JPH0348238B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0348238B2 JPH0348238B2 JP2608383A JP2608383A JPH0348238B2 JP H0348238 B2 JPH0348238 B2 JP H0348238B2 JP 2608383 A JP2608383 A JP 2608383A JP 2608383 A JP2608383 A JP 2608383A JP H0348238 B2 JPH0348238 B2 JP H0348238B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat storage
- sodium acetate
- acetate trihydrate
- storage material
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- 238000005338 heat storage Methods 0.000 claims description 44
- CDBYLPFSWZWCQE-UHFFFAOYSA-L Sodium Carbonate Chemical compound [Na+].[Na+].[O-]C([O-])=O CDBYLPFSWZWCQE-UHFFFAOYSA-L 0.000 claims description 32
- 239000011232 storage material Substances 0.000 claims description 30
- 235000017281 sodium acetate Nutrition 0.000 claims description 28
- BDKLKNJTMLIAFE-UHFFFAOYSA-N 2-(3-fluorophenyl)-1,3-oxazole-4-carbaldehyde Chemical compound FC1=CC=CC(C=2OC=C(C=O)N=2)=C1 BDKLKNJTMLIAFE-UHFFFAOYSA-N 0.000 claims description 23
- 229940087562 sodium acetate trihydrate Drugs 0.000 claims description 23
- 230000008018 melting Effects 0.000 claims description 19
- 238000002844 melting Methods 0.000 claims description 19
- 239000000203 mixture Substances 0.000 claims description 16
- 229910000029 sodium carbonate Inorganic materials 0.000 claims description 16
- 238000007711 solidification Methods 0.000 claims description 16
- 230000008023 solidification Effects 0.000 claims description 16
- XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N water Substances O XLYOFNOQVPJJNP-UHFFFAOYSA-N 0.000 claims description 15
- 239000000463 material Substances 0.000 claims description 11
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 9
- 238000001816 cooling Methods 0.000 claims description 7
- 239000007788 liquid Substances 0.000 claims description 7
- 239000000126 substance Substances 0.000 claims description 6
- 150000008064 anhydrides Chemical class 0.000 claims description 4
- 238000000034 method Methods 0.000 claims description 4
- 229940001593 sodium carbonate Drugs 0.000 description 14
- 238000004781 supercooling Methods 0.000 description 13
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 8
