JPH0338938B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この発明は、被加工材にハンマヘツドの運動エ
ネルギにより瞬間的に衝撃力を与えて、該加工材
を鍛造変形する空気ハンマ装置のような鍛造ハン
マの金型取付方法に関する。

(ロ) 従来技術 従来、鍛造機としての空気ハンマ装置は、例え
ば、下側のソーブロツクに下型を固定する一方、
上側のシリンダのピストンロツド下端にラムを介
して上型を固定し、この上型を上述の下型に対し
て上方へ離反させると共に、下型上に被加工材を
載置し、足踏レバーの操作時に、上方のラムを落
下させ、上下の金型の形状面に対応して被加工材
を鍛造するように構成されている。

上述の上型および下型をそれぞれのホルダに取
付ける従来方法は第８図に示す通りである。

すなわち、ソーブロツクとしての下側のホルダ
８１と、形状面８２を備えた下型８３とを設け、
ホルダ８１の凹部８４に下型８３を挿入すると共
に、下型８３とホルダ８１との対向部にそれぞれ
切込み８５，８６を形成し、これらの切込み８
５，８６により形成された略平行四辺形状の空間
部に、型固定用くさびとしてのコツタ８７を嵌入
することで、上述の下型８３をホルダ８１に取付
けていた。

同様に、ラムに固定される上側のホルダ９１
と、形状面９２を備えた上型９３とを設け、ホル
ダ９１の凹部９４に上型９３を挿入すると共に、
上型９３とホルダ９１との対向部にそれぞれ切込
み９５，９６を形成し、これらの切込み９５，９
６により形成された略平行四辺形状の空間部に型
固定用くさびとしてのコツタ９７を嵌入すること
で、上述の上型９３をホルダ９１に取付けてい
た。

しかし、上述の従来方法においては次のような
問題点があつた。

つまり、上述のコツタ８７，９７は被加工材を
直接打撃する金型８３，９３と、これら金型８
３，９３を保持するホルダ８１，９１との境界部
に嵌入されているので、打撃応力による捏ね作用
のため、上述のコツタ８７，９７が早期に損傷す
る欠点があり、このことは、被加工材として例え
ばステンレス等の硬質金属を鍛造変形する際に
は、一層顕著である。

また打撃の繰返しにより型面が、摩耗減少した
際には、金型８３，９３とホルダ８１，９１の凹
部８４，９４との間８８，９８にスペーサいわゆ
るげす板を介設するが、このスペーサ介設による
嵩上げのため、金型８３，９３に対するコツタ８
７，９７位置が可変するので、スペーサ（げす
板）とコツタ取付位置との寸法測定を行ない、金
型８３，９３とホルダ８１，９１との対向部に新
たな切込みを順次切削加工して形成する必要があ
るため、斯る作業が極めて煩雑であるばかりでな
く、上述の切込み形成により金型の構造が複雑化
し、型代が効果となる問題点を有していた。

さらに、上述のコツタ８７，９７は、加工工数
その他の関係上、第８図に示す如く金型８３，９
３の片側にのみ嵌入される構造であるから、こね
作用により金型８３，９３の安定性および取付け
精度が悪い問題点があつた。

(ハ) 発明の目的 この発明は、ネジ部材を一切使用することな
く、分割カラーを用いる特異な方法により、コツ
タの耐久性を向上させることができ、しかも金型
の着脱が簡単で、さらに型面の摩耗減少時には、
単にスペーサ（げす板）を介設するだけで従来の
ような寸法測定および切込み加工を必要としない
うえ、分割カラーによる締付け力が金型に均等に
作用し、金型のこねが生じなく、金型の安定性お
よび取付け精度がよい鍛造ハンマの金型取付方法
の提供を目的とする。

