JPH0335606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は自動車のフロントウインド傾倒装置
に関するもので、フロントウインドパネルをカウ
ルアツパパネルに枢着するヒンジの部分に改良を
加えて、インストルメントパネルの形状や構造を
簡単にすると共に、フロントウインドを傾倒でき
るものとできないもののインストルメントパネル
の共通化が図れるようにしたものである。

「従来の技術」 自動車には、一般市街地走行のほか悪路や山間
地帯など、すべての条件下での走行を可能とした
ものがある。この種の自動車は屋根を金属板とせ
ず、幌布を用いて着脱自在ないしは折畳自在に形
成するのが普通である。そしてこの場合、フロン
トウインドは車体に対して前方に傾倒できるよう
にして、幌布の屋根を取外したり、あるいは折畳
んだときにフロントウインドを傾倒することによ
り、オープンカーとしての完全化を図ることが行
なわれる。

ところでフロントウインドには、雨水や雨天時
に跳ねた水を払拭するためにウインドワイパが取
付けられる。このためフロントウインドの下部に
設けられるフロントウインドパネルの内側には、
ワイパモータが取付けられることになり、このワ
イパモータがフロントウインドの傾倒時にインス
トルメントパネルに当つて、そのままでは円滑な
フロントウインドの傾倒が行なわれないことにな
る。

そこで従来のフロントウインドを傾倒できるよ
うにした型式の自動車においては、インストルメ
ントパネルのワイパモータに対応した部分に切欠
きを設け、傾倒時にはワイパモータがこの切欠き
部分に移動し、非傾倒時にはこの切欠きを別部材
によりカバーすることが行なわれていた。

「考案が解決しようとする問題点」 従来のフロントウインド傾倒装置では、フロン
トウインドを傾倒できるようにした型式の自動車
と、傾倒できない型式の自動車とで異なつた構造
のインストルメントパネルを製造しなければなら
ないことになる。

この考案は、フロントウインドを傾倒自在に支
持するヒンジの部分に改良を加え、インストルメ
ントパネルに切欠き部分を設けなくてもフロント
ウインドを傾倒できるようにして、フロントウイ
ンドを傾倒できない型式の自動車とインストルメ
ントパネルの共通化を図つたものである。

「問題点を解決するための手段」 この考案の自動車のフロントウインド傾倒装置
は、カウルアツパパネルの後端にヒンジによりフ
ロントウインドパネルを枢着し、該フロントウイ
ンドパネルの車内側にブラケツトを突設して該ブ
ラケツトにワイパモータを取付け、前記フロント
ウインドを車体の前方に傾倒できるようにした自
動車において、前記ヒンジを、該ヒンジを形成す
る２つのアームを枢着する軸の部分がカウルアツ
パパネルに対して前後方向に移動できるように伸
縮自在に形成したことを特徴とするものである。

「作用」 インストルメントパネルに切欠き部分を設けな
くても、ヒンジを形成するアームを枢着する軸の
部分をカウルアツパパネルに対して前方に移動す
れば、フロントウインドを車体の前方に傾倒する
ことができる。

「実施例」 次にこの考案の一実施例を、フロントウインド
からインストルメントパネルにわたつて切断した
縦断面を示す第１図で説明すると、１はカウルア
ツパパネル、２はフロントウインドであつて、カ
ウルアツパパネル１の図示しない左側にはエンジ
ンフードが設けられ、その内部にエンジンが搭載
されている。

カウルアツパパネル１後部の裏面には補強板３
が当てがわれ、表面には基部を直角に折り曲げて
取付部４としたアーム５が当てがわれて、アーム
５の取付部４、カウルアツパパネル１、補強板３
はボルト６とナツト７により固定されている。カ
ウルアツパパネル１の後部は図示するように上方
に屈折して後方に折曲げており、その上部に若干
の距離をおき、ここにシールパツキン８を介して
フロントウインドパネル９が設けられている。フ
ロントウインドパネル９は、フロントパネル１０
とリヤパネル１１とを上下位置において接合して
断面箱状に形成したものであり、上部の接合部に
取り付けたウエザストリツプ１２により、フロン
トウインド２の下縁を支持している。

