JP2805968B2 - 潜熱蓄熱材 - Google Patents
潜熱蓄熱材Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、潜熱蓄熱材に関する。更に詳しくは、擬固
時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクルに対し安
定した性能を発揮する潜熱蓄熱材に関する。
時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクルに対し安
定した性能を発揮する潜熱蓄熱材に関する。
潜熱蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられて
きたが、これらは蓄熱密度が小さいため(1cal/g・deg
以下)、実用に際してはかなり大きな蓄熱器を必要とす
る。また、放熱に伴って、蓄熱器内の温度は徐々に低下
するので、安定な熱エネルギーを得ることは、技術的に
かなり困難である。
きたが、これらは蓄熱密度が小さいため(1cal/g・deg
以下)、実用に際してはかなり大きな蓄熱器を必要とす
る。また、放熱に伴って、蓄熱器内の温度は徐々に低下
するので、安定な熱エネルギーを得ることは、技術的に
かなり困難である。
これに対し、近年物質の融解、擬固の際の潜熱を蓄熱
に応用する研究、開発が盛んになってきている。このよ
うな潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料の融解温度に一致し
た一定温度の熱エネルギーを、数10cal/gという高い蓄
熱密度で安定に吸収および放出できる点にある。
に応用する研究、開発が盛んになってきている。このよ
うな潜熱型の蓄熱材の特徴は、材料の融解温度に一致し
た一定温度の熱エネルギーを、数10cal/gという高い蓄
熱密度で安定に吸収および放出できる点にある。
かかる潜熱蓄熱材としては、パラフィンワックスや高
級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが注目されてい
る。
級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが注目されてい
る。
潜熱蓄熱材としての有機物は、融解、擬固時における
安定性は良好であるものの、材料自身の熱伝導が悪いた
め、熱の吸収および放出を行なう上で問題がある。ま
た、比重が小さいため、蓄熱器も比較的大きなものとな
ってくる。
安定性は良好であるものの、材料自身の熱伝導が悪いた
め、熱の吸収および放出を行なう上で問題がある。ま
た、比重が小さいため、蓄熱器も比較的大きなものとな
ってくる。
一方、無機水和物は、有機物蓄熱材と比較して熱伝導
率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と大きいため、
蓄熱器も小さくすることができる。しかるに、無機水和
物は、一般に擬固開始温度が融解温度よりも低くなると
いう、いわゆる過冷却現象を示す。かかる現象は、無機
水和物を蓄熱材として用いた場合、一定温度の熱エネル
ギーを安定して吸収および放出するという潜熱蓄熱材の
特徴を著しく損わせるものである。
率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と大きいため、
蓄熱器も小さくすることができる。しかるに、無機水和
物は、一般に擬固開始温度が融解温度よりも低くなると
いう、いわゆる過冷却現象を示す。かかる現象は、無機
水和物を蓄熱材として用いた場合、一定温度の熱エネル
ギーを安定して吸収および放出するという潜熱蓄熱材の
特徴を著しく損わせるものである。
リン酸水素2ナトリウム・12水和物Na2HPO4・12H2O
は、融解温度が36℃であり、潜熱量が54cal/g(示差走
査熱量計による)の潜熱蓄熱材であるが、この無機水和
物の場合にも過冷却現象がみられる。即ち、一旦融解さ
せたリン酸水素2ナトリウム・12水和物は、約20℃前後
の室温に放置しても固化しないのである。これは、リン
酸水素2ナトリウム・12水和物の擬固開始温度が約10℃
であり、結局約25℃近い温度差に相当する過冷却を生ず
るためである。従って、36℃における熱の吸収・放出が
全く円滑に行われないので、これ単独では潜熱蓄熱材と
して使用することができない。
は、融解温度が36℃であり、潜熱量が54cal/g(示差走
査熱量計による)の潜熱蓄熱材であるが、この無機水和
物の場合にも過冷却現象がみられる。即ち、一旦融解さ
せたリン酸水素2ナトリウム・12水和物は、約20℃前後
の室温に放置しても固化しないのである。これは、リン
酸水素2ナトリウム・12水和物の擬固開始温度が約10℃
であり、結局約25℃近い温度差に相当する過冷却を生ず
るためである。従って、36℃における熱の吸収・放出が
全く円滑に行われないので、これ単独では潜熱蓄熱材と
して使用することができない。
本発明は、リン酸水素2ナトリウム・12水和物の過冷
却の程度を軽減させた潜熱蓄熱材を提供することを目的
とする。
却の程度を軽減させた潜熱蓄熱材を提供することを目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕および〔作用〕 かかる目的を達成される本発明の潜熱蓄熱材は、リン
酸水素2ナトリウム・12水和物に発核材として硫酸カル
シウムおよび炭酸カルシウムを添加してなる。これらの
カルシウム塩は、いずれも無水物または水和物(CaCO3
・2H2O、CaSO4・2H2O、CaSO4・0.5H2Oなど)として用い
ることができ、その混合割合はCaSO4:CaCO3の重量比で
約95〜5:約5〜95である。
酸水素2ナトリウム・12水和物に発核材として硫酸カル
シウムおよび炭酸カルシウムを添加してなる。これらの
カルシウム塩は、いずれも無水物または水和物(CaCO3
・2H2O、CaSO4・2H2O、CaSO4・0.5H2Oなど)として用い
ることができ、その混合割合はCaSO4:CaCO3の重量比で
約95〜5:約5〜95である。
添加された2種の発核剤による過冷却軽減の程度は、
