JPH0344793Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車生産工場において、コンベア
から物品（例えば、自動車のボデイ等）を搬送機
に移載する際に用いる装置であつて、物品を持上
げる際に位置決めしながら持上げるように構成さ
れた位置決め機能を有する物品のリフト装置に関
するものである。

（従来技術） 自動車生産工場においては、コンベアで搬送さ
れてきた物品（例えば、自動車のボデイ等）を、
リフト装置を用いて搬送機に移載する時、リフト
装置で持上げられる物品の位置の修正（センタリ
ング）を行なう必要がある（例えば、特開昭59−
57816号公報参照）。

ところが、従来、物品の位置修正を行なう装置
（例えば、巾修正装置）は、リフト装置と独立し
て別個に設置され、独立して作動するように構成
されていた。従つて、リフト装置と巾修正装置と
を各別に駆動させるための駆動源が必要になり、
コスト高になるとともに、両者の駆動タイミング
を設定する制御も複雑になる一方、両者の駆動タ
イミングのずれによる位置決め精度が低下するお
それが生ずるという問題があつた。

（考案の目的） 本考案は、上記問題点に鑑みてなされたもの
で、物品をリフトアツプする力を機械的に利用し
て、物品の左右、前後方向の位置決め（即ち、セ
ンタリング）を行ない得るようにし、以つて、装
置の設置スペースの縮小と、信頼性の向上とを図
ることを目的とするものである。

（目的を達成するための手段） 本考案では、上記目的を達成するための手段と
して、リフトシリンダによつて上下動され、持上
げられるべき物品を支持する支持台を、互いに中
間部をピン連結された２本のリンク（即ち、第１
および第２リンク）で支持し、第１リンクの上端
および第２リンクの下端を支持台および固定部に
それぞれピン連結する一方、第１リンクの下端お
よび第２リンクの上端を固定部および支持台に対
してそれぞれ前後スライド可能に支持するととも
に、該第２リンクの上端に取付けられ、前記支持
台の上昇時に該支持台上の物品前部と係合する前
後位置決め部材によつて物品を後方に移動させて
位置決めを行なうようにし、更に、該前後方向位
置決め部材の後退動をラツク・ピニオン機構によ
り左右方向の運動に変換する左右方向位置決め機
構によつて前記物品の左右方向位置決めを行うよ
うにしている。

（作用） 本考案では、上記手段によつて次のような作用
が得られる。

即ち、物品支持台を上下動させるリフトシリン
ダの上昇力を利用して、前後方向位置決め部材お
よび左右方向位置決め機構を動作させることによ
つて、物品をリフトアツプさせつつ同時に前後お
よび左右方向の位置決め（即ち、センタリング）
を行なうことができるのである。

（実施例） 以下、添付の図面を参照して、本考案の好適な
実施例を説明する。

このリフト装置は、自動車生産工場内におい
て、自動車のボデイ等の物品Ｍを搬送するスラツ
トコンベアＣの両側に設置され、該物品Ｍを持上
げて搬送機（図示省略）に移載するために使用さ
れるものである。

そして、該リフト装置は、物品Ｍを支持する支
持台１と、該支持台１を上下動させるためのリフ
トシリンダ２と、前記支持台１を固定部である機
台４に対して上下動自在に支持するＸ字状の支持
台支持リンク３とを備えている。

前記支持台１は、前後方向（スラツトコンベア
Ｃの流れ方向）に延びる断面矩形状の管部材から
なる基台５と、該基台５上面に固着され、リフト
アツプ時に実際に物品Ｍが載置される前後一対の
受台６，７からなつている。

前記リフトシリンダ２は、機台４上に設置され
且つその可動部２ａは、前記支持台１の基台５後
端部に固着されていて、リフトシリンダ２の駆動
により前記支持台１が上下動させられるようにな
つている。

