JPH0450955B2 - - Google Patents
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- JPH0450955B2 JPH0450955B2 JP9956384A JP9956384A JPH0450955B2 JP H0450955 B2 JPH0450955 B2 JP H0450955B2 JP 9956384 A JP9956384 A JP 9956384A JP 9956384 A JP9956384 A JP 9956384A JP H0450955 B2 JPH0450955 B2 JP H0450955B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は、蓄熱材に関する。更に詳しくは、凝
固時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクル
に対し安定した性能を発揮する蓄熱材に関する。 〔従来の技術〕 蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられ
てきたが、これらは蓄熱密度が小さいため
(1cal/g・deg以下)、実用に際してはかなり大
きな蓄熱器を必要とする。また、放熱に伴つて、
畜熱器内の温度は徐々に低下するので、安定な熱
エネルギーを得ることは、技術的にかなり困難で
ある。 これに対して、近年物質の融解、凝固の際の潜
熱を蓄熱に応用する研究、開発が盛んになつてき
ている。このような潜熱型の蓄熱材の特徴は、材
料の融解温度に一致した一定温度の熱エネルギー
を、数10cal/gという高い蓄熱密度で安定に吸
収および放出できる点にある。 ところで、最近太陽熱利用技術や排熱回収技術
の進展に伴い、給湯用および暖房用の熱源として
50〜60℃といつた比較的低い温度での蓄熱が注目
されている。このような低い温度で蓄熱を行なう
際の潜熱型蓄熱材としては、パラフインワツクス
や高級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが注
目されている。 潜熱型蓄熱材としての有機物は、融解、凝固時
における安定性は良好であるものの、材料自身の
熱伝導が悪いため、熱の吸収および放出を行なう
上で問題がある。また、比重が小さいため、蓄熱
器も比較的大きなものとなつてくる。 一方、無機水和物は、有機物蓄熱材と比較して
熱伝導率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と
大きいため、蓄熱器も小さくすることができる。
しかるに、無機水和物は、一般に凝固開始温度が
融解温度より低くなるという、いわゆる過冷却現
象を示す。かかる現象は、無機水和物を畜熱材と
して用いた場合、一定温度の熱エネルギーを安定
して吸収および放出するという潜熱型蓄熱材の特
徴を著しく損わせるものである。 酢酸ナトリウム・3水和物CH3COONa・3H2
は、融解温度が58℃であり、潜熱量が51cal/g
(示差走査熱量計による)と高いため、給湯用や
暖房用、更には恒温としての空調用などの潜熱型
蓄熱材として非常に有望であるが、この無機水和
物の場合にも過冷却現象がみられる。 即ち、一旦融解させた酢酸ナトリウム・3水和
物は、約15℃前後の室温に放置しても固化しない
のである。これは、酢酸ナトリウム・3水和物の
凝固開始温度が約−21℃であり、結局約80℃近い
温度差に相当する過冷却を生ずるためである。従
つて、58℃における熱の吸収・放出が全く円滑に
行われないので、これ単独では蓄熱材として使用
することができない。 もっとも、融点58℃の酢酸ナトリウム・3水和
物を60℃に加熱して融解させた場合には、室温に
迄冷却すると固化することがある。その原因は明
らかではないが、本発明者の見解によれば、融点
近くで融解した酢酸ナトリウム・3水和物は見か
け上は融解しているものの、依然融液中にはそれ
の微細な結晶核(クラスター)が存在しており、
このクラスターは温度が高くなるに従つて不安定
となり、60℃以上ではこの状態で存在し得ず、こ
のため冷却されても発核せず、融液は過冷却状態
になるものと考えられる。 これに対し、酢酸ナトリウム・3水和物に発核
剤としてある種の物質を添加し、この発核剤を添
加した蓄熱材を固化処理すると、クラスターは比
較的高温でも安定に存在することができるように
なる。このため、蓄熱材が高温環境下におかれた
場合でも、融液中に安定に存在するクラスターに
より、冷却時には発核が再現され、結果的に過冷
