JPH033341Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は長炭素繊維を用いたゴルフクラブのヘ
ツドで、特にドライバーヘツド等のウツド部分に
係るものである。

従来の技術 従来、炭素繊維を用いたゴルフクラブのヘツド
は、チツプ状の短炭素繊維を合成樹脂中に混合し
射出成型により成型してきた。しかしながらこの
方法は、射出時に繊維の方向が揃つてしまい、一
方向からの衝撃には強いが、他方向からの衝撃に
は弱い欠点を有している。また、炭素繊維の使用
量を多くすることが成型上困難であるため、炭素
繊維が本来有している種々の利点を生かすことが
できないものであつた。

考案が解決しようとする課題 本考案は上述のごとき課題を解決しようとする
ものであつて、あらゆる方向からの衝撃に十分対
応可能であり、炭素繊維の使用量を多くするると
ともに任意形状の成形を容易に行い得るようにし
ようとするものである。

課題を解決するための手段 本考案は上述の如き欠点を除去したものであつ
て、長炭素繊維のチヨツプドフアイバーを、熱硬
化性樹脂にてプリプレイグしたプリプレイグ物
を、芯材の外周に付着させてヘツド本体の肉付け
を行ない、この肉付形成層の厚みの中間部および
表面を、長炭素繊維を織成または編成し熱硬化性
樹脂にてプリプレイグした、プリプレイグ布層に
て被覆し、これを加熱加圧成型して成るものであ
る。

作 用 本考案は、チヨツプドフアイバーのプリプレイ
グ物を用いるものであり、チヨツプドフアイバー
のプリプレイグ物は、繊維の方向性が不特定であ
るとともに軽い粘着性と、変形状態を保つ軽い形
状保持性を有するため、人手で、塊状にも展延し
てシート状にも容易に形状を調整することが可能
となる。従つて、このプリプレイグ物の粘性と形
状保持性を利用して、芯材の外周に、人手でまた
は他の方法により容易に仮止め付着させるととも
に仮止め形状を保持させることができる。そのた
め、ヘツド本体の形状に合わせて、任意形状に肉
付を行なうことが容易であるとともにヘツド本体
各部分の壁体の肉厚を必要に応じて任意の厚みに
肉付けすることが可能となる。例えば強度の要求
される後部壁側は肉厚にするとか、低重心とする
ためソール部を肉厚にするとか、スイートスポツ
ト形成のために肉厚配分を行うとかのごとく、肉
厚を自由に調整する事ができる。

またチヨツプドフアイバーのプリプレイグは、
繊維の方向性が不特定で有るから、あらゆる方向
からの衝撃に対し方向性を有しない繊維で充分に
対応することができるものとなる。しかしなが
ら、チヨツプドフアイバーのプリプレイグ物は厚
みを均一にすることが困難で、肉付形成層の表面
に凹凸を生じるものとなる。そこで、この肉付形
成層の厚みの中間部および表面を、長炭素繊維を
織成または編成し熱硬化性樹脂にてプリプレイグ
した、プリプレイグ布層にて被覆することによ
り、肉付形成層の表面に生じていた凹凸を平滑化
することができるとともに比較的剥離容易なプリ
プレイグ物を一体化することができる。これを加
熱加圧成型することによつて打撃等の衝撃に強
く、しかも表面仕上の容易なゴルフクラブのヘツ
ドを得ることができる。

また、長炭素繊維から成るプリプレイグ物およ
びプリプレイグ布層を素材として用いるものであ
るから、炭素繊維を射出成型等で成型するのに比
較し、極めて多く使用することができ、炭素繊維
の有する勝れた性質を充分利用することができる
ものである。

実施例 以下本考案の一実施例を図面に於て説明すれ
ば、１は芯材で、中空コア、発泡スチロール等に
より形成し、長炭素繊維のチヨツプドフアイバー
をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にてプリプレイ
グしたプリプレイグ物を、人手、その他の方法に
より外周に付着させてヘツド本体２の肉付けを行
なう。この肉付けは、チヨツプドフアイバーのプ
リプレイグ物は、繊維の方向性が不特定であると
ともに軽い粘着性と、変形状態を保つ軽い形状保
持性を有するため、人手で、塊状にも展延してシ
ート状にも容易に形状を調整することが可能とな
る。従つて、このプリプレイグ物の粘性と形状保
持性を利用して、芯材１の外周に、人手でまたは
他の方法により容易に仮止め付着させるとともに
仮止め形状を保持させることができる。

