JP2800329B2 - 潜熱蓄熱材 - Google Patents
潜熱蓄熱材Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、潜熱蓄熱材に関する。更に詳しくは、凝固
時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクルに対し安
定した性能を発揮する潜熱型の蓄熱材に関する。
時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクルに対し安
定した性能を発揮する潜熱型の蓄熱材に関する。
蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられてきた
が、これらは蓄熱密度が小さいため(1cal/g・deg以
下)、実用に際してはかなり大きな蓄熱器を必要とす
る。また、放熱に伴って、蓄熱器内の温度は徐々に低下
するので、安定な熱エネルギーを得ることは、技術的に
かなり困難である。
が、これらは蓄熱密度が小さいため(1cal/g・deg以
下)、実用に際してはかなり大きな蓄熱器を必要とす
る。また、放熱に伴って、蓄熱器内の温度は徐々に低下
するので、安定な熱エネルギーを得ることは、技術的に
かなり困難である。
これに対し、近年物質の融解、凝固の際の潜熱を蓄熱
に応用する研究、開発が盛んになってきている。このよ
うな潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料の融解温度に一致し
た一定温度の熱エネルギーを、数10cal/gという高い蓄
熱密度で安定に吸収および放出できる点にある。
に応用する研究、開発が盛んになってきている。このよ
うな潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料の融解温度に一致し
た一定温度の熱エネルギーを、数10cal/gという高い蓄
熱密度で安定に吸収および放出できる点にある。
ところで、最近太陽熱利用技術や排熱回収技術の進展
に伴ない、給湯用の熱源として90℃程度といった比較的
高い温度での蓄熱が注目されている。このような高い温
度で蓄熱を行なう際の潜熱型蓄熱材としては、無機水和
物が注目されている。
に伴ない、給湯用の熱源として90℃程度といった比較的
高い温度での蓄熱が注目されている。このような高い温
度で蓄熱を行なう際の潜熱型蓄熱材としては、無機水和
物が注目されている。
しかるに、無機水和物は、一般に凝固開始温度が融解
温度よりも低くなるという、いわゆる過冷却現象を示
す。かかる現象は、無機水和物を蓄熱材として用いた場
合、一定温度の熱エネルギーを安定して吸収および放出
するという蓄熱材の特徴を著しく損わせるものである。
温度よりも低くなるという、いわゆる過冷却現象を示
す。かかる現象は、無機水和物を蓄熱材として用いた場
合、一定温度の熱エネルギーを安定して吸収および放出
するという蓄熱材の特徴を著しく損わせるものである。
カリウム明ばんKAl(SO4)2・12H2Oは、融解温度が9
1℃であり、潜熱量が55cal/g(示差走査熱量計による)
と高いため、給湯用などの潜熱型蓄熱材として非常に有
望であるが、この無機水和物の場合にも過冷却現象がみ
られる。即ち、一旦融解させたカリウム明ばんは、約15
℃前後の室温に放置しても固化しないのである。これ
は、カリウム明ばんの凝固開始温度が約−25℃であり、
結局116度の温度差に相当する過冷却を生ずるためであ
る。従って、91℃における熱の吸収・放出が全く円滑に
行われなので、これ単独では蓄熱材として使用すること
ができない。
1℃であり、潜熱量が55cal/g(示差走査熱量計による)
と高いため、給湯用などの潜熱型蓄熱材として非常に有
望であるが、この無機水和物の場合にも過冷却現象がみ
られる。即ち、一旦融解させたカリウム明ばんは、約15
℃前後の室温に放置しても固化しないのである。これ
は、カリウム明ばんの凝固開始温度が約−25℃であり、
結局116度の温度差に相当する過冷却を生ずるためであ
る。従って、91℃における熱の吸収・放出が全く円滑に
行われなので、これ単独では蓄熱材として使用すること
ができない。
本発明の目的は、過冷却の程度を軽減させたカリウム
明ばん系の潜熱型の蓄熱材を提供することにある。