前記支持台支持リンク３は、互いの中間部をピ
ン１０を介して回動可能に連結された第１および
第２リンク８，９からなり、該第１リンク８の上
端８ａおよび第２リンク９の下端９ｂは、前記支
持台１および機台４に対してそれぞれピン１１，
１２を介して回動可能に連結される一方、前記第
１リンク８の下端８ｂおよび第２リンク９の上端
９ａは、前記機台４および支持台１に対してそれ
ぞれローラ１３，１４を介して前後スライド可能
に支持されている。つまり、支持台支持リンク３
において、第１リンク８の下端８ｂおよび第２リ
ンク９の上端９ａは、リフトシリンダ２による支
持台１のリフトアツプ時に後退動し得るように構
成されているのである。なお、符号１５，１６は
軸受、１７，１８はガイドレールである。

前記第２リンク９の上端９ａには、前記支持台
１の上昇時に該支持台１上の物品Ｍ前部に係合す
る爪部１８ａを有する前後方向位置決め部材１９
が取付けられている。該前後方向位置決め部材１
９は、支持台１の上昇に伴なつて矢印Ａ方向に後
退動し、支持台１上の物品Ｍを後方に移動させて
位置決めするように作用する。

従つて、リフトシリンダ２のリフトアツプスト
ロークl₁と第２リンク上端９ａの後退ストローク
（換言すれば、前後方向位置決め部材１９の爪部
１９ａの後退ストローク）l₂との関係を適切に選
定することによつて、支持台１上の物品Ｍが所望
の位置（即ち、支持台１の前後方向センター）に
位置決めされるようになつているのである。

前記前後方向位置決め部材１９には、該前後方
向位置決め部材１９の後退動を左右方向の運動に
変換するためのラツク・ピニオン機構を構成すべ
き部材である第１ラツク２２を保持する第１スラ
イダー２１が連結されている。

該第１スライダー２１は、前記基台５内に前後
一対摺動自在に配置されており、両者は連結杆２
７を介して連動可能に連結されている。

而して、この第１スライダー２１と、該第１ス
ライダー２１に設けられた第１ラツク２２に噛合
されて第１スライダー２１の前後方向への進退運
動を回転運動に変換する第１ピニオン２３と、該
第１ピニオン２３と同軸回転する第２ピニオン２
４と、該第２ピニオン２４に噛合されて第２ピニ
オン２４の回転運動を左右方向の進退運動に変換
する第２ラツク２５を保持する第２スライダー２
６とによつて、支持台１上の物品Ｍの左右方向の
位置決めを行なう左右方向位置決め機構２０が構
成されている。

前記第１スライダー２１は、前後に設けられた
ローラ２８，２８によつて基台５内を移動可能と
されており、第１ラツク２２の背面側に設けられ
たローラ２９，２９によつて、第１ラツク２２と
第１ピニオン２３との噛合が確保されるようにバ
ツクアツプされている。

前記第１および第２ピニオン２３，２４は、第
４図図示の如く、受台６（あるいは７）に設けら
れた軸受３０に軸支された共通の軸３１の下部お
よび上部にそれぞれ枢着されている。つまり、第
１ピニオン２３は受台６（あるいは７）の下方に
あつて第１ラツク２２と噛合し、第２ピニオン２
４は受台６（あるいは７）の上方にあつて第２ラ
ツク２５と噛合することによつて、ラツク・ピニ
オン機構が構成されているのである。

前記第２スライダー２６は受台６（あるいは
７）上面において、ガイド部材３２に案内されつ
つ左右方向（即ち、矢印Ｂ方向）に進退自在とさ
れている。

この左右方向位置決め機構２０は、前記前後方
向位置決め部材１９の後退動をラツク・ピニオン
機構によつて左右方向の運動に変換し、第２スラ
イダー２６の左右方向への作動によつて支持台１
上の物品Ｍの位置決めをするように作用する。

従つて、前記リフトシリンダ２のリフトアツプ
ストロークl₁（第１図参照）と第２スライダー２
６のスライドストロークl₃（第２図参照）との関
係を適切に選定することによつて、支持台１上の
物品Ｍが所望の位置（即ち、支持台１の左右方向
センター）に位置決めされるようになつているの
である。