- 239000000155 melt Substances 0.000 description 6
- 238000001556 precipitation Methods 0.000 description 6
- 230000008859 change Effects 0.000 description 4
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 4
- 239000001632 sodium acetate Substances 0.000 description 4
- 239000007790 solid phase Substances 0.000 description 4
- VMHLLURERBWHNL-UHFFFAOYSA-M Sodium acetate Chemical compound [Na+].CC([O-])=O VMHLLURERBWHNL-UHFFFAOYSA-M 0.000 description 3
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 3
- 150000004677 hydrates Chemical class 0.000 description 3
- 239000007791 liquid phase Substances 0.000 description 3
- -1 sodium acetate anhydride Chemical class 0.000 description 3
- 239000007864 aqueous solution Substances 0.000 description 2
- 238000002425 crystallisation Methods 0.000 description 2
- 230000008025 crystallization Effects 0.000 description 2
- 230000006866 deterioration Effects 0.000 description 2
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 2
- 230000005484 gravity Effects 0.000 description 2
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 2
- 230000000977 initiatory effect Effects 0.000 description 2
- 230000009467 reduction Effects 0.000 description 2
- XYQRXRFVKUPBQN-UHFFFAOYSA-L Sodium carbonate decahydrate Chemical compound O.O.O.O.O.O.O.O.O.O.[Na+].[Na+].[O-]C([O-])=O XYQRXRFVKUPBQN-UHFFFAOYSA-L 0.000 description 1
- 230000009471 action Effects 0.000 description 1
- 238000004378 air conditioning Methods 0.000 description 1
- 229940040526 anhydrous sodium acetate Drugs 0.000 description 1
- 230000015271 coagulation Effects 0.000 description 1
- 238000005345 coagulation Methods 0.000 description 1
- 235000014113 dietary fatty acids Nutrition 0.000 description 1
- 238000000113 differential scanning calorimetry Methods 0.000 description 1
- 230000003631 expected effect Effects 0.000 description 1
- 239000000194 fatty acid Substances 0.000 description 1
- 229930195729 fatty acid Natural products 0.000 description 1
- 150000004665 fatty acids Chemical class 0.000 description 1
- 239000011521 glass Substances 0.000 description 1
- 230000017525 heat dissipation Effects 0.000 description 1
