JPH0347625Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、油圧昇降式の介助浴槽における担
架自動リクライニング装置に関するものである。

［従来の技術］ 病人、老人などの身体障害者を入浴させるため
に、入浴者を担架に乗せ、担架ごと浴槽に入れて
入浴させる昇降式の介助浴槽が使用される。この
場合、浴槽外で入浴者の洗浄や清拭を行うときは
担架を平らにしたまま行い、入浴者を浴槽に入れ
るときには担架の背部を起こしてリクライニング
状態にして、入浴者の口、鼻、耳などに水が入ら
ないようにして入浴させる方法が一般に行われて
来た。

第２図は従来の介助浴槽における担架リクライ
ニング装置を示す要部側面図で、第２図ａは手動
式、第２図ｂ、第２図ｃは自動式のものを示して
いる。図において、１は浴槽、２は担架、３は担
架リクライニング部、１ａはローラ部材、３ａは
支持部材で、第２図ａに示すものは、担架リクラ
イニング部３を介助者が起こして支持部材３ａの
一端を担架２の一端に設けた係止部２ａに係合さ
せてリクライニング状態にするものであり、第２
図ｂに示すものは、浴槽１を上昇させると浴槽１
に設けたローラ部材１ａが担架リクライニング部
３を押し上げてリクライニング状態になり、浴槽
１を下降させると担架２は元の状態に戻るもので
あり、第２図ｃに示すものは、担架リクライニン
グ部３の長さが長くしてあつて、浴槽１を上昇さ
せると浴槽１の上縁部が担架リクライニング部３
を押し上げてリクライニング状態にし、浴槽１を
下降させると元の状態に戻るものである。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記のような従来の介助浴槽の担架リクライニ
ング装置は以上のように構成されているので、第
２図ａに示す手動式のものにおいては、介助者の
労力を必要とし、特に女性の介助者の場合、多人
数の入浴を行つた場合の疲労が大きいという問題
点があつた。また、第２図ｂ及びｃに示す自動式
においては、浴槽が傷ついたり、浴槽にローラ部
材を設けたものでは浴槽の清掃の際邪魔になり、
特に浴槽が繊維強化プラスチツクなどで構成され
ている場合は、強度が不十分で浴槽の破損を招く
ことがあるなどの問題点があつた。

この考案は、かかる問題点を解決するためにな
されたもので、介助者の労力を軽減し、浴槽に無
理な力がかかることなく浴槽の清掃がし易い、介
助浴槽の担架自動リクライニング装置を得ること
を目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この考案に係る介助浴槽の担架自動リクライニ
ング装置は、油圧シリンダとパンタグラフを使用
した油圧昇降式の介助浴槽の担架支持台に第２の
小油圧シリンダを設け、浴槽昇降用にパンタグラ
フと連動する駆動油圧シリンダの吐出油を上記小
油圧シリンダに導き、この小油圧シリンダのロツ
ドの伸縮によりこのロツドと当接して回転する回
転レバーにより、浴槽が上昇した時には、回転レ
バーを介して担架の担架リクライニング部を押し
上げてリクライニング状態にし、浴槽が下降した
時には、担架リクライニング部のリクライニング
部状態が解消されるように構成したものである。

［作用］ この考案の介助浴槽の担架自動リクライニング
装置においては、油圧昇降式の介助浴槽を上昇さ
せるため油圧ユニツトを作動させると、パンタグ
ラフを駆動する油圧シリンダが伸長し、パンタグ
ラフの連結軸も上昇する。

パンタグラフの連結軸に駆動油圧シリンダを取
付け、この駆動油圧シリンダのロツド側の吐出油
をリクライニング用の小油圧シリンダに導くよう
にしておくと、浴槽の上昇と同時に小油圧シリン
ダのロツドは伸長して担架の下面に設けられた回
転レバーが押されて回転し、担架の担架リクライ
ニング部を押し上げて担架をリクライニング状態
にし、浴槽を下降させると、パンタグラフの連結
軸も下降し、駆動油圧シリンダが縮み小油圧シリ
ンダの油が駆動油圧シリンダのロツド側に吸い込
まれて縮み、担架の下面に設けられた回転レバー
が担架リクライニング部に押されて回転し、担架
の担架リクライニング部を水平に戻す。

［実施例］ 第１図はこの考案の一実施例である介助浴槽の
担架自動リクライニング装置を示す一部破断側面
図で、第１図ａは浴槽１が上昇して担架２がリク
ライニング状態になつた場合、第１図ｂは浴槽１
が下降して担架２が平らになつた状態を示す一部
破断側面図で、各符号１〜３は第２図に示す従来
装置と同一、又は相当部分を示している。図にお
いて、４は担架支持台、５は浴槽１の昇降用の油
圧シリンダ、６は担架支持台４に設けた小油圧シ
リンダ、７は電磁弁、電動モータ、油圧ポンプ、
油タンクなどからなる油圧ユニツト、８は浴槽１
を昇降させるためのパンタグラフ、９はパンタグ
ラフ８の連結軸１１と下部フレーム１０との間に
取付けられ、パンタグラフ８の伸縮に応じて伸縮
する駆動油圧シリンダである。浴槽１はパンタグ
ラフ８によつて支持されていて、このパンタグラ
フ８は油圧ユニツト７から供給される圧油によつ
て伸長する油圧シリンダ５によつて伸長し浴槽１
を上昇させる。駆動油圧シリンダ９はパンタグラ
フ８が伸長すると伸長し、そのロツド側の圧油が
リクライニング用の小油圧シリンダ６に導かれ、
この小油圧シリンダ６のロツドを伸長させ、担架
２の下面に設けられた回転レバー１２を回転し、
担架リクライニング部３を押し上げてリクライニ
ング状態にするよう構成されている。

