JPS6412006B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ビデオテープレコーダ（以下VTR
と呼ぶ）の回転ヘツドアセンブリに関するもので
ある。

従来例の構成とその問題点 一般にVTRの回転ヘツドアセンブリは、第１
図に示すごとく、ほぼ等しい外径を有し、同軸上
に配された上部回転シリンダ１及び下部固定シリ
ンダ２と、上部回転シリンダ１と下部固定シリン
ダ２の間隙部において、その先端が上記２つのシ
リンダよりなる円筒面より外部へ突出し、上記２
つのシリンダと同軸周りに回転する磁気ヘツド３
より構成される。４はこの回転ヘツドアセンブリ
にヘリカルに巻き付けられ、一定速度で走行する
磁気テープ、５は磁気テープ４の幅方向の走行位
置を規制する段差部である。磁気ヘツド３は
1800rpmで回転し、磁気テープ４に対して映像信
号の記録，再生を行う。

第１図において、矢印Ａは磁気テープ４の走行
方向、矢印Ｂは上部回転シリンダ２の回転方向を
示す。第２図は上記回転ヘツドアセンブリの従来
の構成例を断面図により示したものである。第２
図において、７は回転軸、８は軸受、９はヘツド
ベースである。上部回転シリンダ２、回転軸７は
軸受８を介して下部固定シリンダ１と同軸上に回
転支持されており、駆動モータ（図示せず）によ
り回転駆動される。

さて、上記のような回転ヘツドアセンブリで
は、回転軸に対して180゜をなすように取り付けら
れた２個の磁気ヘツド３が、交互に磁気テープ４
と摺動接触し、上部回転シリンダ２が１回転する
ことにより、ちようどテレビ画面１フレームの画
像信号の録画又は再生が行われる。同一長さのテ
ープへの録画時間の増加やVTRの小型化に伴つ
て、記録密度が著しく高度化し、隣り合うトラツ
クの間隔は約20μｍになつている。よつて、磁気
ヘツド３の取付け位置は極めて高い精度が要求さ
れ、特に、下シリンダ１の基準面からの磁気ヘツ
ド３の高さは、２〜3μｍの公差内に入らなけれ
ばならない。ところが、各部品の加工精度のみを
上げることによつて、組立て後の磁気ヘツド３の
基準面からの高さを２〜3μｍの公差内に抑える
ことは不可能であり、従来、第３図に示す様に止
めねじ１０でヘツドベース９の磁気ヘツド３取り
付け部近傍を押し付けてヘツドベース９をたわま
せることによつて、磁気ヘツド３の高さを調節し
ていた。しかし、この調節方法では、第４図に示
す様にヘツドベース９が変形して磁気ヘツド３に
傾きが生じ、磁気ヘツド３の先端面と磁気テープ
４との充分な接触が保たれなくなるため、磁気ヘ
ツド高さ４〜5μｍの調節が限度であつた。第５
図に、止めねじ１０によるヘツド高さの調節が４
〜5μｍ以下の場合の出力信号波形（第５図ａ）
と、5μｍを越える場合の出力信号波形（第５図
ｂ）の違いを示す。

よつて、組立て後のヘツド高さの誤差が４〜
5μｍを越える場合は、上部回転シリンダ２のヘ
ツドベース９取付面と、ヘツドベース９の上端面
との間に、適当な厚さのスペーサー（シム）を挾
む必要があつた。現実には、組立て後のヘツド高
さの公差は±20μｍ程度が限度であり、スペーサ
ーを選定して挾む行程を省略することが不可能で
あつたため、コストアツプにつながつていた。

発明の目的 本発明は上記欠点に鑑み、スペーサーを要する
ことなく、止めねじでヘツドベースを押し付ける
ことのみによつて、ヘツド高さを±２〜3μｍの
公差内に調節することを可能にするヘツドベース
を適用した回転ヘツドアセンブリを提供するもの
である。

発明の構成 本発明は、下部固定シリンダと、前記下部固定
シリンダとほぼ同一の径を有し、間隙をおいて同
軸上に配された上部回転シリンダと、前記上部回
転シリンダに登載されたヘツドベースと、前記ヘ
ツドベースの端部に固定され、前記間隙の前記下
部固定シリンダの外周近傍において、前記下部固
定シリンダと同軸周りに回転する磁気ヘツドと、
磁気ヘツド位置調節用部材とから構成され、前記
ヘツドベースは、前記磁気ヘツド位置調節用部材
により、前記ヘツドベースの前記磁気ヘツドの取
付面が、前記上部回転シリンダの回転軸に対して
ほぼ直角を保ちながら上下に移動するような形状
を備えたものであり、スペーサーを要することな
く、止めねじ等の磁気ヘツド位置調節用部材のみ
による磁気ヘツドの基準面からの高さを調節する
ことを可能にするという特有の効果を有する。

実施例の説明 以下本発明の実施例について、図面を参照しな
がら説明する。

第６図は本発明の実施例における回転ヘツドア
センブリの、ヘツドベース近傍の拡大断面図であ
る。第６図において１１は上部回転シリンダ、１
２は磁気ヘツド、、１３は弾性部材からなるヘツ
ドベース、１４は磁気ヘツド位置調節用部材とし
ての止めねじである。第６図に示すように、ヘツ
ドベース１３の側面には、二個の貫通穴１５と、
それらを連結するスリツト１６が形成されてい
る。

以上のように構成された回転ヘツドアセンブリ
について、以下その動作を説明する。

第７図は、本発明の実施例において、止めねじ
１４によりヘツドベース１３を押し付けた時の、
ヘツドベース１３、貫通穴１５の変形のメカニズ
ムを模式的に示す説明図である。第７図におい
て、１７，１８は貫通穴、１９は貫通穴１７，１
８を連結するスリツト、２０はヘツドベースに相
当する弾性板、１２は固定壁である。弾性板２０
の変形前の形状を実線で示し、矢印Ｆの位置に力
が働いた時の変形の様子を破線で示す。第７図に
示すように、弾性板２０のうちＣの部分は、所定
の変形量８の範囲内で、常にほぼ平行に移動す
る。

第８図は、第６図に示す本発明の実施例におい
て、止めねじ１４によつてヘツドベース１３を押
し付けた時のヘツドベース１３の変形の様子を示
す。第７図で説明したように、ヘツドベース１３
の磁気ヘツド取付け部近傍は、その変位置が少く
とも50μｍ以内において、ほぼ平行を保ちながら
移動するため、磁気ヘツド１２は、その高さの調
節量が少くとも50μｍ以内において、上部回転シ
リンダ１１の回転軸に対してほぼ直角を保つ。よ
つて止めねじ１４によつて50μｍ以内の磁気ヘツ
ド高さ調節を行つた場合、出力信号波形は、高さ
調節前の波形が第９図ａのようになるのに対し、
調節後も第９図ｂのようになり、ほとんど変化し
ない。

以上のように、本実施例によれば、ヘツドベー
スの側面に複数の貫通穴と、それらを連結するス
リツトを形成することにより、スペーサーを用い
ずに、止めねじ等のヘツド位置調節部材により、
回転ヘツドアセンブリを組み立てたままで、出力
信号に悪影響を及ぼすことなく、磁気ヘツドの高
さ調節を行うことができる。

なお、第１０図ａ，ｂに示す形状の、平行ばね
機構を有するヘツドベースを用いることによつて
も、前記実施例と同様の目的を果すことができ
る。第１０図において、２２は弾性部材からなる
ヘツドベース、２３は長方形の貫通穴、２４は磁
気ヘツド、２５は剛性の大きな材質からなるヘツ
ドベース、２６は平行板ばねである。

また、本発明の実施例では、上部回転シリンダ
にヘツドベースを登載する方式のものとしたが、
第１１図に示すように、ほぼ同一の径を有し間隙
をおいて同軸に配された上下固定シリンダと、ヘ
ツドベースを登載し前記間隙内を回転する回転部
材とから構成される方式にも適用できることは言
うまでもない。又第１１図において、２７は上部
固定シリンダ、２８は下部固定シリンダ、２９は
固定軸、３０は回転部材、３１はヘツドベースで
ある。