以上、スラツトコンベアＣの一側に設置された
リフト装置の構造について説明してきたが、スラ
ツトコンベアＣの他側にもこれと同様のリフト装
置が設置されていることは勿論であり、両リフト
装置は同時に駆動されるようになつている。

次に、図示のリフト装置の作用を説明する。

スラツトコンベアＣによつて搬送されてきた物
品Ｍ（本実施例の場合、自動車のボデイ）が第１
図実線図示の位置にくると、リフトシリンダ２が
駆動されて、支持台１が上昇を開始し、受台６，
７上に物品Ｍが載置される。該支持台１の上昇に
伴なつて、支持台支持リンク３を構成する第２リ
ンク９の上端９ａおよび前後方向位置決め部材１
９が矢印Ａ方向に後退動し、その爪部１９ａと前
記物品Ｍとの係合により、物品Ｍは支持台１上に
おいて所定距離後方へ移動せしめられる。と同時
に、前記前後方向位置決め部材１９の後退運動が
左右方向位置決め機構２０のラツク・ピニオン機
構によつて左右方向の運動に変換され、該左右方
向位置決め機構２０の第２スライダー２６の左右
方向（矢印Ｂ方向）への作動により、支持台１上
の物品Ｍは所定距離左右方向へ移動せしめられ
る。即ち、リフトシリンダ２による支持台１の上
昇によつて、物品Ｍが持上げられると同時に、前
後方向位置決め部材１９および左右方向位置決め
機構２０によつて、支持台１上の物品Ｍが所望位
置（即ち、支持台センター）に位置決めされるの
である（第１図鎖線図示）。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案によれば、リフトシリンダ
による支持台の上昇と連動して、該支持台上の物
品の前後方向および左右方向の位置決めを行なう
前後方向位置決め部材および左右方向位置決め機
構を作動せしめ得るように構成したので、駆動源
が少なくなるとともに、装置全体がコンパクト化
されることとなり、設置スペースを小さくおさえ
ることができるという実用的な効果がある。

又、リフトシリンダによる支持台上昇装置と、
位置決め装置（即ち、前後方向位置決め部材およ
び左右方向位置決め機構）とが、リンク機構およ
びラツク・ピニオン機構からなる機械的連動機構
を介して連動されるようになつているので、誤動
作をおこすおそれが少なくなり、装置の信頼性が
向上するという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の実施例にかかる位置決め機
能を有する物品のリフト装置、第２図は、第１図
のリフト装置における支持台部分の拡大平面図、
第３図は、第１図の−断面図、第４図は、第
２図の−断面図である。 １……支持台、２……リフトシリンダ、３……
支持台支持リンク、４……固定部、８……第１リ
ンク、８ａ……上端、８ｂ……下端、９……第２
リンク、９ａ……上端、９ｂ……下端、１９……
前後方向位置決め部材、２０……左右方向位置決
め機構、２２……第１ラツク、２３……第１ピニ
オン、２４……第２ピニオン、２５……第２ラツ
ク、Ｍ……物品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 物品を持ち上げる際に該物品を支持する支持台
   と、該支持台を上下動させるためのリフトシリン
   ダと、前記支持台に上端がピン連結され且つ下端
   が固定部に前後スライド可能に支持された第１リ
   ンクと該第１リンクに中間部がピン連結されてい
   て、下端が前記固定部にピン連結され且つ上端が
   前記支持台に前後スライド可能に保持された第２
   リンクとからなる支持台支持リンクと、前記第２
   リンク上端に取付けられ、前記支持台の上昇時に
   該支持台上の物品前部と係合し、該物品を後方に
   移動させて位置決めする前後方向位置決め部材
   と、該前後方向位置決め部材の後退動をラツク・
   ピニオン機構により左右方向の運動に変換し、前
   記物品の左右方向の位置決めを行う左右方向位置
   決め機構とを備えていることを特徴とする位置決
   め機能を有する物品のリフト装置。