- 230000007774 longterm Effects 0.000 description 1
- 239000002667 nucleating agent Substances 0.000 description 1
- 230000006911 nucleation Effects 0.000 description 1
- 238000010899 nucleation Methods 0.000 description 1
- 239000011368 organic material Substances 0.000 description 1
- 239000012188 paraffin wax Substances 0.000 description 1
- 238000002360 preparation method Methods 0.000 description 1
- 230000008569 process Effects 0.000 description 1
- 238000011084 recovery Methods 0.000 description 1
- 238000012827 research and development Methods 0.000 description 1
- 230000004044 response Effects 0.000 description 1
- 239000010802 sludge Substances 0.000 description 1
- 229940018038 sodium carbonate decahydrate Drugs 0.000 description 1
- 239000000243 solution Substances 0.000 description 1
- 239000004575 stone Substances 0.000 description 1
- 238000005382 thermal cycling Methods 0.000 description 1
- 239000002918 waste heat Substances 0.000 description 1
Description
本発明は、蓄熱材の製造法に関する。更に詳し
くは、凝固時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱
サイクルに対し安定した性能を発揮させる蓄熱材
の製造法に関する。 蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられ
てきたが、これらは蓄熱密度が小さいため
(1cal/g・deg以下)、実用に際してはかなり大
きな蓄熱器を必要とする。また、放熱に伴つて、
蓄熱器内の温度は徐々に低下するので、安全な熱
エネルギーを得ることは、技術的にかなり困難で
ある。 これに対し、近年物質の融解、凝固の際の潜熱
を蓄熱に応用する研究、開発が盛んになつてきて
いる。このような潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料
の融解温度に一致した一定温度の熱エネルギー
を、数10cal/gという高い蓄熱密度で安定に吸
収および放出できる点にある。 ところで、最近太陽熱利用技術や排熱回収技術
の進展に伴ない、給湯用および暖房用の熱源とし
て50〜60℃といつた比較的低い温度での蓄熱が注
目されている。このような低い温度で蓄熱を行な
う際の潜熱型蓄熱材としては、パラフインワツク
スや高級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが
注目されている。 潜熱型蓄熱材としての有機物は、融解、凝固時
における安定性は良好であるものの、材料自身の
熱伝導が悪いため、熱の吸収および放出を行なう
上で問題がある。また、比重が小さいため、蓄熱
器も比較的大きなものとなつてくる。 一方、無機水和物は、有機物蓄熱材と比較して
熱伝導率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と
大きいため、蓄熱器も小さくすることができる。
しかるに、無機水和物は、一般に凝固開始温度が
融解温度よりも低くなるという、いわゆる過冷却
現象を示す。かかる現象は、無機水和物を蓄熱材
として用いた場合、一定温度の熱エネルギーを安
定して吸収および放出するという潜熱型蓄熱材の
特徴を著しく損わせるものである。 酢酸ナトリウム3水和物CH3COONa・3H2O
は、融解温度が58℃であり、潜熱量が51cal/g
(示差走査熱量計による)と高いため、給湯用や
暖房用、更には恒温としての空調用などの潜熱型
蓄熱材として非常に有望であるが、この水和物の
場合にも過冷却現象がみられる。 即ち、一旦融解させた酢酸ナトリウム3水和物
は、約15℃前後の室温に放置しても固化しないの