(ニ) 発明の構成 この発明は、奥部が大径で開口端が小径の環状
かつテーパ状円柱凹部を有する上下のホルダと、
上記テーパ状円柱凹部に対応する外径および真円
柱状の内径を有し、環状体を複数分割した分割カ
ラーと、上記各ホルダの奥部底面においてカラー
端部と対向する面に穿設した一対のコツタ挿入孔
と、上記分割カラーの内径に対応する真円柱状の
取付部をもつた上下の金型とを備え、上記各ホル
ダのテーパ状円柱凹部に分割カラーを挿入した後
に、この分割カラーの内径部に上下の金型の取付
部を挿入し、次いで、各ホルダの一対のコツタ挿
入孔にコツタを挿入して、該コツタで分割カラー
をホルダの開口端側に押圧付勢して、分割カラー
の内径部寸法を径方向内方へ縮小し、ホルダのテ
ーパ状円柱凹部に分割カラーの外周全面をバツク
アツプさせた状態で、ネジ部材を使用することな
く上記ホルダに分割カラーを介して上下の金型を
取付けた鍛造ハンマの金型取付方法であることを
特徴とする。

(ホ) 発明の効果 この発明によれば、ネジ部材を一切使用するこ
となく、上述の上下の各ホルダの凹部に、まず分
割カラーを挿入し、この分割カラー内に金型を挿
入した後に、一対のコツタを対応するそれぞれの
コツタ挿入孔に挿入すると、上述の分割カラーが
ホルダ開口端側に移動して、この分割カラーが径
方向内方へ均等に縮小するので、この分割カラー
の外周全面をホルダのテーパ状円柱凹部でバツク
アツプさせた状態下において、上述の分割カラー
により均等かつ強固に金型を締付け固定すること
ができ、金型にこねが生じなく、金型の安定性が
よく、取付け精度も向上する。

また、金型それ自体に何等切込みを設ける必要
がなく、同金型を極めて簡単かつ締付け強度が強
い状態に取付けることができる効果がある。

さらに、鍛造時に打撃力を付加しても、上述の
コツタには打撃応力による捏ね作用が付勢されな
いので、コツタの耐久性の向上を図ることができ
る効果がある。

加えて、金型の型面つまり形状面の摩耗減少時
には、上述の金型の取付部底面と、ホルダ凹部の
底面との間に単にスペーサ（げす板）を介設する
だけで、金型の高さ調整ができるので、金型を長
期間にわたつて使用することができるうえ、従来
のような寸法測定および切込み加工を必要としな
いので、金型の取付けが簡単であり、金型コスト
の低減を図ることができる効果がある。

(ヘ) 発明の実施例 この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は鍛造ハンマの金型取付方法に用いる空気
ハンマ装置を示し、第１図において、この空気ハ
ンマ装置１は、アンビル２の上部中央に凹状のベ
ースブロツク３を固定し、このベースブロツク３
の凹部に固定くさびとしてのコツタ４を介して下
側のホルダ５を取付けている。

また上述のアンビル２上にはフレーム６を介し
て流体シリンダ７を搭載し、このシリンダ７のピ
ストンロツド８下端に固定したラム９を、フレー
ム６中央の昇降空間１０内に上下動可能に配設し
ている。

そして上述ラム９の下面凹部には、固定くさび
としてのコツタ１１を介して上側のホルダ１２を
取付けている。

上述の上下の各ホルダ５，１２には後述する方
法により下型１３および上型１４をそれぞれ取付
け、下型１３上に被加工材たとえば1100℃前後に
加熱したステンレス塊を載置し、足踏レバー１５
の操作時に、上方のラム９を落下させ、この落下
時の衝撃エネルギにより上下の金型１４，１３の
形状面に対応して被加工材を塑性加工すべく構成
している。

次に、第２図乃至第７図を参照して、上述の金
型１３，１４の取付け方法について説明する。

まず、第２図に示す如く下側のホルダ５の環状
かつテーパ状円柱凹部１６に分割カラー１７を挿
入すると共に、上側のホルダ１２の環状かつテー
パ状円柱凹部１８にも同様に分割カラー１９を挿
入する。

ここで、上述の下側のホルダ５のテーパ状円柱
凹部１６は下方奥部が大径で、上方開口端が小径
のテーパ状であり、このホルダ５の奥部底面にお
いて分割カラー１７端部と対向する面には一対の
コツタ挿入孔２０，２０を穿設している。

