JPH0343102B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野 この発明は、自動車のシートベルトのアンカ部
を補強するための補強構造に関するものである。従来技術 従来のこの種の補強構造としては、例えば第４
図および第５図に示すようなものがある。図中符
号１は、エンジン、サスペンシヨンおよびステア
リング等を組み付けるための骨格であるフレーム
で、このフレーム１に、図示省略の弾性部材、例
えばゴムマウントを介して車体２が支持されてい
る。この車体２のフロアパネル３のトンネル部３
ａには、所定位置にベルトアンカレインフオース
４が接合され、この接合部に図示省略のシートベ
ルトのアンカ部が固定されるようになつている。

このようにフレーム構造を有する自動車におい
ては、フレーム１と車体２のフロアパネル３とが
直接固定されていないため、車両衝突時等にシー
トベルトの入力がフロアパネル３のベルトアンカ
レインフオース４に掛かつた場合には、ベルトア
ンカレインフオース４だけでは十分耐えることが
できず、フロアパネル３が変形する虞がある。そ
こで、この部分を以下のように補強している。

つまり、フレーム１のクロスメンバ５に、略円
筒状のガイドパイプ６を接合し、このパイプ６に
略Ｕ字状のシートベルトアンカステイ７を遊挿
し、このステイ７の両上端部７ａが、ベルトアン
カレインフオース４に接合されたブラケツト８に
ボルト・ウエルドナツト９，１０にて固定されて
いる。このようにすると、車両衝突時に、シート
ベルトからフロアパネル３上のベルトアンカレイ
ンフオース４に衝突荷重が入力した場合には、シ
ートベルトアンカステイ７を介してクロスメンバ
５に入力が伝達される。よつて、剛性の大きなフ
レーム１で、衝突入力が負担される結果、フロア
パネル３の変形が防止されるようになつている。
ちなみに、このようなフレーム構造においては、
車体２が弾性的に支持されているため、フロアパ
ネル３とフレーム１とが相対的に変位するように
なつているが、シートベルトアンカステイ７がガ
イドパイプ６に遊挿されているため、この両者の
相対的変位に影響を与えることなく、悪路走行時
等における車体２側への振動伝達が良好に減衰さ
れることとなる。（実開昭56−13048号公報参照）発明が解決しようとする問題点 しかしながら、このような従来の補強構造にあ
つては、ベルトアンカレインフオース４に対して
衝突荷重入力が第５図中矢印Ｆ方向に作用するた
め、シートベルトアンカステイ７が図中下端部
（ガイドパイプ６挿通部位）を中心に図中二点鎖
線に示すように車両前方に向かつて回動して、フ
ロアパネル３が変形してしまう虞があつた。この
変形は、フレーム１とフロアパネル３との間隙が
大きい車両にあつては、シートベルトアンカステ
イ７がより長くなるため、一層大きくなる。問題点を解決するための手段 この発明は、かかる問題点を解決するため、車
体のフロアパネルのベルトアンカレインフオース
接合部と、該車体を支持するフレームとの間をシ
ートベルトアンカステイにて連結し、車両衝突時
等にシートベルトを介して該ベルトアンカレイン
フオース接合部に作用する入力を前記シートベル
トアンカステイにて前記フレームに伝達させて負
担させ、前記フロアパネルの変形を防止するよう
にしたシートベルトアンカ部の補強構造におい
て、前記シートベルトアンカステイの下端部を中
心とした回動を防止するストツパ部材の基端部
を、前記フレーム側に取付ける一方、該ストツパ
部材の先端部を前記シートベルトアンカステイの
下端部と上端部との間に連結した自動車のシート
ベルトアンカ部の補強構造としたことを特徴とし
ている。作 用 かかる構成とすると、車両衝突時等にフロアパ
ネル上のベルトアンカレインフオースに衝突荷重
が入力すると、このレインフオースとフレームと
を連結しているシートベルトアンカステイが従来
と同様下端部を中心として車両前方に向つて回動
しようとする。だが、この回動はストツパ部材に
て阻止されるため、衝突入力はシートベルトアン
カステイを介してフレームに負担され、従つて、
フロアパネル変形が効果的に防止されることとな
る。実施例 以下、この発明を実施例に基づいて説明する。

第１図および第２図は、この発明の一実施例を
示す図である。

まず、構成を説明すると、図中符号１１は、車
両全長にわたつて延びるフレームで、このフレー
ム１１上に図示省略の弾性部材、例えばゴムマウ
ントを介して車体１２が支持されている。この車
体１２のフロアパネル１３には、従来と同様、所
定位置にトンネル部１３ａに股がつて断面略ハツ
ト型のベルトアンカレインフオース１４が接合さ
れている。そして、このレインフオース１４とこ
の下方に位置するフレーム１１のクロスメンバ１
５とが、シートベルトアンカステイ１６で連結さ
れている。

詳しくは、まずクロスメンバ１５の中央部に略
筒状のガイドパイプ１７が接合され、このガイド
パイプ１７に、略Ｕ字状を呈するシートベルトア
ンカステイ１６の下端部１６ａが遊挿される一
方、このステイ１６の両上端部１６ｂが、ベルト
アンカレインフオース１４に接合されたブラケツ
ト１８にボルト・ウエルドナツト１９，２０にて
固定されている。また、前記クロスメンバ１５に
は、車両後方に向かつてブラケツト２１が突設さ
れ、このブラケツト２１の後端部２１ａと前記シ
ートベルトアンカステイ１６との間に、ストツパ
部材２２が介在されている。具体的には、このス
トツパ部材２２は、基端部２２ａがブラケツト２
１の後端部２１ａに接合される一方、先端部に形
成された筒状部２２ｂに、シートベルトアンカス
テイ１６の下端部１６ａと上端部１６ｂとの間の
中間部１６ｃが挿通されている。これで、シート
ベルトアンカステイ１６は、衝突時の下端部１６
ａを中心とした車両前方への回動が、このストツ
パ部材２２にて防止されるようになつている。ま
た、この筒状部２２ｂの下方への移動を阻止する
鍔部２３が、その筒状部２２ｂに対して適当間隔
を持つて、シートベルトアンカステイ１６に溶接
等により固定されている。