である。これは、酢酸ナトリウム3水和物の凝固
開始温度が約−20℃であり、結局約80℃近い温度
差に相当する過冷却を生ずるためである。従つ
て、58℃における熱の吸収・放出が全く円滑に行
われないので、これ単独では蓄熱材として使用す
ることができない。 本発明者は、酢酸ナトリウム3水和物の過冷却
の程度を軽減させ得る発核剤を求めて種々検討の
結果、特定の条件下で使用される炭酸ナトリウム
が非常に有効であることを見出した。即ち、特開
昭57−147580号公報に記載される如く、炭酸ナト
リウムは酢酸ナトリウム3水和物に対して核生成
能力を有していないことは事実であるが、これら
の材料混合物を融解させた後冷却し、一旦固化を
経験させることにより、蓄熱材として有効に使用
し得ることを見出したのである。 従つて、本発明は蓄熱材の製造法に係り、蓄熱
材の製造は、酢酸ナトリウム3水和物に炭酸ナト
リウムを添加し、この材料混合物を融解させた後
冷却し、一旦固化を経験させることにより行われ
る。 この際、固化の経験は、融解状態の材料混合物
を−20℃程度に冷却したり、あるいは室温に冷却
してもなお液体状態の材料混合物に微量の酢酸ナ
トリウムの3水和物または無水物を添加すること
によつて行われる。そして、この添加される酢酸
ナトリウム3水和物としては、それを含有する物
質、例えば上記固化経験物質それ自体を用いるこ
とができる。 過冷却軽減の程度は、用いられる炭酸ナトリウ
ムの添加割合によつても異なるが、あまり多くの
炭酸ナトリウムを添加しても期待される程の効果
が得られないばかりではなく、融解温度の著しい
低下などの材料の変質をも招くため、一般に酢酸
ナトリウム3水和物に対し約0.01〜20重量%、好
ましくは約0.05〜10重量の割合で用いられる。 過冷却軽減の程度は、蓄熱材の融解温度Tmと
凝固開始温度Tm′との差△Tscによつて示される
が、酢酸ナトリウム3水和物に前記割合の炭酸ナ
トリウムを加えることにより、△Tscの値を顕著
に低下せしめることができる。また、それに伴つ
て、融解温度への復帰時間も短かくなり、熱サイ
クル試験で長期にわたつて安定した性能を発揮す
ることとも合まつて、より効率的な蓄熱作用を営
むことができる。 次に、実施例について本発明の効果を説明す
る。 実施例 1 酢酸ナトリウム3水和物に対し、それぞれ所定
割合の炭酸ナトリウムを添加し、それらの△Tsc
の値を次の方法に従つて測定した。 酢酸ナトリウム3水和物10gを容量20mlのガラ
ス容器にとり、それに炭酸ナトリウムの所定量を
添加し、密栓する。これを、80℃の恒温槽内に4
時間放置し、材料混合物を完全に融解させた後、
室温に放置する。材料混合物は、過冷却を生じ、
室温に達しても液体状態を保つている。この融解
液に、微量(1mg)の酢酸ナトリウム3水和物を
添加すると固化する。このようにして調整した材
料は、次に80℃で完全に融解させ、その後室温に
放置すると容易に固化するようになる。 かかる蓄熱材を、恒温槽内に入れ、上限温度80
℃、下限温度20℃の範囲内で、まず昇温速度1
℃/分にて加温し、それが融解する温度(Tm)
以上に蓄熱材の温度を高めた後、今度は降温速度
1℃/分にて冷却し、ある温度(Tm′)迄過冷却
して固化するに至る熱サイクル試験をくり返して
行ない、その際の温度変化を熱電対で測定し、過
冷却の程度△Tsc(Tm−Tm′)を調べた。得られ
た結果は、次の表1に示される。
くは、凝固時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱
サイクルに対し安定した性能を発揮させる蓄熱材
の製造法に関する。 蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられ
てきたが、これらは蓄熱密度が小さいため
(1cal/g・deg以下)、実用に際してはかなり大
きな蓄熱器を必要とする。また、放熱に伴つて、
蓄熱器内の温度は徐々に低下するので、安全な熱
エネルギーを得ることは、技術的にかなり困難で
ある。 これに対し、近年物質の融解、凝固の際の潜熱
を蓄熱に応用する研究、開発が盛んになつてきて
いる。このような潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料
の融解温度に一致した一定温度の熱エネルギー
を、数10cal/gという高い蓄熱密度で安定に吸
収および放出できる点にある。 ところで、最近太陽熱利用技術や排熱回収技術
の進展に伴ない、給湯用および暖房用の熱源とし
て50〜60℃といつた比較的低い温度での蓄熱が注
目されている。このような低い温度で蓄熱を行な
う際の潜熱型蓄熱材としては、パラフインワツク
スや高級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが
注目されている。 潜熱型蓄熱材としての有機物は、融解、凝固時
における安定性は良好であるものの、材料自身の
