JPH0339456B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱可塑性樹脂の偏平なテープから外
面を螺旋状の凹凸面にして内面を平滑面とするコ
ルゲート管を連続的に製造する方法及びその装置
に関するものであり、更に詳しくはポリエチレン
やポリプロピレンの如き成型に際し冷却硬化が困
難で形態保有性に劣る熱可塑性樹脂を素材として
成型されるコルゲート管、特に外面を凹凸面にし
て内面を平滑面とするコルゲート管の製造法と、
その効率的な製造を可能にする製造装置に関する
ものである。

従来、この種の内面平滑コルゲート管の製造法
としては押出機の内外二重の環状ダイスから押出
した原料チユーブをその軟化点以上融点以下の温
度下で内圧を加えキヤタピラ状の回転型枠にチユ
ーブの壁面を押付けて賦形する方法、或は仮想円
筒状回転軸体に凸部付き帯状体を螺旋状に捲回し
て重合接着し、管体に成型する方法等が知られる
が、前者の方法にあつては極めて装置が大型にな
り、且つ煩雑になるため製造コストを高める問題
があり、他方後者の方法にあつては凸部付き帯状
体を回転軸体周面に螺旋状に捲回する関係上、冷
却不充分な場合にはその平面部分と屈曲凸部との
屈曲率の違いにより屈曲凸部が偏平化し、逆に冷
却水等で強制冷却して硬化させたものの場合には
捲回が困難になるばかりでなく帯状体相互の融着
が困難となり管体成形が不能となる虞れ等の欠点
があつた。

本発明は、上記従来の製造法における諸種の欠
点に鑑み研究開発されたもので、一方の押出機の
ダイスから吐出される加熱溶融状態にある熱可塑
性樹脂テープを周面に螺旋状の突条を有する回転
軸体の周面に螺旋方向に沿つて捲回し、断面凹凸
状をなす外管を形成する一方、他方のダイスから
吐出される加熱溶融した樹脂テープを周面を平滑
にし回転軸体の周面に捲回させて周面平滑な内管
を形成し、併せてこの内管と前記外管を内外重ね
合せにしてその素材の溶融状態を利用して押圧融
着し、これによつて外周面を螺旋状突条を走らせ
た凹凸面にして内周面を平滑面としたコルゲート
管を連続的に製造する方法と、その効率的な製造
装置を提供することにある。

以下、本発明を図示する実施例につき説明し、
その特徴とするところを詳述すれば、第１図は本
発明に係る製造装置の一部断面とした要部の正面
図で、第２図は上図の左側図面、第３図は本発明
装置によつて内面平滑コルゲート管を製造する課
程を説明する一部欠截した正面図で、第４図は一
部断面とした上図の右側面図である。

図面において、符号１は第１回転軸体、２は第
１回転軸体の先端に連続して設けられる第２回転
軸体で、３は第１回転軸体１の外周面に対設させ
た熱可塑性樹脂テープＡを成型するためのアウト
サイドダイであり、４は第２回転軸体の軸心部近
傍に設置した熱可塑性樹脂テープＢを成型するた
めのインサイドダイである。

第１回転軸体１は図示しないテーブル上に垂直
に起立せしめた基端側軸受板５と、これを貫いて
水平に横設される金属パイプ製の基軸６と、この
先端部に上記軸受板５に対向して設けられる軸受
板７と、この両軸受板間に渡される複数本の溝付
きロール８ａ，８ｂ，８ｃ，……８ｉとから構成
されている。

上記軸受板５，７は水平に突き出す基軸６の軸
心を中心にして描く仮想の円周に沿つて等感覚に
それぞれ軸承部材９，１０を備え、これに上記溝
付きロールの両端を軸承させることによつて各回
転自由に軸承し、且つロール相互の集りによつて
実質的に円筒状をなす回転軸体を構成するように
してある。

そして、ここでは一方の軸受板５を貫いて他面
側に突き出た各ロールの端部にスプロケツト１１
及び１２を設け、一方の同一円周上に揃うスプロ
ケツト１１群には駆動モータ１３によつて回転さ
れる調整スプロケツト１４にかゝるチエーン１５
を掛け回し、他方の同一円周上に揃うスプロケツ
ト１２群には張力調整スプロケツト１６に掛けた
チエーン１７を掛け回して９本の溝付きロール８
ａ，８ｂ，……８ｉが同一方向に、且つ等速で回
転するようにしてある。

尚、この実施例では第１，２図に示した様に最
上の溝付きロール８ａから時計回りにロール８ｆ
までにスプロケツト１１を備え、ロール８ｇから
８ｃに亘るロールの端部にスプロケツト１２を各
備えて一方のチエーン１５の運行によつて全溝付
きロールが一勢に同一方向に回転し、実質的に一
つの回転体が回転するのと同様にしてある。

