JPH0333721B2 - - Google Patents

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JPH0333721B2
JPH0333721B2 JP61182828A JP18282886A JPH0333721B2 JP H0333721 B2 JPH0333721 B2 JP H0333721B2 JP 61182828 A JP61182828 A JP 61182828A JP 18282886 A JP18282886 A JP 18282886A JP H0333721 B2 JPH0333721 B2 JP H0333721B2
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JP
Japan
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inorganic oxide
spherical
solvent
solution
silica
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JP61182828A
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JPS6289701A (ja
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Shigeki Yuasa
Koji Kusumoto
Katsumi Suzuki
Namihiro Okabayashi
Hideki Oono
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Publication of JPH0333721B2 publication Critical patent/JPH0333721B2/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なシリカと周期律表第族(以下
第族と略記する)の金属酸化物とを主な構成成
分とする球形状の無機酸化物、及び重合可能なビ
ニルモノマーとよりなる複合材に関する。 〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題
点〕 従来、シリカと第族の金属酸化物とを主な構
成成分とする無機酸化物は知られているが、その
形状は不定形であつて球形状のものについては知
られていない。また、その製法も公知の方法はシ
リカと第族の金属酸化物を混合し、該混合物を
融点以上の高温で溶解しガラス状物を得て、該ガ
ラス状物を粉砕する方法であつた。そのために形
状が前記したように不定形であるばかりでなく粒
度分布は著しく広いもので、限られた用途にしか
使用出来なかつた。また別の製法として、アルコ
キシシランと第族の金属のアルコラートとを混
合し、これを加水分解することで寒天状のゲルを
得て、該寒天状物を焼成することでシリカと第
族の金属酸化物を得ることが知られている。この
方法は寒天状のゲルを板状にしたり、繊維状にし
たりすることで限られた形状に変えることが出来
る点で前記方法に比べればすぐれている。しかし
ながら、かかる製法を採用しても形状が球形状
の、特に粒子径が小さい例えば0.1〜1.0μの粒子
径が揃つた無機酸化物を得ることは出来なかつ
た。従つて球形状の粒子径が揃つたシリカと第
族の金属酸化物とよりなる無機酸化物を得ること
は大きな技術課題であつた。 一方、本発明の目的は、機械的強度、表面硬度
だけでなく、透明性および表面滑尺性の良好な硬
化体を与える複合材を得ることである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、上記した球形状の粒子径が揃つ
たシリカと第族の金属酸化物とよりなる無機酸
化物の開発に成功した。そして、該無機酸化物と
重合可能なビニルモノマーとよりなる複合材が、
上記したような優れた性質を示す硬化体となるこ
とを見い出し、本発明を完成するに至つた。 即ち、本発明は、重合可能なビニルモノマー及
びシリカと周期律表第族金属の酸化物とを主な
構成成分とする球形状の無機酸化物(以下、単に
球状無機酸化物という)よりなることを特徴とす
る複合材である。 本発明において球状無機酸化物はシリカのシリ
コン原子と第族の金属酸化物、例えば酸化チタ
ニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸
化錫、酸化鉛等が酸素を仲介に結合しており、主
にシリカと第族の金属酸化物とがその構成成分
となつている。そして上記第族の金属酸化物
(以下単に一般式MO2(但しMは第族の金属)
で表示する場合もある)の構成比率は得られる球
状無機酸化物の形状に大きな影響を与える。勿論
MO2の種類、製造方法、製造条件等によつてそ
の構成比率が形状に与える影響は変つて来るが一
般に球状無機酸化物を得ようとする場合はMO2
の構成比率を30モル%以下、さらには20モル%以
下におさえるのが好ましく、特に0.01〜15モル%
の範囲のMO2の構成比率を選択するときは粒子
径が揃つた真球に近いものとなる。該MO2の構
成比率は化学分析することによつて確認出来る
が、MO2の種類によつては螢光X線分析によつ
て確認出来るものもある。しかし通常は原料比か
ら理論的な計算で算出されたものと大差を生じな
いので、製造原料比が明らかな場合は、該原料比
より算出することも出来る。 かかる球状無機酸化物はシリカとMO2との構
成成分が一般には化学的に結合して存在するもの
で、これらの構成成分を物理的に分離することは
出来ない。また両成分が化学的に結合しているこ
とは通常無機酸化物の赤外スペクトル及び屈折率
を測定することで確認することが出来る。例えば