また下側のホルダ５の凹部１６における底部中
央には下型１３の取付を安定させるための突起２
１を一体形成している。

同様に前述の上側のホルダ１２のテーパ状円柱
凹部１８は上方奥部が大径で、下方開口端が小径
のテーパ状であり、このホルダ１２の奥部底面に
おいて分割カラー１９端部と対向する面には一対
のコツタ挿入孔２２，２２を穿設している。

また上側のホルダ１２の凹部１８における中央
部にも、下側のホルダ５と同様に、上型１４の取
付を安定させるための突起２３を一体形成してい
る。

上述の各テーパ状円柱凹部１６，１８の傾斜角
θは、この実施例では約５度に設定している。

また前述の分割カラー１９は第６図に示す如く
環状体を３つに分割したそれぞれのカラー体１９
ａ，１９ｂ，１９ｃからなり、この分割カラー１
９とコツタ挿入孔２２，２２との位置関係は第５
図に示す如く、同挿入孔２２，２２に嵌入する一
方のコツタ２４で左側のカラー体１９ａを、また
他方のコツタ２５で右側のカラー体１９ｂを押圧
し得るように設定すると共に、２本のコツタ２
４，２５が互に平行となる如く上述のコツタ挿入
孔２２，２２の穿設位置が設定されている。

なお、以上の分割カラー、コツタ挿入孔および
コツタの構造については下側のホルダ５も同様で
ある。

また、上述の各分割カラー１７，１９はテーパ
状円柱凹部１６，１８に対応する外径と、真円柱
状の内径とを有する。

上述の各分割カラー１７，１９をそれぞれのホ
ルダ５，１２に挿入した後に、第３図に示す如
く、下側の分割カラー１７の内径部に下型１３の
真円柱状の取付部１３ａを挿入すると共に、上側
の分割カラー１９の内径部に上型１４の真円柱状
の取付部１４ａを挿入する。

ここで、上述の各取付部１３ａ，１４ａは、対
応する分割カラー１７，１９のそれぞれの内径に
対応した真円柱形状に形成している。

上述の各金型１３，１４の挿入時、分割カラー
１７，１９はテーパ状円柱凹部１６，１８の底部
に当接してその内径が若干拡大されているため、
上述の各金型１３，１４を円滑に挿入することが
できる。

次に、上下の各ホルダ５，１２の外側から同ホ
ルダ５，１２の各一対のコツタ挿入孔２０，２２
に第７図に示す如きコツタ２４，２５を嵌入す
る。

上述の各ホルダ５，１２にそれぞれコツタ２
４，２５を嵌入すると、これら左右のコツタ２
４，２５により分割カラー１７，１９が同ホルダ
５，１２の開口端側に押圧付勢されるので、一
旦、拡径状態に設定された分割カラー１７，１９
の内径寸法はテーパ状円柱凹部１６，１８のテー
パ面に沿つて径方向内方へ縮小し、これら上下の
各分割カラー１７，１９の外周全面がテーパ状円
柱凹部１６，１８でバツクアツプされた状態で、
上述の分割カラー１７，１９により金型１３，１
４の各取付部１３ａ，１４ａを均等かつ強固に締
結するので、上述の下型１３および上型１４は分
割カラー１７，１９を介して強い締付け力で上下
の各ホルダ５，１２に取付け固定される。

ここで、上述の各コツタ２４，２５は第７図に
示す如く、先端が半円形状で基端側が円形状の固
定くさびである。

このように、ネジ部材を一切使用することな
く、上述のホルダ５，１２の特異形状の凹部１
６，１８に、まず分割カラー１７，１９を挿入
し、次に、この分割カラー１７，１９内に金型１
３，１４を挿入した後に、一対のコツタ挿入孔２
０，２２にそれぞれのコツタ２４，２５を挿入す
ることで、分割カラー１７，１９をホルダ５，１
２のテーパ状円柱凹部１６，１８のテーパ面に沿
つて開口端側へ移動させ、この分割カラー１７，
１９が径方向内方へ均等に縮小するので、この分
割カラーの外周全面をホルダ５，１２のテーパ状
円柱凹部１６，１８でバツクアツプさせた状態下
において、上述の分割カラー１７，１９により金
型１３，１４を均等かつ強固に締付け固定するこ
とができ、金型にこねが生じなく、金型１３，１
４の安定性がよく、取付け精度も向上する。

