JPH0344986Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案はライン状ガスバーナを備えるガス燃焼
装置の保炎板に関する。

［従来の技術］ 従来のライン状ガスバーナ用保炎板の形状とバ
ーナへの組付け状況を、バーナの側面図としての
第７図及び保炎板の上面図としての第８図に示し
た。１０１はライン状ガスバーナであり、保炎板
１０２にはバーナの頭部１１１を保炎板を貫いて
上方に突出させるためのバーナ挿通穴１２１と、
スリツト状の２次空気吹出穴１２２とが交互に並
列状に設けられている。

このライン状ガスバーナの点火方法は、最外側
端に位置する一つのバーナ１０１の頭部１１１に
接して設けた点火器１１０によつて先ずこのバー
ナに着火させると、着火焔は隣接するバーナの頭
部から吹き出した後着火バーナに向けて２次空気
吹出穴１２２を乗り越えて拡散して来る生ガスに
点火させる。この様な着火焔伝播現象が連鎖反応
的に相継いで起こることによつてすべてのバーナ
に点火される様になつていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記の如くして並列するバーナ１０１群の一端
部に位置する一つのバーナに点火器１１０によつ
て点火された着火焔は、吹出穴１２２から吹き上
げる２次空気流の膜を突き破る様にして隣接バー
ナから拡散して来た生ガスに点火させることにな
るので、隣接バーナ１０１への着火焔の伝播がと
かくスムーズに行われ難かつたり、場合によつて
は途中で火焔伝播がとだえる恐れもあつた。

本考案は点火をスムーズ且つ確実に行えると共
に、燃焼焔群の頂面を極力平坦化させる事のでき
るライン状ガスバーナを備えたガス燃焼装置を提
供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために本考案は、多数の
バーナと、該多数のバーナを、一定間隔をへだて
て配列し固定させる手段と、前記多数のバーナの
うちの１または２以上の特定のバーナへの着火用
点火器と、前記多数のバーナの各頭部の挿通用穴
と、相隣る前記挿通用穴間の中間部に設けられた
２次空気吹出穴とを交互に並列状に形成するとと
もに、均一的な２次空気の圧力分布を呈する保炎
板とを備えるガス燃焼装置において、前記２次空
気吹出穴には、その長手方向の任意の位置に吹出
穴の封鎖個所を設けると共に、該封鎖個所の近傍
において吹出穴が拡張されている構成を採用し
た。

［作用および考案の効果］ 上記の如き構成を備えたガス燃焼装置、バーナ
群のうちの一つのバーナに着火させるための点火
器を作動させると、先ずこのバーナの炎口全体に
着火焔が広まる。着火焔は、２次空気吹出穴から
吹き出される強い空気流が存在しない吹出穴封鎖
個所をたやすくくぐり抜けて隣接するバーナから
拡散して来た吹出し生ガスに迅速確実に着火させ
る。この様な火焔伝播現象が次々に隣接バーナに
移行することによつて、バーナ群全体への着火焔
の伝播が極めてスムーズ且つ確実に行われ、ガス
燃焼装置の点火操作時の安全性が確保される。

２次空気吹出穴の封鎖個所近傍においては２次
空気の供給量が不足がちになるが、この近辺で吹
出穴を拡張させることによつて吹出空気量が増大
し、空気不足によるバーナ焔の局部的な異常伸長
現象の発生を防ぐことができる。

保炎板の２次空気吹出穴を部分的に封鎖するた
めには、単に保炎板の打抜き用プレス型に若干の
形状変更を施せば足りるので、在来の生産設備に
極くわずかの変更を施すだけで上記の如き重要な
効果が得られる。

［実施例］ 以下に付図に示す実施例に基づいて本考案装置
を具体的に説明する。

第１図〜第４図は外形をコンパクトにまとめた
点に特長のある高性能湯沸器としての一実施例を
示した図である。

第１図及び第２図において、ライン状ガスバー
ナを構成する複数個のバーナ１は、並列させる様
にして一定間隔を保つて配置され、バーナ固定手
段としてのバーナ底板３と保炎板２との間で把持
固定されている。