赤外スペクトルについてはMO2がTiO2のときは
950cm-1に特異な吸収を認めることが出来るし、
球状無機酸化物の屈折率がその構成成分それぞれ
の屈折率の間にありMO2の成分例えばTiO2
ZrO2が増加すると共にシリカ単独の屈折率より
高くなることから確認することが出来る。 本発明において球状無機酸化物は走査型又は透
過型の電子顕微鏡写真をとることにより、その形
状、粒子径、粒度分布等についての測定を行うこ
とが出来る。また一般に本発明の無機酸化物はそ
の粒子径が小さく、例えば0.1〜1.0μの範囲のも
ので、その粒度分布は著しく揃つたものである。
例えば粒子径の標準偏差値は1.30以下のものとす
るとこも可能である。 本発明において、シリカとMO2とを主な構成
成分とする球状無機酸化物は比表面積が100m2
g以上、一般には100〜200m2/gの範囲のもの
と、比表面積が100m2/g未満、一般には1〜50
m2/gの範囲のものとがある。詳しくは後記する
が両成分の原料をアルカリ性溶媒中で反応させ、
加水分解することによつて得た球状無機酸化物は
比表面積が一般に100m2/g以上の大きいもので
ある。かかる無機酸化物を500℃以上温度、一般
には500〜1300℃程度の温度で焼成すれば無機酸
化物の比表面積は小さくなり100m2/g未満とな
る。しかしながら、いずれの球状無機酸化物にあ
つてもその構成成分及び形状はほゞ同一の構成比
及び球形状を呈する。 本発明において球状無機酸化物は、そのほとん
どが非晶質或いは非晶質と一部結晶質との混合物
であるが、MO2の種類によつては結晶質の混合
物として製造される。一般にこれらの判定はX線
回析又は屈折率測定等の手段で分析することによ
つて確認することが出来る。 また本発明に使用する球状無機酸化物はその表
面に−OH基を結合して有するもので該OH基の
量はアルカリ中和法の測定で確認することが出来
る。一般に前記比表面積が大きい即ち焼成前のも
のは1.0〜2.0mmol/gの範囲で、また比表面積
が小さいもの即ち焼成後のものは0.01〜
0.10mmol/gの範囲でOH基を有する場合が多
い。 更にまた、本発明において球状無機酸化物の比
重及び屈折率はそれぞれ、MO2の種類と構成比
率によつて異なるので一概に表示することが出来
ない。最も一般的には比重が1.20〜3.00、屈折率
が1.35〜1.70の範囲のものが多い。 本発明において、球状無機酸化物の製法は前記
性状を与える方法である限り特に限定されるもの
ではない。最も代表的な方法について以下詳細に
説明する。 (1) 加水分解可能な有機珪素化合物の低縮合物と
加水分解可能な第族金属の有機化合物とを含
む混合溶液を、該有機珪素化合物の低縮合物及
び第族金属の有機化合物は溶解するが反応生
成物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に
添加し、加水分解を行い、反応生成物を析出さ
せる方法がある。 上記加水分解可能な有機珪素化合物の低縮合
物は種々あるが、工業的に入手しやすいものと
して例えば一般式Si(OR)4で示されるアルコキ
シシランを部分的に加水分解して得られる低縮
合物が特に限定されず使用される。該一般式中
のRはアルキル基で一般にはメチル基、エチル
基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキ
ル基が好適に使用される。これらのアルコキシ
シランの低縮合物はアルコキシシランを部分加
水分解するか、又は市販品をそのまま又は蒸留
精製して用いればよい。 また、もう一つの原料である加水分解可能な
第族金属の有機化合物は一般式M(OR′)4(但
しR′はアルキル基)で表示される。金属アル
コキシド化合物又は上記一般式中の一つ又は二
つのアルコキシド基(OR′)がカルボキシル基
あるいはβ−ジカルボニル基で置換された化合
物が好ましい。ここでMは第族の金属で、具
体的には例えば、チタニウム、ジルコニウム、
ゲルマニウム、ハフニウム、錫又は鉛が好適に
使用される。本発明に於いて一般に好適に使用
される上記化合物を具体的に例示すると、Ti
(O−isoC3H74,Ti(O−nC4H94,Ti(O−
CH2CH(C2H5)C4H94,Ti(O−C17H354
Ti(O−isoC3H72〔CO(CH3)CHCOCH32
Ti(O−nC4H92〔OC2H4N(C2H4OH)22,Ti
(OH)2〔OCH(CH3)COOH〕2,Ti(OCH2CH
(C2H5)CH(OH)C3H74,Ti(O−nC4H92
(OCOC17H35)等の有機チタニウム化合物及び
上記Tiに代つて、Zr,Ge,Hf,Sn及びPbで
代替した有機金属化合物等である。 本発明に於ける前記アルコキシシランの低縮
合物と前記有機金属化合物とは予め混合し、混
合溶液として調製する。上記混合溶液の溶媒は
前記原料を溶解するものであれば特に限定され
ず使用出来るが、後述する反応性、操作性、入
手が容易な事等の理由で一般にはメタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
エチレングリコール、プロピレングリコール等
のアルコール溶媒が好適に用いられる。またジ
オキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶
媒、酢酸エチルなどのエステル溶媒等の有機溶
媒を上記アルコール性溶媒に一部混合して用い
る事もできる。また前記原料はそれぞれ別々に
溶媒に溶解しておき該溶媒を混合するのが一般
的であるが、一方の原料を溶解した溶媒中に他
の原料を添加し溶解し混合溶液とすることも出
来る。更にまた前記原料を溶解した溶液の濃度
は一般に低い方が好ましいが、低くすぎると溶
媒の使用量が著しく増大するし、濃度が高すぎ
ると反応の制御が難しくなつたり取扱いが不便
