JPH0340176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、傾倒自在なシートバツクを備えた車
両用シートに関し、特に車両用リアシートとして
有用なものである。

《従来の技術》 従来より、シートバツクをホイールハウスに傾
倒自在に支持した車両用リアシートが知られてい
る。このリアシートでは、シートバツクの基端部
寄り側部に、ホイールハウスに対する逃げ用の凹
部が形成され、この凹部に取付けられた回動側ブ
ラケツトと、前記ホイールハウスに取付けられた
固定側ブラケツトとを、ボルト等を介して回動自
在に結合するようになつている。

このシートバツクの支持位置、すなわち傾動支
点は、ホイールハウスとフロア面の相対高さに応
じてそれぞれ設定されるようになつている。これ
によつてシートバツクが円滑に車体前側に傾倒で
き、また水平に倒したシートバツクがフロア面に
対してバランス良く配置できるようになつてい
る。

また、前記凹部は、シートバツクの支持位置に
基づき、ホイールハウスの形状に対応して形成さ
れ、ホイールハウスの周面に近接している。

《考案が解決しようとする問題点》 しかしながら、前述のような車両用リアシート
では、設置される車種に応じて回動側ブラケツト
の取付位置が個々に設定されるため、車種毎に異
なるシートバツクを作成する必要があり、製造コ
ストの上昇、及び製品管理の煩雑化を招く問題点
がある。

《問題点を解決するための手段》 本考案の車両用シートは、前述した問題点を解
決するために、シートバツクの基端部より外側部
に、ホイールハウスに対する逃げ用の凹部を形成
し、この凹部とホイールハウスとの間に設けた軸
体により、シートバツクを傾倒自在に支持した車
両用シートであつて、前記凹部に回動側ブラケツ
トを上下方向の位置調整可能に取付けるためのね
じ挿通孔を複数個設けるとともに、前記回動側ブ
ラケツトに前記軸体が挿通する挿通孔を設け、か
つ前記ホイールハウス側に、前記軸体を上下方向
に数段階選択的に固定する手段を有する固定側ブ
ラケツトを設けたことを特徴とする。

《作用》 軸体の位置を選んで凹部とホイールハウスを取
付けることにより、シートバツクの傾動支点の位
置を自在に設定できる。

《実施例》 第１図は、本考案の一実施例を示す分解斜視図
である。

この実施例による車両用シートは、車幅方向に
二分割されたシートバツク１（図では片側のみを
示す）を傾倒自在に支持したものである。

シートバツク１の基端寄り外側部には、ホイー
ルハウス２に対する逃げ用の凹部３が形成されて
おり、この凹部３には、さらに段部４が形成され
ている。この段部４は、回動側ブラケツト５を取
付けるためのもので、上下方向に４つのネジ挿着
孔６ａ，６ｂを備えた取付け面をシート前方に臨
ませている。なお、このシートバツク１には、表
皮材（図示せず）が配装され、段部４は表皮材に
覆われて隠れるようになつている。

また、回動側ブラケツト５は、金属製の板体を
Ｌ字状に屈曲して形成したもので、基端側に一対
のネジ挿通孔５ａを有し、このネジ挿通孔５ａを
介して、第２図に示すように、シートバツク１の
段部４にネジ止めされる。つまり、一対の固定ネ
ジ７は、ネジ挿通孔５ａ及びネジ挿着孔６ａ，６
ｂを通つて図示しないフレームに形成したネジ孔
に螺合して締付けられるようになつている。ここ
で、ネジ挿着孔６ａ，６ｂが４つ形成されている
ので、回動側ブラケツト５は、上側のネジ挿着孔
６ａと下側のネジ挿着孔６ｂを選択してネジ止め
することができ、シートバツク１の支持位置を上
下二段に設定できるようになつている。また、回
動側ブラケツト５の先端側には、シートバツク支
持用の軸体となるボルト１３が挿通されるボルト
挿通孔８が形成されている。