バーナ１は左右対称形状にプレス加工された１
枚の金属板をバーナの頭部１１を形成させる様に
しながら対称中心線に沿つて２つに折り重ねたう
え、溶接、カシメ、あるいはビス止めなどの方法
によつて貼り合わせる事によつて形作られてお
り、その頂面には多数条の炎口ｂの並列からなる
細長いバーナの頭部１１が、また底部には燃料ガ
ス及び一次空気の導入部１３が形成されている。
１４はこのガス及び一次空気の導入部１３とバー
ナの頭部１１とを連らねるガス導入路である。ガ
ス導入路１４の両側にはバーナ１を上記の如くし
て整列状態をもつて組立てるためのヒレ状の組立
部材１５が付属しており、その底辺両側端には組
立用突起１６が形成されている。

矩形金属板からなる保炎板２には、バーナ１の
各頭部の挿通用穴２１とスリツト状をなす２次空
気吹出穴２２とが交互に一定間隔を保たせて穿た
れている。

２次空気吹出穴２２は付図に示されている様に
その長さはバーナの頭部１１の長さにほぼ等し
く、長手方向の中央部分は、保炎板２を打ち抜き
加工する際に抜き残し部分を設けることによつて
形成させたブリツジ部ａによつて封鎖乃至は中断
状態に置かれている。

そして２次空気吹出穴２２を、その封鎖個所と
してのブリツジ部ａの近傍において拡張させるこ
とによつて空気吹出量が他の部分より相対的に増
加する様に、全体として極く巾の狭い菱形形状が
与えられている。

バーナ底板３は金属製の浅い箱を反転させた如
き形状を備えており、その長手方向中央部にはバ
ーナ１のガス及び一次空気導入部１３を嵌合させ
るためのバーナ固定用穴３１群を設けると共に、
２次空気の吹込用穴３３群が一面に穿たれてい
る。３２はバーナ固定用穴３１の口縁部に形成さ
せたバーナ把持用のフランジ状立ち上がり部であ
る。なお２次空気吹込用穴３３は通過空気量を増
大させられる様に充分に広い開口面積が与えられ
ている。

保炎板２の長手方向の２辺には下向きに伸びる
側壁板２ａが折り曲げ加工により一体形成されて
おり、この両側壁板２ａの底辺部にはバーナ１に
形成させてある組立用突起１６を嵌着させるため
の組付孔２４が設けてある。バーナ１を保炎板２
とバーナ底板３との間で保持したうえ、側壁板２
ａの底辺部をビス１７によつてバーナ底板３の外
周縁に固定させることによつて、ライン状ガスバ
ーナが第１図に示された状態に組立てられる。４
は並列状に配置されているバーナ１のうち、一端
側に位置する一つのバーナに着火させるための圧
電式点火器であり、５はこの一端側バーナの着火
焔が他端側のバーナにまで伝播し終つたことを確
認するための火焔センサとしてのフレームロツド
である。

第３図と第４図は上記実施例のライン状ガスバ
ーナを組込んだ高性能湯沸器の縦断面図とそのイ
−イ断面図であつて、バーナ底板３は２次空気吹
込用穴３３の形状などにおいて幾分異なつたタイ
プのものが描かれている。６は燃焼用空気の吹込
み用ブロワ、７は湯沸し用熱交換器、８は燃焼用
ダクト、９は排気グリル、１０は湯沸器のケーシ
ングである。

次に上記実施例装置の特長部分をなす点火時の
作動について、主として第１図を参照しながら説
明する。

装置の操作パネル面に設けてある点火用ツマミ
（図示略）によつて点火器４を作動させると、先
ずこの点火器４に近接して位置する図中の最も手
前のバーナの頭部１１の全面にほとんど瞬時にし
て火焔が伝播される。そしてこの着火焔は、２次
空気吹出穴２２から生ずる強い上向き気流として
のエアカーテンを押しのけて隣接する第２のバー
ナの頭部１１から吹き出されて拡散して来る生ガ
スを点火させて伝播される事になるが、第８図に
描かれている従来装置であれば、２次空気吹出穴
１２２は一端側から他端側に向けて連続的に連な
つた、そして極く狭い一様の巾をもつたスリツト
であるので、エアカーテン効果も強く作用し、着
火焔の伝播は必ずしもスムーズにそして迅速には
行われ難い傾向があつた。