になるので、これらを勘案して適宜決定すれば
よい。一般には原料濃度が50重量%以下、好ま
しくは5〜50重量%の範囲の濃度として使用す
るのが最も好ましい。 本発明に使用する球状無機酸化物を得るため
には、一般に前記原料混合溶液中の珪素(Si)
と第族金属(M)との混合比及び加水分解可
能な有機珪素化合物の部分加水分解に使用され
る水の量を制御すると好適である。例えば加水
分解可能な有機珪素化合物を溶解した溶液中の
水は溶媒に含まれて来たり、或いは原料の有機
珪素化合物を加水分解するため積極的に添加さ
れるものであるが、該水の量が多すぎると無機
酸化物を球形状にするのは一般に難しく得られ
る無機酸化物の形状は不定形となる傾向があ
る。従つて、球形状の無機酸化物を得るために
は加水分解可能な有機珪素化合物を溶解した溶
液中の水の量は少ない方が好ましく一般には
H2O/M≧1.0、好ましくはH2O/M≧2.0で且つ H2O/Si≦4、好ましくはH2O/Si≦1.0の条件を満 足するように選べば良好である。 また加水分解可能な有機珪素化合物を溶解し
た溶液中に添加される水の量と同様にSiとMと
の混合比も制御するのが好ましく、一般には
M/Si+M≦0.3、好ましくはM/Si+M≦0.2となる ように選ぶのが好適である。 上記条件が球状無機酸化物の生成にどのよう
な作用を及ぼすのか現在なお明確ではないが、
該無機酸化物の生成時には中間体としてアルコ
キシシランのオリゴマーが存在している必要が
あるものと推定している。この現象は次の事実
からも推定しうる。即ち、例えばテトラエチル
シリケート(Si(Oεt)4)に水を加えて加水分解
すると、加水分解直後に於いては次のようなシ
ラノール基を有する中間体が存在することをガ
スクロマトグラフイー等の分析手段で確認出来
る。
【式】
【式】
【式】
【式】
上記中間体は反応性に富み、相互に或いは他
のエチルシリケートと反応して脱アルコール反
応で高縮合体を形成し、消減する。そして前記
中間体の生成量が適当な場合に最終反応生成物
である無機酸化物は球形状となる。出発原料と
して市販のテトラエチルシリケートを蒸留した
ものを用いる場合は所定量の水を添加後例えば
25℃で2時間〜3時間、60℃では数分〜10分程
度で目的とする中間体が得られるが、加水分解
しにくい原料にあつては加水分解促進剤例えば
塩酸、硝酸等の鉱酸或いはイオン交換樹脂など
を添加することによつて加水分解を促進させる
ことができる。上記加水分解促進剤を添加する
場合は、該加水分解促進剤の添加量によつて加
水分解速度が異なるので予め適度に加水分解を
うける反応条件を決定しておけばよい。従つて
前記加水分解可能な有機珪素化合物を溶解した
溶液中の水の量、即ちテトラエチルシリケート
の加水分解をさせるための水の量が得られる無
機酸化物の形状即ち球形状か否かに大きな影響
をもつことは上記結果からも明白であろう。 前記原料混合溶液中のMとSiとの存在比率は
得られる球状無機酸化物の屈折率に影響を与え
る。従つて屈折率の変化を必要とする場合は上
記比率を制御すればよい。 前記原料混合物は撹拌又は静置することによ
り、有機珪素化合物の一部は更に加水分解さ
れ、第族金属の有機化合物と反応すると考え
られる。なぜならば後述するアルカリ性溶媒中
に有機珪素化合物を溶解した溶液と第族金属
の有機化合物を溶解した溶液とを予め混合調製
することなくそれぞれ別々に添加反応させても
球状無機酸化物を得ることは出来ない。従つて
本発明の球状無機酸化物の製造にあつては予め
両原料を混合した溶液を調製することが必要で
ある。該混合溶液の調製条件は特に限定されな
いが、両原料を均一に分散させ反応させるため
に一般には0〜80℃で数分〜数時間撹拌下又は
静置して調製するのが好ましい。 以上のように調製した原料混合溶液は次い
で、該両原料は溶解するが生成する無機酸化物
は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に添加
し、シリカと第族の金属酸化物とを主な構成
成分とする球状無機酸化物を析出させるのであ
る。該両原料は溶解するが生成する球状無機酸
化物は実質的に溶解しない溶媒は特に限定され
ず公知の有機溶媒が使用される。一般に好適に
使用される溶媒は前記有機珪素化合物の低縮合
物及び第族金属の有機化合物の溶媒として記
載したものと同じアルコール性溶媒、又はエー
テル溶媒、エステル溶媒等の有機溶媒を前記ア
ルコール性溶媒に一部添加した混合溶媒と水と
よりなる含水溶媒である。上記含水溶媒は前記
したようにアルカリ性であることが必要であ
る。該アルカリ性にするためには公知の化合物
が使用出来るが、一般にはアンモニアが最も好
適に使用される。 本発明の球状無機酸化物の粒子径は前記有機
溶媒の種類、水の量、アルカリ濃度等の要因に
よつて影響をうけるので予め適宜これらの条件
を決定しておくのが好ましい。一般にはアルカ
リ性溶媒のアルカリ濃度は1.0〜10mole/の
範囲で選択するのが好ましく、アルカリ濃度が
高い程得られる球状無機酸化物の粒子径は大き
くなる傾向がある。また該アルカリ性溶媒中の
水の量は加水分解をより促進させて球状無機酸
化物を生成させるために必要とするもので、一
般には0.5〜50mole/の範囲から選ぶのが好
適である。該水の濃度は一般に高い程得られる
球状無機酸化物の粒子径は大きくなる傾向があ
る。更にまた球状無機酸化物の粒子径が影響を
うける他の要因は前記有機溶媒の種類であり、
一般には炭素原子数の数が多くなれば得られる
球状無機酸化物の粒子径は大きくなる傾向があ
る。 前記アルカリ性溶媒中に原料混合溶液を添加
する方法は特に限定されないが、一般には少量
づつ長時間かけて添加するのが好ましく、通常
数分〜数時間の範囲で実施すればよい。また反
応温度は種々の条件によつて異なり一概に限定
することが出来ないが、通常は大気圧下0℃〜
