JPH0348125Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、製網機用ボビン（文銭）に糸を巻き
取るための巻取装置に関する。

＜従来の技術＞ 製網機におけるシヤツトル内には文銭と呼ばれ
るボビンが収容され、製網される網のよこ糸がこ
のボビンから引き出される。

このボビンに糸を巻く巻取装置は、従来、モー
タにより回転駆動されるターンテーブルが垂直の
スピンドル上に水平に軸着され、ターンテーブル
上に薄いプーリ状のボビンを嵌め込み、チーズか
ら繰り出される糸をボビンに導き、ターンテーブ
ルによりボビンを回転駆動して糸を巻き取るよう
に構成される。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、従来の巻取装置でこの種のボビ
ンに糸を巻き取つた場合、チーズから給糸される
糸のテンシヨンにばらつきが生じたりテンシヨン
が大きくなると、ボビンが通常薄い金属板により
平坦に形成されているため、糸が巻装される力に
よりボビンが脹らみ、ボビンの厚さが制規の状態
より厚くなる問題があつた。

このため、大幅に厚くなつたボビンは、厚さが
正確に規制されるシヤトル内に収容できなくなつ
たり、シヤツトル内でボビンがきつく嵌合し、ボ
ビンがシヤツトル内で自由に回転できなくなる問
題があつた。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記の問題点を解決するためになさ
れたもので、ボビンを脹らませずに糸を巻き取る
ことができ、ボビンの膨らみによる弊害をなくす
ることができる製網機用ボビンの巻取装置を提供
するものであり、以下のように構成される。

すなわち、本考案の巻取装置は、ターンテーブ
ル上にボビンを嵌め込み、ターンテーブルを回転
させてボビンに糸を巻き取る巻取装置において、
ターンテーブルに隣接して縦方向に回動可能に軸
支され上部に軸受部を設けた回動ブラケツトと、
この回動ブラケツトの軸受部に軸を介して回転自
在に支持された前記ターンテーブルと略同形の押
え蓋とを有し、この押え蓋によつて回転するター
ンテーブル上のボビンを上から押えるように構成
される。

したがつて、ターンテーブル上にボビンを嵌め
込み、ボビンを押え蓋により押えながらターンテ
ーブルを回転させてボビンに糸を巻き取るため、
糸がテンシヨンにばらつきが生じたりテンシヨン
が増大した場合でも、ボビンが脹らむことはな
く、巻装されたボビンの厚さを規格通りにするこ
とができる。

＜実施例＞ 以下、本考案の実施例を図例に基づいて説明す
る。

第１図は製網機用ボビンの巻取装置の右側面図
を示し、基台１上には円形のターンテーブル台２
が設けられる。ターンテーブル台２の中央には基
台１内からスピンドル３が貫通して突設され、ス
ピンドル３の上部にターンテーブル４が嵌着され
る。スピンドル３は基台１内で回転自在に支持さ
れ、プーリ、ベルト等を介して図示しないモータ
に連係され、回転駆動される。第２図に示すよう
に、ボビン（文銭）５の中央には大径孔が穿設さ
れ、大径孔の周囲に４個の小孔が穿設され、一
方、ターンテーブル４上にスピンドル３の先端が
突出すると共にピンが所定の位置に突設されるた
め、ターンテーブル４上にボビン５は正しく嵌め
込まれる。

基台１上におけるターンテーブル台２の少し後
にＬ字形の回動ブラケツト６が水平方向の軸６ａ
を支点に上下方向に回動可能に支持され、回動ブ
ラケツト６の上部に軸受部７が固定される。８は
ボビン５、ターンテーブル４とほぼ同じ径の円盤
状の押え蓋で、回動ブラケツト上部の軸受部７に
回転自在に嵌装支持された軸に押え蓋８は固定さ
れる。押え蓋８の内側には、押え蓋とボビン５間
の摩擦抵抗を増すとともに緩衝のためにゴムシー
ト８ａが取着されている。さらに、第４図に示す
ように回動ブラケツト６の軸６ａの左端部にはス
プロケツト９と開閉レバー１０が軸着される。ス
プロケツト９にはチエーン１１がその先端を連結
して巻き掛けられ、チエーン１１の末端は基台１
内に設けたコイルばね１２に掛止され、チエーン
１１はコイルばね１２の付勢力によりスプロケツ
ト９を第４図反時計方向に回動させるため、フリ
ーな状態で押え蓋８は開放している。そして、開
閉レバー１０を持つて押し下げることにより押え
蓋８はターンテーブル４上のボビン５を押えるよ
うに閉じられるが、開閉レバー１０の一部に鉤部
１０ａが取付けられ、基台１上の対応位置に鉤部
１０ａと係合する係止フツク１３が傾動可能に取
付けられ、押え蓋８は鉤部１０ａと係止フツク１
３の係合により閉鎖位置でロツクされる。係止フ
ツク１３は第３図に示すように基台１内において
コイルばね１４により係止方向に付勢されると共
に、ソレノイド１５が係止を外す方向に係止フツ
ク１３を引くように連結される。