フロントウインドパネル９を形成しているフロ
ントパネル１０の裏面には補強板１３が当てがわ
れ、表面には基部を直角に折り曲げて取付部１４
としたアーム１５が当てがわれ、アーム１５の取
付部１４、フロントパネル１０、補強板１３はボ
ルト１６とナツト１７により固定されている。ア
ーム１５の先端は前述のアーム５の外側を覆つて
いるスリーブ１８の先端と重ね合わされ、軸１９
で枢着されている。これらアーム５，１５とスリ
ーブ１８、および軸１９でヒンジ２０が形成され
る。

次に、第２図、第３図も参照してヒンジ２０の
説明をすると、アーム５には前述のようにスリー
ブ１８が被冠しており、フロントウインドパネル
９等を車内側から押し、あるいは引くことによ
り、第１図、第２図の矢印Ａ，Ｂ方向にスリーブ
１８がスライドして、移動させ得るようになつて
いる。なお、フロントウインドパネル９の両側部
等には、フロントウインドパネル９を充分に引い
た第１図の状態に保持するロツク装置が設けられ
ている。

スリーブ１８の内側には、第２図に示すように
長手方向に長孔２１が設けられており、この長孔
２１にはアーム５の両側間に渡架された軸２２が
貫通している。なお、軸２２はスリーブ１８を充
分に前方に押し出した状態で切欠き２３の部分か
ら挿入することになる。第３図に示すようにスリ
ーブ１８の内部には、アーム５の上面に接する板
ばね２４がリベツト２５によつて取付けられてお
り、スリーブ１８の動きに若干の抵抗を与えるよ
うになつている。

第１図に示すようにフロントウインド２の後方
（車内側）には、樹脂で成形されたインストルメ
ントパネル２６が設けられており、このインスト
ルメントパネル２６とカウルアツパパネル１と
は、第１、第２のエクステンシヨンパネル２７，
２８を介してボルト２９とナツト３０で結合され
ている。なお、カウルアツパパネル１とエクステ
ンシヨンパネル２７との間、およびエクステンシ
ヨンパネル２７，２８間は溶接３１，３２で結合
されている。

フロントウインドパネル９のリヤパネル１１の
内側には、Ｌ字状の補強板３３が当てがわれてお
り、これらリヤパネル１１と補強板３３にボルト
３４，３５とナツト３６，３７により共締めして
車内側に突設したブラケツト３８，３９の先端に
は、ワイパモータ４０が取付けられている。

このように構成されたこの装置においては、フ
ロントウインドパネル９と車体側とをロツクする
ロツク装置を解除し、フロントウインドパネル９
等を車内側から押し、スリーブ１８をアーム５に
対して伸長する矢印Ａ方向に移動させ、軸１９を
カウルアツパパネル１に対して前方に移動させ
る。これにより、ワイパモータ４０もインストル
メントパネル２６の外方に充分に突出するため、
ワイパモータ４０はインストルメントパネル２６
に支障されることなく、フロントウインド２と共
に軸１９を中心にして矢印Ｃ，Ｄ方向に傾倒でき
ることになる。

「考案の効果」 この考案は上述のように構成したものであるか
ら、簡単な操作を加えるだけでフロントウインド
の傾倒時に、インストルメントパネルはワイパモ
ータの影響を全く受けないことになる。したがつ
て従来のもののようにインストルメントパネルに
ワイパモータを避けるための切欠きを設ける必要
は全くなく、これによりフロントウインドパネル
を傾倒する型式の自動車も、傾倒しない型式の自
動車も同一のインストルメントパネルでよいこと
になる。そして切欠き部がないので、別物のカバ
ー等を設ける必要がなく、製造工程が減少し、コ
ストダウンが図れることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の縦断面図、第２
図は第１図中のヒンジの斜視図、第３図は第２図
の−線に沿つた断面図である。 １……カウルアツパパネル、２……フロントウ
インド、５，１５……アーム、９……フロントウ
インドパネル、１８……スリーブ、２０……ヒン
ジ、４０……ワイパモータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カウルアツパパネルの後端にヒンジによりフロ
   ントウインドパネルを枢着し、該フロントウイン
   ドパネルの車内側にブラケツトを突設して該ブラ
   ケツトにワイパモータを取付け、前記フロントウ
   インドを車体の前方に傾倒できるようにした自動
   車において、前記ヒンジを、該ヒンジを形成する
   ２つのアームを枢着する軸の部分がカウルアツパ
   パネルに対して前後方向に移動できるように伸縮
   自在に形成したことを特徴とする自動車のフロン
   トウインド傾倒装置。