熱伝導が悪いため、熱の吸収および放出を行なう
上で問題がある。また、比重が小さいため、蓄熱
器も比較的大きなものとなつてくる。 一方、無機水和物は、有機物蓄熱材と比較して
熱伝導率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と
大きいため、蓄熱器も小さくすることができる。
しかるに、無機水和物は、一般に凝固開始温度が
融解温度よりも低くなるという、いわゆる過冷却
現象を示す。かかる現象は、無機水和物を蓄熱材
として用いた場合、一定温度の熱エネルギーを安
定して吸収および放出するという潜熱型蓄熱材の
特徴を著しく損わせるものである。 酢酸ナトリウム3水和物CH3COONa・3H2O
は、融解温度が58℃であり、潜熱量が51cal/g
(示差走査熱量計による)と高いため、給湯用や
暖房用、更には恒温としての空調用などの潜熱型
蓄熱材として非常に有望であるが、この水和物の
場合にも過冷却現象がみられる。 即ち、一旦融解させた酢酸ナトリウム3水和物
は、約15℃前後の室温に放置しても固化しないの
である。これは、酢酸ナトリウム3水和物の凝固
開始温度が約−20℃であり、結局約80℃近い温度
差に相当する過冷却を生ずるためである。従つ
て、58℃における熱の吸収・放出が全く円滑に行
われないので、これ単独では蓄熱材として使用す
ることができない。 本発明者は、酢酸ナトリウム3水和物の過冷却
の程度を軽減させ得る発核剤を求めて種々検討の
結果、特定の条件下で使用される炭酸ナトリウム
が非常に有効であることを見出した。即ち、特開
昭57−147580号公報に記載される如く、炭酸ナト
リウムは酢酸ナトリウム3水和物に対して核生成
能力を有していないことは事実であるが、これら
の材料混合物を融解させた後冷却し、一旦固化を
経験させることにより、蓄熱材として有効に使用
し得ることを見出したのである。 従つて、本発明は蓄熱材の製造法に係り、蓄熱
材の製造は、酢酸ナトリウム3水和物に炭酸ナト
リウムを添加し、この材料混合物を融解させた後
冷却し、一旦固化を経験させることにより行われ
る。 この際、固化の経験は、融解状態の材料混合物
を−20℃程度に冷却したり、あるいは室温に冷却
してもなお液体状態の材料混合物に微量の酢酸ナ
トリウムの3水和物または無水物を添加すること
によつて行われる。そして、この添加される酢酸
ナトリウム3水和物としては、それを含有する物
質、例えば上記固化経験物質それ自体を用いるこ
とができる。 過冷却軽減の程度は、用いられる炭酸ナトリウ
ムの添加割合によつても異なるが、あまり多くの
炭酸ナトリウムを添加しても期待される程の効果
が得られないばかりではなく、融解温度の著しい
低下などの材料の変質をも招くため、一般に酢酸
ナトリウム3水和物に対し約0.01〜20重量%、好
ましくは約0.05〜10重量の割合で用いられる。 過冷却軽減の程度は、蓄熱材の融解温度Tmと
凝固開始温度Tm′との差△Tscによつて示される
が、酢酸ナトリウム3水和物に前記割合の炭酸ナ
トリウムを加えることにより、△Tscの値を顕著
に低下せしめることができる。また、それに伴つ
て、融解温度への復帰時間も短かくなり、熱サイ
クル試験で長期にわたつて安定した性能を発揮す
ることとも合まつて、より効率的な蓄熱作用を営
むことができる。 次に、実施例について本発明の効果を説明す
る。 実施例 1 酢酸ナトリウム3水和物に対し、それぞれ所定
割合の炭酸ナトリウムを添加し、それらの△Tsc
の値を次の方法に従つて測定した。 酢酸ナトリウム3水和物10gを容量20mlのガラ
ス容器にとり、それに炭酸ナトリウムの所定量を
添加し、密栓する。これを、80℃の恒温槽内に4
時間放置し、材料混合物を完全に融解させた後、
室温に放置する。材料混合物は、過冷却を生じ、
室温に達しても液体状態を保つている。この融解
液に、微量(1mg)の酢酸ナトリウム3水和物を
添加すると固化する。このようにして調整した材
料は、次に80℃で完全に融解させ、その後室温に
放置すると容易に固化するようになる。 かかる蓄熱材を、恒温槽内に入れ、上限温度80
℃、下限温度20℃の範囲内で、まず昇温速度1
℃/分にて加温し、それが融解する温度(Tm)
以上に蓄熱材の温度を高めた後、今度は降温速度
1℃/分にて冷却し、ある温度(Tm′)迄過冷却
して固化するに至る熱サイクル試験をくり返して
行ない、その際の温度変化を熱電対で測定し、過
冷却の程度△Tsc(Tm−Tm′)を調べた。得られ
た結果は、次の表1に示される。
【表】
【表】
過冷却防止の効果は、長期のくり返しにおい
て、安定に発揮されなければならない。上記表1
の結果は、20サイクル目の値であるが、初回から
その効果は変らず、50サイクル後においても安定
している。添加割合が20重量%以上になると、酢
酸ナトリウム3水和物本来の融解温度(Tm)よ
りも、蓄熱材としての融解温度が著しく低下し、