また、金型１３，１４に従来の如き切込み加工
を何等施す必要がなく、同金型１３，１４を極め
て簡単に取付けることができる効果がある。

さらに、上述の金型１３，１４は、外周全面が
バツクアツプされた分割カラー１７，１９に締付
け固定されるので、従来のコツタによる取付方法
と比較して、締付け強度が強い状態で完全に取付
けることができる効果がある。

さらにまた、空気ハンマ装置１による鍛造時に
は、上述のコツタ２４，２５に打撃力が付加され
るが、従来の如き打撃応力による捏ね作用は何等
付勢されないので、このコツタ２４，２５の耐久
性の向上を図ることができる効果がある。

加えて、金型１３，１４の型面つまり形状面の
摩耗減少時には、上述の金型１３，１４の取付部
１３ａ，１４ａの底面と、ホルダ凹部１６，１８
底面との間、つまり第４図に示す部分Ａに単にス
ペーサ（げす板）を介設するだけで、金型の高さ
調整ができるので、金型を長期間にわたつて使用
することができるうえ、この取付部１３ａ，１４
ａの締付けは、あくまでも分割カラー１７，１９
により行なわれるので、従来のような寸法測定や
新たな切込み加工が全く不要となるため、金型１
３，１４の取付けが簡単となり、そのうえ金型１
３，１４のコストの低減を図ることができる効果
がある。

また、金型１３，１４の離脱時には、前述のコ
ツタ２４，２５を引抜けば、これら各金型１３，
１４を容易に取外すことができる。

さらに、金型１３，１４を共に２本のコツタ２
４，２５の嵌入により取付けるから、従来の片側
のみに嵌入する方法と比較して金型１３，１４
に、こね作用が付勢されることがなく、同金型１
３，１４の安定性が良好となり、また金型の取付
け精度が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示し、第１図は金
型取付方法に用いる空気ハンマ装置の概略正面
図、第２図は金型の取付工程を示す断面図、第３
図は金型の取付工程を示す断面図、第４図は金型
取付完了時の断面図、第５図は第４図の−線
矢視断面図、第６図は分割カラーの斜視図、第７
図はコツタの斜視図、第８図は従来例の説明図で
ある。 ５，１２……ホルダ、１３，１４……金型、１
６，１８……テーパ状円柱凹部、１７，１９……
分割カラー、２０，２２……コツタ挿入孔、２
４，２５……コツタ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 奥部が大径で開口端が小径の環状かつテーパ
   状円柱凹部１６，１８を有する上下のホルダ５，
   １２と、 上記テーパ状円柱凹部１６，１８に対応する外
   径および真円柱状の内径を有し、 環状体を複数分割した分割カラー１７，１９
   と、 上記各ホルダ５，１２の奥部底面においてカラ
   ー１７，１９端部と対向する面に穿設した一対の
   コツタ挿入孔２０，２２と、 上記分割カラー１７，１９の内径に対応する真
   円柱状の取付部１３ａ，１４ａをもつた上下の金
   型１３，１４とを備え、 上記各ホルダ５，１２のテーパ状円柱凹部１
   ６，１８に分割カラー１７，１９を挿入した後
   に、この分割カラー１７，１９の内径部に上下の
   金型１３，１４の取付部１３ａ，１４ａを挿入
   し、 次いで、各ホルダ５，１２の一対のコツタ挿入
   孔２０，２２にコツタ２４，２５を挿入して、 該コツタ２４，２５で分割カラー１７，１９を
   ホルダ５，１２の開口端側に押圧付勢して、分割
   カラー１７，１９の内径部寸法を径方向内方へ縮
   小し、 ホルダ５，１２のテーパ状円柱凹部１６，１８
   に分割カラー１７，１９の外周全面をバツクアツ
   プさせた状態で、 ネジ部材を使用することなく上記ホルダ５，１
   ２に分割カラー１７，１９を介して上下の金型１
   ３，１４を取付けた 鍛造ハンマの金型取付方法。