却を軽減することができる。ここで、固化処理と
は、発核剤を添加した酢酸ナトリウム・3水和物
の融液を、それ単独でも固化する−20℃以下に冷
却して固化させたり、あるいはそこに酢酸ナトリ
ウムの3水和物または無水物の粉末を微量添加す
ることなどにより、一度固化を経験させる処理を
いう。 こうしたことから、前記クラスターを高温にお
いてもいかに安定に存在させ得るかというのが、
換言すればどの程度の高温環境下迄冷却時の発核
の再現性を維持し得るかというのが、発核剤の性
能を判断する一つの評価方法といえる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者は、酢酸ナトリウム・3水和物の過冷
却の程度を軽減させ得る発核剤を求めて種々検討
の結果、リン酸のナトリウム塩または炭酸ナトリ
ウムが非常に有効であることを先に見出した(特
願昭58−12458号および同58−26083号)。 そこで、本発明者は、これらの発核剤が非金属
系の酸素ナトリウム塩であることに注目し、周期
律表第6族B類の酸素ナトリウム塩について発核
剤としての性能試験を行つた結果、これらの中モ
リブデン酸ナトリウムが先に提案されたナトリウ
ム塩と同等以上の発核作用を示すことを新たに見
出した。 〔問題点を解決するための手段〕および〔作用〕 従つて、本発明は蓄熱材に係り、この蓄熱材
は、酢酸ナトリウム・3水和物に発核剤としてモ
リブデン酸ナトリウムNa2MoO4を添加してな
る。この発核剤は、無水物または2水和物の形で
用いられる。 過冷却軽減の程度は、用いられる発核剤の添加
割合によつても異なるが、あまり多くの発核剤を
添加しても期待される程の効果が得られないばか
りでなく、材料の変質をも招くため、一般に酢酸
ナトリウム・3水和物に対し0.01〜20重量%、好
ましくは0.05〜10重量%の割合で用いられる。 〔効果〕 本発明に係る蓄熱材は、モリブデン酸ナトリウ
ムの無水物または2水和物を発核剤として用い、
これを酢酸ナトリウム・3水和物に添加すること
により、蓄熱材の融解温度Tmと凝固開始温度
Tm′との差として示される△Tscの値を顕著に低
下せしめることができる。また、それに伴つて、
融解温度への復帰時間も短かくなり、熱サイクル
試験で長期にわたつて安定した性能を発揮するこ
ととも合まつて、より効率的な蓄熱作用を営むこ
とができる。 〔実施例〕 酢酸ナトリウム・3水和物に対し、それぞれ所
定割合のモリブデン酸ナトリウムを発核剤として
添加し、それらの△Tscの値を次の方法に従つて
測定した。 酢酸ナトリウム・3水和物10gを容量20mlのガ
ラス容器にとり、それに発核剤の所定量を添加
し、密栓する。これを恒温槽内に入れ、上限温度
80℃、下限温度20℃の範囲内で、まず昇温速度1
℃/分にて加温し、それが融解する温度(Tm)
以上に混合物の温度を高めた後、今度は降温速度
を1℃/分にて冷却し、ある温度(Tm′)迄過冷
却して固化するに至る熱サイクル試験をくり返し
て行ない、その際の温度変化を熱電対で測定し、
過冷却の程度△Tsc(Tm−Tm′)を調べた。得ら
れた結果は、次の表1に示される。
固時の過冷却の程度を軽減し、長期の熱サイクル
に対し安定した性能を発揮する蓄熱材に関する。 〔従来の技術〕 蓄熱材としては、従来から水や砕石が用いられ
てきたが、これらは蓄熱密度が小さいため
(1cal/g・deg以下)、実用に際してはかなり大
きな蓄熱器を必要とする。また、放熱に伴つて、
畜熱器内の温度は徐々に低下するので、安定な熱
エネルギーを得ることは、技術的にかなり困難で
ある。 これに対して、近年物質の融解、凝固の際の潜
熱を蓄熱に応用する研究、開発が盛んになつてき
ている。このような潜熱型の蓄熱材の特徴は、材
料の融解温度に一致した一定温度の熱エネルギー
を、数10cal/gという高い蓄熱密度で安定に吸
収および放出できる点にある。 ところで、最近太陽熱利用技術や排熱回収技術
の進展に伴い、給湯用および暖房用の熱源として
50〜60℃といつた比較的低い温度での蓄熱が注目
されている。このような低い温度で蓄熱を行なう
際の潜熱型蓄熱材としては、パラフインワツクス
や高級脂肪酸などの有機物や無機水和物などが注
目されている。 潜熱型蓄熱材としての有機物は、融解、凝固時
における安定性は良好であるものの、材料自身の
熱伝導が悪いため、熱の吸収および放出を行なう
上で問題がある。また、比重が小さいため、蓄熱
器も比較的大きなものとなつてくる。 一方、無機水和物は、有機物蓄熱材と比較して
熱伝導率は約2倍程よく、比重も1.5〜2.0程度と
大きいため、蓄熱器も小さくすることができる。