しかし、本考案装置の２次空気吹出穴２２に
は、一部分に、この実施例では吹出穴の長手方向
中央部に、吹出穴を封鎖する様にしてブリツジ部
ａが設けてあるので、このブリツジ部分において
はエアカーテンは存在せず、したがつて最手前バ
ーナ１に生じた着火焔の隣接バーナの頭部１１へ
の飛び火が迅速且つ確実に行われる。この様にし
て第２のバーナの頭部１１に伝えられた着火焔
は、同様にして次の２次空気吹出穴のブリツジ部
ａの存在効果によつて第３のバーナの頭部１１に
確実にそして速やかに伝播される。かくして点火
器４に発生した着火焔は図中の最手前のバーナ１
から最奥部のバーナ１に向けて幾層にも重畳する
２次空気のエアカーテン群の切れ目をかけ抜ける
様にして急速に伝播する。

また、２次空気吹出穴２２のブリツジ部ａが設
けてある中央部は両端部分に較べて拡巾させてあ
るので、バーナ１は長手方向の中央部分において
両端部分よりも多量の２次空気が供給されること
となつて、バーナの頭部１１の中央部分における
ブリツジ部ａの存在による２次空気の吹出し妨害
作用にもかかわらず、バーナの頭部１１から立ち
上がる焔の高さがその長手方向に中高となる不都
合も同時に解消される。

なお、この実施例では２次空気吹出穴２２はそ
の巾を両端から中央部に向けて直線的に増大させ
ているが、適宜の曲率をもつた曲線状をなして増
大させてもよいし、またブリツジ部ａを設ける個
所は吹出穴２２の長手方向の任意の位置を選んで
もよい。更にブリツジ部ａと、このブリツジ部ａ
を挟んで両隣りに位置するバーナの頭部１１に設
けられているガス噴出用の炎口ｂとの相互位置関
係については、隣接炎口ｂ間の丁度中間部にブリ
ツジ部ａを配置させることによつて、このブリツ
ジ部ａに隣つて位置する炎口ｂへの２次空気の供
給が、ブリツジ部ａの存在によつて妨げられる度
合が少なくなる様に配慮している。

第５図は第２実施例としての保炎板の部分平面
図であつて、２次空気吹出穴２２の長手方向に設
けたブリツジ部ａの両側において、吹出穴２２は
半円状をなして拡巾されている。

第６図は第３実施例としての保炎板の部分平面
図であつて、ブリツジ部ａは２次空気吹出穴２２
の長手方向に対して斜めに偏向させて設けると共
に、各ブリツジａ群は相互にジグザグ状の位置関
係を保たせてあるので、バーナの頭部１１群への
着火焔の伝播をより均等に迅速に行わせることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図はいずれも高性能湯沸器として
の一実施例を示した図であつて、第１図は湯沸器
に組み込まれるライン状ガスバーナの外観斜視
図、第２図はその分解図、第３図は湯沸器の縦断
面図、第４図は第３図のイ−イ断面図である。第
５図と第６図は、それぞれ第２及び第３実施例と
しての保炎板の部分平面図である。第７図と第８
図は従来のライン状ガスバーナを示した側面図と
上面図である。 図中、１……バーナ、２……保炎板、３……バ
ーナ底板、４……点火器、６……ブロワ、７……
熱交換器、１０……湯沸器のケーシング、１１…
…バーナの頭部、１３……ガス及び１次空気導入
部、２１……バーナの上端挿通用穴、２２……２
次空気吹出穴、ａ……ブリツジ部（吹出穴封鎖個
所）、ｂ……炎口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 多数のバーナと、 該多数のバーナを、一定間隔をへだてて配列し
   固定させる手段と、 前記多数のバーナのうちの１または２以上の特
   定のバーナへの着火用点火器と、 前記多数のバーナの各頭部の挿通用穴と、相隣
   る前記挿通用穴間の中間部に設けられた２次空気
   吹出穴とを交互に並列状に形成するとともに、均
   一的な２次空気の圧力分布を呈する保炎板と を備えるガス燃焼装置において、 前記２次空気吹出穴には、その長手方向の任意
   の位置に吹出穴の封鎖個所を設けると共に、該封
   鎖個所の近傍において吹出穴が拡張されているこ
   とを特徴とするガス燃焼装置。