JPH033720Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、一般の建物の他に、免震を必要とす
る原子力発電所建屋、高精度機器を収納する建屋
などに有効な免震装置に関する。

（従来の技術） 従来より、免震装置として、複数枚の鉄板を積
層し、各鉄板間にゴム板を介在させたいわゆる積
層ゴムが提案されており、この積層ゴムの上端面
には建物下部などに取付けてある摩擦板の摩擦面
が接している。地震時に、積層ゴムが変形して上
端面が摩擦板の摩擦面をすべり、摩擦板の摩擦力
によつて、積層ゴムの変形が抑制されるものであ
る。

（考案が解決しようとする課題） 従来の免震装置では、積層ゴムに対する摩擦板
の摩擦面が水平面であるので、大地震時に摩擦板
の摩擦面で相対的すべり変形量が過大になること
が予想され、大地震時に積層ゴムが免震体として
機能を発揮できないおそれがある。

本考案の目的は、免震体のすべり変形量が大き
くなつた場合でも、この変形を抑制し、免震機能
を十分発揮できるようにすることにある。

（課題を解決するための手段） 本考案の特徴は、免震体と、この免震体の高さ
方向の一方側の端面に摩擦面が接触している摩擦
板とを具備するもので、上記免震体は所定の剛性
を備えた板体を複数枚積層して、板体間に弾性板
を介設したものであり、上記摩擦板は摩擦面が上
記端面に対して凹曲面を形成しているところにあ
る。

（作用） 地震時における例えば水平振動に対して、摩擦
板の湾曲面を形成している摩擦面が免震体の被摩
擦面との間で生ずる摩擦力によつて免震体のすべ
り変形を抑制する。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面を参照して説明す
る。

第１，２図において、免震体である積層ゴム１
は複数枚の鉄板１ａとゴム板１ｂとを交互にサン
ドイツチ状に積層して一体にしたものである。積
層ゴム１の上端面には、円板状の摩擦板２の下面
を構成している摩擦面２ａが接している。

摩擦板２は構造物である建物の下部３に取付け
られている。摩擦板２は、第１，３図に示すよう
に中心から半径ｒまでの部分が水平部となつてお
り、その外側が下方に直線的に屈成した曲面部２
ｂとなつており、全体を積層ゴム１の上端面に対
して凹曲面状に形成してある。曲面部２ｂは直線
的に傾斜することなく、第４図に示すようにゆる
やかな曲線を描くような曲面部２ｂ１であつても
よい。摩擦板２の曲面形状は、曲率などを変える
ことによつて各種の復元力特性を調整する。

積層ゴム１の取付け状態を説明する。積層ゴム
１の下端面には取付け板４を取付けてあり、取付
け板はアンカーボルト５によつて構造物例えばコ
ンクリート６上に固定されている。

したがつて、地震時に積層ゴム１は変形し、こ
の時摩擦板２は摩擦ダンパとして機能し、積層ゴ
ムの変位を抑制する。

上例では、摩擦板２は全体を凹曲面状に形成し
たが、第５図に示すように摩擦板１２の下面の摩
擦面１２ａのみを曲面とするものであつてもよ
い。

（考案の効果） 本考案によれば、摩擦面における免震体のすべ
り変形量が大きくなつた場合、曲面状を備えた摩
擦板により、従来例に比して摩擦力が大きくなる
ため、変形量を抑制し、変形が過大になることを
防止でき、免震機能を十分発揮できる。また簡単
に復元力特性を調整できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は使用状態を示す一部切欠断面図、第２
図は平面図、第３図は第２図−線拡大断面
図、第４図は摩擦板の他の実施例の一部の拡大断
面図、第５図は他の実施例の要部の断面図であ
る。 １……免震体（積層ゴム）、１ａ……板体（鉄
板）、１ｂ……弾性板（ゴム板）、２，１２……摩
擦板、２ａ，１２ａ……摩擦面、３……他方の構
造物である建物の下部、４……取付け板、５……
アンカーボルト、６……一方の構造物（コンクリ
ート）。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 所定の剛性を備えた複数枚の板体間に弾性板を
   介設してある免震体と、 この免震体の高さ方向の一方側の最端に位置し
   ている上記板体と一方の構造物とを固定する手段
   と、 上記免震体の高さ方向のもう一方側の最端に位
   置している上記板体の端面に接する摩擦面が上記
   板体の端面に対して凹曲面を形成して他方の構造
   物に固定してある摩擦板と を具備する免震装置。