40℃、好ましくは10〜30℃程度で実施すればよ
い。上記反応はまた減圧下或いは加圧下で実施
することも出来るが、大気圧下で十分に進行す
るので常圧で実施すればよい。 以上の反応操作によつて析出する生成物は分
離後乾燥すればよい。このようにして得られた
球状無機酸化物は前記したようにシリカと
MO2とを主な構成成分とし、比表面積が100
m2/g以上を有するものである。そして前記の
ような種々の条件を選ぶことにより球形状の一
般に粒子径が0.1〜1.0μの範囲で、粒子径の標
準偏差値が1.30以下と云うすぐれた粒度分布を
有する無機酸化物である。 (2) 前記(1)の方法においてアルカリ性溶媒中に予
め沈澱析出のための核となるシリカ重合体から
なる種子を存在させておき、しかるのちに前記
(1)と同様な反応を行い球状無機酸化物を得る方
法がある。 上記方法における種子はシリカ重合体からな
る粒子であれば特に限定されず用いられる。そ
してこの様な種子を存在せしめる方法は特に限
定されないが、例えば既に粒子として分離され
たものを、アルカリ性溶媒中に分散せしめる方
法あるいは、アルカリ性溶媒中で生成せしめそ
のまま分離することなく種子として用いる方法
が好適に採用される。後者の方法について、更
に詳しく説明すると、予めアルコキシシラン又
はその低縮合物を更に加水分解する事により、
まずシリカ重合体からなる種子を生成させてお
き、該シリカ重合体の存在下に前記(1)と同様の
反応を行い球状無機酸化物を得る方法である。
該アルコキシシラン又はその低縮合物はこれら
のアルコキシシラン又はその低縮合物は溶解す
るが得られるシリカ重合体は溶解しない溶媒中
で加水分解されてシリカ重合体となる。該シリ
カ重合体は最終的に生成する無機酸化物の核と
なるもので、必ずしも上記溶媒中で沈澱物とし
て肉眼で確認出来る程の大きさとなる必要はな
く、種子が生成していれば肉眼では確認出来な
い程小さい粒子であつてもよい。またアルコキ
シシラン又はその低縮合物からシリカ重合体を
生成する方法は特に限定されず公知の加水分解
方法が採用出来る。例えば前記(1)で説明したと
同様のアルカリ性溶媒中に前記(1)で説明したよ
うな特定量の水を存在させ、アルコキシシラン
又はその低縮合物を添加すればよい。該アルコ
キシシラン又はその低縮合物はそのまま添加し
てもよいが、一般には前記(1)で説明したような
可溶性溶媒に溶解し、1〜50重量%の濃度に調
整して使用するのが好適である。 上記シリカ重合体を生成させた後は前記(1)と
同じ操作で球状無機酸化物を析出させ、分離乾
燥すればよい。このようにして得た球状無機酸
化物はシリカを核にシリカとMO2とを主成分
とする球状無機酸化物となるので得られた粒子
径の粒度分布は特に良好である。また得られる
球状無機酸化物の比表面積は100m2/g以上の
もので、その粒径は0.1〜1.0μ程度のものとな
る。 (3) 加水分解可能な有機珪素化合物の低縮合物と
加水分解可能な周期律表第族金属の有機化合
物とを含む混合溶液を、該有機珪素化合物の低
縮合物及び周期律表第族金属の有機化合物は
溶解するが反応生成物は溶解しないアルカリ性
溶媒中に添加し加水分解を行い反応生成物を析
出させ、次いで該反応系に加水分解可能な有機
珪素化合物を添加し加水分解させて得る方法が
ある。 上記(3)の方法はシリカとMO2とを主な構成
成分とする球状無機酸化物を析出させる操作ま
では前記(1)と同じであるが、本方法では該無機
酸化物の沈澱を生成させた後、有機珪素化合物
を添加反応させるものである。該最後に反応さ
せる有機珪素化合物は前記原料として使用する
一般式Si(OR)4(但しRはアルキル基)で示さ
れるアルコキシシラン又はその低縮合物が特に
限定されず使用しうる。また該析出物に該アル
コキシシラン又はその低縮合物を反応させる方
法は特に限定されず公知の方法で実施出来る。
例えば前記析出物を含むアルカリ性溶媒中に、
または該析出物を分離後再度不溶性溶媒に分散
させる方法で調製したスラリー溶液中にアルコ
キシシラン又はその低縮合物を溶解した溶液を
添加し反応させればよい。上記析出物の不溶性
溶媒及びアルコキシシランを溶解する溶液とし
ては前記原料を溶解するのに使用される溶媒と
同種のものが好適に使用される。またアルコキ
シシラン又はその低縮合物を該析出物に反応さ
せるためには、該アルコキシシランが加水分解
を受ける必要があるので上記反応溶媒中には水
の存在が必要である。該水の量は前記(1)のシリ
カとMO2とを主な構成成分とする反応生成物
を析出させる場合の条件と同様である。また前
記アルコキシシラン又はその低縮合物を溶解し
た溶媒を前記析出物が存在する溶液に添加反応
させる時のアルコキシシラン濃度は低い方がよ
く一般には50重量%以下、好ましくは1〜30重
量%で使用するとよい。また上記アルコキシシ
ラン溶液の添加時間は添加する溶媒の量によつ
て異なるが、一般には数分〜数時間の範囲から
選べばよい。勿論前記アルコキシシランを添加
する場合、溶媒に溶解することなくアルコキシ
シランを前記析出物が存在する溶媒中に直接添
加反応させることも出来るが、このような方法
は工業的に反応の制御が難しいので出来ればさ
けた方がよい。 上記方法で得られる球状無機酸化物の析出物
は分離後乾燥すればよい。また上記無機酸化物
はシリカとMO2とを主な構成成分とし、その
比表面積が100m2/g以上のものである。しか
しその製法上から、無機酸化物は粒子表面層は
シリカのみ又はシリカ含量の高い層で被われて
おり、粒子内部がシリカとMO2とが結合した
構成となつていると推定される。そして上記の
ようにして得られた無機酸化物は化学的にはシ
リカに近い性質を有するものとなる。 (4) 前記(3)の方法においてアルカリ性溶媒中に前
記(2)の方法と同様に予めシリカ重合体体からな
る種子を存在させておき、しかるのちに前記(3)