そしてこの実施例では各溝付きロールは丸棒状
の軸棒に断面台形状をなすリング部材を嵌装し、
間隔に配置、固定することによつて一定のピツチ
で突条１８を有した溝付きロールに形成してあ
る。そして、ここに示す溝付きロールは一方の軸
受板５に対し基軸６を中心にして他方の軸受板７
を一方向に所要の角度回転させ、対向する軸受部
材９，１０を異相させることによつて各ロールを
基軸６を中心に捩つて傾斜を付け、上記ロール上
に形成したリング形突条１８を隣接する溝付きロ
ール同志の間で螺旋方向に揃うようにし、これに
よつて９本の溝付きロールの集合によつて構成さ
れた第１回転軸体の周面に連続した螺旋突条が形
成されるようにしてある。

一方、第２回転軸体２は前記軸受板７に対向さ
せて設ける前端軸受板１９との間に複数本の丸棒
状のロール２０…を渡すことによつて前記第１回
転軸体同様に一つの円筒形回転体に形成してあ
る。

即ち、図示する様にこの実施例では８本のロー
ルの組合せによつて構成してあり、各ロールは前
記基軸６の軸心の延長線を中心として描かれる仮
想円周に沿つて等間隔に配置し、軸心部を中空に
した円筒形をなすようにしてある。そして、これ
ら８本のロールは両端を相対向する軸受板７と前
端軸受板１９に各対向して設ける軸受部２１に回
転自由に軸承させてあり、前端軸受板１９を貫い
て前方に突き出た軸端部にそれぞれスプロケツト
２２を設け、これに無端のチエーン２３を張架し
て同一方向に等速回転するようにしてある。

この第２回転軸体２は第１回転軸体１の凹部に
当る実質直径に等しいか幾分小径な直径を有する
ものにしてあり、駆動手段たる回転シヤフト２４
を介して前記駆動モータ１３の回転を導入するよ
うにしてある。

回転シヤフト２４はユニバーサルジヨイント２
５，２６を介して両端にピニオンギヤ２７，２８
を有し、一方のギヤ２７を前記第１回転軸体を構
成する一つの溝付きロール８ａに備えるピニオン
ギヤ２９に噛合させ、他方のギヤ２８を第２回転
軸体２を構成する一つのロール２０の軸端に備え
るギヤ３０に噛合させてあり、これによつて駆動
モータ１３の回転力を受けて回転される上記溝付
きロール８ａの回転を一つのロール２０に導入
し、チエーン２３で撃がれた８本のロール全体を
回転させ実質的に第２回転軸体２が回転するよう
にしてある。

そして、ここにおける第２回転軸体２の回転は
前述した様に第１回転軸体１の直径より幾分小径
としたことに基づき、この分の周速の遅れを取戻
すため若干早くなるように設定される。

尚、上記第２回転軸体２の直径が前述した様に
第１回転軸体の凹部に当る実質直径より若干小径
に設計される理由は後述する内外両管の重りと融
着を円滑にして安定したコルゲート管の製造を図
るためで、これについては後で詳述する。

以上の様に基軸６を中心として共通する軸心線
上に前後して設けられる第１の回転軸体１と第２
回転軸体２に対し、アウトサイドダイ３は第１回
転軸体の外周面に対設し、またインサイドダイ４
は第２回転軸体の中空の軸心部に設置される。後
者のインサイドダイ４は中空の基軸６の内部に通
すダイレツグ３１を介して第２回転軸体２の内部
に臨み、ダイレツグは図示しない押出機に連結し
て内外２つのダイからそれぞれ加熱溶融した熱可
塑性樹脂テープＡ，Ｂを吐出できるようにしてあ
る。

次に、上記構成された装置を以て本発明に係る
内面平滑なコルゲート管の製造法を説明すること
にする。

尚、製造課程における本発明装置は前記２つの
ダイから同時に加熱溶融した樹脂テープＡ，Ｂを
吐出し、各回転軸体にそれぞれ供給するが、説明
の都合からアウトサイドダイ３から吐出される樹
脂テープＡにつき先ず説明する。

アウトサイドダイ３から所要の幅と厚みを以て
吐出された樹脂テープＡは第１回転軸体１の基端
部外周面に向けて接線上に、且つその周面に形成
される螺旋突条の方方に沿つてロールの突条１８
を跨ぐように供給される。

ここに供給されるテープＡは螺旋突条のピツチ
とテープ幅の関係で決定されるが、第１回転軸体
１に対しては先に捲回されたテープ部分に対し、
これが供給点に一巡して次に捲回されるテープ部
分に巡り合つたとき、その一部が回転軸体上で重
り合うよう供給され、これの連続によつてスパイ
ラル管状に形成される。