そして、回動側ブラケツト５は、ボルト１３を
介してホイールハウス２側の固定側ブラケツト９
に結合されるようになつている。固定側ブラケツ
ト９は、金属製の板体を略Ω状に屈曲して両側に
それぞれ一対の取付け孔９ａを有する取付け脚部
を形成したものである。この固定側ブラケツト９
の中央には、上下に一対の植込みナツト１０ａ，
１０ｂが固着されており、前記ボルト１３が選択
的に螺合するようになつている。つまり、各植込
みナツト１０ａ，１０ｂは、前述した回動側ブラ
ケツト５の二つのネジ止め位置に対応して形成さ
れており、回動側ブラケツト５が上方のネジ挿着
孔６ａを介してネジ止めされた場合には、ボルト
１３は上方の植込みナツト１０ａに装着され、回
動側ブラケツト５が下方のネジ挿着孔６ｂを介し
てネジ止めされる場合には、ボルト１３は下方の
植込みナツト１０ｂに装着されるようになつてい
る。この固定側ブラケツト９は、両側の取付け脚
部の取付け孔９ａを介してホイールハウスにネジ
止めされる。したがつて、植込みナツト１０ａお
よび１０ｂは、ボルト１３を上下方向に２段階選
択的に固定する手段を構成する。

一方、シートバツク１の基端部寄り内側部に
は、上下に一対の係合孔１１ａ，１１ｂが形成さ
れており、フロアに取付けられたセンターブラケ
ツト１２の係止ピン１２ａが選択的に挿入される
ようになつている。係合孔１１ａ，１１ｂは、シ
ートバツク１内部のフレームに連続して形成され
ており、係止ピン１２ａは、フレームに係合して
シートバツク１を支持するものである。

以上のように構成された車両用シートでは、回
動側ブラケツト５を取付けるネジ挿着孔６ａ，６
ｂ及びボルト１３を螺合させる植込みナツト１０
ａ，１０ｂを選択することにより、シートバツク
１の支持位置を上下二段に選択することができ
る。つまり、この実施例では、ネジ挿着孔６ａ，
６ｂと各ブラケツト５，９によつてボルト１３の
位置決め手段が構成されている。そして、ボルト
１３の位置を選択することにより、シートバツク
１の傾動支点を選択でき、シートバツク１を車室
のフロア面に対して適正な位置に設置することが
できる。例えば第３図に示すように、後方のフロ
ア面１４がシートに対して比較的低い場合には、
シートバツク１を下側の傾動支点Ａで支持し、反
対に第４図に示すように、後方のフロア面１５が
シートに対して比較的高い場合には、シートバツ
ク１を上側に傾動支点Ｂで支持して、それぞれ適
正な傾倒位置を得ることができる。

なお、本考案は前記実施例に限定されることな
く種々変形が可能である。例えば前記実施例で
は、回動側ブラケツト５の取付け位置を上下方向
に選択できるようにしたが、回動ブラケツト５自
体にボルト挿通孔を複数形成しても良い。また、
ネジ挿着孔やナツト等の数を増やすことにより、
３つの以上の位置を選択するようにしても良い。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案によれば軸体の位
置を選んで凹部とホイールハウスを取付けること
によりシートバツクの傾動支点の位置をフロア面
の高さに応じて設定することができる。従つて、
フロア面の異なる車種毎に、シートバツクを個々
に作成する必要がなく、一貫生産による半製品を
作成して、それぞれ車体への組付時に傾動支点の
位置を設定できる。これによつて製造コストの削
減及び製品管理の容易化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す分解斜視図、
第２図は第１図に示す実施例によるシートバツク
の支持構造を示す拡大正面図、第３図はシートバ
ツクを低いフロア面を有する車両に設置した状態
を示す概略側面図、第４図はシートバツクを高い
フロア面を有する車両に設置した状態を示す概略
側面図である。 １……シートバツク、２……ホイールハウス、
３……凹部、４……段部、５……回動側ブラケツ
ト、６ａ，６ｂ……ネジ挿着孔、８……ボルト挿
通孔、９……固定側ブラケツト、１０ａ，１０ｂ
……植込みナツト、１３……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツクの基端部より外側部に、ホイール
   ハウスに対する逃げ用の凹部を形成し、この凹部
   とホイールハウスとの間に設けた軸体により、シ
   ートバツクを傾倒自在に支持した車両用シートで
   あつて、前記凹部に回動側ブラケツトを上下方向
   の位置調整可能に取付けるためのねじ挿通孔を複
   数個設けるとともに、前記回動側ブラケツトに前
   記軸体が挿通する挿通孔を設け、かつ前記ホイー
   ルハウス側に、前記軸体を上下方向に数段階選択
   的に固定する手段を有する固定側ブラケツトを設
   けたことを特徴とする車両用シート。