50〜60℃の必要温度範囲を満足させない結果とな
る。こうした結果から、添加割合の上限は約20重
量%である。こうした一連の傾向は、炭酸ナトリ
ウム10水和物を用いた場合にも同様である。 なお、No.5の場合における熱サイクル試験(20
回目)の経時的な温度変化が、第1図のグラフに
示されている。 実施例 2 実施例1において、室温に達しても液体状態を
保つている融解液に、微量(1mg)の酢酸ナトリ
ウム無水物を添加すると固化する。 この蓄熱材について行われた熱サイクル試験の
結果は、次の表2に示される。
て、安定に発揮されなければならない。上記表1
の結果は、20サイクル目の値であるが、初回から
その効果は変らず、50サイクル後においても安定
している。添加割合が20重量%以上になると、酢
酸ナトリウム3水和物本来の融解温度(Tm)よ
りも、蓄熱材としての融解温度が著しく低下し、
50〜60℃の必要温度範囲を満足させない結果とな
る。こうした結果から、添加割合の上限は約20重
量%である。こうした一連の傾向は、炭酸ナトリ
ウム10水和物を用いた場合にも同様である。 なお、No.5の場合における熱サイクル試験(20
回目)の経時的な温度変化が、第1図のグラフに
示されている。 実施例 2 実施例1において、室温に達しても液体状態を
保つている融解液に、微量(1mg)の酢酸ナトリ
ウム無水物を添加すると固化する。 この蓄熱材について行われた熱サイクル試験の
結果は、次の表2に示される。
【表】
炭酸ナトリウムを添加していないNo.1のもの
は、材料調整時に酢酸ナトリウム無水物の添加に
より固化するものの、それの熱サイクルにおいて
は、融解液中に無水物の析出は認められたが、過
冷却防止の効果はなく、依然−20℃迄冷却され
る。このことから、析出した酢酸ナトリウム無水
物は、融解液を固化させる作用は有しているもの
の、発核作用は有していないと考えられる。 実施例 3 実施例1において、室温に達しても液体状態を
保つている融解液を更に冷却し、−20℃の雰囲気
中に放置すると、材料混合物は材料温度−15〜−
20℃で固化する。 この蓄熱材について行われた熱サイクル試験の
結果は、次の表3に示される。
は、材料調整時に酢酸ナトリウム無水物の添加に
より固化するものの、それの熱サイクルにおいて
は、融解液中に無水物の析出は認められたが、過
冷却防止の効果はなく、依然−20℃迄冷却され
る。このことから、析出した酢酸ナトリウム無水
物は、融解液を固化させる作用は有しているもの
の、発核作用は有していないと考えられる。 実施例 3 実施例1において、室温に達しても液体状態を
保つている融解液を更に冷却し、−20℃の雰囲気
中に放置すると、材料混合物は材料温度−15〜−
20℃で固化する。 この蓄熱材について行われた熱サイクル試験の
結果は、次の表3に示される。
【表】
この結果からみて、室温に冷却してなお液体状
態の材料混合物に微量の酢酸ナトリウム3水和物
を添加する代りに、−20℃程度に冷却しても同様
の効果が得られることが分る。 このように、酢酸ナトリウム3水和物への炭酸
ナトリウムの添加は、過冷却を有効に防止し得る
が、蓄熱材の系中に水を共存させると、安定した
融解・凝固がくり返され、即ちより安定した蓄熱
作用の営まれることが判明した。 第2図は、CH3COONa−H2Oの2成分系平衡
線図である。この平衡線図によつて、
CH3COONa・3H2Oの融解および凝固のサイク
ルを説明する。 ラインD−F上に存在するCH3COONa・
3H2Oを加熱すると、その融点である点D(58℃)
で結晶水が解離し、解離した水にCH3COONaが
溶解する。しかしながら、ラインD−Fの延長線
であるラインK−Dの間では、S1(CH3COONa
の固相)+L(液相)の域にあるため、
CH3COONaな完全に結晶水に溶解せず、一部の
CH3COONaは溶液内に固相として存在する。温
度を更に上げ、ラインK−Dの延長線であるライ
ンM−Kになると、CH3COONaの溶解度が大き
くなるため、完全に水に溶解し、均一な液相とな
る。 凝固の過程は、この逆であつて、温度を点Mか
ら点Kに下げて行くと、点Kで無水の
CH3COONaが析出し始め、徐々にその析出量を
増し、点Dに達したところで、今度は
CH3COONa・3H2Oが形成される。このように、
固液平衡での固相の割合が増加するにつれて、析
出したCH3COONaはCH3COONa・3H2Oとな
り、最後には全体がCH3COONa・3H2Oの形で
固化するようになる。 ところで、実際にCH3COONa・3H2Oを蓄熱
材に用いる場合には、炭酸ナトリウムの添加によ
り過冷却が防止されるが、ラインK−Dの存在、
即ち無水のCH3COONaが析出するということ
は、蓄熱器の熱交換において伝導の効率を低下さ
せ、更には蓄熱器内にスラツジを堆積させ、これ
により蓄熱材本来の性能ばかりか蓄熱器の性能を
も低下させるおそれがある。 本発明においては、かかる無水のCH3COONa
