン
ブルされたシリンダの平面図および断面図、第３
図は第２図の一部詳細図、第４図は本発明のヘツ
ドベースの一実施例を示す斜視図である。 １１……シリンダ、１２……磁気ヘツド、１４
……ヘツドベース、１５……シリンダのヘツドベ
ース取付面、１７……ビス、１８……偏心ピン、
２１……弾性薄板、２２……上段平面部、２３…
…下段平面部、２４……垂直側面部、２５……基
台、２６……ヘツド突出量調整用窓、２７……ヘ
ツド突出量調整ビス、２８……首部、２９……翼
部、３０……アジマス調整ビス、３１……高さ調
整ビス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転記録方式の磁気記録装置に用いる磁気ヘ
   ツド取付用ヘツドベースであつて、階段状の段部
   を持つ弾性薄板と該段部の段差よりやや大きい厚
   みの板状の基台を有し、前記弾性薄板の上段平面
   部は基台を介して回転シリンダのヘツドベース取
   付面に固定され、前記弾性薄板の下段平面部の先
   端に磁気ヘツドが接着固定されるとともに、該下
   段平面部はヘツド突出量調整用窓と、該窓と先端
   ヘツド固定部の間に設けられた幅狭の首部とを有
   し、テーパー部が前記下段平面部のヘツド突出量
   調整用窓の一側内縁に当接するヘツド突出量調整
   ビスを回転シリンダに螺合して設け、前記首部と
   先端ヘツド固定部との間に形成された下段平面部
   の両翼部にそれぞれ当接するアジマス調整ビスを
   回転シリンダに螺合して設け、さらに前記首部と
   先端ヘツド固定部との間の下段平面部の略幅方向
   中心線上に当接する高さ調整ビスを回転シリンダ
   に螺合して設けた磁気ヘツド取付用ヘツドベー
   ス。