次に、第１図に示すこの考案の一実施例である
介助浴槽の担架自動リクライニング装置の動作に
ついて説明する。

浴槽１の上昇スイツチ（図示省略）を押すと油
圧ユニツト７が作動し、油圧シリンダ５へ圧油を
吐出し、油圧シリンダ５が伸長するからパンタグ
ラフ８も伸長して浴槽１が上昇する。従つて、担
架２は浴槽１の中へ沈んで行くことになる。浴槽
１が最下位にある状態（第１図ｂに示す状態）で
の小油圧シリンダ６のロツドの先端と回転レバー
１２の先端のローラとのすきまａを適当に設定す
ることにより、担架リクライニング部３を押し上
げるタイミングを遅らせ、患者の身体が湯に接し
てからリクライニングを開始させるようにするこ
とが可能である。小油圧シリンダ６の伸長側のス
トロークエンドで担架リクライニング部３が適当
なリクライニング状態になるようにし、かつ小油
圧シリンダ６と駆動油圧シリンダ９の各ロツド側
の受圧面積の比を適当に選定すれば、浴槽１が上
昇するのにつれて患者が湯中につかつて行く時
に、口や耳に湯が入らないように担架リクライニ
ング部３を自動的に起こして行くことができる。

なお、本考案では駆動油圧シリンダ９を下部フ
レーム１０とパンタグラフ８の連結軸１１との間
に取付けているが、浴槽１の昇降に連動して間隔
の変化する、例えば昇降フレーム１３と下部フレ
ーム１０との間に取付けても、上記小油圧シリン
ダ６と駆動油圧シリンダ９の各受圧面積を適当に
選定すれば構成できる。

また、浴槽１の昇降方式も油圧式ではなくて、
例えば電動モータとチエーン巻上方式や水圧シリ
ンダ式でも同様に実現できることはもちろんであ
る。

［考案の効果］ この考案は以上説明したとおり、介助浴槽の担
架自動リクライニング装置において、担架支持台
に小油圧シリンダを設け、この小油圧シリンダを
駆動する駆動油圧シリンダをパンタグラフの連結
軸に取付け、小油圧シリンダと担架の下面に設け
られた回転レバーを介して浴槽の昇降に合わせて
自動的に担架リクライニング部が起倒する構成と
したので、介助者の労力を大幅に軽減することが
でき、浴槽本体には担架が接触することもないの
で浴槽の強度を特に強化する必要がなく、繊維強
化プラスチツクのような安価で成型し易い材料を
用いることができる。また、浴槽内に何も取り付
ける必要がないので美感を損ねることもなく、清
掃し易く汚れがつきにくい。さらに、既に構成さ
れているパンタグラフの動きを利用するので、安
価、かつ簡単に構成できるという優れた効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例である介助浴槽の
担架自動リクライニング装置を示す一部破断側面
図、第２図は従来の介助浴槽における担架リクラ
イニング装置を示す要部側面図である。 図において、１……浴槽、１ａ……ローラ部
材、２……担架、２ａ……係止部、３……担架リ
クライニング部、３ａ……支持部材、４……担架
支持台、５……油圧シリンダ、６……小油圧シリ
ンダ、７……油圧ユニツト、８……パンタグラ
フ、９……駆動油圧シリンダ、１０……下部フレ
ーム、１１……連結軸、１２……回転レバー、１
３……昇降フレームである。なお、各図中、同一
符号は同一、又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 浴槽の底面下部に設けられたパンタグラフによ
   り昇降する浴槽と、この浴槽の底面を貫通し下部
   フレームに固定された担架支持台と、担架とより
   なる油圧昇降式の介助浴槽において、上記担架支
   持台に第２の小油圧シリンダを設け、上記パンタ
   グラフの連結軸と上記下部フレームとの間に駆動
   油圧シリンダを取付け、この駆動油圧シリンダと
   上記小油圧シリンダを油圧配管で連結し、上記担
   架の下面には上記小油圧シリンダのロツドの伸縮
   によりこのロツドと当接して回転する回転レバー
   を設け、浴槽の昇降に連動する上記駆動油圧シリ
   ンダの吐出油を上記小油圧シリンダに導き、上記
   回転レバーの回転により、浴槽が上昇した時に
   は、上記回転レバーを介して上記担架の担架リク
   ライニング部を押し上げてリクライニング状態に
   し、浴槽が下降した時には、上記担架リクライニ
   ング部のリクライニング状態が解消されるように
   構成したことを特徴とする介助浴槽の担架自動リ
   クライニング装置。