と同様な反応を行い球状無機酸化物を得る方法
である。 上記(4)の方法は前記(1),(2)及び(3)を組合せた
方法で、これらの反応に際して説明した条件が
そのまま採用しうる。この方法で得られた無機
酸化物はシリカ重合体の種子を中心にシリカと
第族金属酸化物とを主として構成成分とする
層が存在し、表面には主としてシリカよりなる
層で被われた球状無機酸化物が存在する。また
該無機酸化物の比表面積は100m2/g以上の大
きなもので、球状体にあつてはその粒子径も
0.1〜1.0μの範囲のものでその粒子径の標準偏
差値が1.30以下のものを得ることが出来る。 以上の(1),(2),(3)及び(4)の方法で得られる球状
無機酸化物はいずれも白色ないし黄白色の無定形
の粉体を主体とするもので特に球形状の粒子体と
して得られるものが有用である。このようにして
得られた無機酸化物は一般に前記したように比表
面積が100m2/g以上の大きいものである。 本発明において球状無機酸化物は上記(1)〜(4)の
方法で得られた生成物を焼成することにより、そ
の表面の−OH基を極端に少なくしたものも好適
に使用される。該焼成方法は特に限定されず公知
の方法で200〜1300℃或いはそれ以上の温度で焼
成すればよい。該焼成することによつて球状無機
酸化物の比表面積は小さくなり500℃以上の温度
で焼成すると100m2/g未満の比表面積となる。
また球形状の前記無機酸化物を焼成すると約500
℃以上の温度の場合は一般に粒子径から真球とし
て理論的に計算される比表面積とほゞ同等のもの
となる場合が多い。 上記焼成温度は粉体の構造を変化させる場合が
ある。例えば非晶質の前記無機酸化物が焼成によ
つて非晶質のまま存在したり、非晶質に一部結晶
質が混じつたものとなつたり、更には結晶質物質
が混在するようになる場合でさえある。 本発明に使用する球状無機酸化物は前記したよ
うにその形状が球形状である点で最も特徴的な用
途を有する。即ち、歯科用充填剤としてかかる無
機酸化物を重合可能なビニルモノマーと共に用い
て得られる本発明の複合材は修復材として用いた
場合、粉体の充填率を著しく高くすることが出
来、その結果、該ビニルモノマーを重合して得ら
れる成形体の機械的強度及び表面硬度を高めうる
だけでなく、透明性、表面滑沢性が著しく改善さ
れるという実用上の著しく有用な効果を発揮す
る。 特に重合可能なビニルモノマーと粒子径が0.1
〜1.0μの範囲にある前記焼成後の球状粒子とより
なる複合材とするときすぐれた性状を示す。 本発明の複合材を構成する1成分は重合可能ビ
ニルモノマーである。該ビニルモノマーは特に限
定的ではなく、一般に歯科用修復材として使用さ
れている公知のものが使用出来る。該ビニルモノ
マーとして最も代表的なものはアクリル基及び/
又はメタクリル基を有する重合可能なビニルモノ
マーである。具体的に上記アクリル基及び/又は
メタクリル基を有するビニルモノマーについて例
示すると例えばビスフエノールAジグリシジルメ
タクリレート、メチルメタクリレート、ビスメタ
クリロエトキシフエニルプロパン、トリエチレン
グリコールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジメタクリレート、テトラメチロールトリア
クリレート、テトラメチロールメタントリメタク
リレート、トリメチロールエタントリメタクリレ
ート等が好適である。また下記の構造式で示され
るウレタン構造を有するビニルモノマーも好適に
使用される。 但し、上記式中R1,R2,R3及びR4は同種又は
異種のH又はCH3で(−A)−は(−CH2)−6
【式】又は
〔効 果〕
本発明の複合材を硬化させた複合レジンは従来
のものに比べて圧縮強度等の機械的強度は劣るこ
となく、しかも耐摩耗性あるいは表面の滑沢性に
優れ、さらには表面硬度が高く、表面研磨仕上げ
が非常に容易である上に透明性が向上するという
多くの優れた特徴を有している。しかし、このよ
うな特徴があらわれる理由については現在必ずし
も明確ではないが、本発明者等は次の様に考えて
いる。即ち、第1に粒子の形状が球形型でしかも
粒子径の分布の標準偏差値が1.30以内というよう
な粒子径のそろつた無機酸化物を用いることによ
つて、従来の粒子径分布の広いしかも形状の不揃
い充填材を用いる場合に比べて、硬化して得られ
る複合レジン中に無機酸化物がより均一にしかも
密に充填される事及び第2にさらに粒子径の範囲
が0.1〜1.0μmの範囲内であるものを用いる事によ
り、粒子径が数十μもある従来の無機充填材を用
いる場合に比べて、硬化後の複合レジンの研磨面
は滑らかになり、逆に数十mμの微細粒子主成分
とする超微粒子充填材を用いる場合に比べて充填
材の全比表面積が小さく、従つて適当な操作性を
有する条件下で充填材の充填量が多くできる事な
どの理由が考えられる。 以上の如く形状に起因する特徴の外に本発明に
よる充填材は、充填材自身の屈折率をビニルモノ
マーの重合体のそれと一致させることが容易であ
るので、該屈折率を一致することにより極めて透
明性に優れた複合レジンが得られる。 上記の複合材は前記特定の球状無機酸化物と重
合可能なビニルモノマーとを配合することによ
り、上記したように従来予想し得なかつた数々の
メリツトを発揮させるものである。前記複合材は
重合可能なビニルモノマー成分と特定の球状無機
酸化物成分との2成分の配合で前記メリツトを発
揮するものであるが、これらの成分の他に一般に
歯科用修復材として使用される添加成分を必要に
応じて添加することも出来る。これらの添加成分
の代表的なものは次のようなものがある。例えば
ラジカル重合禁止剤、色合せのための着色顔料、
紫外線吸収剤などがある。 〔実施例〕 以下実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説
明するが、以下の実施例で利用した種々の性状の