さらに、基台１上にはスタンド１６が立設さ
れ、スタンド１６の最上部にチーズ２０を回転可
能に軸支するチーズ支持部１７が設けられ、チー
ズ支持部１７の下に測長用プーリ１８が回転可能
に取付けられる。測長用プーリ１８には金属の突
出部が設けられ、その突出部に対向して近接スイ
ツチが取付けられ、測長用プーリ１８の回転数を
電気的に検出し、巻き取られる糸の長さを測定す
る。１９は測長用プーリ１８の下方のスタンドに
上下揺動自在に取付けられたスイングアームで、
スイングアーム１９の先端にはプーリ２１が軸支
される。このプーリ２１は糸のテンシヨンが増大
するほど上昇し、テンシヨンが減少するほど下降
するため、チーズ支持部１７に設けた図示しない
ブレーキ機構をスイングアーム１９の揺動に応じ
て作動し、チーズ２０からの糸の引き出し力を調
整して糸のテンシヨンを一定の状態に調整する。
さらに、基台１上にはトラバースレバー２２が２
個のプーリ２３を軸支して回動自在に配設され、
このプーリ２３は糸をボビン５１の巻位置にガイ
ドすると共に、トラバースレバー２２が図示しな
いカムによつて上下運動することにより、糸振り
を行なう。

次に、上記のように構成された巻取装置の動作
を説明する。

先ず、チーズ２０から引き出された糸は、スイ
ングアーム先端のプーリ２１に巻掛けられた後、
測長プーリ１８に巻掛けられて下方に進み、さら
にトラバースレバー２２上の２つのプーリ２３に
掛けられた後、ターンテーブル４上に嵌め込まれ
た空のボビン５内に糸の先端が挟み込まれてセツ
トされる。

そして、開閉レバー１０を押し下げて押え蓋８
をターンテーブル４上に閉じる。この時、第３図
に示すように、開閉レバー１０の鉤部１０ａが係
止フツク１３に係止され、押え蓋８はターンテー
ブル上のボビンを適度な押圧力で押えるように閉
じれられる。

この状態で、モータが起動され、スピンドル
３、ターンテーブル４の回転によりボビン５が回
転駆動され、チーズ２０から繰り出される糸は、
スイングアーム１９のプーリ２１、測定プーリ１
８、及びトラバースレバー２２上のプーリ２３を
通つてボビン５に導かれ、巻き取られていく。こ
の際、ボビン５は押え蓋８により押えつけられな
がら糸を巻き取るため、糸のテンシヨンがばらつ
いたり増大することがあつても、ボビン５は脹ら
まず、ボビンの厚さは規格通りに保持される。

そして、糸の巻取量が予め設定した値、或は満
巻状態になると、図示しない制御回路から停止信
号がモータの制御回路に出力され、モータが停止
すると共にソレノイド１５に通電がなされる。こ
れにより、ターンテーブル４及びその上のボビン
５、押え蓋８が回転を停止し、押え蓋８は、開閉
レバー１０の鉤部１０ａの係止が外されコイルば
ね１２によりチエーン１１、スプロケツト９を介
して回転ブラケツト６が上方へ回動することによ
つて自動的に開放される。

＜考案の効果＞ 以上説明したように、本考案の製網機用ボビン
の巻取装置によれば、ターンテーブル上のボビン
をその上から回転自在な押え蓋により押えながら
ターンテーブルを回転駆動してボビンに糸を巻取
るため、糸のテンシヨンを一時的に増大したりし
てテンシヨンにばらつきが生じた場合でも、ボビ
ンが糸の巻きくずれなどにより脹らむことはな
く、不慣れな作業者でも、ボビンの厚さを規格通
りに保ちながら糸を巻き上げることができる。し
たがつて、このような巻取装置で巻いたボビンは
シヤツトル（船形）に正しく挿入して使用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は、巻取装
置の右側面図、第２図は同要部の斜視図、第３図
は押え蓋閉鎖時の左側面図、第４図は押え蓋開放
時に左側面図である。 ４……ターンテーブル、５……ボビン、６……
回動ブラケツト、７……軸受部、８……押え蓋。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ターンテーブル上にボビンを嵌め込み、該ター
   ンテーブルを回転駆動してボビンに糸を巻き取る
   巻取装置において、 該ターンテーブルに隣接して縦方向に回動可能
   に軸支され上部に軸受部を設けた回動ブラケツト
   と、該回動ブラケツト上部の軸受部に軸を介して
   回転自在に軸支された前記ターンテーブルと略同
   形の押え蓋とを有し、該押え蓋によつて回転する
   ターンテーブル上のボビンを押えるように構成し
   た製網機用ボビンの巻取装置。