JPH0335425B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、婦人服や子供服等にループ状の模様
を施すことができるループ刺繍用ミシンに関する
ものである。

（従来の技術） 従来、婦人服や子供服の一部に刺繍を施すのに
本縫いミシン等を用いて刺繍を施している。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、従来のミシンでループ模様を施
した場合、ミシン駆けのときにループ模様が布地
の裏面側に形成されるため、視覚によつてループ
模様の形成状態を確認しながらミシン駆けをする
ことができなかつた。そして布地にどのような状
態でループ模様が形成されたかは、ミシン駆けを
した後でなければ確認することができなかつた。
そのため、布地に形成されるループ模様の並びが
不規則に成る懸念があつた。またミシン駆けをし
ながらループ模様の配列を、全体のバランスを考
えながらその都度任意に変えていくといつたこと
も、従来のミシンでは熟練者でないと難しかつ
た。

本発明は上記のような点に鑑みて開発されたも
のであり、その目的とする処は、ループ模様を施
す布地に対し、ループが形成される状態を視覚で
確認しながら形成できるようにしたループ刺繍用
ミシンを提供することにある。

（課題を解決するための手段） そこで、本発明は上記目的を有効に達するため
に、次のような構成にしてある。すなわち、駆動
源に連動して回転するミシン主軸と回転軸を有す
ると共に、布地押え機構並びに布地送り機構を具
備してなるミシンにおいて、上記駆動源に連動し
てなるミシン主軸に連結した連動機構を介して作
動する揺動軸の先端に、揺動杆を垂設すると共
に、該揺動杆の下端に水平杆を枢着し、且つ該水
平杆をミシン機枠の先端部に枢支した支持杆で揺
動可能に支持し、且つ該水平杆の先端にフツク杆
を垂設して、該フツク杆のフツク部がミシンベツ
ド部の下針出没空間に位置するように配設し、更
に前記ミシン主軸に連動するように配設さた前記
回転軸の先端に偏芯部材を設けると共に、該偏芯
部材に連結杆を介して下針軸を配設し、更に該下
針軸の先端に下針を設けると共に、該下針軸を上
下動可能に支持するブラケツトを前記ミシンベツ
ド部の下部に付設し、更に下糸ガイド部材を上記
ブラケツトに付設してなる構成にしてある。

（作用） 上記構成により、先ず下針を下針ガイド部材を
介して下針に係止し、ループ刺繍を施す布地を下
針等の作用するミシンベツド部の所定位置に載置
する。このようにした後にミシンの駆動源を作動
させる。この駆動源の作動によつてミシン主軸が
回転し、この主軸の回転に連動してミシン上部の
揺動機構、並びにミシン下部の回転軸が回転す
る。

上記揺動機構の作動により、この機構に連動す
る揺動軸は所定角度の正逆回転を繰り返す。この
動作に連動して、下針の出没空間に配設されたフ
ツク杆は、揺動杆、水平杆を介して、下針によつ
て布地上方に導かれた下糸をその先端のフツク部
で係止し、下針が下降するまで一時下糸を保持す
る動作をする。一方、前記回転軸の回転による偏
芯部材の回転により、下針を設けた下糸軸は連結
杆を介して上下運動を繰り返す。

このような動作により、下針が布地を挿通して
布地の上に突出した時、上記したフツク杆のフツ
ク部は、下針に導かれた下糸と下針との間に挿入
され、この下針が下降してしまうので、上記フツ
ク部は下糸を係止した状態を保持し続ける。上記
フツク部は、下針が再び上昇してくる瞬間に下糸
係止を解除する作動をする。この時、布地表面に
はループが形成される。またループ刺繍を施す布
地は、布地送り機構によつて布送りされる。

上記のような動作を順次繰り返しながら布地の
表面に連続したループが形成され、ミシン駆けを
する人は、目でループが形成される状態を見なが
ら布地にループ刺繍を形成することができる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図〜第７図に基
づいて説明する。

図において、１は本発明に係る一実施例のルー
プ刺繍用ミシンであつて、このミシン１では、ミ
シン針（本発明では下針１３）がミシンベツド部
１０の下方から上方向に向かつて上下動するよう
に構成され、またミシン針（下針１３）と共に上
方に導かれる下針Ｔは、このミシン針が降下して
再び上昇するまでフツク杆２５によつて一時的に
係止され、布地Ｙ上にループが形成されるように
してある。

