JPH0330224Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 −産業上の利用分野− 本考案は自動車のエンジンルーム内におけるフ
ロントサイドメンバ構造に関する。

−従来技術− 周知のように、エンジンルーム内にエンジンを
横置きするモノコツク構造の自動車においては、
第２図に示すように強度部材であるフロントサイ
ドメンバにエンジン支架用のエンジンマウントブ
ラケツトを固定する。

すなわち、エンジンルーム内に延出しいる閉断
面構造のフロントサイドメンバ１のスラツトハウ
ジング２よりもやや前方位置に、エンジンマウン
トブラケツト３を配置し、このブラケツト３をフ
ロントサイドメンバ１の外表面に溶接して固定す
る（例えば特開昭59−186780号参照）。

しかしながら、このような構造では、フロント
サイドメンバ１がフードリツジパネル４の下部に
沿つてエンジンルーム内を前後方向に伸びた一本
のフレーム構造であることから、例えば、車両衝
突時にフロントサイドメンバ１が破損すると、フ
ロントサイドメンバ１の全体を交換しなければな
らなくなる。そして、エンジンマウントブラケツ
ト３が溶接されてフロントサイドメンバ１に一体
化されているような場合には、エンジンマウント
ブラケツト３の取換えまでも要求され、この結
果、破損部の交換修理コストが非常に高くなると
いう問題点があつた。また、エンジンマウントブ
ラケツト３取付部の強度を確保するために、フロ
ントサイドメンバ１内のブラケツト３に対応する
位置にレインフオース（図示せず）を設ける必要
があり、重量及びコストの増加を招くという問題
点があつた。

−考案の目的− 本考案の目的は、自動車の前面衝突事故等によ
つてフロントサイドメンバの一部が変形した場合
には必要部位のみを取換えればよく、エンジンマ
ウントブラケツト取付部を特別に補強する必要の
ないフロントサイドメンバ構造を得るにある。

−考案の構成− この目的を達成するため、本考案は、エンジン
ルーム内のフロントサイドメンバを車体前後方向
に２分割し、同メンバにおけるエンジンマウント
ブラケツト取付該当部に、分割されたメンバ同士
を重畳した重ね部を設け、この重ね部にエンジン
マウントブラケツトを着脱可能に取付けることを
提案するものである。

−実施例− 以下、第１図において本考案の実施例の詳細を
説明する。

第１図は、エンジンルームの側部内側を示して
おり、同図においてエンジンルーム内に延出して
いるフロントサイドメンバ１０は、車体前後方向
で、ラジエータサポートロアメンバ１１およびラ
ジエータコアサポートサイドパネル１２の下部側
に延出する前部メンバ１０Ａと、ダツシユパネル
１３側からエンジンルーム内に向け延出している
後部メンバ１０Ｂとに２分割されている。

これら前・後部メンバ１０Ａ，１０Ｂは、その
車体前後方向における長さを、エンジンマウント
ブラケツト１４の取付位置で互いに重畳すること
ができるように設定されており、エンジンマウン
トブラケツト１４の取付位置では前・後部メンバ
１０Ａ，１０Ｂが互いに重畳されて重ね部１０Ｃ
が形成されている。

重ね部１０Ｃの内部には、エンジンマウントブ
ラケツト１４を取付けるためのウエルドナツト１
５が複数個設けられており、このウエルドナツト
１５に対し、エンジンマウントブラケツト１４
が、ボルト１６を介してフロントサイドメンバ１
０に締結される。

ところで、上述したフロントサイドメンバ１０
のうち、前部メンバ１０Ａには、重ね部１０Ｃよ
りも前方位置に、蛇腹状の絞り加工を施された脆
弱部１０Ｄが設けられており、車体衝突時の衝撃
力を吸収するようになつている。

そして、図示の実施例は、エンジンマウントブ
ラケツト１４のフロントサイドメンバ１０に対す
る取付位置が、サスペンシヨンマウントメンバ１
７の取付部付近に位置決めされるようにフロント
サイドメンバ１０の後部メンバ１０Ｂの長さを設
定し、この後部メンバ１０Ｂに前部メンバ１０Ａ
を重畳させて重ね部を構成し、この重ね部の内部
にウエルドナツトを設けている。

図示実施例は、以上のような構造であるから、
エンジンマウントブラケツト１４は前部メンバ１
０Ａと後部メンバ１０Ｂの剛性のある重ね部に固
定されるので、同固定部に特別の補強部材を用い
る必要がない。また、自動車の前面衝突の場合に
は、変形し易い前部メンバ１０Ａのみが変形する
ので、フロントサイドメンバ１０からエンジンマ
ウントブラケツト１４のみを取外して前部メンバ
１０Ａを取換えればよい。

そして、図示実施例においては、サスペンシヨ
ンマウントメンバの取付部という比較的、剛性の
高い位置にエンジンの支架部を設定するので、エ
ンジンの支持剛性を高めることができる。

−考案の効果− 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、フロントサイドメンバを車体前後方向で２分
割するとともに、エンジンマウントブラケツト取
付該当位置にメンバを重畳した重ね部を形成して
エンジンマウントブラケツトを着脱可能に取付け
るようにしたので、ブラケツト取付部に格別なレ
インフオースを追加する必要がなく、また、車両
衝突時にフロントサイドメンバの前部メンバのみ
が損傷した場合には、エンジンマウントブラケツ
トを取り外した後、損傷を受けた側のメンバのみ
を交換するだけで良く、フロントサイドメンバの
交換修理を容易化してその際のコスト低減を図る
ことができる。

また、フロントサイドメンバは一般に、ダツシ
ユパネルロア付近の耐久強度と車体に要求される
衝突特性とに基いて板厚を決定されるケースが多
いが、車体前後方向で２分割したメンバ同士を重
畳することにより、前部メンバの板厚を後側のメ
ンバの板厚に比較して薄くすることで容易に衝突
特性を制御することが可能となる。

さらには、搭載するエンジンの型式によつて、
例えば、大型エンジンを搭載した派生車のような
場合、フロントサイドメンバの前部メンバのみを
新設することが可能となり、これによつて、フロ
ントサイドメンバの造形設計自由度の増大が図
れ、フロントサイドメンバ加工時に要する成形型
にかかる費用を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を施こした車体前部の斜視図、
第２図は従来のエンジンルーム内の構造を示す斜
視図である。 １０……フロントサイドメンバ、１０Ａ……前
部メンバ、１０Ｂ……後部メンバ、１０Ｃ……重
ね部、１４……エンジンマウントブラケツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンルーム内のフロントサイドメンバ上
   に、該エンジンルーム内に搭載されるエンジンの
   支架用エンジンマウントブラケツトを有する車体
   構造において、上記フロントサイドメンバを車体
   前後方向に２分割し、同メンバにおけるエンジン
   マウントブラケツト取付該当部に、分割されたメ
   ンバ同士を重畳した重ね部を設け、同重ね部に上
   記エンジンマウントブラケツトを着脱可能に取付
   けたことを特徴とするフロントサイドメンバ構
   造。