測定は特にことわらない限り次のようにして実施
した。 (1) 屈折率 試料の無機酸化物の屈折率と同じ屈折率の溶
媒を調製し、その溶媒の屈折率を試料の屈折率
とした。溶媒の調製方法としては試料を溶媒に
懸濁させ、肉眼観察により透明に見えるような
溶媒の組成を一定温度下で調製した。使用した
溶媒はペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、
トルエン、スチレンおよびヨウ化メチレン等で
あり、溶媒の屈折率はアベの屈折計で測定し
た。 (2) 表面OH基の数 試料の無機酸化物を2.00秤量し(Wgとする)
100mlの三角フラスコに入れ、0.05NのNaOH
水溶液を80ml加え、ゴム栓で密栓し12時間撹拌
しながら放置した。その後無機酸化物と溶液を
遠心分離機で分離し、この溶液から10mlをピペ
ツト採り、0.05NのHCl水溶液で中和滴定し
た。その中和に要するHCl水溶液をAmlとす
る。なお試料を入れずに同様な操作をし、その
中和に要するHCl水溶液をBmlとする。無機酸
化物の単位重量当りの表面−OH基の量
(Xmmole/g)は次式によつて算出される。 X=(B−A)×0.05×8/W (3) 比 重 ピクノメーター法に従つて比重を測定した。 (4) 粒子径および粒子径分布の標準偏差値粉体の
走査型電子顕微鏡写真を撮り、その写真の単位
視野内に観察される粒子の数(n)、および粒
子径(直径xi)を求め、次式により算出され
る。 標準偏差値=+σo-1/x 但し
【式】(数平均径) (5) 比表面積 柴田化学器機工業(株)迅速表面測定装置SA−
1000を用いた。測定原理はBET法である。 (6) 複合材のペーストの調製および硬化方法先
ず、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シランによつて表面処理された非晶質シリカと
ビニルモノマーを所定の割合でメノウ乳鉢に入
れ均一なペーストとなるまで十分混練した。次
いで該ペーストを二等分し、一方のペーストに
はさらに重合促進剤を加え十分混合した(これ
をペーストAとする)。また他方のペーストに
は有機過酸化物触媒を加え十分混合した(これ
をペーストBとする)。次にペーストA及びペ
ーストBの等量を約30秒間混練し、型枠に充填
し硬化させた。 (7) 圧縮強度 ペーストA及びペーストBを混合して、室温
で30分間重合させた後、37℃、水中24時間浸漬
したものを試験片とした。その大きさ、形状は
直径6mm、高さ12mmの円柱状のものである。こ
の試験片を試験機(東洋ボードウイン製UTM
−5T)に装着し、クロスヘツドスピード10
mm/minで圧縮強度を測定した。 (8) 曲げ強度 ペーストA及びペーストBを混合して室温で
30分間重合させた後、37℃、水中24時間浸漬し
たものを試験片とした。その大きさ、形状は2
×2×25mmの角柱状のものである。曲げ試験は
支点間距離20mmの曲げ試験装置を東洋ボードウ
イン製UTM−5Tに装着して行ない、クロスヘ
ツドスピード0.5mm/minとした。 (9) 歯ブラシ摩耗深さ、および表面粗さペースト
A及びペーストBを混合して室温で30分間重合
させた後、37℃、水中24時間浸漬したものを試
験片とした。その大きさ、形状は直径1.5×10
×10mmの板状のものである。試験片を荷重400
gで歯ブラシで1500m摩耗した後、表面粗さ計
(サーフコムA−100)で十分平均あらさを求め
た。又、摩耗深さは摩耗重量を複合レジンの密
度で除して求めた。 (10) 表面硬度 ペーストA及びペーストBを混合して室温で
30分間重合させた後、37℃、水中24時間浸漬し
たものを試験片とした。その大きさ、形状は
2.5×10mmの円板状のものである。測定はミク
ロプリネル硬さ試験を用いた。 また実施例で使用した略記は特に記さない限
り次の通りである。 製造例 1 水5.4gとテトラエチルシリケート〔Si
(OC2H54、日本コルコート化学社製商品名:エ
チルシリケート28〕208gをメタノール1.2に溶
かし、この溶液を室温で約2時間撹拌しながら加
水分解した後、これをテトラブチルチタネート
(Ti(O−nC4H94日本曹達製)54.0gをイソプロ
パノール0.5に溶かした溶液に撹拌しながら添
加し、テトラエチルシリケートの加水分解物とテ
トラブチルチタネートとの混合溶液を調製した。
次に撹拌機つきの内容積10のガラス製反応容器
にメタノール2.5を満し、これに500gのアンモ
ニア水溶液(濃度25wt%)を加えてアンモニア
性メタノール溶液を調製し、この溶液に先に調製
したテトラエチルシリケートの加水分解物とテト
ラブチルチタネートの混合溶液を反応容器の温度
を20℃に保ちながら、約2時間かけて添加した。
添加開始後数分間で反応液は乳白色になつた。添
加終了後更に一時間撹拌を続けた後、乳白色の反
応液からエバポレーターで溶媒を除き、さらに80
℃で、減圧乾燥することにより乳白色の粉体を得
た。 走査型電子顕微鏡写真による観察の結果粉体の
形状は球形で、その粒径は0.10〜0.20μmの範囲に
あり、その粒径の標準偏差値は1.20であつた。ま
たBET法による比表面積は120m2/gであつた。 X線分析によるとおよそ2θ=25゜を中心にして
ゆるやかな山形の吸収がみられ、非晶質構造を有
するものであることが確認された。 さらに示差熱分析計、および熱天秤による熱変
化および重量変化を測定した。その結果100℃付
近に脱水によると思われる吸熱、重量減少がみら
れ、さらに500〜600℃付近では発熱重量減少がみ
られた。その後1000℃までには熱変化、重量変化
はみられなかつた。 1000℃にて4時間焼成した後の粉体の比表面積
は30m2/g、表面−OH基の数は0.08mmole/
g、比重は2.30および屈折率は1.53〜1.54であり、
X線分析では2θ=22゜を中心にしてゆるやかな山
