JPH0324262Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、鍛造金型から鍛造品を離脱せしめる
鍛造金型のノツクアウト装置に関するものであ
る。

（従来技術） 一般に、形状あるいは大きさの異なる複数種類
の鍛造品を製造する場合、鍛造機械の上側および
下側両ボルスターに各鍛造品を製造するための鍛
造金型を段替えして行なつており、この際、上型
と下型とを位置合わせして各ボルスターに取付け
る必要がある。

従来、両金型合わせ面部の各周縁部に凹凸形状
の各衝合面部を設けて鍛造時の金型の案内を行な
うようにしているが、それぞれ平面的な衝合面の
ため正確に両金型を位置合わせすることができ
ず、この衝合面を以てして前記金型段替え時の両
金型の位置合わせを行なうことはできなかつた。

そこで、従来は前記両金型の位置合わせを、金
型を該金型が取付けられるボルスターとの間に適
宜厚さのライナーを挾み込みボルスターに対する
金型の相対位置を調整することによつて行なわれ
ていたが、作業が非常に煩雑になりかつ多大な時
間を要するといつた問題があつた。

そこで、前記位置合わせを簡単かつ正確に行な
うためには孔と軸との関係、すなわち、複数箇所
において両鍛造金型に相対向して穿設した位置合
わせ用孔に位置合わせ用ピンを挿入して両鍛造金
型を位置合わせした後、該両金型をボルスターに
固定し、その後、位置合わせ用ピンを抜取ればよ
いことが考えられる。

従来、例えば実公昭57−24420号公報に示され
ているように、鍛造金型を貫通する貫通孔を摺動
自在に設けられたノツクアウトピンを鍛造金型の
前面側から突出させて鍛造金型から鍛造品に離脱
せしめるノツクアウト装置が知られている。

そこで、前記従来のノツクアウト装置におい
て、ノツクアウトピンが挿入される貫通孔を前記
両鍛造金型の位置合わせ用孔に利用することが考
えられるが、位置合わせ時において前記貫通孔に
は前記位置合わせ用ピンが挿入されるために、ノ
ツクアウトピンは予め前記貫通孔から抜いてお
き、位置合わせ後、すなわち両金型を両ボルスタ
ーに固定後において成形面部側から前記貫通孔に
挿入しなければならなくなる。

しかしながら、例えば前記実公昭57−24420号
公報に示されるように、一般に特に上型側ノツク
アウトピンには、鍛造金型背面部に設けられるリ
ターンスプリングと鍛造金型背面側から前記ノツ
クアウトピンを押圧動するエジエクト部材との間
に、該ノツクアウトピンを係止させ得るための係
止部が周方向に突出状に設けられているために、
該ノツクアウトピンは鍛造金型の前面側から前記
貫通孔に挿入することはできず、前記金型段替え
時における両金型を両ボルスターにて挾む前、す
なわち両金型の位置合わせ前に金型背面側からリ
ターンスプリングを介して挿入しておかなければ
ならず、このままでは前記貫通孔を両金型の位置
合わせ用孔として利用することはできないもので
あつた。

（考案の目的） 本考案は、ノツクアウトピンに前記のような係
止構造をもたせたまま金型の前面側から前記貫通
孔に挿入することができるようにすることによ
り、前記貫通孔を前述したように金型位置合わせ
用孔として利用できるようにし、鍛造用両金型の
位置合わせを簡単にかつ正確に行ない得る鍛造用
金型のノツクアウト装置を提供することを目的と
するものである。

（考案の構成） 本考案は、相対向する両金型貫通孔に各前面側
からそれぞれ挿入可能な上型側および下型側ノツ
クアウトピンを設けるとともに、少なくとも前記
上型側ノツクアウトピンの前記挿入方向前端部に
該挿入に伴いリターンスプリングとエジエクト部
材との間に拡開して係止される係止部材を設けた
ことを特徴とするものである。

（実施例） 以下、図示の実施例について本考案をより具体
的に説明する。

第１図において、１，２は両者を上下に合わせ
たときに前面側、すなわち両者の間に加工すべき
所定の形状をなす凹部をそれぞれ形成した上型お
よび下型で、上型１は鉛直方向に移動するプレス
ラム３に支持されたボルスター４にクランプして
固定される一方、下型２は基台（図示せず）上に
固定されたボルスター５にクランプして固定され
るようになつている。

そして、上型１の両側に取付フランジ１ａ，１
ｂには各々斜め下向きの傾斜面１ｃ，１ｄが形成
されており、一側の傾斜面１ｃは、ボルスター４
の上型取付位置の一側に固定され該傾斜面１ｃと
は反対に傾いた傾斜面６ａを有する固定ブロツク
６の該傾斜面６ａに当接されている。一方、上記
ボルスター４の上型取付位置の他側方には上記上
型１の他側の傾斜面１ｄと対峙して、固定ブロツ
ク７が配設固定されており、該固定ブロツク７の
上記傾斜面１ｄとの対向側には該傾斜面１ｄとは
反対に傾いた傾斜面７ａが形成されている。