その添加合計量によっても異なるが、必要量以上に発核
剤を添加すると、リン酸水素2ナトリウム・12水和物本
来の潜熱量が著しくて低下し、蓄熱材としての機能が失
なわれるばかりでなく、材料の変質をも招くため、一般
にこれら両者はNa2HPO4・12H2Oに対して、約0.1〜20重
量%好ましくは約0.5〜10重量%の割合で用いられる。
その添加合計量によっても異なるが、必要量以上に発核
剤を添加すると、リン酸水素2ナトリウム・12水和物本
来の潜熱量が著しくて低下し、蓄熱材としての機能が失
なわれるばかりでなく、材料の変質をも招くため、一般
にこれら両者はNa2HPO4・12H2Oに対して、約0.1〜20重
量%好ましくは約0.5〜10重量%の割合で用いられる。
リン酸水素2ナトリウム・12水和物に硫酸カルシウム
および炭酸カルシウムを発核剤として添加することによ
り、過冷却度を著しく軽減することができる。また、そ
れに伴って、融解温度への復帰時間も短かくなり、それ
をくり返し加熱融解させた場合にも、その効果が失われ
ることがなく、長期にわたる使用においても安定した効
果が発揮される。
および炭酸カルシウムを発核剤として添加することによ
り、過冷却度を著しく軽減することができる。また、そ
れに伴って、融解温度への復帰時間も短かくなり、それ
をくり返し加熱融解させた場合にも、その効果が失われ
ることがなく、長期にわたる使用においても安定した効
果が発揮される。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1 Na2HPO4・12H2O 10gを容量20mlのガラス製容器にと
り、これにCaSO4・2H2O 0.12gとCaCO3 0.06gとを添加
し、密栓する。これを恒温槽内に入れ、60℃で加熱した
とこ36℃で融解した。次いで、これを毎分1℃の冷却速
度で冷却すると31℃で擬固が開始され、試料温度は36℃
に上昇して擬固が進行し、擬固が終了するとその温度は
低下した。
り、これにCaSO4・2H2O 0.12gとCaCO3 0.06gとを添加
し、密栓する。これを恒温槽内に入れ、60℃で加熱した
とこ36℃で融解した。次いで、これを毎分1℃の冷却速
度で冷却すると31℃で擬固が開始され、試料温度は36℃
に上昇して擬固が進行し、擬固が終了するとその温度は
低下した。
また発核剤を添加したものの擬固開始温度は、融解−
擬固を20回くり返しても±2℃の差の範囲内に収った。
従って、これら2種のカルシウム塩を発核剤として用い
ることで、融解温度(Tm)と擬固開始温度(Tm′)との
差(△Tsc)は発核剤を用いないときの26℃から約5℃
に迄その値を低下させることができた。
擬固を20回くり返しても±2℃の差の範囲内に収った。
従って、これら2種のカルシウム塩を発核剤として用い
ることで、融解温度(Tm)と擬固開始温度(Tm′)との
差(△Tsc)は発核剤を用いないときの26℃から約5℃
に迄その値を低下させることができた。
実施例2 実施例1において、発核剤としてCaSO4 0.20gおよびC
aCO3 0.20gを用いると、30℃で擬固が開始された。ま
た、この融解−擬固の20回くり返しても、擬固開始温度
は±2℃の差の範囲内に収まった。
aCO3 0.20gを用いると、30℃で擬固が開始された。ま
た、この融解−擬固の20回くり返しても、擬固開始温度
は±2℃の差の範囲内に収まった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/00 C09K 5/06
Claims (1)
- 【請求項1】リン酸水素2ナトリウム・12水和物に発核
剤として硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムを添加し
てなる潜熱蓄熱材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8782590A JP2805968B2 (ja) | 1990-04-02 | 1990-04-02 | 潜熱蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8782590A JP2805968B2 (ja) | 1990-04-02 | 1990-04-02 | 潜熱蓄熱材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH03285985A JPH03285985A (ja) | 1991-12-17 |
| JP2805968B2 true JP2805968B2 (ja) | 1998-09-30 |
Family
ID=13925731
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8782590A Expired - Fee Related JP2805968B2 (ja) | 1990-04-02 | 1990-04-02 | 潜熱蓄熱材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2805968B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103673704A (zh) * | 2012-09-25 | 2014-03-26 | 北京兆阳光热技术有限公司 | 一种储热-换热设备 |
-
1990
- 1990-04-02 JP JP8782590A patent/JP2805968B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH03285985A (ja) | 1991-12-17 |
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Legal Events
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|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |