JPH0333382Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、第１〜第３のスローアウエイチツプ
をカツテイングヘツドに組込んだスローアウエイ
式Ｔスロツトカツタに関し、特に工具剛性、切刃
構成を改善したものである。

（従来の技術） 従来、Ｔスロツトカツタは、ろう付け式が多く
例えば切刃構成の改善として実開昭49−83690号
公報、実開昭56−83315号公報等が開示されてい
る。

また、最近になつて、菱形チツプを備えたスロ
ーアウエイ式のものが実用に供されている。しか
し、スローアウエイ式のものは、２枚刃、４枚刃
などの偶数刃が一般的であり、剛性不足などから
びびり振動の発生があるため不評となつている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、Ｔスロツトカツタにおいては、
工具の経済性からスローアウエイ式の開発が前提
になつており、そのためには、工具剛性、切刃構
成などの改善が問題点となつている。

このようなことから本考案では、工具剛性、切
刃構成の改善から、特にびびり振動を少なくし、
切削性能の向上を図つたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上述の点に鑑みなされたもので、円
柱状をなす工具本体には、シヤンクおよびカツテ
イングヘツドがそれぞれ備えられ、しかもこのカ
ツテイングヘツドに設けられた第１〜第３のチツ
プ座内には、第１〜第３のスローアウエイチツプ
がそれぞれ取り付けられるように改良されたもの
である。

すなわち、前記第１〜第３のチツプ座は、カツ
テイングヘツドの円周方向では等配され、その軸
方向では、先端、中央および後端部位にそれぞ偏
位するようになつており、これらのチツプ座のう
ち、先端および後端に偏位した前記第１および第
３のチツプ座は、２つの側壁で略正方形板状の前
記スローアウエイチツプを拘束するとともに、中
央にある第２のチツプ座は、１つの側壁で長方形
板状の前記スローアウエイチツプを拘束するよう
にしている。

また、前記第１〜第３のスローアウエイチツプ
は、前記第１〜第３のチツプ座内でそれぞれねじ
止めされるとともに、中央にある前記第２のスロ
ーアウエイチツプは、略長方形板状からなり、Ｔ
スロツトの巾切削用として長辺側に形成された外
周切刃稜が0゜のコーナーアングルθbを有し、先端
および後端部位に偏位する対称関係にある前記第
１および第２のスローアウエイチツプは略正方形
板状からなり、Ｔスロツトの高さ方向の切削用と
して軸方向に延びるようにコーナー部分を位置さ
せ、しかもその外周切刃稜が0゜30′〜3゜のコーナー
アングルθa＝θcを有するようにしたものである。

（作用） 本考案のスローアウエイ式Ｔスロツトカツタ
は、第１〜第３のスローアウエイチツプによつて
切刃構成が改善され、３枚刃による分担切削作用
が行なわれるものである。これに伴つて、本考案
のＴスロツトカツタでは、工具剛性が損なわれ
ず、この結果、切削性能を向上できるものであ
る。

（実施例） 以下、本考案スローアウエイ式Ｔスロツトカツ
タにおける一実施例について図を参照しながら説
明する。

第１図乃至第５図において、１は、円柱状をな
す工具本体であり、その一端には、シヤンク２が
備えられ、その他端には、カツテイングヘツド３
が備えられる。

このカツテイングヘツド３には、第１〜第３の
チツプ座４ａ，４ｂ，４ｃが形成されるが、この
第１〜第３のチツプ座４ａ，４ｂ，４ｃは、円周
方向では等配されるが、軸方向では、先端、中央
および後端部位にそれぞ偏位して形成されるもの
である。そして、これらの第１〜第３のチツプ座
４ａ，４ｂ，４ｃ内には、それぞれ第１〜第３の
スローアウエイチツプ５ａ，５ｂ，５ｃが中央取
付け穴６の利用により、例えば止めねじ７によつ
て固定される。

前記第１のチツプ座４ａおよび第３のチツプ座
４ｃは、剛性を高めるため２側壁で正方形板状の
第１および第３のスローアウエイチツプ５ａ，５
ｃを拘束するものであり、また前記第２のチツプ
座４ｂは、１つの側壁で、略長方形板状からなる
第２のスローアウエイチツプ５ｂを拘束する。

しかして、前記第２のスローアウエイチツプ５
ｂは、第６図で明示されているように主として、
被削材９におけるＴスロツトの巾切削用として利
用されるものである。したがつて、長辺側に外周
切刃稜８ｂを形成し、そのコーナーアングルθb
を0゜に設定する。

また、前記第１のスローアウエイチツプ５ａお
よび第３のスローアウエイチツプ５ｃは、軸方向
で対称関係に配置され、主としてＴスロツトの高
さ方向の切削用として利用される。したがつて、
第１および第３のスローアウエイチツプ５ａ，５
ｃは、その端部コーナーが前記第２のスローアウ
エイチツプ５ｂの外周切刃稜８ｂよりも軸方向に
延びるように位置する。そして、これらの第１お
よび第３のスローアウエイチツプ５ａ，５ｃに形
成される外周切刃稜８ａ，８ｃは、前述したよう
に軸方向で対称関係にあり、それぞれ0゜30′〜3゜の
コーナーアングルθa＝θcを有する。