形の吸収およびアナターゼ型の酸化チタンに基づ
く小さな吸収が見られ、非晶質体と結晶質体の混
合物であることが予測された。赤外吸収スペクト
ルを測定した結果950cm-1にSi−O−Tiに基づく
吸収帯がみられた。又、螢光X線分析による
TiO2の含有率は仕込量からの計算値と一致し収
量も仕込量からの計算値と一致した。粉体の
TiO2の含有率の実測値は13.0mole%(計算値は
13.0mole%)、粉体の収量の実測値は70.0g(計
算値は70.8g)であつた。 以上の結果から得られた粉体はアナターゼ型の
TiO2をわずかに含んだTiO213.0mol%、
SiO287.0mol%の組成からなる非晶質構造を有す
る球形状無機酸化物であることが確認された。 製造例 2 1.2×10-3mole/の塩酸水溶液5.4mlとテトラ
エチルシリケート208gをメタノール1.2に溶解
した溶液とを混合し、1時間撹拌した後、これを
実施例1で用いたテトラブチルチタネート54.0g
をイソプロパノール1.5に溶かした溶液に撹拌
しながら添加し、テトラエチルシリケートの加水
分解物とテトラブチルチタネートとの混合溶液を
調製した。 次に撹拌機つきの内容積10のガラス製反応器
にイソプロパノール2.5を導入し、これに500g
のアンモニア水溶液(濃度25wt%)を加えてア
ンモニア性イソプロパノール溶液を調製した。次
いで該アンモニア性イソプロパノール溶液にシリ
カの種子を作るための有機珪素化合物溶液として
テトラエチルシリケート4.0gをメタノール100ml
に溶かした溶液を約5分間かけて添加し、添加終
了5分後反応液がわずかに乳白色になつたところ
で、さらに続けて上記の混合溶液を反応容器の温
度を20℃に保ちながら約2時間かけて添加した。
混合溶液の添加につれて乳白色の懸濁液となつ
た。添加終了後更に1時間撹拌を続けた後、乳白
色の反応液からエバポレーターで溶媒を除き、さ
らに80℃で減圧乾燥することにより乳白色の粉体
を得た。走査型電子顕微鏡写真による観察の結
果、粉体の形状は球形で、その粒径は0.30〜
0.40μmでその粒径の標準偏差値は1.12であつた。
またBET法による比表面積は110m2/gであつ
た。X線分析によるとおよそ2θ=25゜を中心にし
てゆるやかな山形の吸収がみられ非晶質構造を有
するものであることが確認された。 示差熱分析計および熱天秤による熱変化および
重量変化は実施例1の粉体と同様な傾向を示し
た。 1000℃にて4時間焼成した後の粉体の比表面積
は11m2/g、表面−OH基の数は0.09mmole/
g、比重は1.25、および屈折率は1.53〜1.54であ
り、X線分析では2θ=22゜を中心にしてゆるやか
な山形の吸収およびアナターゼ型の酸化チタンに
基づくと思われる小さな吸収が見られ、非晶質体
と、結晶質体の混合物であることが確認された。
赤外吸収スペクトルを測定した結果950cm-1にSi
−O−Tiに基づく吸収帯がみられた。又、螢光
X線分析によるTiO2の含有率は仕込みからの計
算値と一致し収量も仕込量からの計算値と一致し
た。粉体のTiO2の含有率の実測値は13.5mole%
(計算値は13.5mole%)、粉体の収量の実測値73.1
g(計算値は73.9g)であつた。 以上の結果から得られた粉体はTiO213.5mole
%、SiO286.5mole%の組成からなる非晶質構造
を有する球形状無機酸化物であることが確認され
た。 製造例 3 水5.4gと実施例1で用いたと同じテトラエチ
ルシリケート208gとをメタノール1.2に溶か
し、この溶液を室温で約2時間撹拌しながら加水
分解した後、これを実施例1で用いたと同じテト
ラブチルチタネート54.0gをイソプロパノール
0.5に溶かした溶液に撹拌しながら添加し、テ
トラエチルシリケートの加水分解物とテトラブチ
ルチタネートとの混合溶液を調製した。次に撹拌
機つきの内容積10のガラス製反応容器にメタノ
ール2.5を満し、これに500gのアンモニア水溶
液(濃度25wt%)を加えてアンモニア性メタノ
ール溶液を調製した。この溶液に先に調製した混
合溶液を反応容器の温度を20℃に保ちながら約2
時間かけて添加し反応生成物を析出させた後さら
に続けてテトラエチルシリケート104gを含むメ
タノール0.5からなる溶液を約2時間かけて添
加した。添加終了後更に1時間撹拌を続けた後、
乳白色の反応液からエバポレーターで溶媒を除
き、さらに80℃で、減圧乾燥することにより乳白
色の粉体を得た。 走査型電子顕微鏡写真による観察の結果、粉体
の形状は球形状で、その粒径は0.12〜0.22μmの範
囲にありその粒径の標準偏差値は1.10であつた。
X線分析によるとおよそ2θ=25゜を中心にしてゆ
るやかな山形の吸収が見られ非晶質構造を有する
ことがわかつた。またBET法による比表面積は
110m2/gであつた。さらに示差熱分析計および
熱天秤による熱変化および重量変化は測定した。
その結果は実施例1と同様な傾向を示した。この
粉体を1000℃にて4時間焼成した後の粉体の比表
面積は19m2/g、表面−OH基の数は
0.08mmole/g、比重は1.28および屈折率は1.53
〜1.54であり、X線分析では2θ=22゜を中心にし
てゆるやかな山形の吸収およびアナターゼ型の酸
化チタンに基づくと思われる小さな吸収が見られ
非晶質体と結晶質体の混合物であることが確認さ
れた。赤外吸収スペクトルを測定した結果950cm
-1にSi−O−Tiに基づく吸収帯がみられた。又、
螢光X線分析によるTiO2の含有率は仕込量から
の計算値と一致し、収量も仕込量からの計算値と
一致した。粉体のTiO2の含有率の実測値は
9.1mole%(計算値は9.1mole%)、粉体の収量の
実測値は99.5g(計算値は99.9g)であつた。 以上の結果から得られた粉体はTiO29.1mol%、