また、８は、詳細構造については実公昭58−
28672号公報に開示される上型取付装置であり、
締付ボルト８ａによる上向きの締付力を、該締付
ボルト８ａの頭部と当接するスペーサ８ｂを介し
て押え金８ｃに作用せしめ、、該押え金８ｃのく
さび作用により上型１を上方に押圧してボルスタ
ー４の所定の取付位置に固定するように構成され
ている。

一方、下型２の両側の取付フランジ２ａ，２ｂ
には各々斜め上向きの傾斜面２ｃ，２ｄが形成さ
れており、一方の傾斜面２ｃはボルスター５の下
型取付位置合の一側に固定された該傾斜面２ｃと
は反対に傾いた傾斜面９ａを有する固定ブロツク
９の該傾斜面９ａに当接されている。一方、上記
ボルスター５の下型取付位置の他側方には、一定
の間隔をあけて凹部５ａが形成されているととも
に、該凹部５ａに連続して下型取付位置側に向つ
て延びる断面逆Ｔ字状の溝５ｂが形成されてい
る。

そして、１０は、詳細構造については実公昭58
−28673号公報に開示される下型取付装置であり、
ナツト１０ａとボルト１０ｂとにより押え金１０
ｃを下方へ押圧せしめ、該押え金１０ｃのくさび
作用により下型２を下方に押圧してボルスター５
の所定の取付位置に固定するように構成されてい
る。

また、１１は上型１の背面側のボルスター４内
に設けられたエジエクト部材であり、その上面部
にはボルト１２，１２および、その側方部にピン
１３，１３がそれぞれ樹立されるとともに、該ボ
ルト頭部とボルスター４との間には上記エジエク
ト部材１１を常時上方の付勢するリターンスプリ
ング１４，１４が各々弾装されている。

そして、上記エジエクト部材１１上方部のボル
スター４部には、上記ピン１３，１３の上端部に
それぞれ当接するとともに、各々下方に揺動して
エジエクト部材１１を押下げる揺動アーム１５，
１５が設けられている。

一方、１６は下型２の背面側のボルスター５内
に設けられたエジエクト部材であり、その下面部
にはピン１７，１７が樹立されている。

そして、上記エジエクト部材１６下方部のボル
スター５部には、上記ピン１７，１７の下端部に
それぞれ当接するとともに、各々上方に揺動して
エジエクト部材１６を押上げる揺動アーム１８，
１８が設けられている。

また、１９，９および２０，２０は上型１およ
び下型２前面側の凹部側方、すなわち成形面部側
方にそれぞれ一端が開口した上型１の作動方向、
すなわち鉛直方向に対向した金型貫通孔である。

そして、上型１側の金型貫通孔１９，１９内に
は、第２図および第３図に拡大して示すように
鍛造品４０のばり４０ａをけり下げる上型側ノツ
クアウトピン２１がそれぞれ上下動可能に挿入さ
れている。該上型側ノツクアウトピン２１の上端
部には切欠き凹部２１ａが形成されているととも
に、切欠き凹部２１ａ内に図中左右両側に拡開し
得、先端に鋭角部２２ａ，２２ａを各々有する両
係止部材２２，２２が配設され、両係止部材２
２，２２はノツクアウトピン２１の上端側壁２１
ｂ，２１ｂにピン２２３にて揺動自在に支持され
ている。

また、各２４，２４は金型貫通孔１９，１９の
ボス部と係止部材２２，２２，……との間に弾装
され、上型側ノツクアウトピン２１を上方に付勢
するリターンスプリングである。なお、２２ｂ，
……は係止部材２２，……に形成したリターンス
プリング２１の係止用凹部である。

一方、下型２側の金型貫通孔２０，２０内には
鍛造品４０のばり４０ａをけり上げる下型側ノツ
クアウトピン２５がそれぞれ上下動可能に挿入さ
れている。

次に、上記実施例の作用について説明すれば、
先ず、第１図に示すようにボルスター４，５に固
定された上型１と下型２との凹部間に素材４０を
搬入し、プレスラム３を下降させることにより下
型２上に上型１が合わせられ鍛造品４０が鍛造さ
れる。そして、プレスラム３の上昇動と連動する
連動機構（図示せず）によりそれぞれ揺動駆動さ
れる揺動アーム１５，１５および１８，１８によ
り、各エジエクト部材１１，１６が上型１および
下型２の各背面側から上型側および下型側両ノツ
クアウトピン２１および２５を押圧動する。押圧
動された両ノツクアウトピン２１および２５は上
型１および下型２の各前面側からそれぞれ突出
し、両型１，２から鍛造品４０を離脱させる。