の析出による性能低下がみられる場合には、炭酸
ナトリウムの添加に先立つて水を添加し、
CH3COONaの組成を約55〜60%の水溶液とし、
2成分系平衡図における点B付近の組成になるよ
うに調整することが有効である。この目的のため
に添加される水の量は、CH3COONa・3H2Oに
対して約10重量%以下、好ましくは約2〜5重量
%である。これ以上の割合で水を添加すると、融
解温度が本来の材料のそれよりも著しく低下する
ばかりではなく、潜熱量の低下もひき起される。
そして、このような範囲内での水の添加は、炭酸
ナトリウムの発核作用を何ら妨げるものではな
く、依然有効な融解・凝固サイクルが営まれる。
なお、これとは反対に、無水のCH3COONaなど
の添加など蓄熱材の水分量を減少させることは、
無水物の析出を増加させるため好ましくない。 かかる態様の実施例を、次に追加する。 実施例 4 実施例1、No.6の材料に、更に水を0.38g添加
する。この材料は、酢酸ナトリウムの58重量%水
溶液の組成に相当するもので凝固に際しては、無
水酢酸ナトリウムの析出をみることなく、△Tsc
=4degにて固化した。また、50回の熱サイクル
試験に対しても、凝固の挙動は何ら変らず、安定
した融解・凝固がくり返されるこが確認された。
態の材料混合物に微量の酢酸ナトリウム3水和物
を添加する代りに、−20℃程度に冷却しても同様
の効果が得られることが分る。 このように、酢酸ナトリウム3水和物への炭酸
ナトリウムの添加は、過冷却を有効に防止し得る
が、蓄熱材の系中に水を共存させると、安定した
融解・凝固がくり返され、即ちより安定した蓄熱
作用の営まれることが判明した。 第2図は、CH3COONa−H2Oの2成分系平衡
線図である。この平衡線図によつて、
CH3COONa・3H2Oの融解および凝固のサイク
ルを説明する。 ラインD−F上に存在するCH3COONa・
3H2Oを加熱すると、その融点である点D(58℃)
で結晶水が解離し、解離した水にCH3COONaが
溶解する。しかしながら、ラインD−Fの延長線
であるラインK−Dの間では、S1(CH3COONa
の固相)+L(液相)の域にあるため、
CH3COONaな完全に結晶水に溶解せず、一部の
CH3COONaは溶液内に固相として存在する。温
度を更に上げ、ラインK−Dの延長線であるライ
ンM−Kになると、CH3COONaの溶解度が大き
くなるため、完全に水に溶解し、均一な液相とな
る。 凝固の過程は、この逆であつて、温度を点Mか
ら点Kに下げて行くと、点Kで無水の
CH3COONaが析出し始め、徐々にその析出量を
増し、点Dに達したところで、今度は
CH3COONa・3H2Oが形成される。このように、
固液平衡での固相の割合が増加するにつれて、析
出したCH3COONaはCH3COONa・3H2Oとな
り、最後には全体がCH3COONa・3H2Oの形で
固化するようになる。 ところで、実際にCH3COONa・3H2Oを蓄熱
材に用いる場合には、炭酸ナトリウムの添加によ
り過冷却が防止されるが、ラインK−Dの存在、
即ち無水のCH3COONaが析出するということ
は、蓄熱器の熱交換において伝導の効率を低下さ
せ、更には蓄熱器内にスラツジを堆積させ、これ
により蓄熱材本来の性能ばかりか蓄熱器の性能を
も低下させるおそれがある。 本発明においては、かかる無水のCH3COONa
の析出による性能低下がみられる場合には、炭酸
ナトリウムの添加に先立つて水を添加し、
CH3COONaの組成を約55〜60%の水溶液とし、
2成分系平衡図における点B付近の組成になるよ
うに調整することが有効である。この目的のため
に添加される水の量は、CH3COONa・3H2Oに
対して約10重量%以下、好ましくは約2〜5重量
%である。これ以上の割合で水を添加すると、融
解温度が本来の材料のそれよりも著しく低下する
ばかりではなく、潜熱量の低下もひき起される。
そして、このような範囲内での水の添加は、炭酸
ナトリウムの発核作用を何ら妨げるものではな
く、依然有効な融解・凝固サイクルが営まれる。
なお、これとは反対に、無水のCH3COONaなど
の添加など蓄熱材の水分量を減少させることは、
無水物の析出を増加させるため好ましくない。 かかる態様の実施例を、次に追加する。 実施例 4 実施例1、No.6の材料に、更に水を0.38g添加
する。この材料は、酢酸ナトリウムの58重量%水
溶液の組成に相当するもので凝固に際しては、無
水酢酸ナトリウムの析出をみることなく、△Tsc
=4degにて固化した。また、50回の熱サイクル
試験に対しても、凝固の挙動は何ら変らず、安定
した融解・凝固がくり返されるこが確認された。
第1図は、実施例1のNo.5の場合における熱サ
イクル試験(20回目)の経時的な温度変化を示す
グラフである。また、第2図は、CH3COONa−
H2Oの2成分系平衡線図である。 (符号の説明)、L:液相、S1:CH3COONa