しかるに、無機水和物は、一般に凝固開始温度が
融解温度より低くなるという、いわゆる過冷却現
象を示す。かかる現象は、無機水和物を畜熱材と
して用いた場合、一定温度の熱エネルギーを安定
して吸収および放出するという潜熱型蓄熱材の特
徴を著しく損わせるものである。 酢酸ナトリウム・3水和物CH3COONa・3H2
は、融解温度が58℃であり、潜熱量が51cal/g
(示差走査熱量計による)と高いため、給湯用や
暖房用、更には恒温としての空調用などの潜熱型
蓄熱材として非常に有望であるが、この無機水和
物の場合にも過冷却現象がみられる。 即ち、一旦融解させた酢酸ナトリウム・3水和
物は、約15℃前後の室温に放置しても固化しない
のである。これは、酢酸ナトリウム・3水和物の
凝固開始温度が約−21℃であり、結局約80℃近い
温度差に相当する過冷却を生ずるためである。従
つて、58℃における熱の吸収・放出が全く円滑に
行われないので、これ単独では蓄熱材として使用
することができない。 もっとも、融点58℃の酢酸ナトリウム・3水和
物を60℃に加熱して融解させた場合には、室温に
迄冷却すると固化することがある。その原因は明
らかではないが、本発明者の見解によれば、融点
近くで融解した酢酸ナトリウム・3水和物は見か
け上は融解しているものの、依然融液中にはそれ
の微細な結晶核(クラスター)が存在しており、
このクラスターは温度が高くなるに従つて不安定
となり、60℃以上ではこの状態で存在し得ず、こ
のため冷却されても発核せず、融液は過冷却状態
になるものと考えられる。 これに対し、酢酸ナトリウム・3水和物に発核
剤としてある種の物質を添加し、この発核剤を添
加した蓄熱材を固化処理すると、クラスターは比
較的高温でも安定に存在することができるように
なる。このため、蓄熱材が高温環境下におかれた
場合でも、融液中に安定に存在するクラスターに
より、冷却時には発核が再現され、結果的に過冷
却を軽減することができる。ここで、固化処理と
は、発核剤を添加した酢酸ナトリウム・3水和物
の融液を、それ単独でも固化する−20℃以下に冷
却して固化させたり、あるいはそこに酢酸ナトリ
ウムの3水和物または無水物の粉末を微量添加す
ることなどにより、一度固化を経験させる処理を
いう。 こうしたことから、前記クラスターを高温にお
いてもいかに安定に存在させ得るかというのが、
換言すればどの程度の高温環境下迄冷却時の発核
の再現性を維持し得るかというのが、発核剤の性
能を判断する一つの評価方法といえる。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者は、酢酸ナトリウム・3水和物の過冷
却の程度を軽減させ得る発核剤を求めて種々検討
の結果、リン酸のナトリウム塩または炭酸ナトリ
ウムが非常に有効であることを先に見出した(特
願昭58−12458号および同58−26083号)。 そこで、本発明者は、これらの発核剤が非金属
系の酸素ナトリウム塩であることに注目し、周期
律表第6族B類の酸素ナトリウム塩について発核
剤としての性能試験を行つた結果、これらの中モ
リブデン酸ナトリウムが先に提案されたナトリウ
ム塩と同等以上の発核作用を示すことを新たに見
出した。 〔問題点を解決するための手段〕および〔作用〕 従つて、本発明は蓄熱材に係り、この蓄熱材
は、酢酸ナトリウム・3水和物に発核剤としてモ
リブデン酸ナトリウムNa2MoO4を添加してな
る。この発核剤は、無水物または2水和物の形で
用いられる。 過冷却軽減の程度は、用いられる発核剤の添加
割合によつても異なるが、あまり多くの発核剤を
添加しても期待される程の効果が得られないばか
りでなく、材料の変質をも招くため、一般に酢酸
ナトリウム・3水和物に対し0.01〜20重量%、好
ましくは0.05〜10重量%の割合で用いられる。 〔効果〕 本発明に係る蓄熱材は、モリブデン酸ナトリウ
ムの無水物または2水和物を発核剤として用い、
これを酢酸ナトリウム・3水和物に添加すること
により、蓄熱材の融解温度Tmと凝固開始温度
Tm′との差として示される△Tscの値を顕著に低
下せしめることができる。また、それに伴つて、
融解温度への復帰時間も短かくなり、熱サイクル
試験で長期にわたつて安定した性能を発揮するこ
ととも合まつて、より効率的な蓄熱作用を営むこ
とができる。 〔実施例〕 酢酸ナトリウム・3水和物に対し、それぞれ所
定割合のモリブデン酸ナトリウムを発核剤として
添加し、それらの△Tscの値を次の方法に従つて
測定した。 酢酸ナトリウム・3水和物10gを容量20mlのガ
ラス容器にとり、それに発核剤の所定量を添加