次に、かかる構成よりなる補強構造の作用につ
いて説明する。

通常の走行状態では、フレーム１１上に車体１
２が弾性的に支持されているため、フレーム１１
の振動が減衰されて車体１２に伝達される結果、
車室内における振動騒音等が低減され居住性が良
好に保たれる。この際、フレーム１１と車体１２
とが相対的に変位するが、シートベルトアンカ
ステイ１６の基端部１６ａがガイドパイプ１７に
遊挿され、このステイ１６の中間部１６ｃがス
トツパ部材２２の筒状部２２ｂに挿通され、さら
に、筒状部２２ｂに対して鍔部２３が適当間隔
を持つて離間しているため、このステイ１６の、
ガイドパイプ１７およびストツパ筒状部２２ｂに
対する移動が可能になつている。従つて、上記相
対的変位は、このシートベルトアンカステイ１６
等を設けた場合でも、これによつて何ら支障を来
すことなく行われる。

車両が衝突すると、従来と同様に、シートベル
トを介してフロアパネル１３上のベルトアンカレ
インフオース１４接合部位に矢印Ｆ方向の衝突荷
重が作用する。この荷重は、シートベルトアンカ
ステイ１６を介してフレームクロスメンバ１５に
伝達される。この場合、衝突荷重の作用方向が矢
印Ｆ方向であるため、シートベルトアンカステイ
１６は下端部１６ａを中心に車両前方に向かつて
回動しようとする。だが、このステイ１６の中間
部１６ｃがストツパ部材２２の筒状部２２ｂに挿
通されているため、このストツパ部材２２にてス
テイ１６の、下端部１６ａを中心とした回動が防
止される。従つて、従来と異なり、シートベルト
アンカステイ１６の機能が十分発揮されて入力が
フレーム１１に有効に負担される結果、フロアパ
ネル１３の変形が効果的に抑制されることとな
る。しかも、この際、シートベルトアンカステイ
１６の引張力により、筒状部２２ｂがそのステイ
１６を摺動し、ストツパ部材２２が基端部２２ａ
を中心に下方（矢印Ａ方向）へ回動するように変
形する虞がある。しかし、鍔部２３により筒状部
２２ｂの移動が阻止されて変形が防止されるた
め、ストツパ部材２２の剛性をそれ程向上させる
必要なく、ストツパ部材２２のステイ１６回動防
止機能が確実に発揮される。

さらに、ベルトアンカレインフオース１４に上
方に向かつて作用する分力は、シートベルトアン
カステイ１６が略上下方向に沿つて配設されてい
るため、このアンカステイ１６が回動するような
力は作用せず、分力はこのステイ１６を介してフ
レームクロスメンバ１５に負担され、フロアパネ
ル１３の上方への変形も勿論防止されることとな
る。

なお、ストツパ部材２２の配設方法としては、
上記実施例では、基端部２２ａをシートベルトア
ンカステイ１６より車両において後方位置に取付
けて、そのステイ１６を引つ張るようにして回動
を阻止しているが、反対に、基端部２２ａを前方
位置に取付けて、そのステイ１６を突つ張るよう
にして回動を阻止することもできる。発明の効果 以上説明してきたように、この発明によれば、
シートベルトアンカステイの回動をストツパ部材
にて防止するようにしたため、ベルトアンカレイ
ンフオースに衝突荷重が入力した場合にそのアン
カステイが下端部を中心に回動することがなく、
従つて、フロアパネルの変形量を従来より著しく
減少できる、という実用上有益な効果を発揮す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの発明の自動車のシー
トベルトアンカ部の補強構造の一実施例を示す図
で、第１図は第２図の−線に沿う断面図、第
２図は自動車を車幅方向に沿つて切断した断面
図、第３図は同補強構造の斜視図、第４図および
第５図は従来例を示す図で、第４図は第２図に相
当する断面図、第５図は第４図の−線に沿う
断面図である。 １１…フレーム、１２…車体、１３…フロアパ
ネル、１４…ベルトアンカレインフオース、１６
…シートベルトアンカステイ、１６ａ…下端部、
１６ｂ…上端部、２２…ストツパ部材、２２ａ…
基端部、２２ｂ…筒状部（先端部）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体のフロアパネルのベルトアンカレインフ
   オース接合部と、該車体を支持するフレームとの
   間をシートベルトアンカステイにて連結し、車両
   衝突時等にシートベルトを介して該ベルトアンカ
   レインフオース接合部に作用する入力を前記シー
   トベルトアンカステイにて前記フレームに伝達さ
   せて負担させ、前記フロアパネルの変形を防止す
   るようにしたシートベルトアンカ部の補強構造に
   おいて、 前記シートベルトアンカステイの下端部を中心
   とした回動を防止するストツパ部材の基端部を、
   前記フレーム側に取付ける一方、該ストツパ部材
   の先端部を前記シートベルトアンカステイの下端
   部と上端部との間に連結したことを特徴とする自
   動車のシートベルトアンカ部の補強構造。