ここで、上型１および下型２を両ボルスター
４，５から段替えする場合は、上型取付装置８お
よび下型取付装置１０により両ボルスター４，５
から上型１および下型２を取外すとともに、上記
上型１および下型２と同様に構成された新しく取
付ける上型１′および下型２′を鍛造機外で予め型
合わせする。

この際、第４図に示すように、上型１′および
下型２′の名金型貫通孔１９′，１９′および２
０′，２０′には、それぞれ途中につば部２６ａを
形成した位置合わせ用ピン２６を挿入せしめてそ
れらの位置合わせを行ない、かつ上型１′側の金
型貫通孔１９′のボス部にリターンスプリング２
４を装入した上で前述のように上型１′および下
型２′は両ボルスター４，５に固定される。

そして、この後は上型１′を上昇させて該上型
１′および下型２′間から上記位置合わせ用ピン２
６が抜け出た金型貫通孔１９′，１９′および２
０′，２０′に、それら金型１′，２′の各前面側か
らそれぞれ第１図のように上型側および下型側両
ノツクアウトピン２１，２５を挿入する。

この際、上型側ノツクアウトピン２１の係止部
材２２，２２は第３図に示すように、予め該ノ
ツクアウトピン２１の直径よりもその幅が小さく
された状態で金型貫通孔１９′に挿入され、その
鋭角部２２ａがエジエクト部材１１に当接する
と、上記挿入動により係止部材２２，２２はエジ
エクト部材１１の下面に案内されて第３図〜
に示すように次第に拡開されるようになる。

このとき、係止部材２２，２２の各鋭角部２２
ａ，２２ａはエジエクト部材１１とリターンスプ
リング２４との間に挿入されるとともに、第３図
Ｖのように完全に挿入された状態において、その
各係止用凹部２２ｂ，２２ｂとリターンスプリン
グ２４とが係合し確実に係止部材２２，２２が係
止されるようになる。

また、鍛造途中において、ノツクアウトピンの
交換等のためにノツクアウトピンのみを金型から
取外す場合は、予めノツクアウトピンの先端部に
係止用溝等を設けておき、エジエクト部材を押圧
作動させ、金型前面部から覗いた前記係止用溝等
の工具等で係止して金型前面側から引出すように
すればよい。

なお、上記実施例では上型側ノツクアウトピン
にのみ係止部材を設けるようにしたが、必要に応
じて下型側ノツクアウトピンにも該係止部材、そ
してリターンスプリングを設けるようにしてもよ
い。

また、上記実施例では各ノツクアウトピンによ
り鍛造品のばり部を押圧するようにしたが、本考
案は鍛造品自体を押圧するようにしたものにも適
用し得る。

（考案の効果） 本考案は、少なくとも上型側ノツクアウトピン
に、リターンスプリングとエジエクト部材との間
に拡開して係止される係止部材を設けたものであ
るため、該ノツクアウトピンは前述したような係
止構造を有するとともに金型の成形面部側から金
型貫通孔に挿入可能となり、その結果、該金型貫
通孔を金型位置合わせ用孔として利用でき、鍛造
用両金型の位置合わせを簡単かつ正確に行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本考案
に係るノツクアウト装置を備えた鍛造機の要部垂
直断面図、第２図は第１図に示すノツクアウトピ
ン部の平面図、第３図〜は第２図における
−線に沿う要部断面図についてノツクアウトピ
ンの金型貫通孔への挿入過程を順を追つて示す過
程図、第４図は金型の鍛造機への一取付工程を示
す一工程図である。 １，１′……上型、２，２′……下型、１１……
エジエクト部材、１９，２０……金型貫通孔、２
１……上型側ノツクアウトピン、２２……係止部
材、２４……リターンスプリング、２５……下型
側ノツクアウトピン、４０……鍛造品。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型および下型よりなる鍛造金型の背面側に設
   けられるリターンスプリングに抗して前記鍛造金
   型の背面側から押圧動するエジエクト部材によ
   り、ノツクアウトピンを前記鍛造金型の前面側か
   ら突出させて該鍛造金型から鍛造品を離脱せしめ
   る鍛造金型のノツクアウト装置において、上型お
   よび下型の各前面側に一端がそれぞれ開口し鍛造
   金型の作動方向に対向した両金型貫通孔に前記各
   前面側からそれぞれ挿入可能な上型側および下型
   側ノツクアウトピンを設けるとともに、少なくと
   も前記上型側ノツクアウトピンの前記挿入方向前
   端部に該挿入に伴い前記リターンスプリングとエ
   ジエクト部材との間に拡開して係止される係止部
   材を設けたことを特徴とする鍛造金型のノツクア
   ウト装置。