し、密栓する。これを恒温槽内に入れ、上限温度
80℃、下限温度20℃の範囲内で、まず昇温速度1
℃/分にて加温し、それが融解する温度(Tm)
以上に混合物の温度を高めた後、今度は降温速度
を1℃/分にて冷却し、ある温度(Tm′)迄過冷
却して固化するに至る熱サイクル試験をくり返し
て行ない、その際の温度変化を熱電対で測定し、
過冷却の程度△Tsc(Tm−Tm′)を調べた。得ら
れた結果は、次の表1に示される。
実施例において、発核剤としてやはり周期律表
第6族B類に属するクロムの酸素酸ナトリウム塩
が用いられ、ただし恒温槽の下限温度は−30℃に
設定された。20サイクル目の過冷却の程度は、次
の表3に示される。
第6族B類に属するクロムの酸素酸ナトリウム塩
が用いられ、ただし恒温槽の下限温度は−30℃に
設定された。20サイクル目の過冷却の程度は、次
の表3に示される。
【表】
以上の結果は、クロムの酸素酸ナトリウム塩は
過冷却の改善効果を何ら有していないことを示し
ている。
過冷却の改善効果を何ら有していないことを示し
ている。
第1図は、実施例のNo.5の場合における熱サイ
クル試験(20回目)の経時的な温度変化を示すグ
ラフである。
クル試験(20回目)の経時的な温度変化を示すグ
ラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 酢酸ナトリウム・3水和物に発核剤としてモ
リブデン酸ナトリウムを添加してなる蓄熱材。 2 酢酸ナトリウム・3水和物に対し、0.01〜20
重量%の割合の発核剤が添加された特許請求の範
囲第1項記載の蓄熱材。 3 発核剤が無水物である特許請求の範囲第1項
または第2項記載の蓄熱材。 4 発核剤が2水和物である特許請求の範囲第1
項または第2項記載の蓄熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9956384A JPS60243189A (ja) | 1984-05-17 | 1984-05-17 | 蓄熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9956384A JPS60243189A (ja) | 1984-05-17 | 1984-05-17 | 蓄熱材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60243189A JPS60243189A (ja) | 1985-12-03 |
JPH0450955B2 true JPH0450955B2 (ja) | 1992-08-17 |
Family
ID=14250606
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9956384A Granted JPS60243189A (ja) | 1984-05-17 | 1984-05-17 | 蓄熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60243189A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60260677A (ja) * | 1984-06-06 | 1985-12-23 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 蓄熱材 |
JPS60260676A (ja) * | 1984-06-06 | 1985-12-23 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 蓄熱材 |
CN102134473A (zh) * | 2011-01-18 | 2011-07-27 | 益田润石(北京)化工有限公司 | 一种六水氯化钙相变蓄能材料组合物 |
CN105038713A (zh) * | 2015-07-14 | 2015-11-11 | 贵州华益能环保科技有限公司 | 一种三水合氯化钙相变储能材料的制备方法 |
JP6733615B2 (ja) * | 2017-06-29 | 2020-08-05 | パナソニック株式会社 | 蓄熱装置 |
-
1984
- 1984-05-17 JP JP9956384A patent/JPS60243189A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60243189A (ja) | 1985-12-03 |
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