SiO290.9mole%の組成からなる、アナターゼ型
のTiO2をわずかに含んだ非晶質構造を有する球
状無機酸化物であることが確認された。 製造例 4 水5.4gと実施例1で用いたと同一のテトラエ
チルシリケート208gとをメタノール1.2に溶か
し、この溶液を室温で約2時間撹拌しながら加水
分解した。その後、これを実施例1で用いたと同
一のテトラブチルチタネート54.0gをイソプロパ
ノール0.5に溶かした溶液に撹拌しながら添加
し、テトラエチルシリケートの加水分解物とテト
ラブチルチタネートとの混合溶液を調製した。次
に撹拌機つきの内容積10のガラス製反応溶液に
メタノール2.5を導入し、これに500gのアンモ
ニア水溶液(濃度25wt%)を加えてアンモニア
性メタノール溶液を調製し、これにシリカの種子
を作るための有機珪素化合物溶液としてテトラエ
チルシリケート4.0gをメタノール100mlに溶かし
た溶液を約5分間かけて添加し、添加終了5分後
反応液をわずか乳白色のところで、さらに続けて
上記の混合溶液を反応容器の温度を20℃に保ちな
がら約2時間かけて添加し反応生成物を析出させ
た。その後さらに続けてテトラエチルシリケート
208gを含むメタノール1.0からなる溶液を該反
応生成物が析出した系に約2時間かけて添加し
た。添加終了後更に1時間撹拌を続けた後乳白色
の反応液からエバポレーターで溶媒を除き、さら
に80℃、減圧乾燥することにより乳白色の粉体を
得た。 走査型電子顕微鏡写真による観察の結果、粉体
の形状は球形状でその粒径は0.15〜0.25μmの範囲
にあり、またその粒径の標準偏差値が1.15であつ
た。X線分析によると2θ=25.5゜を中心にしてゆ
るやかな山形の吸収が見られ非晶質構造を有する
ことがわかつた。またBET法による比表面積は
120m2/gであつた。さらに示差熱分析計および
熱天秤による熱変化および重量変化を測定した。
その結果は実施例1と同様な傾向を示した。1000
℃にて4時間焼成した後の粉体の比表面積は20
m2/g、表面−OH基の数は、0.08mmole/g、
比重は2.40、および屈折率1.53〜1.54であり、X
線分析では2θ=22゜を中心にしてゆるやかな山形
の吸収およびアナターゼ型の酸化チタンに基づく
小さな吸収が見られ、非晶質体と結晶質体の混合
物であることが確認された。赤外吸収スペクトル
を測定した結果950cm-1にSi−O−Tiに基づく吸
収帯がみられた。又、螢光X線分析によるSiと
Tiの量比は仕込みの量比と一致し、収量も仕込
み量から計算される値と一致した。以上の結果か
らアナターゼ型のTiO2をわずかに含んだ
TiO27.3mol%、SiO292.7mole%の組成からなる
非晶質構造を有する球形状無機酸化物であること
が確認された。 実施例 1 製造例4と同様な方法で合成し、1000℃、4時
間焼成した球状無機酸化物をさらにγ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理を
行なつた。処理は球状無機酸化物に対してγ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシランを6wt
%添加し、水−エタノール溶媒中で80℃、2時間
還流した後エバポレーターで溶媒を除去し、さら
に真空乾燥させる方法によつた。 次にビニルモノマーとしてビスフエノールAジ
グリシジルメタクリレート(以下Bis−GMAと
言う。)とトリエチレングリコールジメタクリレ
ート(以下TEGDMAと言う。)の混合物(混合
割合はBis−GMA/TEGDMA=3/7モル比で
ある。)に上記無機酸化物を配合し充分練和する
ことによりペースト状の複合材を得た。この際複
合材の球状無機酸化物の充填量は72.8wt%でペー
ストの粘度は操作上適正であつた。次にペースト
を2等分に一方には重合促進剤としてN,N−ジ
メチル−p−トルイジンを、もう一方には重合開
始剤として過酸化ベンゾイルを各々ビニルモノマ
ーに対して1wt%添加しペーストA(前者)及び
ペーストB(後者)を調製した。 上記のペーストAとペーストBを等量取り、30
秒間、室温で練和し硬化させたものについて物性
を測定した結果、圧縮強度3800Kg/cm2、曲げ強度
750Kg/cm2、表面あらさ0.5μm、表面硬度60.0、歯
ブラシ摩耗深さ5.0μであつた。又表面研摩仕上げ
についてはソフレツクス(スリーエム社製)で仕
上げたところ、複合レジンの表面を削り過ぎるこ
となく、容易に滑尺性の良い表面が得られた。
又、透明性は良好であつた。 実施例 2〜4 製造例1、製造例2および製造例3で得た球状
無機酸化物(1000℃、4時間焼成したもの)を用
いて、実施例1と同様なビニルモノマーを用い、
同様な方法でペースト状の複合材を調製し、さら
に硬化させ複合レジンの物性を測定した。その結
果を同じく表1にまとめて示した。
【表】 実施例 5〜7 実施例1で用いた球状無機酸化物を用い、ビニ
ルモノマー成分としてU−4HMA,U−4TMA、
U−4BMA、テトラメチロールメタントリアク
リレート(以下TMMTと言う。)およびメチル
メタクリレート(以下MMAと言う。)を用いた
以外は実施例1と同様な方法でペースト状の複合
材を調製した。ビニルモノマー成分の混合割合は
表2に示した通りである。ペースト状の複合材を
さらに実施例1と同様な操作で硬化させた複合レ
ジンの物性を測定した。その結果を同じく表2に
示した。
【表】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 重合可能なビニルモノマー及びシリカと周期
    律表第族金属の酸化物とを主な構成成分とする
    球形状の無機酸化物よりなることを特徴とする複
    合材。
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