より具体的に説明すると、第６図に示すように
ミシン機杆２の後部下方には、駆動源であるモー
タ３が設けられ、このモータ軸上に駆動プーリ４
が設けられている。またミシン機枠２に設けたミ
シン主軸６には被動プーリ７が設けられ、この被
動プーリ７はベルト５によつて上記駆動プーリ４
と連結されている。上記ミシン主軸６はモータ３
駆動によつて、駆動プーリ４、ベルト５、被動プ
ーリ７を介して回転するようにしてある。

また、第１図〜第３図に示すようにこのループ
刺繍用ミシン１にも従来の本縫いミシン同様、布
地押え機構Ａと布地送り機構Ｂが具備されてい
る。

すなわち、布地押え機構Ａは、ミシン機枠２の
前部内に上下動可能に押え棒８が設けられ、この
押え棒８の下端に押え足９が付設されている。ま
た布地送り機構Ｂは、下針１３の上下動に同期し
て往復揺動する水平送り軸１１と垂直送り軸１２
とがミシンベツド部１０内に設けられ、この水平
送り軸１１には支持アーム１４を介して送り台１
５が設けられている。更にこの送り台１５の上に
は送り歯１６が載設されている。また上記送り台
１５には二又係合アーム１８が連設され、この二
又係合アーム１８は前記垂直送り軸１２の係合部
材１９に係合している。

そして上記水平送り軸１１の揺動運動に連動し
て前記送り歯１６が水平方向に往復運動し、また
垂直送り軸１２の揺動運動に連動して送り歯１６
は垂直方向に往復運動し、上記送り歯１６に四送
り運動が付与される。このとき送り歯１６はミシ
ンベツド部１０の開口部１７に出没して前記押え
足９と伴に、ループ刺繍を施す布地Ｙを送す働き
をする。

しかして、ミシン機枠２の前側部には、前記ミ
シン主軸６（第６図）に連結した連動機構２０が
設けてあり、ミシン主軸６の回転に連動して作動
するようにしてあるこの連動機構２０には、作動
時に鋭角の正逆回転運動をする揺動軸２１が連結
してある。またこの揺動軸２１の先端には、揺動
杆２２が垂設され、該揺動杆２２の下端には水平
杆２３が枢着してある。この水平杆２３は、ミシ
ン機枠２の先端部に枢支した支持杆２４に揺動可
能に支持され、この水平杆２３の先端にフツク杆
２５が垂設してある。このフツク杆２５の先端
は、下針１３に案内された下糸Ｔを引つ掛けられ
るように屈曲形成してフツク部２５ａを形成して
ある。フツク部２５ａは、図示したようにミシン
ベツド部１０上方の下針１３出没空間Ｋに位置す
るように配設してある。

上記フツク杆２５は、前記揺動軸２１の揺動作
用によつて、揺動杆２２、水平杆２３を介してミ
シンベツド部１０上方に出没する下針１３側に移
動し、一時的に下針１３で案内された下糸Ｔをそ
の先端のフツク部２５ａで保持できるようにして
ある。

しかして、前記ミシン主軸６に連動するように
配設された回転軸２６の先端には、偏芯部材であ
るクランク２７が連結してある。この偏芯部材は
偏芯カムであつてもよい。上記クランク２７には
連結杆２８の一端が枢着してあり、この連結杆２
８の他端は下針軸２９に枢着してある。この下針
軸２９の先端には前記した下針１３（ミシン針）
が設けてある。また上記下針軸２９を上下動可能
に支持するために、ミシンベツド部１０の下部に
支持ブラケツト３０が付設してある。下針軸２９
は、この支持ブラケツト３０の貫通孔３１を穿設
してなる下針軸取付部３２に上下動可能に配設さ
れている。上記連結杆２８の連結部２８ａは、上
下動可能なように下針軸取付部３２の中央開口部
３２ａに配設されている。

また前記下針１３は、回転軸２６の回転に連動
し、クランク２７、連結杆２８、下針軸２９を介
して上下動をする。このことによつて下針軸２９
の先端に設けた下針１３は、前記した送り歯１６
の間からミシンベツド部１０の上方に下糸Ｔと共
に出没することになる。前記ブラケツト３０の下
針軸取付部３２の外面には、供給する下糸Ｔを張
設して下針１３まで導くための下糸ガイド部材３
３が付設してある。

上述のような構成からなる本発明のループ刺繍
用ミシン１の作動状態を以下に説明する。

先ず下糸Ｔを下糸ガイド部材３３に係合させる
と共に、その先を下針１３の針孔に挿通して下針
１３に係止する。一方、ループ刺繍を施す布地Ｙ
をミシンベツド部１０の所定位置に載置し、押え
棒８を降下させてこの布地を押え足９で押さえ
る。

このようにした後に、モータ３を駆動させてミ
シン主軸６に連動する連動機構２０、回転軸２６
及び前記布地送り機構Ｂを作動させる。上記連動
機構２０の作動によつて揺動軸２１も作動し、フ
ツク杆２５は揺動杆２２、水平杆２３、支持杆２
４を介し揺動運動を行う。また、下針１３は、回
転軸２６の回転により、クランク２７、連結杆２
８及び下針軸２９を介して上下運動を繰り返す。
上記各部の動作はミシン主軸６の回転に同期して
行われる。そして上記各部の動作により布地Ｙに
ループ刺繍が施される。

その状態を第３図〜第５図及び第７図によつて
詳述すると、先ず上昇した下針１３はミシンベツ
ド部１０上の布地Ｙを貫通して上方に突出し、下
針１３が上昇点に達したとき、フツク杆２５は揺
動作用によつてそのフツク部２５ａを下糸Ｔと下
針１３との間に挿入される。このフツク部２５ａ
が下糸Ｔと下針１３との間に挿入された時、下針
１３は降下し、更びこの下糸８が上昇してくる時
に、フツク部２５ａは係止した下糸Ｔから離れ
る。この時、布地Ｙの表面にはループＸが形成さ
れる。そして下針１３が上記のように布地Ｙを貫
通して上昇点に達した時に、再び上記のようにフ
ツク部２５ａを下糸Ｔと下針１３との間に挿入す
る。このようにして上述したような動作を順次繰
り返して、布地表面に連続したループ模様が形成
される。

（発明の効果） このように本発明では、ミシン駆けをする場
合、布地の表面にループ刺繍を形成することがで
きるので、その布地の表面に形成されるループを
目で確認しながら布地に連続したループ模様を形
成していくことができる。

したがつて、ループ模様を形成する布地の所定
位置に正確に、かつ全体的な模様のバランスを常
時目で確認しながらループ模様を形成していくこ
とができる。また、既にループ模様を施した布地
のそのループ模様を後で補修する場合にも、ルー
プ模様側を表にして目で確認しながら補修ができ
るので、その補修作業が非常にし易くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の要部を示す斜視図、第２図は
第１図の矢視Ｓ方向からみた要部斜視図、第３図
は下針がミシンベツド部上に突出した状態を示す
斜視図、第４図はフツク部が下糸と下針との間に
挿入した状態を示す斜視図、第５図は布地にルー
プを形成した状態を示す斜視図、第６図は概略正
面図、第７図は本発明のミシンによつて形成され
たループ模様を施してなる布地の斜視図である。 １……ループ刺繍用ミシン、６……ミシン主
軸、１０……ミシンベツド部、１３……下針、２
０……連動機構、２１……揺動軸、２２……揺動
杆、２３……水平杆、２４……支持杆、２５……
フツク杆、２５ａ……フツク部、２６……回転
軸、２７……偏芯部材（クランク）、２８……連
結杆、２９……下針軸、３０……ブラケツト、３
３３……下糸ガイド部材、Ｔ……下糸、Ａ……布
地押え機構、Ｂ……布地送り機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 駆動源に連動して回転するミシン主軸と回転
   軸を有すると共に、布地押え機構並びに布地送り
   機構を具備してなるミシンにおいて、上記駆動源
   に連動してなるミシン主軸に連結した連動機構を
   介して作動する揺動軸の先端に、揺動杆を垂設す
   ると共に、該揺動杆の下端に水平杆を枢着し、且
   つ該水平杆をミシン機枠の先端部に枢支した支持
   杆で揺動可能に支持し、且つ該水平杆の先端にフ
   ツク杆を垂設して、該フツク杆のフツク部がミシ
   ンベツド部の下針出没空間に位置するように配設
   し、更に前記ミシン主軸に連動するように配設さ
   れた前記回転軸の先端に偏芯部材を設けると共
   に、該偏芯部材に連結杆を介して下針軸を配設
   し、更に該下針軸の先端に下針を設けると共に、
   該下針軸を上下動可能に支持するブラケツトを前
   記ミシンベツド部の下部に付設し、更に下糸ガイ
   ド部材を上記ブラケツトに付設してなる構成を特
   徴とするループ刺繍用ミシン。