そこで、プリプレイグ物を芯材１の外周に適宜
貼着重合することにより、目的とするゴルフクラ
ブのヘツド本体２の形状に合わせて肉付形成層３
を形成する。この肉付けは、ヘツド本体２の各部
分の壁体の肉厚を、必要に応じて任意の厚みに肉
付けすることが可能となる。例えば強度の要求さ
れる後部壁側は肉厚にするとか、低重心とするた
め下底方向を肉厚にするとか、スイートスポツト
形成のために肉厚配分を行うとかのごとく、肉厚
を自由に調整する事ができる。

この肉付形成層３の表面に、長炭素繊維を織成
または編成し熱硬化性樹脂にてプリプレイグし
た、プリプレイグ布層４を被覆する。この被覆
は、比較的大きなプリプレイグ布層４により行な
われることが望ましく、１枚または２枚のプリプ
レイグ布層４によつて肉付形成層３の表面を被覆
する。また、プリプレイグ布層４は肉付形成層３
の表面のみならず、図面に示す如く肉付形成層３
の厚み方向の中間部にも位置させ、このように形
成することにより、肉付形成層を更に安定良く位
置させることが可能となる。また更に、ヘツド本
体２の弾性を強化し安定したものとするため、芯
材１の表面で曲面が緩やかな部分にも、プリプレ
イグ布層４を付着形成しても良い。

このプリプレイグ布層４も、チヨツプドフアイ
バーのプリプレイグ物と同じく、軽い粘着性と、
変形状態を保つ軽い形状保持性を利用し、人手
で、または他の方法により容易に形状を調整する
ことが可能となり、肉付形成層３に容易に仮止め
付着させるとともに仮止め形状を保持させること
ができる。以上の如く形成したものを、成形型に
よつて加熱加圧成型することにより、熱硬化性樹
脂を硬化し、ゴルフクラブのヘツドの形状を硬化
特定させる事ができる。

考案の効果 本考案は上述の如く構成したものであり、チヨ
ツプドフアイバーのプリプレイグ物は、繊維の方
向性が不特定であるとともに軽い粘性と形状保持
性を有しているから、塊状にも、展延してシート
状にも、容易に形状を調整することが可能であ
る。そのため、軽い粘性と形状保持性を利用し
て、芯材の外周に付着させることができ、ヘツド
本体の形状に合わせて肉付を行なうことが容易で
あるとともにヘツド本体各部分の壁体の肉厚を必
要に応じて、任意の厚みに肉付けすることが可能
となる。例えば強度の要求される後部壁側は肉厚
にするとか、低重心とするためソール部方向を肉
厚にするとか、スイートポツト形成のために肉厚
配分を行うとかのごとく、厚を自由に調整する事
ができる。

またチヨツプドフアイバーのプリプレイグは、
繊維の方向性が不特定で有るから、あらゆる方向
からの衝撃に対し方向性を有しない繊維で強固に
対応することができるものとなる。

しかしながらチヨツプドフアイバーのプリプレ
イグ物は厚みを均一にすることが困難で、芯材の
外周に付着させた肉付形成層の表面に凹凸を生
じ、また加熱成型時にプリプレイグ物の一部が脱
落し易いものとなる。そこでこの肉付形成層の厚
みの中間部および表面を、長炭素繊維を織成また
は編成し熱硬化性樹脂にてプリプレイグしたプリ
プレイグ布層にて被覆することにより、肉付形成
層の表面に生じていた凹凸を平滑化することがで
きるとともに一部が比較的脱落容易なプリプレイ
グ物を一体化することができ、これを加熱加圧成
型することによつて打撃等の衝撃に強く、しかも
表面仕上の容易なゴルフクラブのヘツドを得るこ
とができる。

また、長炭素繊維から成るプリプレイグ物およ
びプリプレイグ布層を素材として用いるものであ
るから、炭素繊維を射出成型等に比し極めて多く
使用することができ、炭素繊維の有する勝れた性
質を充分利用することができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は断面図、第２図は第１図の部分拡大断面図であ
る。 １……芯材、２……ヘツド本体、３……肉付形
成層、４……プリプレイグ布層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 長炭素繊維のチヨツプドフアイバーを、熱硬化
   性樹脂にてプリプレイグしたプリプレイグ物を、
   芯材の外周に付着させて、ヘツド本体の肉付けを
   行ない、この肉付形成層の厚みの中間部および表
   面を、長炭素繊維を織成または編成し熱硬化性樹
   脂にてプリプレイグした、プリプレイグ布層にて
   被覆し、これを加熱加圧成型したことを特徴とす
   るゴルフクラブのヘツド。