の固相、S2:CH3COONa・3H2Oの固相。
イクル試験(20回目)の経時的な温度変化を示す
グラフである。また、第2図は、CH3COONa−
H2Oの2成分系平衡線図である。 (符号の説明)、L:液相、S1:CH3COONa
の固相、S2:CH3COONa・3H2Oの固相。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 酢酸ナトリウム3水和物に炭酸ナトリウムを
添加し、この材料混合物を融解させた後冷却し、
一旦固化を経験させることを特徴とする蓄熱材の
製造法。 2 室温に冷却してもなお液体状態の材料混合物
に微量の酢酸ナトリウムの3水和物または無水物
を添加し、固化を経験させる特許請求の範囲第1
項記載の蓄熱材の製造法。 3 添加される酢酸ナトリウム3水和物として、
酢酸ナトリウム3水和物含有物質が用いられる特
許請求の範囲第2項記載の蓄熱材の製造法。 4 酢酸ナトリウム3水和物含有物質が、酢酸ナ
トリウム3水和物に炭酸ナトリウムを添加した材
料混合物を融解後冷却し、一旦固化を経験させた
ものである特許請求の範囲第3項記載の蓄熱材の
製造法。 5 融解状態の材料混合物を−20℃程度に冷却
し、固化を経験させる特許請求の範囲第1項記載
の蓄熱材の製造法。 6 酢酸ナトリウム3水和物に対し、更に水が約
10重量%以下の割合で添加された特許請求の範囲
第1項記載の蓄熱材の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2608383A JPS59152981A (ja) | 1983-02-18 | 1983-02-18 | 蓄熱材の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2608383A JPS59152981A (ja) | 1983-02-18 | 1983-02-18 | 蓄熱材の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59152981A JPS59152981A (ja) | 1984-08-31 |
JPH0348238B2 true JPH0348238B2 (ja) | 1991-07-23 |
Family
ID=12183724
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2608383A Granted JPS59152981A (ja) | 1983-02-18 | 1983-02-18 | 蓄熱材の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59152981A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07103365B2 (ja) * | 1987-06-19 | 1995-11-08 | エヌオーケー株式会社 | 蓄熱材の前処理方法 |
-
1983
- 1983-02-18 JP JP2608383A patent/JPS59152981A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59152981A (ja) | 1984-08-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH0450955B2 (ja) | ||
JPH0348238B2 (ja) | ||
JPH0215598B2 (ja) | ||
JP2000111282A (ja) | 蓄熱装置およびその装置における熱管理方法 | |
JPS5952920B2 (ja) | 潜熱蓄熱材 | |
JPS61197668A (ja) | 蓄熱材 | |
JPH0434583B2 (ja) | ||
JPS5922986A (ja) | 蓄熱材 | |
JPH0450956B2 (ja) | ||
JPH0414718B2 (ja) | ||
JPH0151517B2 (ja) | ||
JPS6111986B2 (ja) | ||
JPS63256683A (ja) | 蓄熱材 | |
JPH0347888A (ja) | 蓄熱材 | |
JPH0453913B2 (ja) | ||
JPH0141672B2 (ja) | ||
JPH03128987A (ja) | 潜熱蓄熱材 | |
JPH03143984A (ja) | 蓄熱剤組成物 | |
JP2982409B2 (ja) | 潜熱蓄熱材 | |
JPS588712B2 (ja) | 蓄熱剤組成物 | |
JPS5866799A (ja) | 蓄熱材 | |
JPH07103365B2 (ja) | 蓄熱材の前処理方法 | |
JPS6325038B2 (ja) | ||
JPS6022031B2 (ja) | 蓄熱剤組成物 | |
JP2800329B2 (ja) | 潜熱蓄熱材 |