JPH0114796B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、繊維強化プラスチツク（以下、
FRPと略記する）を外殻としたゴルフ用ウツド
クラブヘツドの製法に関し、ヘツド本体を構成す
るFRP外殻の成形手段に工夫を施すことにより、
成形性及び品質の向上を図るようにしたものであ
る。

従来、この種のウツドクラブヘツドにおいて
は、特公昭51−21436号公報に開示されているよ
うに、ヘツド本体の外殻をFRPで形成し、芯部
に発泡合成樹脂を充填してなる構造を有するもの
がある。

しかしながら、このような従来のものでは、周
知のように、ヘツド外周の独特な形状の複雑さに
よつて、その具体的成形法に際し種々の困難があ
る。

また、殻用FRPの成形において用いられる成
形型のキヤビテイ形状は、一定寸法のために、キ
ヤビテイ内に投入するヘツド成形用構成材料の容
積が、寸法のバラツキ、材料使用量のバラツキま
たはそれらの組合せ作業の偏りあるいは芯素材の
保形性などにより容量に過不足が生じると、型締
るにより型内に充満するFRP成形用材料に印加
される圧締力に過不足が生じ、このような熱圧時
の圧力不安定さは、FRP成形用材料が複雑の積
層体からなるものにあつては、層間密着不足や、
層間もしくは成形品表面のボイド（気泡）等の発
生原因になり易く、品質の低下は免れなかつた。

この発明は、上記した従来法における欠点を解
消することを目的としたもので、その要旨とする
ところは、予め好適にヘツド内側殻の全体もしく
はほぼ全体に相当するような形状に成形された
FRP殻体の周囲に、ヘツド外側殻を構成する
FRP成形用材料を添付して成形型内に挿入し、
両者を熱圧一体化することを特徴とするものであ
る。

この際内側殻FRPの成形は、全体を同時にま
た材料を連続かつ一体的に行なう必要は必ずしも
なく、２個ないし３個の分割体状に分離して、成
形後、それらを接着嵌合又はねじ止め等の手段に
より連結一体化したものでも充分に使用可能であ
る。

次に、この発明を図示の実施例に基づいて説明
すると、第１図及び第２図に示すように、図中１
は後述する製造工程を得て得られたウツドクラブ
のヘツド本体である。該ヘツド本体１は、複数層
の補強繊維層により補強されたFRP外殻２と、
発泡合成樹脂などの芯材３とからなり、該FRP
外殻２は、一部の補強繊維層により補強された薄
肉な外側殻を構成する第１のFRP２ａと、他の
部分の補強繊維層により補強された比較的厚肉な
内側殻を構成する第２のFRP２ｂとの積層構造
を有するとともに、フエース部１ａには硬化済
FRPからなるフエース面板４が、またソール部
１ｂ及びバツク部１ｃには、真鍮等の金属材料か
らなるソールウエイト部材５及びバツクウエイト
部材６がそれぞれ埋設固定されている。さらに、
図中７は前記ヘツド本体１のネツク部１ｄに挿貫
固定されたクラブシヤフト、８は該クラブシヤフ
ト７と前記ヘツド本体ネツク部１ｄとの取付基部
周囲を保護するキヤツプ状の保護体である。

すなわち、上記したウツドクラブヘツドを製造
するには、第３図に示すように、予め成形型（図
示せず）を用いてヘツド芯部形状に造形された芯
材１１の周囲に、ヘツド内側殻を構成する第１の
FRP成形用材料１２を巻回被覆して熱圧した内
部構造殻体１３を硬化成形する。次いで、該内部
構成体１３の周囲に第４図に示すように更にヘツ
ド外側殻を構成するFRP成形用材料１４を巻回
被覆し、該ヘツド成形用材料１５を、第５図に示
すように、ヘツド外周形状を有する成形型１６の
キヤビテイ１７に挿入し熱圧することにより両者
を一体化し、これによつて第１図及び第２図に示
すようなウツドクラブヘツドを得るものである。

ところで、上記実施例において、ヘツド内側殻
を構成する第１のFRP成形用材料中の補強繊維
体としては、マツトまたは袋織り体のカーボン繊
維あるいはカーボン繊維、ガラス繊維及びケブラ
ー等を適宜組合せて弾性率の向上を図ると共に、
樹脂液含浸後に半硬化させた状態にして作業性の
向上を図る一方、ヘツド外側殻を構成する第２の
FRP成形用材料中の補強繊維体としサーフエス
マツト、あるいは朱子織りクロスを用いて表面平
滑性及び形状追従性を高めるようにすると共に未
硬化液状樹脂を含浸した状態で使用することが好
適である。ただし、いずれのFRP成形用材料も
両者共通してプリプレグ法またはハンドレイアツ
プ法等による未硬化液状合成樹脂を補強繊維に含
浸した状態のものが使用可能である。また、ヘツ
ド本体の適宜位置に、フエース面板、ソールウエ
イト部材、あるいはバツクウエイト部材を配置す
るにあたつては、ヘツド内側殻の成形時、または
ヘツド内側殻への外側殻成形用材料の添付時に、
第１のFRP成形用材料または第２のFRP成形用
材料中に組込み埋設することにより、ヘツドの成
形と同時に一体化が可能である。さらにまた、
FRP外側殻を成形するFRP成形用材料中の未硬
化液状合成樹脂を着色して外観性の向上を図るこ
ともできる。

なお、この発明により得られるヘツドFRP殻
体は熱圧により内側殻と外側殻とが一体化されて
いるので、両者の境界は必ずしも明瞭に存在する
とは限らない。

この発明は、以上説明したように、ヘツド内側
殻を構成するFRP殻体の周囲に、ヘツド外殻を
構成するFRP成形用材料を被覆してヘツド外周
形状を有する成形型のキヤビテイに配置し熱圧す
ることにより、複合外殻からなるヘツド本体を得
ることを特徴とし、これによつて複雑なウツドク
ラブヘツドの成形が簡便にでき、また成形時ヘツ
ド内殻を構成するFRP殻体は内型の役目を果す
ことから、従来の成形法のような成形用材料へ印
加される圧力の不足が解消され、層間密着不足や
ボイドの発生を確実に防止でき、これによつて
FRPの品質や表面平滑性を向上させることがで
き、また全体重量の軽減化を図れるなど、実用性
にすぐれた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るゴルフ用ウツドクラブ
ヘツドの一実施例を示す斜視図、第２図は同じく
要部拡大断面図、第３図から第５図はこの発明に
係る製造工程を示す説明図である。 １１……芯材、１２……FRP成形用材料、１
３……内部構成殻体、１４……FRP成形用材料、
１６……成形型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 予め成形されたFRP殻体の周囲に、FRP成
   形用材料を添付して成形型内に挿入して熱圧し、
   両者を一体化するゴルフ用ウツドクラブヘツドの
   製法。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載のゴルフ用ウツ
   ドクラブヘツドの製法において、該内側殻の補強
   繊維はマツトであり、外側殻の補強繊維はクロス
   であることを特徴とする製法。 ３ 特許請求の範囲第１項もしくは第２項のいず
   れかに記載のゴルフ用ウツドクラブヘツドの製法
   において、 該内側殻の補強繊維はガラス繊維であり、外側
   殻の補強繊維はカーボン繊維であることを特徴と
   する製法。 ４ 特許請求の範囲第１項乃至第３項のいずれか
   一つに記載のゴルフ用ウツドクラブヘツドの製法
   において、 該内側殻のFRPは成形用材料が半硬化であり、
   外側殻のFRPは成形用材料が未硬化であること
   を特徴とする製法。