明ばん系の潜熱型の蓄熱材を提供することにある。
かかる目的を達成せしめる本発明の潜熱蓄熱材は、カ
リウム明ばんに発核剤として炭酸セシウムCs2CO3を添加
し、あるいは発核剤として、炭酸カドミウムCdCO3また
は炭酸銅CuCO3添加した後、一度固化させてなる。
リウム明ばんに発核剤として炭酸セシウムCs2CO3を添加
し、あるいは発核剤として、炭酸カドミウムCdCO3また
は炭酸銅CuCO3添加した後、一度固化させてなる。
過冷却軽減の程度は、発核剤の添加割合によっても異
なるが、あまり多くの発核剤を添加しても期待される程
の効果が得られないばかりではなく、材料の変質をも招
くため、一般にはカリウム明ばんに対し、約0.05〜20重
量%、好ましくは約0.1〜10重量%の割合で用いられ
る。
なるが、あまり多くの発核剤を添加しても期待される程
の効果が得られないばかりではなく、材料の変質をも招
くため、一般にはカリウム明ばんに対し、約0.05〜20重
量%、好ましくは約0.1〜10重量%の割合で用いられ
る。
これらの発核剤の内、CdCO3、CuCO3については、それ
らを単に添加しただけでは発核作用を示さず、室温にお
いても固化しないが、発核剤を添加したカリウム明ばん
に何らかの処理をすることによって始めて発核作用を発
揮するようになる。即ち、カリウム明ばんの過冷却融解
液を−30℃程度に迄冷却して固化させたり、あるいはこ
の融解液に微量のカリウム明ばんを添加して固化させる
など、一度固化を経験させると発核作用を発揮するよう
になり、長期間の熱サイクルに対しても安定した過冷却
防止効果を示すようになる。
らを単に添加しただけでは発核作用を示さず、室温にお
いても固化しないが、発核剤を添加したカリウム明ばん
に何らかの処理をすることによって始めて発核作用を発
揮するようになる。即ち、カリウム明ばんの過冷却融解
液を−30℃程度に迄冷却して固化させたり、あるいはこ
の融解液に微量のカリウム明ばんを添加して固化させる
など、一度固化を経験させると発核作用を発揮するよう
になり、長期間の熱サイクルに対しても安定した過冷却
防止効果を示すようになる。
このような発核作用によって示される過冷却軽減の程
度は、蓄熱材の融解温度Tmと凝固開始温度Tscとの差ΔT
scによって示されるが、カリウム明ばんに前記割合の発
核剤を加えることにより、ΔTscの値を顕著に低下せし
めることができる。また、それに伴って、融解温度への
復帰時間も短くなり、熱サイクル試験で長期にわたって
安定した性能を発揮することとも合まって、より効率的
な蓄熱作用を営むことができる。
度は、蓄熱材の融解温度Tmと凝固開始温度Tscとの差ΔT
scによって示されるが、カリウム明ばんに前記割合の発
核剤を加えることにより、ΔTscの値を顕著に低下せし
めることができる。また、それに伴って、融解温度への
復帰時間も短くなり、熱サイクル試験で長期にわたって
安定した性能を発揮することとも合まって、より効率的
な蓄熱作用を営むことができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1 KAl(SO4)2・12H2O 10gにCs2CO3 0.4gを添加した混
合物を容量20mlのポリエチレン製容器に封入し、これを
100℃で加熱したところ、91℃で融解した。融解した試
料を1度/分の冷却速度で冷却したところ、80℃で凝固
を開始した。この凝固開始温度は、融解−凝固を20回く
り返しても、75〜80℃の範囲内であった。従って、この
発核剤を添加することで、融解温度と凝固開始温度との
差(ΔTsc)は、発核剤を添加しないときの116度から11
〜16度となり、過冷却を大幅に軽減することができた。
合物を容量20mlのポリエチレン製容器に封入し、これを
100℃で加熱したところ、91℃で融解した。融解した試
料を1度/分の冷却速度で冷却したところ、80℃で凝固
を開始した。この凝固開始温度は、融解−凝固を20回く
り返しても、75〜80℃の範囲内であった。従って、この
発核剤を添加することで、融解温度と凝固開始温度との
差(ΔTsc)は、発核剤を添加しないときの116度から11
〜16度となり、過冷却を大幅に軽減することができた。
なお、Cs2CO3を0.05〜20重量%の範囲内で添加したと
きのΔTscは、いずれも10〜18度であった。