ここで形成される管は螺旋突条を跨ぐことによ
つてテープＡが屈曲されるため管壁断面を波形に
屈曲させたスパイラル管となる。そして、この管
は連続的にテープが供給されることにより回転す
る第１回転軸体上で外管Ｃに成型され、順次成長
して第２回転軸体２上へと回転しながら進行して
行くことになる。

図中、３２は回転軸体１の一つの溝付きロール
８ａに所要の間隔を保つて並行状に対設させた押
圧ロールで、このロールの周面には突条１８と同
一の突条３３が同一ピツチで列設してあり、回転
軸体周面に捲回されるテープＡを押圧し、突条１
８に沿つてこれを凹凸に賦形せしめると共に、重
り合つた溶融状態にあるテープＡ同志を押圧着し
て管体に形成する。

かくして、成型される外管Ｃに対し、インサイ
ドダイ４から吐出される加熱溶融された樹脂テー
プＢは第２回転軸体上で内管Ｄに成型される。

テープＢはこの実施例では第４図に示した様に
下向きのダイから吐出されて垂直に垂れ、ロール
２０間の空隙を通して回転軸体の外に自動的に導
かれる。

ここに導かれたテープＢは先に第１回転軸体上
で形成され第２回転軸体２上に進行して来る外管
Ｃの内壁に当接し、この外管の回転と、ロール２
０の回転に誘導されて両者間に介入するようにし
て第２回転軸体上に捲回される（第４図参照）。

この捲回されるテープＢは回転軸体周面に対し
て所要の角度を付けて供給され、テープの部分相
互を前記テープＡと同様に重ね合せることによつ
てスパイラル管状に成型され内管Ｄとなる。

この内管は周面を実質的に平滑にした第２回転
軸体によつて平滑な管体となり、螺旋突条を有す
る前記外管Ｃの内側に重つた状態で成型される。
そして、この両管体Ｃ，Ｄは第２回転軸体上に延
長されて一つのロール２０に対設する前記押圧ロ
ール３２によつて押圧され、相互に融着されて２
重管構造をなす内面平滑なコルゲート管に成型さ
れ、両者一体となつて第２回転軸体を通過し送り
出される。

第３図は上記の内外両テープＡ，Ｂの各回転軸
体に対する捲回によつて内外２つの管体Ｃ，Ｄが
形成され、且つ第２回転軸体上で両管が押圧接合
され一つのコルゲート管に成型される課程を示
し、第５図は完成された本発明コルゲート管の部
分拡大断面図を示している。

尚、説明するまでもないが、上記管体の成型に
当り各回転軸体に供給捲回される樹脂テープＡ，
Ｂは共に加熱溶融状態にあつて回転軸体上で捲き
回されるとき溶融点以下軟化点以上の温度下にお
いてテープ相互の重り部分を押圧融着し各管体に
形成し、併せて第２回転軸体上においてテープＢ
は外管Ｃの内壁面とも融着し、その一体化を促す
ことになる。

以上の様にしてコルゲート管の製造が行われる
が、本発明においては第１回転軸体の各溝付きロ
ールの回転速度より第２回転軸体の各ロール２０
の回転速度を高めて実質的にこれらの軸体上で成
型される内外両管の製造速度が一致するようにし
てある。

即ち、本発明方法の実施に当り、第１回転軸体
と第２回転軸体の回転速度が同一であると、第１
回転軸体が第２回転軸体の直径より大径でその分
周速が大きくなることから、内外両管が重合した
とき内管Ｄが外管Ｃに引かれて歪みを生じ、均一
且つ安定したコルゲート管の製造が妨げられる虞
れがある。

そこで本発明では前述の様に回転シヤフト２４
の両端に備えるピニオンギヤ２５，２６とこれに
対設するギヤ２７，２８との噛合せ歯数の比率を
調整して第２回転軸体２の回転を第１回転軸体１
の溝付きロール８ａ…等の回転速度により高めて
実質的な周速を上げ、外管Ｃの製造速度、換言す
れば外管内壁面の周速度と内管Ｄの外壁面の周速
度を一致させ、管相互の接面部における歪みを解
消し均一なコルゲート管の製造を可能にしている
のである。

以上説明の様に、本発明は軸心を一線上に揃え
て前後に配置した第１、第２の回転軸体に対し、
各ダイ３，４から個々に溶融した樹脂テープＡ，
Ｂを吐出し、これをそれぞれの軸体上に捲回して
スパイラル管状に成型し、螺旋突条を有した外管
Ｃと平滑な内管Ｄを個々に成形する一方、この両
管を第２回転軸体２上で融着し、一体化すること
により外面に螺旋突条を有し内面を平滑にしたコ
ルゲート管を製造するもので、これによれば、回
転軸体の回転に合せて樹脂テープを供給捲回する
ことによつて連続的な製造が出来ると共に、製造
されたコルゲート管は外面の螺旋突条によつて偏
平強度の高い管となり、しかも平滑な内管によつ
て内面スムースなコルゲート管が得られることに
なる。

そして、本発明によるコルゲート管は内外両管
の重合時に生ずる歪みを各回転軸体の周速を同調
させることによつて解消したことから安定したコ
ルゲート管が得られ、一層信頼性の高い製品を提
供できるものとなつている。

尚、図示する実施例では特に強制冷却の手段に
つき触れなかつたが、第１、第２回転軸体の各ロ
ールを中空にして冷却水の循環水路を形成すれ
ば、各回転軸体上で管状に捲回されるそれぞれの
樹脂テープを冷却して早期に管体形状を硬化安定
させることができる。従つて、実施に当つてはこ
の強制冷却手段を組合せて製造速度を高めること
は従来のこの種製造装置における場合と全く同様
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示したもので、第１
図は本発明に係る製造装置の一部断面とした要部
の正面図、第２図は上図の左側面図、第３図は、
本発明装置によつて内面平滑なコルゲート管を製
造する課程を説明した一部欠截の正面図、第４図
は一部断面とした上図の右側面図、第５図は本発
明方法によつて製造されたコルゲート管の一部拡
大断面図である。 １……第１回転軸体、２……第２回転軸体、３
……アウトサイドダイ、４……インサイドダイ、
５，７……軸受板、６……基軸、８ａ〜８ｉ……
溝付きロール、１８……突条、１９……前端軸受
板、２０……ロール、３２……押圧ロール、Ａ，
Ｂ……熱可塑性樹脂テープ、Ｃ……外管、Ｄ……
内管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外周面に螺旋突条を備えた仮想円筒状をなす
   第１回転軸体と、外周面を平滑面とする仮想円筒
   状の第２回転軸体とを共通の軸心上に前後連続的
   に配置し、前位の第１回転軸体に対し後位の第２
   回転軸体の周速を略同一に設定して先ず上記第１
   回転軸体の周面に押出機のアウトサイドダイから
   吐出する加熱溶融した熱可塑性樹脂テープを前記
   螺旋突条を跨ぐように傾斜角度を付け、且つ先に
   捲回されるテープに対し後から捲回するテープの
   一部が重る如く供給して捲回させ管壁を螺旋状の
   凹凸面にする外管を形成せしめ、これを順次前記
   第２回転軸体上に送り出す一方、第２回転軸体の
   軸心近傍に設置する押出機のインサイドダイから
   吐出する加熱溶融した熱可塑性樹脂テープを該第
   ２回転軸体の外周面とこの外周面上に送り出され
   る前記外管の内壁面間に誘導し、これに傾斜角度
   を付けて先に捲回されるテープに対し後から捲回
   するテープの一部が重る如く供給して平滑な内管
   を形成せしめ、併せて該第２回転軸体に並行状に
   対設する押圧ロールで前記外管の凹部を押圧しそ
   の内壁面と内管外壁面を融着し、これを冷却硬化
   して内面平滑にして外面に螺旋突条を有した管体
   を連続的に製造することを特徴とした内面平滑コ
   ルゲート管の製造法。 ２ 軸心に沿つて中空にした基軸の基端部と先端
   部周面に相対向する軸受板を設け、該両軸受板間
   に基軸を中心とした仮想円周に沿つて複数本のそ
   れぞれ突条を列設した溝付きロールを各回転自由
   に軸架し、且つこれら溝付きロール上の突条を隣
   接するもの同志が螺旋方向に揃うよう配置して周
   面に螺旋突条を備えるようにした第１回転軸体
   と、上記基軸先端部の軸受板とこれに対向する前
   端軸受板との間に前記基軸の軸心延長線を軸心と
   する仮想円周に沿つて丸棒状のロールを複数本回
   転自由に軸架して形成する周面平滑な第２回転軸
   体とを備え、各回転軸体は個々のロール群を個別
   の駆動手段を介して独立に回転させると共に、こ
   れら両回転軸体には前記溝付きロールの突条のピ
   ツチに対応させた溝付きの押圧ロールを長さ方向
   に沿つて対設せしめる一方、第１回転軸体の外周
   面にはアウトサイドダイを対設せしめ、また前記
   第２回転軸体の中空内部には前記基軸の中空部を
   通してインサイドダイを臨ませ、これら両ダイか
   ら各回転軸体外周面に加熱溶融した熱可塑性樹脂
   テープを吐出できるようにしてなる内面平滑コル
   ゲート管の製造装置。