次に、本考案スローアウエイ式Ｔスロツトカツ
タにおける切削例について説明する。

工具仕様は、工具本体１については、軸径＝
φ21mm、シヤンク径＝φ42mm、全長＝136mmで、第
２のスローアウエイチツプ５ｂによる刃先径＝
φ43mm、第１および第３のスローアウエイチツプ
５ａ，５ｃによる高さ＝18mmとし、コーナーアン
グルについては、θa＝θc＝1゜，θb＝0゜とした。ま
た半径方向のすくい角についてはいずれも−1゜と
し、軸方向のすくい角については、第１および第
３のスローアウエイチツプ５ａ，５ｃが5゜、第２
のスローアウエイチツプ５ｂが3゜となるように設
定した。

切削条件は、切削速度Ｖ＝80ｍ／min，送りｆ
＝0.1mm／revとし、SS41からなる被削材について
Ｔ溝切削した。この結果びびり振動の発生もな
く、従来品に比較して50％アツプの寿命を示し
た。これに対し、比較の従来品は、菱形チツプを
組込んだ２枚刃、４枚刃のスローアウエイ式Ｔス
ロツトカツタであり、切削速度Ｖを80ｍ／minと
したときにはびびりが発生した。このため、切削
速度Ｖを60ｍ／minに落して切削したが、前述し
たように、本考案品に対し１／1.5の短寿命であ
つた。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように、第１および第
３のスローアウエイチツプ５ａ，５ｃを第１およ
び第３のチツプ座４ａ，４ｃ内への取付けにあた
つては、２側壁で拘束される構成を採るととも
に、コーナーアングルθa＝θcを付与したもので
あるから、第２のスローアウエイチツプ５ｂの存
在とともに合理的な分担切削をなすものである。

したがつて、本考案品は、従来品に比し、工具
剛性が高まるとともに、切削性能の向上が期待で
きるという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案スローアウエイ式Ｔスロツト
カツタにおける一実施例を示す正面図、第２図は
その底面図、第３図は、第２図を基にした右側面
図、第４図は、同じく左斜上方からの側面図、第
５図は、左斜下方からの側面図、第６図は、スロ
ーアウエイチツプによる回転切削軌跡を示す説明
図である。 １…工具本体、２…シヤンク、３…カツテイン
グヘツド、４ａ…第１のチツプ座、４ｂ…第２の
チツプ座、４ｃ…第３のチツプ座、５ａ…第１の
スローアウエイチツプ、５ｂ…第２のスローアウ
エイチツプ、５ｃ…第３のスローアウエイチツ
プ、８ａ，８ｂ，８ｃ…外周切刃稜。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円柱状をなす工具本体１には、シヤンク２およ
   びカツテイングヘツド３がそれぞれ備えられ、し
   かもこのカツテイングヘツド３に設けられた第１
   〜第３のチツプ座４ａ，４ｂ，４ｃ内には、第１
   〜第３のスローアウエイチツプ５ａ，５ｂ，５ｃ
   がそれぞれ取付けられるようにしたスローアウエ
   イ式Ｔスロツトカツタにおいて、 前記第１〜第３のチツプ座４ａ，４ｂ，４ｃ
   は、カツテイングヘツド３の円周方向では等配さ
   れ、その軸方向では、先端、中央および後端部位
   にそれぞ偏位するようになつているとともに、第
   １のチツプ座４ａおよび第３のチツプ座４ｃは、
   ２つの側壁で略正方形板状の第１のスローアウエ
   イチツプ５ａおよび第３のスローアウエイチツプ
   ５ｃを拘束し、また第２のチツプ座４ｂは、１つ
   の側壁で長方形板状の前記第２のスローアウエイ
   チツプ５ｂを拘束するようになつており、 前記第１〜第３のスローアウエイチツプ５ａ，
   ５ｂ，５ｃは、前記第１〜第３のチツプ座４ａ，
   ４ｂ，４ｃ内でそれぞれねじ止めされるととも
   に、前記第２のスローアウエイチツプ５ｂは、略
   長方形板状からなり、Ｔスロツトの巾切削用とし
   て長辺側に形成された外周切刃稜８ｂが0゜のコー
   ナーアングルθbを有し、また軸方向で対称的に
   配置される前記第１のスローアウエイチツプ５ａ
   および第３のスローアウエイチツプ５ｃは、略正
   方形板状からなり、Ｔスロツトの高さ方向の切削
   用として、前記第２のスローアウエイチツプ５ｂ
   の外周切刃稜８ｂよりもそれぞれ軸方向に延びる
   ようにコーナー部分を位置させ、しかもその外周
   切刃稜８ａ，８ｃが0゜30′〜3゜のコーナーアングル
   θa＝θcを有していることを特徴とするスローア
   ウエイ式Ｔスロツトカツタ。