発明の効果 以上のように、本発明は、ヘツドベースの側面
に、複数の貫通穴と、それらを連結するスリツト
を形成するか又は平行ばね機構を応用することに
より、止めねじ等の磁気ヘツド位置調節部材のみ
により、回転ヘツドアセンブリを組み立てたまま
で、数十ミクロンというかなり大きな量の磁気ヘ
ツド高さの調節を行うことができ、適当な厚みの
スペーサーを選定して高さ調節を行う手間と、ス
ペーサーの材料費を不要にするため、実用的効果
は大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転ヘツドアセンブリを示す斜視図、
第２図は従来の回転ヘツドアセンブリの断面図、
第３図は同磁気ヘツドの拡大部分断面図、第４図
は第３図の回転ヘツドアセンブリにおいて、止め
ねじによつてヘツドベースを押し付けた時のヘツ
ドベースの変形の様子を示す磁気ヘツドの拡大部
分断面図、第５図ａ，ｂは各々第３図と第４図の
場合の出力信号波形を示す図、第６図は本発明の
一実施例における回転ヘツドアセンブリの磁気ヘ
ツドの部分拡大断面図、第７図は本発明の一実施
例におけるヘツドベースの変形の様子を模式的に
示す説明図、第８図は第６図の回転ヘツドアセン
ブリにおいて、止めねじによりヘツドベースを押
し付けた時のヘツドベースの変形の様子を示す磁
気ヘツドの拡大部分断面図、第９図ａ，ｂは各々
第６図と第８図の場合の出力信号波形を示す図、
第１０図ａ，ｂは本発明の他の実施例のヘツドベ
ースの形状例を示す断面図、第１１図は上下シリ
ンダ固定方式の回転ヘツドアセンブリの断面図で
ある。 １１……上部回転シリンダ、１２……磁気ヘツ
ド、１３……ヘツドベース、１４……止めねじ、
１５……貫通穴、１６……スリツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下部固定シリンダと、前記下部固定シリンダ
   と略同一の径を有し、間隙をおいて同軸上に配さ
   れた上部回転シリンダと、前記上部回転シリンダ
   に登載されたヘツドベースと、前記ヘツドベース
   の端部に固定され、前記間隙の前記下部固定シリ
   ンダの外周近傍において、前記下部固定シリンダ
   と同軸周りに回転する磁気ヘツドと、前記ヘツド
   ベースの前記磁気ヘツドの取付け面を上下に移動
   させる磁気ヘツド位置調節用部材とを有し、前記
   ヘツドベースの側面には貫通穴が設けられている
   ことを特徴とする回転ヘツドアセンブリ。 ２ 貫通穴が、二ケ所以上の貫通穴と、この貫通
   穴同志を連結するスリツトで形成されている特許
   請求の範囲第１項記載の回転ヘツドアセンブリ。 ３ 貫通穴の形状が長方形である特許請求の範囲
   第１項記載の回転ヘツドアセンブリ。 ４ 略同一の径を有し、間隙をおいて同軸上に配
   された一対の固定シリンダと、前記間隙において
   前記固定シリンダと同軸周りに回転する回転部材
   と、前記回転部材に登載されたヘツドベースと、
   前記ヘツドベースの端部に固定され、前記間隙の
   前記固定シリンダ外周近傍において、前記固定シ
   リンダと同軸周りに回転する磁気ヘツドと、前記
   ヘツドベースの前記磁気ヘツドの取付け面を上下
   に移動させる磁気ヘツド位置調整用部材とを有
   し、前記ヘツドベースの側面には貫通穴が設けら
   れていることを特徴とする回転ヘツドアセンブ
   リ。 ５ 貫通穴が、二ケ所以上の貫通穴とこの貫通穴
   同志を連結するスリツトで形成されている特許請
   求の範囲第４項記載の回転ヘツドアセンブリ。 ６ 貫通穴の形状が長方形である特許請求の範囲
   第４項記載の回転ヘツドアセンブリ。