きのΔTscは、いずれも10〜18度であった。
実施例2 KAl(SO4)2・12H2O 10gにCdCO3 0.2gを添加した混
合物を容量20mlのポリエチレン製容器に封入し、これを
100℃で加熱融解した後、この試料を一旦−30℃迄冷却
して固化させた。この固化を経験させた試料を用い、実
施例1と同様に凝固開始温度を測定したところ、59℃で
凝固を開始した。この凝固開始温度は、融解−凝固を20
回くり返しても、54〜76℃の範囲内であった。従って、
この発核剤を添加することで、融解温度と凝固開始温度
との差(ΔTsc)は、発核剤を添加しないときの116度か
ら15〜37度となり、過冷却を大幅に軽減することができ
た。
合物を容量20mlのポリエチレン製容器に封入し、これを
100℃で加熱融解した後、この試料を一旦−30℃迄冷却
して固化させた。この固化を経験させた試料を用い、実
施例1と同様に凝固開始温度を測定したところ、59℃で
凝固を開始した。この凝固開始温度は、融解−凝固を20
回くり返しても、54〜76℃の範囲内であった。従って、
この発核剤を添加することで、融解温度と凝固開始温度
との差(ΔTsc)は、発核剤を添加しないときの116度か
ら15〜37度となり、過冷却を大幅に軽減することができ
た。
なお、CdCO3を0.05〜20重量%の範囲内で添加したと
きのΔTscは、いずれも25〜40度であった。
きのΔTscは、いずれも25〜40度であった。
実施例3 実施例2において、CdCO3 0.2gの代りにCuCO3 0.1gを
用いると、そのときの凝固開始温度は55℃であり、融解
−凝固を20回くり返したときも、52〜57℃の範囲内であ
った。従って、この発核剤を添加することで、ΔTscは1
16度から34〜39度となり、過冷却を大幅に軽減すること
ができた。
用いると、そのときの凝固開始温度は55℃であり、融解
−凝固を20回くり返したときも、52〜57℃の範囲内であ
った。従って、この発核剤を添加することで、ΔTscは1
16度から34〜39度となり、過冷却を大幅に軽減すること
ができた。
なお、CuCO3を0.05〜20重量%の範囲内で添加したと
きのΔTscは、いずれも34〜42度であった。
きのΔTscは、いずれも34〜42度であった。
Claims (2)
- 【請求項1】カリウム明ばんに発核剤として炭酸セシウ
ムを添加してなる潜熱蓄熱材。 - 【請求項2】カリウム明ばんに発核剤として炭酸カドミ
ウムまたは炭酸銅を添加した後、一度固化を経験させて
なる潜熱蓄熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31940989A JP2800329B2 (ja) | 1989-12-08 | 1989-12-08 | 潜熱蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31940989A JP2800329B2 (ja) | 1989-12-08 | 1989-12-08 | 潜熱蓄熱材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03181590A JPH03181590A (ja) | 1991-08-07 |
JP2800329B2 true JP2800329B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=18109870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31940989A Expired - Fee Related JP2800329B2 (ja) | 1989-12-08 | 1989-12-08 | 潜熱蓄熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2800329B2 (ja) |
-
1989
- 1989-12-08 JP JP31940989A patent/JP2800329B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03181590A (ja) | 1991-08-07 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |